こんにちは。NPO法人みち 代表の今枝美恵子です。私たちのプロジェクトに関心を持っていただき、ありがとうございます!私たちは愛知県豊田市の足助地区で、デイサービス型地域活動支援センター「畦道(あぜみち)」を運営しています。障がい(主に精神障がい)のある方が家から一歩を踏み出し活動する場として、地域の方からお仕事をいただき、豊田市の木を使った木工商品作りや農作業等、地域資源を活かした様々な仕事をおこなっています。

 畦道は2017年5月の開所以来、病気や障がいのある方32名(メンバーさん)と出会い、17の地元企業・団体様と連携し、活動やお仕事をおこなっています。

左上:空き家のお掃除   右上:お寺のお掃除
左下:綿から糸を紡ぐ      右下:農作業



 愛知県豊田市は、2005年に豊田市と6つの町村(藤岡町・足助町・旭町・稲武町・小原村・下山村)が合併して名古屋市に次ぐ大都市となりました。トヨタ自動車本社や豊田スタジアムがあり、約42万人が生活している街ですが、市域の7割を森林が占めています。

 畦道の活動を始めてまもなく5年。市街地には病気や障がいのある方が利用できる就労支援事業所がありますが、中山間地域にはまだ就労支援事業所がありません。また精神科の医療機関も中山間地域にはないため、バスで一時間半以上かけて通院や通所をしている方もいらっしゃいます。


精神科のある医療機関の分布図(2021年1月現在)



就労支援事業所の分布図(2021年1月現在)

 

 活動拠点である足助地区(旧足助町)には約7,200人(約2,800世帯)の方が暮らしています。畦道には、足助・旭・小原・稲武・下山、そして豊田市市街地からも27名の方が通っています(2021年12月1日現在)。当初は中山間地域在住の方の利用を想定していましたが、市街地在住の方も「環境がいいし、街ではできない仕事があるから魅力的」という理由で利用されています。

街ではできない&ストレス発散できるお仕事ナンバーワン!「薪割り」

 

 現在の事業所は五平餅店を営んでいた空き店舗を改築し、2017年5月に開所しました。「畦道」という事業所名は、もともとの五平餅店の店名をいただきました。地域に根付いたお店だったこと、80代の大家さんのお店への想いを伺い、店名を引き継がせていただけるようお願いしました。

 畦道は、大きな厨房が中央にあり、部屋の区切りはなく見通しのいい環境です。そのため作業室や休憩室からもお互いの動きがよく見えます。

 しかし、少しずつメンバーさんも増え、休憩したい方がお仕事をされている方を気にして休憩しづらかったり、お仕事したい方が集中できなくなってきました。いつからか、「いくつか部屋があって活動内容で仕切れる、広いところに行けたらいいね」との意見が出るようになってきました。 

 メンバーさんのうち、約8割の方が畦道の送迎サービス(片道30分圏内)を利用して通所されています。そして、この地域に暮らす方の中には親亡き後、広い家に一人で暮らすことが難しく、地元を離れて市街地のグループホームや精神科病院で「暮らす」方も少なくありません。


中山間地域での支援の場を絶やさないようにしたい。

地域で暮らす障がいのある方が、住み慣れた地域で通える居場所、働きたいと望む方を支援できる場所をつくりたい。


 そんな想いから、私たちは2022年4月に就労継続支援B型事業所「よりみち」を開所します。豊田市の中山間地域では初めて誕生する就労支援事業所です。


 この移転先となる古民家の改築費用が、当初予定していた金額以上に必要となってきました。ぜひご支援・ご協力いただきたく、今回クラウドファンディングに挑戦します!


