シャーペンの芯一本ですら片道30km!!

 私たちは,環境省事業の一つである里山未来拠点形成支援事業(令和3年度)を実現する「玉之浦町未来拠点協議会」です。私たちの活動は,地域の自然財産を利用して地域再生を狙うことにあります。私たちの暮らす長崎県五島市玉之浦町は,九州の最西端に位置しており,灯台のある大瀬崎に立つと,目の前に東シナ海が広がっているような国境の町です。ここで私たちは,エコツーリズムや自然を活かした教材,商品の開発をしながら,漁業,畜産業,農業,林業以外の新たな産業を育てています。


 メンバーは地元出身者で構成された鹿や猪の駆除を行っている捕獲隊が中心に構成されています。元々,自分たちの田畑を守ろうと結成されたメンバーで平均年齢は60歳ですが,ワナを使った猟法で捕獲し,地元の畑を守っています。さらに,捕獲されたジビエ 革を利用するお母さんたちが集まった任意団体「島洒人」がいます。赤ちゃんの靴「ファーストシューズ」の販売は口コミで広がり,捕獲された獲物を無駄なく使う仕組みが出来上がっています。レザークラフト教室も2千円から実施しており,地元の小中学生だけでなく,特に雨の日の観光サービスとして存在意義が大きくなっています。他に,Iターン,Uターン者が主に集まって地域活性のために集結した「たまフェス」がメンバーに加わっています。定期的に地元の大きな公園でフリマを実施したり,イベントや新たな町の観光サービスを提供しようと毎日のように集まって喧々諤々としています。

 私は,この玉之浦町未来協議会の代表を務めています竹田(野澤)努といいます。五島市に家族と一緒に移り住み,地域おこし協力隊として活動もしています。元々は,動物と人との間に広がる病気から人や家畜を守りたいと日本国内,アメリカ国内で研究啓発していた研究者です。国内では「ダニ媒介性脳炎ウイルス」を日本のマダニ や野生動物から見つけたり,アメリカでは「西ナイル脳炎ウイルス」の調査に携わったりしていました。カラスによって巻き散らされる病原体を追うためにカラスの行動範囲を調査したりもしたので,カラスの性質についても精通しています。「カラス侵入禁止」の張り紙をすれば,カラスを追い払えるという怪しげな方法を提案したこともあります。五島市にはマダニ の調査で訪れて,地域に惚れ込み,偶然募集されていた地域おこし協力隊に手を挙げて移住してきました。

 この地域に暮らしてわかったことがあります。「店がないので暮らしにくい」と生まれた故郷を去っていく人が多いことです。確かに見渡させば,数年前までは営業していた店は経営者が高齢化することによって次々に閉店してしまっています。そのため私たちは,食品をはじめとした生活物資を30kmも離れた福江の市街地に買い物に行かなくてはいけません。子供たちのシャーペンの芯一本ですら。確かに,このままでは暮らしにくい。せっかく美しい景色と自然に恵まれていながらにして,割と大勢まだ暮らしているのにも関わらず,生活するとなるとまるで困難な場所になってしまいます。

何にもないなら「よろず屋」作ろう!!

①なんでも売ってるよろず屋さんを作ろう!

 ここにはコンビニがありません。なので観光客が訪れても,一個のおにぎりも,一切れのサンドウィッチも手に入れることができないのです。時々聞かれます。「何か食べる物を買える場所はないですか?」と。夕方になると移動スーパーが来ていました。しかし,経営者が体調を崩して来られなくなってしまいました。車を運転できないお年寄りは,親戚や友人を頼って買い出しをしてもらわなくてはいけません。遊漁船で釣りを楽しむお客様も,船長との待ち合わせまでに過ごす場所がありません。船の準備ができるまで車の中で待っている姿を見ていると,コーヒーが飲めそうな場所があったらいいのにと思います。学校に通っている子供たち。ノートを使い切ったり新しい消しゴムが必要になった時,片道1時間車に乗って明日の授業までに買いに行かなくてはいけません。「明日までに墨汁が必要なの」と疲れて仕事から戻って言われ,何度もうちも息子,娘に泣かされました。

 昔,なんでも売っている「よろず屋さん」がありました。しかし,経営者が体調を崩して入院してからは,店は閉じてしまいました。そんな店があったらなと度々住民から聞きます。ならば,そんな店を復活させてみたいと考えています。

②ハンバーガーで町おこし?

