GAKUは10代の若者たちがクリエーションの原点に出会うことができる新しい学びの「場」です。渋谷PARCOの9階を舞台に、2020年9月の開校以来、音楽、建築、料理、ファッション、デザイン、アート、映像など、様々なクリエイターと連携した授業を開講。その他、インターネット配信番組「ガクジン」、10代専用の無料の自習室やそこから始まるクラブ活動なども展開しています。

GAKU公式HP:https://gaku.school/
インターネット配信番組「ガクジン」:https://gaku.school/gakuzine/

今回は、GAKUとしてはじめてのクラウドファンディングへの挑戦。演劇集団「範宙遊泳」代表で劇作家の山本卓卓と中高生が、一緒に新しい演劇を完成させ、同作品の上演を目指すプロジェクト。とても長いページで恐縮ですが、是非最後までお読みくださいますと幸いです。



©鈴木竜一朗

今回のプロジェクトでは、演劇集団「範宙遊泳」代表で劇作家の山本卓卓さんを講師に招き、中高生と一緒に「範宙遊泳」の代表作である『うまれてないからまだしねない』をベースに新しい群像劇をつくります。完成した作品を渋谷PARCO9階のGAKUにて上演するだけでなく、演劇の制作過程で行われる山本さんの講義の様子も撮影・アーカイブし、中学・高校での演劇教育のヒントとなるような機会をつくります。コロナにより演劇と触れる機会を失ってしまった10代。演劇に興味のある中高生が集える「居場所」を作っていきたいと考えています。


このプロジェクトがスタートするきっかけは、GAKUに遊びに来たひとりの10代の言葉。

「学校でも家でも自分はいい子。友達の前でも、SNSの中でも、別に自由に振舞ってるわけじゃない。求められたキャラクターを演じているだけかもしれないって感じてる。」

その言葉に、GAKU事務局のインターン生が反応します。

「自分自身、学校の中で起きていることが自分ごととは思えないまま、時間が過ぎていくような感覚があった。学校になじめない人もなじんでいる人も、同じような違和感を感じているこの環境。自分の人生に自分の存在をもう一度見つけ出すこと、そんなことはできないのだろうか? 」


海外では、演劇教育(ドラマ教育)が公教育に組み込まれています。その理由は、他人を演じることで、人について理解するとともに、「演じていない自分」を改めて再認識できるため。コミュニケーション力や、自己肯定感を育てるために有用だといわれています。

10代と事務局インターン生が注目したのは、そんな演劇の中でも、彼らが過去に観劇した演劇集団「範宙遊泳」による『うまれてないからまだしねない』という群像劇。(群像劇とは、主人公/、脇役という図式でなく、それぞれの登場人物の個性やその関係性にスポットが当たる劇のこと)まるで物語の中を本当に生きているかのような登場人物たちそれぞれに、グッと惹かれていきました。

参考)『うまれてないからまだしねない』(2019)

10代が、真剣に役に向きあい「他人」の気持ちを身体で感じること。そして、自分で考えた「他人」を主人公性を持って演じること。これらの体験を通して、これまでマイナスにとらえてしまっていた「演じる」ということのプラスの面や、主人公性を取り戻すきっかけが見えてくるのではないか?そのように考えました。


そんな中、GAKUによる10代とクリエイターが語り合うポッドキャスト「ガクジン」に、「範宙遊泳」主宰の山本卓卓さんが出演します。番組の中で山本さんは、10代に向けて、「人と人との出会いによって、主人公性を見出し群像劇が完成する。演劇をはじめとした文化によって、個人と社会どちらもが豊かになる。」と語りました。

ポッドキャスト収録後、山本さんへ10代と事務局の想いを伝え、GAKUとともに、中高生向けの演劇のワークショップを開講できないか、と相談しました。オファーを快諾した山本さんからは、『うまれてないからまだしねない』本編と並行するもう一つのサイドストーリーを中高生と一緒に作ろう、という嬉しい逆提案。このプロジェクトが、演劇業界と中高の教育現場を少しでも近づけられるような取り組みとなることを目指したいと、一緒に企画を進めることとなりました。