 移転先は豊田市足助地区 北小田町(きたこだちょう)にあります。1970(昭和45)年に建てられた築51年の古民家です。隣には土蔵と牛小屋が当時の姿のまま残っています。建物の裏山も含めて約3,000㎡、908坪の土地が、私たちの新しい活動拠点です。

 事業所を新築せず今回も空き家にこだわったのは、地域の空き家課題に少しでも貢献したいと考えたからです。物件探しは、豊田市の空き家情報バンクを活用し、移住支援もおこなっている「おいでん・さんそんセンター」にもご協力いただきました。

 

 また、この物件に決めたのは現在の畦道がある場所と同じ新盛(しんもり)自治区だったことも大きな理由です。畦道が開所し、地域の皆様には大変あたたかく見守っていただきました。地域の小学校からは入学式や運動会等の行事にお誘いいただき、出席させていただいていました。地域の方からお仕事をいただくこともありました。


「新盛自治区内で活動を発展させていきたい」

そう感じていたため、この物件を教えていただいた時は、とても嬉しかったです。


 建物は地元の宮大工さんが建てたと伺っています。梁や軒下の造り、屋内外の細かな装飾に宮大工さんのこだわりが感じられます。また、土蔵の鍵は冒険心をくすぐられます。ぜひ直接見ていただきたい素敵な場所です。

 

 しかし、実際に改築を始めると想定以上の工事が必要となってきました。福祉施設としての活用となるため、建物を使用するための基準が厳しく決まっています。排煙のために空気窓を開ける作業や、古い電気配線を交換する作業、山に接した田畑を駐車場にする等、安全に活用するための工事が大幅に増えました。完成後には安全・安心して利用できるよう、関係者の方々にご尽力いただいています。

 様々な苦労は尽きませんが、それでも、私たちが中山間地域で活動を続けてきた理由があります。畦道を立ち上げる前に、数年間をかけて地域の方・障がい当事者さん・ご家族からの「聴き取り」を続けてきたためです。



 私は、日本福祉大学の同級生・鈴木悠太さん(足助地区出身)との再会をきっかけに、前身となる任意団体「豊田市中山間地域の精神障がい者の地域福祉を考える会」を2014年に立ち上げました。

畦道開所当時の鈴木さん(写真左)と今枝(写真右)

 事業所設立が初めてで何から始めたらいいかわからなかった私たちがまず取り組んだのは「様々な方のお話を伺うこと」でした。

 2014年は中山間地域在住の障がい者支援をされている保健師さん、ヘルパーさん、相談員さんにどんなサービスが必要とされているのか、事業のニーズがあるのかご意見を伺いました。

 2015年には、この地域にはどんなお仕事があるのか、事業所立ち上げ後にみんなでできる仕事はどんなことがあるのかを調べました。

 2016年には当事者さん・ご家族との座談会を開始しました。一年間で8回の座談会をおこない、延べ80名以上の方が参加してくださいました。座談会は、中山間地域を中心に各地の交流館(公民館)を巡回しながら、現在も月一回の開催を続けています。


【座談会で伺った具体的なご意見】

<当事者さんの声>

・自宅からバスを乗り継ぎ一時間半かけて豊田市街の福祉サービス事業所に行ってる。調子がいい時は行けるけどしんどい時は家にいるしかない。もっと地元に事業所ができてほしいと思ってた。

・親に車を運転してもらい、豊田市街の事業所まで行ってる。でも年齢を重ねて、親に送ってもらうことが申し訳ないと思ってた。自力で行ける事業所ができることはすごく助かる。

・親なき後の生活って漠然とした不安がある。他の家族はどうしてるの?


<ご家族の声>

・家族の相談場所も山間地域では少ないから、身近に相談できる場所が増えたことはとても心強い。

・座談会会場が山間地域中心に回ってくれることが助かる。車を運転できないから地元だけになるけど、これからも人と繋がる場所として参加し続けたい。

・福祉サービス事業所を経て再就職できたけど、頑張りすぎて本人がダウンしてしまった経験がよみがえる。どうやってサポートしたらいいんだろう。


<中山間地域の支援者の声>

・この地域には、ご近所の視線を不安がり自宅から出られなかった方もみえる。「家から一歩出る」ことから始める方がまだまだみえる。お仕事に挑戦できる場所と疲れたら休憩できる場所がある事業所だととても助かる。



