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林洋子(女優・クラムボンの会主宰)が「賢治ひとり語り」の公演を始めてから、今年で37年目となります。「賢治ひとり語り」は、宮沢賢治の作品を、朗読ではなく、薩摩琵琶など生の音楽と共に語り演じる、林洋子独自の表現です。

 

林洋子は、俳優座養成所一期生を修了した後、劇団三期会等を経て1980年に賢治ひとり語りの出前公演を始めました。出前注文がある所へ日本中、そして海外まで足を運び、公演回数は1600回に迫っています。1994年には、「幼児も涙してその世界に没入するほどの感動を人々に与えた」と宮沢賢治学会及び花巻市より第4回イーハトーブ賞を受賞しました。国際交流基金の企画によりアジア各国を中心に派遣公演も行っており、海外でも熱い喝采を受けています。

 

宮沢賢治は37歳で亡くなりました。林洋子の語り芸が賢治が生きた歳月と同じ37年目を迎えた今年、薩摩琵琶弾き語り「なめとこ山の熊」をDVDに残すプロジェクトを始めました。

 

なお、「呼びかけ人・賛同人」にはスタジオ・ジブリでの映画監督として有名な高畑勲氏(アニメーション映画監督)も名を連ね、「林洋子さんの薩摩琵琶弾き語り「なめとこ山の熊」待望のDVD化、ファンの力でぜひとも実現しましょう。」とのメッセージもお寄せいただいています。

(そのほかのメッセージはこちらから)

 

31歳の賢治は、飢饉にあえぐ稗貫郡の農民のために無料で肥料設計書を何百枚も書き、日照りの夏も寒さの夏も農村を駆けずり回りました。そして体は病に犯されていきました。このころ書かれた賢治晩年の作「なめとこ山の熊」

 

「賢治さんの物語からは、不思議な音が聞こえて来る」と言う林洋子は、物語ごとに様々な楽器を選び、その音楽にのせて語り演じています。例えば、「よだかの星」と「やまなし」はアイリッシュ・ハープとタンバリン、「雁の童子」はシタール、「雪わたり」は笛とお囃子、というように。

 

そして「なめとこ山の熊」からは、どうしても薩摩琵琶の燻し銀のような音色と激しいバチ音が聞こえて来るといいます。そして自ら、NHK大河ドラマ「宮本武蔵」「独眼竜正宗」「花の乱」などで琵琶の演奏を担当されたこともある薩摩琵琶・鶴田派の田中之雄先生の門を叩き、弟子となりました。その2年後の1995年5月、薩摩琵琶弾き語り「なめとこ山の熊」を初演。以後22年、日本中で公演を行っていますが、みなさんが「琵琶の音色が素晴らしい。この物語にピッタリで情景がありありと浮かんだ」と言ってくださっています。

 

 

いのちをやり取りする中で、熊たちと熊撃ち小十郎の中に生まれる傷み合いと愛くしみ合い。そのいのちたちが放つ、またそれを照らす慈しみの輝き。これを薩摩琵琶のいぶし銀のような音色とともに語る「薩摩琵琶弾き語り『なめとこ山の熊』」は、林洋子の最高傑作です。

 

87歳を迎える今年も、すでに沖縄や東京で「なめとこ山の熊」の公演を重ね、完璧な記憶力と表現力、そして会場のすみずみまで響く声に、感動したとのお声をいただいています。しかし、もしも林洋子がいなくなったら、この作品を生で見ることはできなくなります。何故なら、宮沢賢治作「なめとこ山の熊」を薩摩琵琶弾き語りで語れる俳優はこの世界のどこにもいないからです。

 

そこでこの度、クラムボンの会としてはみなさまのお力をお借りして、「薩摩琵琶弾き語り『なめとこ山の熊』」のDVDを制作することといたしました。これまでも公演のライブ映像はありますが、眼の動きや表情、指使いやバチさばきまで細かく記録した映像はありません。

 

もしこれをDVDとして残しておけば、林洋子がいなくなったとしても、「薩摩琵琶弾き語り『なめとこ山の熊』」に細部まで何度でも接することができます。

 

この撮影のためにはスタジオや機材を用意し、専門のディレクターにも協力を仰がねばなりません。この費用がおよそ150万円かかります。皆さまに、今回の製作費の一部をご支援頂ければ大変幸いです。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

※呼びかけ人・賛同者メッセージ※

岡本 厚(岩波書店 社長)

林さんとは、30年以上のつきあいである。雑誌「世界」の企画、座談会「私の中の宮沢賢治」に出てもらって以来である。林さんが宮沢賢治の弾き語りを始めて、間もなくのことだったと思う。座談会に出てもらった高木仁三郎さん(故人)、藤田祐幸さん(故人)と(林さんの提案で)「なめとこやま会議」を始めた。会議とは言っても、年に1、2回、林さんの家に集まって飲むだけである。楽しい会議であった。私は何百もの企画を作ったが、このように一つの企画から長く関係が引き継がれるのは珍しい。というか、ほとんどない。

そこで林さんは、その時々練習している薩摩琵琶やシタールを弾いてみせてくれた。一つの楽器を我が物にするだけでも超人的な努力が要る。林さんは、次の演目を考えると、次の楽器に挑戦する。そのエネルギーに、他のメンバーは驚き、また喜んだ。

林さんは、変わり続ける人である。止まったり完成したりしない。自らを開いて人々を結びつける人である。それは命そのものである。その命の流れが二代目に受け継がれた。これも驚きである。ネットメディアの逆をいく快挙といえるかもしれない。奇跡である。今の、この日本に、こんな素晴らしい奇跡があることを喜ぶ。

 

杉田 英生(宮沢賢治愛好家)

待ってました。洋子ちゃんのDVDの制作は私にとっては遅いくらいの企画、もっと早くささやかれても何も言うことなく、今頃そんなこと気づいたの!!ということを言い返したと思うと、案外肝心なことって遠慮し合っているのかも知れませんね。誰にはばかることなく双手をあげて賛成するとともに、御体を呉呉も御大事に。

 

高畑 勲(アニメーション映画監督)

林洋子さんの薩摩琵琶弾き語り「なめとこ山の熊」待望のDVD化、ファンの力でぜひとも実現しましょう。 

 

三宅 進(元NHKディレクター)

早いもので、もう12年の歳月が流れましたが、林さんがNHKラジオ深夜便「こころの時代」にご出演くださって、「めぐり逢ういのち」~賢治童話ひとり語りの25年~と題して、二夜にわたって人生の歩みをお話くださり、「なめとこ山の熊」と「雁の童子」のすばらしいひとり語りの一部を、スタジオで聞かせてくださった時の高揚感が忘れられません。あの番組がいかに多くの方たちの心に響いたことか、寄せられた反響もそれはそれは大したものでございました。

 その「なめとこ山の熊」のDVDが生まれ、年輪を重ねられた林さんのひとり語りがお姿とともに永久に残るとのこと、それがいかに意義深いものであるかーー、私などにもひしひしと感じられます。

 すてきなDVDが出来あがって、“いのちのめぐり逢い”がさらに広まり、深まりますよう、祈っております。

 

(そのほかのメッセージはこちら)

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