参考)ガクジン第29回 山本卓卓(「範宙遊泳」主宰/演出家/劇作家)

この授業では、範宙遊泳による群像劇『うまれてないからまだしねない』の世界観をベースに、山本さんと中高生が共作で、同劇のパラレル・ストーリーを作りあげていきます。生徒は、脚本制作や演出、空間づくりなど、演劇制作の工程を体験し、最終的には、演者となって完成した作品に出演、渋谷PARCOの9階GAKUにて発表します。

【開催概要】

名称:新しい演劇のつくり方
対象:中高生(未経験者歓迎)
定員:6〜10名程度
受講料:無料
曜日・時間:11月21日(日)、12月5日(日)、12月19日(日)、1月9日(日)、1月23日(日)、2月6日(日)、2月20日(日)の計7回/13:00〜15:30
生徒募集期間:10月1日(金)〜10月15日(金)(予定)
会場:渋谷PARCO・9階「GAKU」

*応募にあたり
今回のプロジェクトは、集まったメンバーと共に演劇という集団創作に主体的に取り組んでいただきます。応募フォームの中に、「この授業で実現したいこと」などを記載する箇所がございますので、ぜひ皆さんの意気込みをお書きください。(文字数や形式は問いません。)それらの文章を参考にして定員数の受講生を最終決定する予定です。また、受講の可否については、応募の〆切から営業日3日以内にメールにてご連絡いたします。

*受講決定にあたり
受講が決定した場合には、授業開始までに、一つの演劇をこれからつくりあげるそれぞれのメンバーと事前にコミュニケーションを取るために、山本とのzoom面談を予定しています。日時の詳細は受講決定の際に調整させていただきます。

*新型コロナウイルスの感染拡大にあたり
新型コロナウイルスの感染拡大などの状況によっては授業内容が変更となる場合がございます。

【授業概要】

第1回 脚本の設計図を組み立てる
これからともに学ぶ仲間に対して、『うまれてないからまだしねない』を見た感想を発表、自己紹介。『10代たちの、うまれてないからまだしねない(仮)』のコンセプトを共有し、どんな役をやりたいか、自分ならどう演じるか、脚本の設計図を組み立てていく。

第2回 自分が演じる登場人物を作り込み、短い脚本に起こす
それぞれが思い描く登場人物の設定を深める。普段何を食べている? どんな喋り方? 他人との距離感は? など、キャラクター造形を作り込んでいく。登場人物の設定や心情を想像しながら台詞も自ら書き、脚本に起こしていく。

第3回 それぞれの脚本を組み合わせてひとつの作品にする
それぞれが書いた脚本を読み合わせ、ひとつの作品となるよう組み合わせてブラッシュアップする。自分の「役」が、他者の「役」と出会うことで生まれる違和感や矛盾に気づき、物語のなかで「関係性」を構築していく。

第4回 演技について考えを深める
できあがった脚本を演じることについて考える。山本卓卓の演技論を座学として受けながら、俳優が言葉を身体的に表現する、演技のプロセスを学ぶ。

第5回 演出について学ぶ
作品として仕上げるための「演出」という領域を学ぶ。自分の役から離れて、舞台芸術を構成する様々な要素を知り、社会における演劇の役割や教育における演劇の可能性についても視野を広げる。

第6回 上演に向けて稽古する
これまでの知見を土台にし、上演に向けた稽古を行う。

第7回 作品上演(短編上演)
10代の参加者と山本卓卓の共同制作『うまれてないからまだしねない』を上演する。アフターイベントとして、演劇と教育の可能性を探るトークイベント(④で記載)を開催する。

*オンライン配信も同時開催予定。詳細は決まり次第告知いたします。


集団創作とは? 脚本はどうつくる? 演技をするとは? 演出とは? 第2回〜5回の前半には、山本さんによる座学の授業を予定しています。その様子を撮影し、一部リアルタイムで配信するとともに、演劇に関わる方や、教育関係者の方が、この授業の一部を応用いただけるように、映像コンテンツとして編集、アーカイブします。


