ご挨拶

はじめまして、滋賀県米原市上丹生で漆塗りの仕事をしている山本一郎です。このたびは私のプロジェクトページをご覧いただき、ありがとうございます。

私の生業である漆塗りの仕事は「仏壇」を中心としていますが、時代の流れには逆らえず仏壇業界は衰退の一途を辿っています。しかし、私はこれまで培ってきた漆塗りの技術、文化、そしてその魅力をなんとか後世へとつないでいきたいという強い思いをもっています。そこで、従来の漆塗に捉われない、漆の新しい世界を知って欲しいと思い、新たな漆商品の開発にチャレンジすることにいたしました。


滋賀県米原市上丹生(かみにゅう)

私が生まれ育ち、また現在も仕事の拠点となっているまち、米原市上丹生(かみにゅう)。霊仙山(りょうぜんざん)の麓、丹生川と宗谷川(そうやがわ)の合流地点に集落が広がっています。山間にあり、盛んになったのが山林の木を使った木彫り産業。300年くらい前、ここに仏壇づくりに携わる職人たちの村が形成されました。“木彫りの里”上丹生です。

昔からお仏壇を分業制にし、各部門(木彫り、銀細工、漆塗り、組み立て)ごとに職人がきめ細かく作業し造っていました。しかし近年、日本の人口減少、核家族化、宗教離れなどで仏壇産業が衰退の一途です。私も代々受け継がれた仏具の漆職人として頑張って来ましたが時代の流れには勝てず限界は近づいています。

(上丹生の街並み)

(煌びやかなお仏壇)




漆は仏具以外にも様々に活用されています。工芸品をはじめ、お椀などの食器類やお箸などによく用いられ、皆さんも一度は手にしたことがあるのではないでしょうか。全国にはたくさんの漆職人の方がおられ、歴史と伝統を培った素晴らしい商品がたくさんあります。

漆工芸品の魅力は何といってもその艶やかで美しい”黒”で、また、金箔などを使うことでより煌びやかな世界を表現しているところではないでしょうか。日本的なその美しさは、外国人の方にもお土産や普段使いのものとして人気が高いと思います。

従来の漆工芸品の良さを高めることも大切ですが、私はこれまでにない、今までの漆工芸品と違うテイストの作品は出来ないか?と自問し、漆塗りで”新たな色を表現すること”にチャレンジすることにしました。


”透明感”のある独特の漆

先ず私がたどり着いたのは、塗る前の素材(木目など)の味わいを漆が引き立て、”独特の艶”を出す、そんな特性を持った透明感を醸し出す漆でした。

「緑」、「赤」、そして「黄」の三色の透明感のある釉薬を漆に混ぜ、木のコースターへ塗っていきます。塗っては乾燥させ、漆が木に馴染むまで数回漆を塗り重ねていきます。何枚も何枚も塗っては乾かす試行錯誤を繰り返した結果、緑の釉薬が木目に沿って発色した、透明感とケミカル感のある何とも不思議で魅力的な風合いにたどり着きました!

緑、赤、黄の3色展開のコースター。漆の独特の艶により木目が美しく浮かび上がるその風合いは、特に洋風のグラスや洋酒などと相性が良いのではないでしょうか。


マットな漆もやってみました!

今回の私のチャレンジは”漆で新たな色を表現する”ことです。透明感のある艶を纏ったコースターを作る最中、漆の最大の魅力である"艶"とは対極の”マットな漆”にもチャレンジしました。

早速、艶を抑えた釉薬を配合し、こちらも木のコースターに塗っては乾燥させる作業工程を繰り返しました。そして、艶感のあるコースターとはまた一味違う、ポップな彩りのコースターが完成しました。現在は赤と青の二色展開ですが、将来的にほかのカラーバリエーションも増やしていきたいと思います。


新たな漆の世界を表現した”usiru(ウシル)”

今回”色”を表現して制作したコースターとぐい飲みのシリーズを”usiru(ウシル)”と付けました。
漆塗り商品としては定番のものたちですが、ほかにはない独特の艶と色味、風合いがオリジナル感を演出します。たくさんの方に、usiruの商品をお届けできればと願っています。


新しい漆の世界を


全国にある素晴らしい伝統工芸や産業と同じく、漆塗りの仕事もその需要の激減や後継者不足に悩んでいます。しかし、私はやはり漆の素晴らしさ、技術、文化、魅力をなんとか次世代へつなぎたいと思います。今回チャレンジした漆による新たな色の表現を通じて、漆の新たな世界を切り開ければと願っています。

ご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。



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