▼はじめにご挨拶

 みなさん、初めまして。iGEM Gifuでプロジェクトリーダーをしている丹羽と申します。プロジェクトの前に、まず私たちの団体の説明をします。iGEMとはInternational genetically engineered machine competitionの略で、日本語に訳すと国際合成生物学大会となります。主に、有用遺伝子を使って、生物の性質を自由に変化させる、すなわち遺伝子をデザインすることを研究し、発表する大会です。今年、iGEM Gifu(岐阜大学チーム)では、酵母の有名な特性であるエタノール(アルコール)の生産について研究しています。

▼このプロジェクトで実現したいこと

 酵母にはカタボライト抑制という特性があります。これは、酵母にとって使いやすい栄養であるグルコース(ブドウ糖)があるときは、栄養源としてグルコースのみを利用しようとする性質のことです。私たちも大好物が目の前にあれば、そればかりを食べたくなりますよね。この性質は酵母がエタノールをたくさん作ることができる理由でもあるわけです。エタノールを作るためにはグルコース(ブドウ糖)が欠かせません。なので、グルコースを積極的に利用しようとする、この性質は酵母を酵母たらしめている性質の一つなのです。そして、この性質が乳酸と呼ばれる成分によって制御されていることが2016年にわかりました。乳酸というより、乳酸菌という方が一般の方には聞き馴染みがあると思いますが、乳酸はまさにヨーグルトなどに多く含まれている成分です。乳酸が多すぎると、酵母のカタボライト抑制がうまく機能しなくなり、エタノールの生産が抑えられます。この性質をうまく遺伝子組み換えを用いて変化させることで、酵母を乳酸があるかないかを判定させるバイオセンサー化したいと考えています。

▼プロジェクトをやろうと思った理由

 日本酒と乳酸菌には深い関わりがあります。日本酒には相性のいい乳酸菌と相性の悪い乳酸菌がいます。相性のいい乳酸菌は日本酒を他の雑菌から守る機能を持ち、日本酒の酒母を作る際に添加されます。相性の悪い乳酸菌は火落ち菌と呼ばれ、日本酒製造行程の一つ、火入れと呼ばれる加熱消毒後に日本酒に何かしらの原因で入り込んでしまう菌です。火落ち菌は日本酒の味を酸っぱく変えてしまうばかりか、ほぼ透明で美しい日本酒を白く混濁させてしまい、商品としての価値を奪ってしまいます。酵母菌を乳酸のバイオセンサーとすることで、この2つのことを簡易的に評価でき、日本酒の魅力をさらに伝えることができるのではないかというのがプロジェクト考案の原点です。この夏は日本酒を愛し、日本酒に全てを懸ける所存です。

▼これまでの活動

 iGEM Gifuは2013年に学生有志により結成され、2014年に初めてiGEM(ボストンで行われる国際大会)に出場すると、銀賞を獲得しました。その時の研究テーマは環状RNAを用いた長鎖タンパク質の生産です。2015年には2014年の時の研究テーマを引き継ぎ、改良したテーマで大会に臨み、銀賞を獲得しました。2016年には、鵜の糞の効率的な洗浄を狙ったDropping cleaneraseをテーマとして大会に参加し、3年連続となる銀賞を受賞しています。本団体は単に研究のみを行う団体ではなく、高校生や一般の方に正しい遺伝子組み換えや微生物に関するプレゼンテーションを行ったり、フィールドワーク調査なども行っています。本年は高校訪問や国際シンポジウムの参加に加え、岐阜県の酒造さまをめぐり、岐阜の清水を使った美味しい日本酒のハンドブックを作成する予定です。

▼資金の使い道

 皆さまからの支援金のうち、全体の90%は国際大会参加のための渡航費、滞在費として利用します。国際大会はボストンで行われ、本年は11月9日から11月13日に行われる予定です。残りのおよそ10%はハンドブック作成用の移動費・日本酒の購入費として活用します。岐阜県の酒造さまには電車などの地方公共交通機関を主に用いて訪問し、味を評価するための日本酒を購入します。

▼最後に(研究費のお願い)

 iGEM Gifuは現在資金提供してくださるスポンサーを探しています。詳しくはhttp://igemgifu.web.fc2.comをご覧ください。

 また、当団体はtwitterを中心に活動の報告を行なっております。https://twitter.com/iGEMgifuもご確認ください。

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