演劇を授業にとりいれてみたい先生方、演劇教育を実践してみたい方々がご参考いただけるよう、この授業のプロセスをまとめた報告書を作成し配布します。


「演劇と教育のこれから」をテーマに、山本さんをはじめ、演劇や教育関係者が議論を深めるトークイベントを開催し、教育現場における演劇の可能性をより広い視野で探究していきたいと考えています。



©雨宮透貴

山本卓卓(やまもと・すぐる)

劇作家・演出家。「範宙遊泳」代表。1987年山梨県生まれ。幼少期から吸収した映画・文学・音楽・美術などを芸術的素養に、加速度的に倫理観が変貌する現代情報社会をビビッドに反映した劇世界を構築する。アジア諸国や北米など9ヵ国で公演や国際共同制作、戯曲提供なども行い、活動の場を海外にも広げている。『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。公益財団法人セゾン文化財団フェロー。急な坂スタジオサポートアーティスト。ACC2018グランティアーティストとして、2019年9月〜2020年2月にニューヨーク留学。2020年5月に「むこう側の演劇」を始動し、オンラインも創作の場として活動している。
http://www.hanchuyuei2017.com

範宙遊泳・山本卓卓からのコメント

演劇創作の基本は集団創作にあります。

集団創作とは単に「みんなで一生懸命つくる」といった美しい言葉に集約されるものではありません。そこには衝突もあれば無理解もあるでしょう。我々は「みんなで〜」と意気込む時、衝突や無理解を恐れるがあまり、個人の個性や思考や存在を無視しがちです。個人が無視された「みんなで〜」は結局、その「みんな」の中にいる声の大きな人の利益にしかなりません。私自身も、個人として認識されないまま「みんな」のひとりとして学生生活を過ごしていました。この、個人として認めてもらえない寂しさ虚しさから、一歩先に進ませてくれたのが演劇だったように思います。このプロジェクトを通して参加者みんなが個人を取り戻す。主人公性を取り戻す。これが、私たちが今回取り組むビジョンです。

日本で演劇が教育として盛んに行われていない理由のひとつに「身近でなさ」があるのかもしれません。演劇や演技を行うことが、もっと趣味の一貫として日常に溢れていていいし、遊びのひとつとして認知されても良いと考えます。カラオケや変顔をTikTokに載せることに抵抗のない若者が、なぜ演技をすることに抵抗感があるのかについて、我々演劇関係者は真剣に考えてこなかったように思います。そもそも、我々の生活の中には演劇や演技が溢れており、テレビやYouTubeやTikTokの中にもその派生系がたくさん存在しています。

こうしたことについて参加者たちと気づき、生活に取り入れていくこと。たしかに専門的な文化ではあるものの、汎用的で一般的な、文化の源流であることを伝えていきたいと考えています。


多くの方にご協力をいただきながら、このプロジェクトを実現していく予定です。今回のクラウドファンディングにあたって、頂いたメッセージをご紹介いたします。

平田オリザさまより
©Tsukasa Aoki

 「『楽しそうだなー、あと30歳若ければ、私が横取りしたい企画だなー』と思いました。たくさんお金が集まるといいですね。私も出資します。」

平田オリザ(ひらた・おりざ)
劇作家・演出家・青年団主宰。芸術文化観光専門職大学学長。
江原河畔劇場 芸術総監督。こまばアゴラ劇場芸術総監督。豊岡演劇祭フェスティバル・ディレクター。
1962年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。
1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞受賞。1998年『月の岬』で第5回読売演劇大賞優秀演出家賞、最優秀作品賞受賞。2002年『上野動物園再々々襲撃』(脚本・構成・演出)で第9回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。2002年『芸術立国論』(集英社新書)で、AICT評論家賞受賞。2003年『その河をこえて、五月』(2002年日韓国民交流記念事業)で、第2回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス文化通信省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。2019年『日本文学盛衰史』で第22回鶴屋南北戯曲賞受賞。
京都文教大学客員教授、(公財)舞台芸術財団演劇人会議理事、日本演劇学会理事、(一財)地域創造理事、豊岡市文化政策担当参与、宝塚市政策アドバイザー、枚方市文化芸術アドバイザー。