 玉之浦はシカがたくさんいます。したがってたくさんのシカを捕獲しています。だけど、離島なので肉の売りさばき先がありません。ジビエバーガーで食べてもらったら、いいかも。更には、ここでしか食べられない、一流料理人監修のジビエハンバーガーを提供できたら面白そう。それもハンバーガーなんか全然関係ないスペイン風、仏風、ラーメン屋風の3種類のジビエハンバーガーを独自に開発して。そんな九州の西の果てに来なくちゃ食べられないハンバーガーショップを作りたい。

 なぜハンバーガーショップなのか?養殖業が衰退した玉之浦は、「子供たちがふるさとで働く場所がない。」という話を聞きます。我が娘・息子もやはりここで暮らし続けるとしても、大人になって戻ってこれるような働き口がありません。ジビエハンバーガーを提供するためには、1.シカを獲る人(捕獲)、2.肉にさばく人(解体)、3.肉を加工する人(加工)、4.パンを焼く人(製パン)、5.麦・野菜を作る人(農業)、6.小麦粉を作る人(製粉)が食材供給だけでも必要になります。地域ですべてを完結できるような仕組みを求めていけば、一人でも多くの職人を必要とする社会ができてきます。


五島列島玉之浦だったら 独り占め!

 玉之浦の魅力は,とにかく広大な自然を独り占めできること。誰に気兼ねする必要もありません。大声で叫びながら走り回っていても,誰も咎める人がいません。笑って,笑って笑い尽くしても,まだ笑顔が溢れます。風光明媚な観光地は得てして多くの観光客に囲まれます。山奥に逃げてもずっと人の声がする。誰かの化粧やタバコの匂いがする。ここには,そんなストレスがありません。美しい風景を独り占めしようと思ったら,ここに来れば時を見計らわなくてもいつでも独り占めできます。

 砂浜にいる強面のお兄さんたちに気兼ねしながら海で泳ぐ必要はありません。ビー玉を集めたような色の海を一人で楽しむこともできます。「お父さん貝殻が動いてる!お!ヤドカリだー!」とはしゃぐ子供たち。人目を気にする必要もありません。もしあなたが服のままでも泳ぎたいと思っても,誰もあなたを咎めることはしません。自由に好きなように遊べばいい。ここは大人だけでなく子供たちも安心して暮らせる町,それが玉之浦なのです。

 夏。祭りがあります。暦書にも残る遣唐使の記載。地域伝統は奈良時代以前から続く歴史の上にあります。念仏踊りを起源にした「カケ」踊りが地域の若者に受け継がれています。鐘と太鼓を鳴らしながら,一見滑稽なほど華やかな装束で踊る様は,見るほどに洗練された一挙一足の動きに感動し,優美にすら感じてきます。離れてしまった島出身者も祭りの日には島に戻り,過疎化して寂しくなった町もかつての賑わいを取り戻します。

 玉之浦湾内はまるで湖のように波が静かですが,時に海が泡立たように湧き上がる時があります。キスやカマス,シーラ,ブリなど様々な魚,そしてミズイカ(アオリイカ)まで。いろんな魚たちを釣ることができます。もちろん,タイ,イシダイなどの高級魚も腕次第で大きなものが釣れます。海好きなら間違いなく玉之浦を好きになるでしょう。


「故郷には何もない,帰っても仕事がない。」

 自然にあふれているこの地の小中学校で,中学生向けに生態系の授業をする機会がありました。生徒たちに,「皆さんの身の回りにいる生物を挙げてください」とすると生徒さんから「猫,犬,雀」という回答がありました。驚きました。ここ玉之浦は西海国立公園の中にあります。そんなロケーションに学校があるのに,自分たちの周囲で存在する生物が,まるで東京の端っこで見るような風景でしかないと感じているものなのかと。子供たちは,早ければ高校から,遅くても地元の高校を出ると一旦島のそとに学びに出たり,働きに出ていきます。

 それは,今始まったことではなく,ずっと昔から続いている習慣です。五島の良さは,そこにもあります。色々な知見を得て,再び故郷で活躍していく優秀な方々が多い。ところが,この頃はあまり若い人が帰って来なくなっている。「故郷には何もない,帰っても仕事がない。」という。こんなに自然が豊かなのに。それらに気付いてもらえるような工夫が必要なのではないだろうか。私たちは考えます。そこで,私たちは,それを感じられるように玉之浦町未来協議会を立ち上げ,事業を始めています。そして,ここに「よろず屋」を立ち上げて,鹿肉ハンバーガーを食べながら,語り合える場所を立ち上げていきたい。それが,今回の大きな目的です。


