■プロジェクトの概要

ニキシー管という電子部品をご存じでしょうか?
真っ暗な虚空にオレンジ色の文字が鮮明に輝く美しさは、
LEDや液晶パネルでは再現不可能な唯一無二の存在です。製法の再現に成功したニキシー管の試作品

 近年、ニキシー管の美しさに気がついたメイカー諸氏の手によって時計などの生活家電に利用されたり創作物の演出などに使われることで目にしたことがある方も多いと思います。しかし、この部品は1980年代に国内すべての工場が製造を終了しています。LEDや液晶パネル、蛍光表示管といった新しい技術の台頭によって需要がなくなってしまったことが主な理由でした。そしてこの数十年で、ニキシー管の製法もほとんど失われてしまいました。すでに製造が終了していることもあって年々流通量は減っており、残された在庫を取り合うかたちで価格は高騰する一途です。このままではニキシー管というものはいずれは姿を消し、歴史の中だけで語られる存在になるかもしれません。

 私は失われてしまったニキシー管の製造方法をゼロから研究し、将来にわたって日本製のニキシー管を世界中に供給し続けること、その製法を後世に残すことを目標に活動しています!

 今回のクラウドファンディングの目的は、ニキシー管の製造方法を確立することにあります。支援金は開発に必要な機材や材料の購入と、実際に試作したニキシー管を動く状態でお届けして多くの動作実績を得るために利用させていただきます。

 開発を始めてから8年間、様々な困難を乗り越えながらついに実用化一歩手前の段階まで到達しました。この先は量産に必要な条件を見極めるため数多くのサンプル品を作り評価したり、精度を上げるための機材を調達するといった活動を予定しています。支援者のみなさまには、数十年の時を経て復活したニキシー管の輝きを眺めながら、長期間の性能評価にご協力いただけますと幸いです。

■ニキシー管とは →Wikipedia[ニキシー管]

 仕組みは簡単です。ネオンガスが満たされた空間に2枚の金属板を数ミリ離して置き、そこに高い電圧かけると放電が始まります。放電によってマイナス極側の金属板表面のガスがオレンジ色に発光します。金属板の形に沿って発光するので、数字や記号の形にしておけば思い通りの表示器をつくることができるわけです。その仕組みから、日本では表示放電管という名称で販売されていました。ニキシー管という名称は、表示管放電の特許を持っていたアメリカのバローズ社がこの部品にNIXIE(ニキシー)という商標名を付けて販売していたことから、広くその名で呼ばれるようになりました。

 1本のニキシー管の中に0から9まで、10枚の金属板を入れることで1ケタの数字として取り扱うことができます。オレンジ色に光っていますが金属板が発熱しているわけではなく、ネオンガスが放電現象によって光っているので意外なほど消費電力は大きくなく発熱もありません。基本的にガラスの物理的破損以外にほとんど劣化するところがなく、市販されていたニキシー管は正しい使用方法で連続10年以上の稼働実績があります。

試作したニキシー管の3Dモデル

金属板の表面のネオンガスが光っています
■ニキシー管のつくりかた

ニキシー管は大きく4つの工程に分けて製造します。
ガラス管の加工 
 ガラス管の母材から必要な長さを切り出して、ニキシー管の形状に加工します。

電極の作成
 金属板(エッチングパーツ)を加工してニキシー管の電極を作成します。金属の板と板の間にはセラミックでできた部品をはさんで、電気が流れないように絶縁してあります。

真空引きとネオンガスの封入
 真空装置にニキシー管をセットして真空引きと、ネオンガスの封入を行います。

端子の取り付けと動作テスト
 電子回路用の接続端子を取り付けて動作テストを行います。


■課題と展望

ニキシー管を作る上での課題は次のようなものがあります。

高度な真空管製造技術を要求される
 ほとんどの技術的な課題はクリアしましたが、さらに良い条件を見つけるため数多くの試作品を作る予定です。

長期的な寿命などの信頼性の確保
 主に工作精度とガスの成分によります。多くの試作品を作り、検証する数を増やすことで寿命と信頼性を高めることができます。

開発機材が非常に高価
 ニキシー管を作る最低限の機材を全て新品で集めると、1000万円を超える費用がかかります。この8年間でほとんどの機材は揃えることができましたが、さらに良い品質を目指すために一部機材の新調を予定しています。

特別な文字のニキシー管をつくりたい!
 かつての日本製ニキシー管の中には、曜日を漢字で表示できるものがありました。さらに発展させて、より複雑な用途に使用できるニキシー管を検討しています。安定して製造できるようになる頃には文字をオーダーメイドしたニキシー管も作ることが可能となるでしょう!