内野儀さまより

 「旧知の仲のマルチメディア・アーティストで2014年福岡アジア文化賞(芸術・文化賞)を受賞した香港のダニー・ユン(1943~)が、舞台芸術を含む芸術教育は大学からでは遅い、高校レベルから始めなければと、かつてわたしに強い口調で語っていました。その野望?希望?はあっという間に実現し(ダニーは、なにか思いつくと、たいてい実現させてしまいます)、2006年、香港兆基創意書院(芸術高校)の創設へとこぎつけました。立派な劇場を備えた本格的な舞台芸術教育が可能な高校です。

 日本では、演劇教育はそれなりに盛んで、高校で舞台芸術コースをもっているところは、近年そこそこあるようです。ただ、ダニーの学校のように、世界のアートシーンの最先端にいるアーティストから直接指導を受けるような場合は、かなり限られるように思われます。キーワードは、キャリア(エンタメ)志向ではなく、クリエイティビティ(創造性)を育む場としての演劇教育です。そうです、戦後教育以来、無視することは推奨されても育むことなど想定されていなかった創造性です。生産性を上げるといった国家の目的とはまったく関係がない、生きのびる力や社会を変える力とかかわるかもしれない創造性です。ダニーは、だからこそ、高校から芸術教育を!と謳ってきたことは、言うまでもありません。

 公共教育ではほとんど形容矛盾になってしまうこうした教育的原理を、GAKUは、公共教育のちょっと外側で実現しているように見て取れます。そして今回、いわゆる若手ながらすでに国際的な活躍を展開している劇作家・演出家である山本卓卓が、「新しい演劇のつくり方」なる授業を展開するそうです。これは山本にとっても、チャレンジになると思います。なぜなら、参加者は必ずしも演劇を信じていないからです。というか、演劇なんか信じていないほうが、ふつうなんですから、そういう10代を相手に、どんな演劇の授業ができるのか、そここそが問われることになるでしょう。ゼロベースで出会ってこそ、前に進めるかどうかが課題となり、それこそが「新しい演劇のつくり方」ということになるのです。ちょっと怖いけど、見てみたい?そんな期待を抱いています。」

内野 儀(うちの・ただし)
1957年京都生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(米文学)。博士(学術)。岡山大学講師、明治大学助教授、東京大学教授を経て、2017年4月より学習院女子大学教授。専門は表象文化論(日米現代演劇)。著書に『メロドラマの逆襲』(1996)、『メロドラマからパフォーマンスへ』(2001)、『Crucible Bodies』 (2009)。『「J演劇」の場所』(2016)。公益財団法人セゾン文化財団評議員、公益財団法人神奈川芸術文化財団理事、福岡アジア文化賞選考委員(芸術・文化賞)、ZUNI Icosahedron Artistic Advisory Committee委員(香港)。日本アメリカ文学会編集委員、「TDR」誌編集協力委員。

岡田利規さまより
©宇壽山貴久子

 「自分が現に置かれているこの状況だけが存在する、それ以外は存在しない、……もしも本当にそうだとしたら、どうにかなってしまいそうです。
でも、世界には、オルタナティヴなものが存在します。それは不可欠です。
 芸術は、そしてその一形式である演劇は、本来的に、オルタナティヴを現出させることができます。そのことに長けています。
 そして、山本卓卓くんという演劇の作り手は、そのことをよくわかっている人だと思います。彼はそこに賭けて演劇をやっている人だとぼくは思います。

 声を大にして言いたいのは、世界と自分とのあいだに違和を感じるときに、支配的な価値観のほうに飲み込まれなければならないなんてことは断じてない、ということです。」

岡田利規(おかだ・としき)
1973年横浜生まれ、熊本在住。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞受賞。小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で第2回大江健三郎賞受賞。16年よりミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品演出を4シーズンにわたって務め、20年『The Vacuum Cleaner』がドイツの演劇祭Theatertreffenの“注目すべき10作品”に選出。『プラータナー:憑依のポートレート』で第27回読売演劇大賞 選考委員特別賞受賞。21年戯曲集『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』で第72回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞受賞。

