平の町の、旅館の灯火を守りたい

皆さん、はじめまして。いわき市平、旧城跡にあります旅館「城山平安荘」の鈴木伸明です。創業65年。祖父母が築いた旅館を父から預かり、現在、三代目として旅館の運営をしております。コロナ禍にあっても、平の町を見守ってきたこの旅館の営業を続けていくため、今回、クラウドファンディングにチャレンジいたしました。よろしくお願いします。


私たち城山平安荘は、いわき駅北側の磐城平城本丸跡地に立地する、創業65年になる旅館です。いわき市の繁華街、田町や白銀からも徒歩圏内の適度な距離にあり、また、静かな城山の上に位置しているため、創業当時より、いわき市を観光やビジネスで訪れる人たちの宿泊・滞在の拠点、地元の皆さまの宴会やご会食の場所として親しまれてきました。

当館の強みのひとつが「料理」です。長年、卸売市場との付き合いがあり、新鮮な野菜や魚介類などを使った「和食」に力を入れてきました。震災後、その料理部門の強みを生かすため、いわき駅前、田町の繁華街に料亭「田町平安」をオープンさせました。私も日々厨房に立っていますが、おかげさまで、「平安といえば料理」と感じていただけるようになりました。

地元の皆さまに支えられている平安荘もうひとつの強みが「ロケーション」です。いわき駅から近い場所に、これだけの自然に囲まれた場所は多くありません。鳥のさえずりや、木々のさざめきを感じながら、ゆったりと体を休められるこのロケーションは地域の宝です。築城の時に作られたとされる「丹後沢」や、今年見つかった平城の遺構もすぐそば。平の歴史を色濃く残す場所でもあります。

創業から65年になりますので、最新のホテルなどと比べると、たしかに古さは感じますが、ホテルタイプの宿泊施設が当たり前になった現状から見ると、古き良き旅館の雰囲気は、むしろ、歴史ある城山にふさわしく感じます。また、当館は高級旅館ではないので、気軽に泊まれる、ちょうどいい居心地の良さもあり、それもまた、大きな可能性があるように感じます。

そこで今回、旧館にある一室、かつて祖父と祖母が暮らしていた部屋でもあったのですが、その部屋を修繕して活用することで、これまで以上に魅力的な、「平を満喫できる宿」として生まれ変わらせることができるのではないかと思い、クラウドファンディングにチャレンジすることになりました。


<All-in方式>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

もくじ
 ・平安荘の歴史
 ・田町と城山をつなげる
 ・平を満喫できる宿を
 ・みなさんへの返礼品について


城山平安荘の歴史

城山平安荘が開業した65年前ころは、常磐炭鉱も稼働していた時期ですし、高度経済成長期も手伝って、平の町は今以上に賑やかだったそうです。歴史のある料亭なども数多くあり、観光客ばかりでなく、大勢の労働者も平を訪れていました。そうしたお客様に支えられ、平安荘は開業当初より、平の城山にある旅館として皆さまに認知していただけるようになりました。

2代目の父の時代には、特に「食事」に力を入れるようになり、宴席のお客様が増えてきました。結婚式や法事、祝賀会や交流会、企業様の慰労会、忘年会や新年会など、料理と宿泊をセットにしたサービスが、この頃に確立しました。当時のことを思い返すと、両親が、朝早くから厨房に立ち、忙しそうに朝食を用意していた姿を思い出します。

わたしが小さな子どもだったころの平安荘

とはいえ、旅館の立ち位置は「高級旅館」というわけではなくて、大学生や高校生の部活動、スポーツクラブの合宿や、短期中期を問わずいわきで働く方たちの定宿でもありました。そうした歴史もあり、震災後は、復旧・復興に携わるみなさんを多数受け入れ、食と住の分野でお客様を支えてまいりました。料理を楽しむ旅館であり、手軽に泊まれる宿でもある。その二面性が、城山平安荘の特徴かもしれません。


60人をお迎えできる大部屋では、結婚式なども開催できます

古き良き昭和の旅館の雰囲気も色濃くあります

窓から視界に入る美しい緑も、当館の魅力です

ただ、震災後は、復旧・復興に携わる皆さんをお迎えするかわりに、宴席のお客様を受け入れることが難しくなりました。そこで、料理に特化した場を作ろうということで、旅館から車で数分の田町に、料亭「田町平安」をオープンしました。料理を楽しむことに特化した、平安荘の「別館」と言えるかもしれません。料亭のオープンに合わせ、私もいわきに戻りました。

おかげさまで、少しずつ「田町平安」も地元に定着してきたかな、と感じられるようになりましたが、今年春から新型コロナウイルスの流行が始まり、その対応に追われました。お刺身のテイクアウトや、「料亭が作るお弁当」など新しい取り組みも始めており、なんとか、この地で商売を続けていけるよう試行錯誤を続けています。これが、平安荘の大まかな歴史です。


田町と城山をつなげる

料理を打ち出す旅館に育ったこともあってか、私は料理の道へと進みました。実家に戻る前は、神戸や東京で、和食の修行を続けてきました。震災後にいわきへと戻り、現在は、平安荘の経営も行いながら、料亭「田町平安」の厨房に立っています。

田町平安は、お客様にじっくり料理を味わってもらいたいと考え、すべてコース料理とし、全室を個室にしました。家族のお祝いの席、大事なお客様のおもてなしなど、料理をじっくりと味わいたいという方に支えられ、コロナ禍にあっても、なんとか経営を続けることできています。

ですが、平の町を見回せば、かつてはたくさんあった料亭も少なくなりました。平に料亭を営むひとりとして私に何ができるか、ということも、ここ数年考えるようになりました。