 中山間地域には、病気や障がいのある方の孤立だけでなく、「一人暮らしの高齢者」もみえます。

 事業所の移転にあたって、北小田町の住民の方へ「よりみち」についてご説明する機会を作っていただきました。そこに、ご近所で一人暮らしをされている高齢者のご家族(息子さん)が参加され、私たちが移転をしてくることを聞き、こんなお願いがあったのです。

 「市外で生活していて帰ってこれない自分たちに代わって、たまに自宅を訪ねて親が元気かどうか声をかけてくれないか。」

 一人暮らしをされているご本人からも「よりみちが来てくれるのが楽しみ。一人で日中寂しいから、私にできることはお手伝いしたい」とおっしゃってくださいました。

 「よりみち」を利用される方のご意見も伺いながら、近隣の高齢者さんにも気軽にいらしていただけたらと考えいます。

 私たちが見つめてきた中山間地域の現状は「これからの日本の共通課題」とも言えます。「よりみち」の活動が、そのモデルケースのひとつになれたら嬉しいです。



 

 

 よりみちでは、豊田市の木材を活用した木工商品作り、薪割り、農作業、綿から糸を紡ぐお仕事、お寺や空き家の掃除、一人暮らしの高齢者宅の草取り等、この地域・私たちだからこそできるお仕事をおこなっていきます。

 メンバーさんの希望やできることに沿って、幅広く仕事をしていただける場を目指しています。

 また、お仕事をする「作業室」とのんびりできる「多目的室」が分けられるため、メンバーさんが今までのように周りを気にすることなく、活動に取り組めると考えています。

 

【開所日】月~金曜日9時30分~15時30分開所。祝日も開所。

【予定している活動プログラム(一日のプログラム)】

9:30~ 朝のミーティング、体操

10:00  午前の活動開始

12:00  昼食・休憩

13:00  午後の活動開始

15:00  掃除・帰りのミーティング

15:30  活動終了 


 さらに、移転後は畦道に来ていただいている「整体」と「出張美容」を、法人事業として同じ地域に暮らす方にも提供をお願いしたいと思っています。

 「よりみち」になっても来ていただき、私たちの活動へお力添えいただく予定です。



 新たに開所する「よりみち」では、中山間地域に暮らす病気や障がいのある方が「自分の人生を振り返ることのできる場」、そして「ちょっと寄り道をして一息つき、次の人生の一歩を踏み出せるサポートの場」になれたらと思います。

 スタッフ自身も、メンバーさんと模索しながらより良い場を創っていきます。クラウドファンディングへの挑戦をきっかけに、私たちの活動を知っていただき、ぜひ仲間になってください!

 ご支援、ご協力のほどうよろしくお願いいたします!!



【応援メッセージ】

株式会社M-easy 代表取締役社長
戸田 友介さん

 「ほっと安心できる地域で暮らし続けていきたい」

 そんな想いから、約5年前、NPO法人みちが立ち上がったとき、今枝さんから依頼を受け理事としてたずさわらせていただいています。

 彼女たちは、足助の新盛自治区のみなさんに受け入れられていただきながら、地域に密着した取り組みを地道に続けてきています。毎日、現場で寄り添うスタッフのみなさんに対して私ができることは小さなアドバイスやお手伝いをする程度です。本当に頭がさがります。

 先行きが見えにくい世の中の中で、だれか勝って自分の身を守るのではなく、隣のだれかとともに私たちの地域を守っていく、誰にも勝たないけれども、誰にも負けない、そもそも誰とも戦わない、そのこと自体が私たち自身を助け続けてくれることをそろそろみんなで気づいていきたい。

 彼女たちの取り組みは、障がい者施設を運営するということにとどまらず、そんな社会のありようにチャレンジしていくことにつながっていると思います。

 ぜひ皆さんのご支援をお願いしたいです。よろしくお願いいたします。




一般社団法人おいでん・さんそん 代表理事
一般社団法人押井営農組合 代表理事
鈴木 辰吉さん

 「誰もが住み慣れた地域で輝けるようにしたい」、「畦道を立ち上げたい」と相談を受けた時の熱い言葉を忘れることはできません。それは、「つながる力でミライを変える」おいでん・さんそんセンターの目指す社会の姿と重なり、立ち上げから今日まで互いに支え合ってきました。そして、私個人も「畦道」に刺激を受け、農の営みを通じて人が地域で輝くための法人「押井営農組合」を立ち上げ、生産者と消費者が家族になって地域を守る「自給家族」システムを運営、「畦道」と連携しています。「畦道」は、「おいでん・さんそんセンター」と「押井営農組合」と切り離すことのできない大切なパートナーです。