木佐貫邦子さまより©RIBUN  FUKUI

「 私はいつも学生たちに「迷ったらGO!」と言い続けて来ました。
何かを決断する時、人に迷いはつきもの。でも迷うくらいなら飛び込んでみたら、と。
しかし、悩んだり迷ったりすることにも意味があるとも思っています。
なぜなら、心が動いた、という証拠だからです。心が動けば、一歩踏み出すかも知れない。一歩踏み出せば見える景色が変わるだろうし、自分はここにいる、と感じるかも知れない。
ましてや、その踏み込んだ先が演劇の領域ならば尚更面白くなりそうではありませんか。
このプロジェクトの誘い人は山本卓卓。
 2016年の夏に私は山本卓卓の創作過程に立ち会う機会に恵まれました。(演劇系大学共同制作公演「昔々日本」劇作・演出:山本卓卓/主催:文化庁・桜美林大学/@東京芸術劇場シアターイースト/2016年9月)  そこで目撃した演劇の作り方は、これまでに私がイメージしていたものとは違う世界でした。山本君は目的地を見据えながらも、その道すがら出会うささやかな事柄にも目を向けていました。道草だったり、遠回りだったりを厭わない、、、そんな風にも見て取れました。道すがら出会う事柄は、おそらく役者たち(学生たち)から発信される(醸し出される)心の内の声によるもので紡がれていたのだろうと思います。
 山本君は僅かな時間も惜しんで役者一人一人と対話を重ね、たわいのないことを役者に話してもらって、ただただそれに耳を傾ける、、、そんな時間を通して何か大切なものを育んでいるように見受けられました。結果それは、舞台上に流れる時間と日常と呼んでいる我々の普段がボーダレスであると感じる不思議な時空間を生み出しました。
 「客席と一体になる」ということを舞台関係者なら誰もが望むことだけれど、実にこれが難しいということも皆知っています。でもこの時、山本君は、コツコツと積み重ねた時間の果実を見事に舞台という目的地まで誘うことに成功したのです。

 ですから、この度のこのプロジェクトに於いても、心を動かし一歩を踏み出し勇気を奮って参加した10代の人たちが、山本卓卓の誘いによって、それぞれの目的地へと伸び伸びと歩を進めることを期待しています。きっとまた、素晴らしい時空間が生み出されるに違いないのですから。

GAKUの取り組みに心から賛同いたします。」

木佐貫邦子(きさぬき・くにこ)
ダンサー/コレオグラファー/桜美林大学教授
81年現代舞踊協会新人賞、全国舞踊コンクール第一位文部大臣賞受賞後「黒鳥伝説オディール」でソロデビュー。82年〜88年の「てふてふ」シリーズは9作を数えニューヨーク、シドニーなどでも踊る。90年以降ダンスユニットneoを結成し若手と共に熱くダンスを見据える。04年より桜美林大学総合文化学科(現:芸術文化学群)で学生の育成に携わる。山本卓卓は06年度生。コロナ禍で停滞したOPAL(桜美林大学パフォーミングアーツレッスンズ)をこの11月に再始動予定。自身の舞台活動としては8年ぶりの舞台となるニブロール新作公演「センス・オブ・ワンダー」(@シアタートラム/7月)に出演した。

桂枝之進さまより「ガクジンの企画で山本卓卓さんとお話しさせて頂いた時、「やり続けることで生まれる気迫・迫力に人は惹かれる」と、演劇の新しい形に14年間挑まれ続けているご本人から聞くことができてとても勇気付けられたのを覚えています。
そういう類いの、言葉では言い表し難い凄みって、同じ空間で同じ空気を吸わないと分からなかったりする。
そこに中高生でアクセス出来るなんて贅沢だな〜と思いますし、きっとこの授業に来るべくして吸い寄せられる参加者の皆さんは生の体験を大切に持ち帰るのだと思います。
未来がより文化的に、豊かになるためのクラウドファンディング、応援しています!」