 漢数字管:O/一/二/三/四/五/六/七/八/九/十/百/千
 大字を含めた漢数字管:零/壱/弐/参/四/五/六/七/八/九/十
 暦と時刻の記号管:時/分/秒/年/月/日/火/水/木/金/土
 暦と温湿度の記号管:度(℃)/厘(%)/年/月/日/火/水/木/金/土

ゆくゆくは大量生産へ
 現在は全ての工程を手作業で、職人技でもって製造しています。大量生産のためにはそれぞれの工程をできる限り迅速に、高い精度で行える必要があります。製造技術が確立できれば、次は大量生産に着手することになります。

■リターンについて

※現在開発中につきリターンをお届けする頃にはデザインが変更されますのでご承知おきください。

ニキシー管電極のエッチングパーツを額縁に入れてお届け
非常に緻密で繊細なニキシー管のエッチングパーツを額縁(フォトフレーム)に入れて鑑賞できるようにしました。お届けするものは実際の製造で使用する本物のエッチングパーツです。材質は0.1mmから0.2mmの薄いステンレス板で、手に持っただけで紙のように垂れ下がり簡単に曲がってしまいます。額縁に入れることで曲がらず、いつでも美しい姿を眺めることができます。レーザー刻印なしの方は、ニキシー管の背面にあたる箇所が無地のままになります。(ロゴや型番なども刻印されません)


ニキシー管電極のエッチングパーツにレーザーで型番と支援者のお名前を刻印して額縁に入れてお届け
ファイバーレーザーマーカーでニキシー管の背面にあたる箇所に、ロゴと型番と支援者のお名前を刻印します。刻印するお名前を備考欄にご記入ください。10文字までになります。お名前の刻印が不要な場合は備考欄に「不要」とご記入ください。その場合はロゴと型番のみ刻印いたします。※お名前の刻印は【ニキシー管電極エッチングパーツ+レーザー刻印+額縁】のリターンのみとなっております。

刻印のイメージです。熱処理前のエッチングパーツに刻印するので見た目は実際と異なります。


試作したニキシー管1本と点灯用の装置をお届け
実際に試作したニキシー管1本と、それを点灯させるための装置をお届けします。点灯装置のスペックや形状については検討中となりますが、USB接続で動かせるようにしてファームウェアなども公開する予定です。具体的な機能などは決まり次第公開させていただきます。長期的な寿命や経年劣化を検証するため、不具合があった場合は最低でも3年間は無償で交換させていただきます。ニキシー管の性能改善にともない、リターンの出荷時と交換時の見た目が変更される場合があります。

試作したニキシー管の映像です(4K解像度)

形状については検討中となります

ニキシー管工場にご招待! ニキシー管1本と点灯装置付き
実際にニキシー管を作っている作業場にご招待します。
現地までの交通費及び宿泊費などは自己負担となります。所在地は埼玉県北本市です。
作業場はそれほど広くないので3名程度が限界です。
上記の試作ニキシー管1本と点灯装置付きです。

真空装置・ガラス加工・洗浄エリア機械加工エリア設計・電気工作エリア


■試作するニキシー管について

現在試作しているニキシー管はガラス管の直径が40mmで高さは約120mmとなります。
消費電流などの情報は開発が進んだ段階で公開します。

試作したニキシー管のサイズ感

■リスク

以下の理由によりリターンの発送が遅れる可能性があります。
・十分な性能を達成するのにさらなる時間が必要となる。
・主要な製造設備に想定外の故障が発生する。
リターンの発送が遅れが見込まれる場合は事前に連絡を差し上げます。
開発の進捗は本プロジェクトの活動報告で行わせていただきます。


■資金の使い道

ニキシー管の開発に関わる機材と材料の調達のために大切に使わせていただきます。


■これまでの活動

2008年1月から
ニキシー管を使った時計の製造販売や、プロダクトをイベントなどで発表してきました。

2012年12月
ニキシー管の開発に着手しました。

2013年11月
Maker Faire Tokyo 2013にて、ニキシー管の開発に着手したことを発表しました。

2014年11月
Maker Faire Tokyo 2014にて、ニキシー管の製造にまつわる研究成果を発表しました。

2016年8月
一軒家を貸し切って1階を全て作業場にしました。

2019年1月
自己調達した材料で始めてニキシー管に必要な特性を得ることに成功しました。

2019年7月
全ての数字を収めたニキシー管の形をした初めての試作に成功しました。

2019年10月
Maker Faire Taipei 2019にて、ニキシー管の形をした初めての試作品を発表しました。

2020年2月
今後の標準的な形状を想定した直径40mmのニキシー管の試作品が完成しました。
Tsukuba Mini Maker Faire 2020にて、ニキシー管の製造工程を含めた成果を発表しました。

2020年10月
Maker Faire Tokyo 2020にて、全ての数字が完全に動作する試作品を初めて発表しました。


本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

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