これまでの活動

「朝ご飯で出せるジビエ料理」を開発

 「五島シカ肉祭」を実施しいて地域のお母さんたちに「朝ご飯で出せるジビエ料理」を開発してもらい市民に提供した。鹿肉のおにぎりやお吸い物など、一般には思いつかないような鹿肉の使い方に市民は驚き、食べてみておいしさにさらに驚きの声を上げていた。


「鹿革ファーストシューズ」製造販売

地域のおばちゃんたちと、捕獲した鹿の革を使って、いろいろな製品を作って販売しています。特にその中で、「鹿革ファーストシューズ」は九州北部を中心に新聞でも取り上げられて、口コミでも広がり、販売数を上げています。また、革を使ったレザークラフト教室なども、修学旅行生や地域住民に向けて実施しています。


フリマの実施で200万円の経済効果 

 バブル時代に作られた大きな公園は,子供たちの声を失って久しい状態でした。そこで私たちはフリーマーケットを開催しています。買い物難民と呼ばれている当地域の人たちは,ひととき,臨時に並んだ店舗で買い物を楽しんだり,食事をしたり。お客さんは七百人を超え,わずか3時間のイベントで200万円の経済効果を出しました。今は五島市内でも最も人気のあるイベントの一つとなっています。


資金の使い道・実施スケジュール

五島列島玉之浦にある旧「鶴田商店」は20年近く眠りについていました。気がつくと周囲にあった駄菓子屋,パン屋,饅頭屋,酒屋。軒並み閉店して,今は何もない商店街の面影すらなくなってしまいました。

みなさんから集められた資金は,この改修したお店の再出発するための厨房設備に利用されます。ここでおばちゃんたちが,日替わり交代で地魚を焼いたり煮たり。時には地域のお祭りのためのお膳料理も登場します。もちろん,オリジナルのジビエ バーガーも。お年寄りが入りやすいように,狭い土間を広げて,椅子に座って食事することもできるようにしています。

≪資金の使い道≫

・厨房設備の購入および設置代
・リターン商品の代金
・リターン商品の送料
・CAMPFAIREの手数料

≪実施スケジュール≫
11月30日(火)  クラウドファンディングサイトの締め切り
12月1日以降  返礼品の発送開始予定・営業に関わる手続き開始
1月中旬  「よろず屋」落成 もちまき!!



あなたの支援が,地域のおばちゃんに笑顔と生きがいをもたらせてくれます。ぜひ応援ください!!


最後に

 五島市玉之浦町は合併以前1万を超える人口がありました。今は1,200名。十分の一まで人口が減少しています。それにつれて森に埋まっていく棚田、集落があります。このままではいかん。なんとかせんばいかん。ここは国境です。地域に3つあった小学校中学校も1つの小中学校に統合されてしまいました。統合しても五十人に満たない生徒数です。ここを無人にしてはいけない。国を守るためにも。この試みをきっかけに,地域に新しい仕事先が生まれていきます。どうぞ,皆様,国境を守ってください。応援してください。おばちゃんを元気づけてください。よろしくお願いいたします。



<プロジェクトオーナーについて(特商法上の表記)>

■特定商取引法に関する記載
 ●販売事業者名:野澤 努
 ●事業者の住所/所在地:〒853-0411 長崎県五島市玉之浦町玉之浦763 五島市役所玉之浦支所
 ●事業者の電話番号:Tel: 0959-87-2216(ノザワ)
 ●送料:送料込み
 ●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
 ●ソフトウェアに係る取引である場合のソフトウェアの動作環境:該当なし
 ●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。


<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2023/03/18 21:00

    3年目となり、ジビエは撤退しましたが、店は昼休みになるとハンバーガーやカレーを求めて昼食に賑わっています。今では時々神楽の練習をやったり、演舞会を開催したり。研究者が研究発表したり、ツアーの勉強会をやったり。地域づくりの拠点となりました。応援ありがとうございました!

  • 2022/01/25 21:25

    毎日昼ご飯食べられます!お惣菜も野菜も魚もみんな地元の生産者からの出店です。もちろん鹿バーガーも鹿肉カレーも地元肉地元野菜。フードマイレージが半径500メートル。いらっしゃいませ!

  • 2021/12/21 17:35

    こっからですよ。

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