桂枝之進(かつら・えだのしん)
2001年6月20日生まれ。5歳から落語を聴き始める。2017年1月 中学在学中に六代文枝一門三代目桂枝三郎に入門。2017年12月 天満天神繁昌亭「枝三郎六百席」にて初舞台。全国の落語会やイベント、メディア等で活動するほか、2020年、落語クリエイティブチーム「Z落語」を立ち上げ、渋谷を拠点にZ世代の視点で落語を再定義・発信するプロジェクトを主宰している。

高尾隆さまより
「演劇は人間の探究であり、人間関係の探究だと思います。10代のアーティストのみなさんの創造と学びのチャレンジを楽しみにしています。」

高尾隆(たかお・たかし)
東京学芸大学芸術・スポーツ科学系音楽・演劇講座演劇分野准教授。1974年島根県松江市生まれ。1998年東京大学文学部卒業。2004年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。インプロ(即興演劇)、吹奏楽教育。インプロをキース・ジョンストン氏などに師事。学校、劇場、企業、地域などでインプロ・ワークショップをおこなう。主宰するインプログループ「即興実験学校」ではワークショップをおこなうかたわら、舞台にも立つ。著書に『インプロ教育:即興演劇は創造性を育てるか?』『インプロする組織』(共著)『学校という劇場から』(共著)『ドラマ教育入門』(共著)『クリエイティヴ・アクション』(共著)など。

小堀陽平さまより「自分が高校生の頃に出会った大事な言葉に、永瀬清子さんという詩人によるこんな言葉があります。

詩人とは何か。
詩人とは誰よりも正直な人でなければならない。
人間の精神について、自分の存在について、誰よりも正直に語るために嘘をまなぶ。

演劇はまさに【誰よりも正直に語るために嘘をまなぶ】ことを個々人が集団として探究し波及させていくアクティビティであり、山本卓卓さんはそのことを真摯に考え続けているアーティストであるように僕は思っています。そんな山本さんとの共同作業の機会は参加する中高生にとって本当にエポックな体験になるでしょうし、これからの日本社会にとっても有意義なモデルケースとなる可能性を大いに秘めていると感じます。

この企画が豊かなケーススタディとなるよう、演劇関係者や教育関係者をはじめ多くの方々にご支援いただけることを願っています。
僭越ながら、同じような関心を持つ者として、僕からもどうぞよろしくお願いいたします。」

小堀陽平(こぼり・ようへい)
演劇作家、文化事業デザイナー。東京都出身。2012年より岩手県西和賀町にて演劇等の合宿事業「ギンガク(銀河ホール学生演劇合宿事業)」を立ち上げる。2014年、西和賀町に移住。2017年、西和賀町文化創造館アートコーディネーターに着任、演出力を競う日本唯一の高校演劇大会「いわて銀河ホール高校演劇アワード」や町民劇事業「銀河ホール演劇部」を企画・実施。2019年より岩手県立千厩高等学校演劇部の部活指導員に着任、同年岩手県最優秀賞(東北大会推薦)、翌2020年東北ブロック優秀賞一席(春季全国大会推薦)。現在、上記のほか、一般社団法人ブリッジ代表理事、岩手県文化芸術コーディネーター、北上市民劇場ディレクター、八王子ユースシアターディレクターを務める。

杉田聖司(GAKU事務局)より

 「GAKU事務局スタッフの杉田です。GAKUにインターンとして勤務していた学生時代から「範宙遊泳」を観劇していた私は、『どんな人もそれぞれは間違いなくそれぞれの物語の主人公。だから群像劇をつくっている。群像劇じゃなきゃダメなんだ。』という山本さんの言葉に心を動かされてきました。進路に迷っていた当時の自分自身にとって背中を押してくれる言葉であったことはもちろん、GAKUに集う10代の方々にもシェアしていく中で共感が生まれ、このようなプロジェクトまで進行できたことを嬉しく思います。どうかご支援いただけますと幸いです。」