田町平安の調理場にて

田町平安で提供している料理の一例。和食が中心となっています

刺身など魚介類にも力を入れて、料理を提供しています

気づけば、同世代の料理人仲間が増えました。同じ城山にあるイタリア料理店「イル・カステッロ」の木村さん、磐城橋を渡ったところの中華料理屋「華正樓」の吉野さんなど、いわきで食に関わる仲間たちから、いつも刺激をもらっています。私自身も、学校給食のプロジェクトや食育に、微力ですが関わらせてもらい、地域にできることを考えてきました。

平では、地域づくりのプロジェクトも盛り上がっていますよね。私はどちらかというと、ガンガン前に出て行くタイプではないので、「地域を盛り上げてやる」みたいな意識はそこまで強くなく、大きな取り組みをしなくても現状維持できれば、なんて思ってきましたが、これからの時代、しっかり工夫をしないと現状維持すらできない、という危機感もあります。

市内で開催されている「和食給食交流会」の様子

そこで改めて、自分たちの価値を見つめ直してみて、「まちをひとつの旅館のように使う」というアイデアが見えてきました。たとえば、田町平安をフロントに見立てると、城山平安荘は「宿泊室」・「離れ座敷」になりますし、平にある個性的な飲食店は、魅力的な多様な「お食事どころ」になります。その間を弊社の送迎バスで移動すればストレスがなく、平の町は、美しい庭園にも、ギャラリーにも、アトラクションにも遊び場にもなりますよね。

そんなふうに、平の町を、ひとつの大きな旅館として捉えると、「田町平安」は、お食事処やフロント、コンシェルジュとしての機能を高めるべきだと考えられるし、「平安荘」は純粋に宿泊、体を休める場所として特化したほうがいい。とすると、中心部から少し離れた環境や、周囲の美しい自然は、むしろ強みになります。

城山にて。子どもの頃は、このあたりを駆けずり回っていました

店のある田町と、実家・旅館のある城山。そこを毎日何度も移動している私にとっては、本当に庭のようなものです。子どもの頃からの愛着があるし、そこで店を構える料理人としてのプライドもあります。私にとって当たり前の風景、生活エリアそのものが、実は、平の町に血を通わせる鍵を握っていたのかもしれない。ようやくそこに思い至りました。


平を満喫できる宿を

平安荘は、半世紀以上の歴史を刻んできた宿ですので、ところどころ痛みも出てきました。かといって、すべてを一気にリニューアルする体力はありません。少しずつ修繕していきたいと考えています。

今、夢として描いていることがあります。祖父と祖母が暮らしていた旧館の一室を「特別室」として、今までよりもラグジュアリーな空間にリノベーションすることです。古き良き旅館の雰囲気や、この美しい城山の自然を満喫できる部屋になるのではないか、と期待しています。

完全なリノベーションには膨大な費用がかかりますので、今回のクラウドファンディングでいただいた支援は祖父と祖母の部屋の「修繕費用」に使わせていただきたいと思っています。修繕ののち、皆さんからもご意見を頂戴しながら、地域に根ざした「特別室」のリニューアルに着手できればと考えています。

祖父と祖母が暮らしていた旧館の一室

建具や調度品なども、古き良き旅館の雰囲気を感じさせてくれます
旧館のホール。中心市街地とは思えない静けさと緑豊かな環境

城山も、田町も、私にとっては当たり前の町です。その当たり前にある町を、当たり前に、次の世代に引き継ぎたいと思っています。このクラウドファンディングが、その引き継ぎのきっかけになるよう、皆さまからのご支援は大切に使わせていただきます。どうぞ、ご協力をよろしくお願いいたします!


ご支援いただいたみなさまへの返礼品

ご支援いただいたみなさまへの返礼品ですが、平安といえば料理、を味わってもらいたく、料亭「田町平安」でのコース料理をメインに組み立てました。皆さまからいただいた支援は、宿を守り、事業を継続していくために役立てます。ご支援賜りますよう、お願いいたします!


【企業・ひと・技 応援ファンドとは?】

いわき市、いわき産学官ネットワーク、いわき信用組合、いわき商工会議所などが連携し、次世代に継承していく技術やサービス、商品を持つ事業者や、新型コロナウイルスを乗り越えるための新しいビジネスモデルを構築し、市民の安全・安心に取り組む事業者をサポートするために企画されたものです。新しい時代に、残したい・伝えたい。そんな企業を、ぜひ、みんなの力で支えましょう。応援よろしくお願いいたします。(事務局・いわき商工会議所 創業・承継委員会)

  • 2021/02/26 20:00

    ご支援頂きました皆様!大変お待たせしました。本日、返礼品のタオルと田町平安のお食事券が出来上がりました。只今発送の準備をしておりますので今しばらくお待ちください。尚、3月1日月曜より田町平安にてサービスランチを開始いたします。そちらでのお食事券のご利用も可能ですので是非お待ちしております。お知...

  • 2021/02/15 20:00

    皆さん、地震大丈夫でしたか?田町平安の方は器やお酒など中々ヤられました。平安荘も壁の亀裂や基礎の崩壊など建物的なところがやられました。しかし、お客様、スタッフ、家族の誰も怪我が無かった事が不幸中の幸いです。津波が無くて本当に良かった。10年前の震災以降、台風が来たり、コロナが来たり、地震が来た...

  • 2021/01/26 18:00

    いよいよ駅裏再開発工事⁈始まりました。平安荘の入り口の御神木の様な杉の木。子供の頃から気にはなるけど怖くて入れなかった森がバッサリ。だいぶすっきりして風通しが良くなりました。ここには沢?川?の様な物が出来るそうです。楽しみだ。

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