*いただいたメッセージは随時追加予定です。


渋谷PARCOで、少人数の子供たちに、最前線で活躍するクリエイターをゲスト講師にむかえ、授業を行う。このような貴重な体験は高価になりがちです。しかし、10代のやる気さえあれば、自らの意思で授業に申し込めるよう、GAKUの一部の取り組みでは、受講料を無料に設定し、参加するための障壁をできるだけ減らしています。

公教育において、様々なジャンルのクリエイティブ教育を行うことは困難です。GAKUでは、クラウドファンディングの力で、演劇で人生を豊かにしてもらった人たちが、自ら、未来の業界を支えていく次世代を育てる仕組みが作れるのではないかと考えています。演劇ファンの方が、クラウドファンディングを元手に子供たちを支援し、演劇業界のクリエイターが講師として子供たちと向き合っていきます。

仮に、支援金が目標額を超えた場合には、今回のプロジェクトに参加いただいた劇団に限らず、様々な演劇チケットを購入して中高生の観劇の機会を作りたいと考えています。今回のプロジェクトを通じて、想像と創造があふれる場を多くの人とともに生み出し、文化に貢献できればと考えています。


GAKUは2020年9月の開校より、クリエイターと共に計12個(開講予定含む)のクラスを開講。さらに、各種配信サービスを介し、クリエーションについて、進路について、人生について、クリエイターと10代がフラットに語り合うポッドキャスト「ガクジン」を毎週水曜日に配信中です。またGAKUの教室は、毎週水曜日に自習室として解放。そこでの何気ない会話をきっかけに自主映画祭を開催するなど、自習室を拠点に10代を主体とした活動「GAKU倶楽部」もスタートしました。

クラスについて:https://gaku.school/class/
講師について:https://gaku.school/teachers/
ガクジンについて:https://gaku.school/gakuzine/



多くの人が、中高生の時に一度、自分の興味や、その時出会った人々に影響されながら、自分の進路をイメージします。しかし、感性が豊かなこの時期に、日本の中高生の多くは、学校(テスト対策、部活動等)、家庭、学習塾でほとんどの時間を過ごします。そして、学校の先生や親以外の「大人」と触れ合う機会や、文化、芸術との接点が、どんどん少なくなってしまいます。

もし、この敏感な時期に、彼ら・彼女らが、「本物の」「一流の」クリエイターに出会い、色々なことを吸収できたら?無限の可能性を秘めた10代が、クリエイターとともに、試行錯誤を重ね、創造性を育みながら仲間になる。そして、10代がこの閉塞した日本社会を変えていく。GAKUが目指しているのは、そういうワクワクする世界です。



・講師、トークイベント登壇者謝礼:30万
・会場利用費:30万(全7回)
・座学の配信、映像制作費:20万
・演劇教育の作り方ドキュメンタリー冊子制作費:10万
・事務局経費など(小道具などの消耗品、生徒の保険、受付管理):20万
*9%(税別)はGoodMorning手数料となります。


完成した作品をご覧いただくだけでなく、教育と演劇のこれからを支えるモデル作りのプロセスもシェアできるようなリターンをご用意しています。詳細はリターンページをご覧ください。


9月下旬:クラウドファンディング開始&ポッドキャスト配信
10月上旬:受講生募集開始
10月中旬:トークイベント開催
10月下旬:受講生募集終了
11月上旬:クラウドファンディング終了
11月下旬:授業開始
2月下旬:授業終了
3月上旬:リターンのお届け


教育と演劇のこれから。それらが重なる未来を描きたい。人の想像力と創造力があふれる場をつくりたい。そんな想いを込めてのクラウドファンディングへの挑戦です。海外では演劇教育(ドラマ教育)が盛んであり、芸術大学でも演劇科が置かれています。日本でも、演劇を授業に取り入れる公立高校の存在が知られているほか、今年度より日本で初めて「芸術文化観光」を深く学ぶ「芸術文化観光専門職大学」が開校されるなど、その普及が進んでいます。一方で、そのような教育機関の数はまだ限られているのが現状です。そのような状況であるからこそ、今回のプロジェクトを通して、演劇と10代との豊かな出会いのきっかけを創出していきたいと考えました。それは、教育機会であるとともに、新しい演劇の楽しみ方を生み出す機会にもなるはずです。想像力と創造力があふれる状況こそを、鑑賞者は体験したいはずです。ところで、そもそも「学び」とは何なのか。それは、知識や情報を覚えることはもちろんのこと、「文化的な営み」へ参加することであるとも思います。そこでは、教える・教わるという傾斜のある一方的なコミュニケーションよりも、共に何かを作り上げていく、励まし合っていくコミュニケーションが尊ばれますし、またそうであるべきです。そして、「学び」の担い手は、その文化を担い・支える全ての方々になっていくはずです。クラウドファンディングでは、資金を集めることはもちろんのこと、同じような課題や想いをもった方々にGAKUを知って頂く機会にもなればと願っています。ぜひ、お気軽にお問い合わせなどを頂けますと幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
(GAKU事務局長・熊井晃史)


GAKUは、オルタナティブな教育プロジェクトとして、公教育的アプローチや、教育ビジネス的アプローチではカバーしづらい領域のクリエイティブ教育に少しずつ取り組んでまいりました。取り組みがスタートして1年半。大変ありがたいことに、様々なジャンルのクリエイターの方々にご協力いただき、10代の人生が変わるその瞬間に立ち会える手ごたえを感じています。デザイン思考、アート思考、そしてSTEAM教育など、社会においては、クリエイティビティの重要性が認識されています。コロナ禍も相まって、クリエイティブ x 教育のオンラインコンテンツも増え、クリエイターを目指す10代にとっては、非常に恵まれた時代であるかもしれません。しかし、クリエイティビティの本質は、知識の獲得と実践だけでは届かないところにある気がしています。

GAKUでは、10代のクリエイティビティを伸ばすためには、知識を与えるにとどまらず、一人ひとりの10代の個性に向き合い、それを引き上げること、また、第一線で活躍するクリエイターが10代と向き合うことで双方に良い影響を与え合うことが大切であると感じています。クリエイターが10代の個性にひとつずつ向き合うこと。それはとても時間がかかる、非効率なことです。残念ながら、短期的な投資対効果が確実に見込まれるものでもありません。しかし、「論理的」「効率的」の先にある「不確実性」にこそ、クリエイティビティの未来が、大袈裟でなく、日本の未来が、かかっているのではないでしょうか。失われた30年、震災、コロナ…。不確実なものに投資できるほど、私たちの余力は残っていないかもしれません。投資が回収できない、すなわち失敗することを受け入れられないからです。しかし、少しだけ立ち止まって考えてほしいのです。金銭的な価値とは関係なく、私たちの幸せに大きく貢献したクリエイションに出会わなかったか。人生に大きな影響を与えた本や映画、失恋した時に聞いた音楽、ふいに懐かしくなる小さいころに食べたあの料理、ふらっと寄ってしまう居心地のよい空間。ついつい人生に例えてしまうRPGゲーム…。どんなものでも構いません。自分たちの豊かな人生が、名前の知らないだれかのクリエイティビティに支えられていないか?そのクリエイティビティの芽を絶やさないことが大切なのではないか、と。

私たちは、クリエイションによって人生を豊かにしてもらった人や企業(すなわち受益者)が、クラウドファンディングを通じて、モチベーションの高い若者たちに投資する。そのジャンルの第一線で活躍するクリエイターが先生となり、それらの若者たちに、本気で思いを伝えていく。そのようなに良い循環を作れればと考えています。プロジェクトに賛同し、応援していただけますと幸いです。

(GAKUファウンダー・武田悠太)

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■ 特定商取引法に関する記載
  ●販売事業者名:ログズ株式会社
  ●代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名:武田悠太
  ● 事業者の住所/所在地:〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-26-8 MKKビル8階
  ● 事業者の電話番号:03-5829-3595
  ●送料:送料込み(離島価格など例外がある場合には記載)
  ●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
  ●ソフトウェアに係る取引である場合のソフトウェアの動作環境:該当なし
  ●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-In方式で実施します。

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