 すべての人は、幸せな生涯を全うし次の世代が幸せに生きられるよう努めるために生きています。それをサポートする「畦道」は、山村地域に無くてはならない重要な機能です。私は、このたびのチャレンジを全力で応援します。どうか支援の輪を広げてください。



おぐろ整体院一歩
小黒 泰之さん

 おぐろ整体院一歩は、豊田市で『障がいのある方を整体でサポートします』をテーマに、施術・体操・遊びを展開しています。

 発達障がいのある方や精神障がいのある方の中には、緊張や過敏さによって頭や首・肩・背中などにコリがある方がみえます。そして、そのコリが原因となって更に緊張や過敏さが生じるということがあります。整体によってコリや歪みを整えることで、緊張や過敏さを緩めることが期待されます。

 畦道さんとは平成29年からのお付き合いになります。月に2回、畦道さんを訪問しています。前述の整体の視点に基づいた体操をグループで行い、「肩が楽になりました」、「気持ちがスッキリしました」という感想をいただいています。また、利用者さんへ個別のプチ施術を行っています。首・肩だけでなく、膝や腰の痛みを緩めることもしています。「膝の痛みが減ったことで重かった気持ちも軽くなりました」という有難い言葉もいただきました。

 畦道さんの素晴らしいところは、『利用者さん本位』を徹底されているところです。それは私たちが体操でお邪魔させてもらう際のスタッフの皆さんの対応からもヒシヒシと感じます。利用者さんのお話をしっかり聞き、グループでの体操もスタッフ自ら参加して体操の効果を体感した上で利用者さんの体操への参加をサポートされています。また、先例に捉われることなく「利用者さんに良いものは取り入れる」というスタンスが素晴らしいです。当院の「利用者さんの緊張を緩める整体体操」を豊田市内の他の事業所に先駆けて導入されたことなどは顕著な実例だと思っています。整体の内容とは離れますが、利用者さんの活動についても、お寺のお掃除という地域との繋がりや和綿の加工など伝統文化の継承といった視点を大切にされています。

 この度、畦道さんが移転されるとのこと!どのような活動をされるのか、利用者さんへの支援をどのように充実されるのか、私たちおぐろ整体院一歩としても、とても楽しみであります。

 このクラウドファンディングが成功しますように!そして畦道さんの支援が、一人ひとりの利用者さんの生活の質の向上に繋がりますように!地域の方々との繋がりがさらに広がりますように!


資金の使い道

【みなさまからいただいた資金の用途】

必要な資金:1,500万円
・改築工事費:約560万円

・備品購入費:約130万円
・電気・消防設備費:約180万円
・水道・配管工事費:約70万円

・駐車場整備費:約330万円

・設計士:約130万円

・手数料:約150万円 (9%+税)

実施スケジュール
2022年2月 改築作業終了
2022年3月 クラウドファンディング終了/内覧会
2022年4月 就労継続支援B型事業所「よりみち」開所!
2022年5月 リターン返送スタート

<募集方式について>本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。



  • 2022/05/31 17:31

    ご報告が遅くなってしまいましたが、無事に、令和4年5月1日より就労継続支援B型事業所「よりみち」がオープンしました!皆様のご支援や応援でここまでくることができました。本当にありがとうございました!事務室談話室と洗面所(昼食後の食器洗いの流し台としても使用します)休憩室休憩室(真新しい畳のいぐさ...

  • 2022/04/02 16:46

    クラウドファンディングへのご支援・ご協力、本当にありがとうございました!50日間の挑戦を終え、開所に向けての準備が怒涛のように続き、ご挨拶が遅れ大変申し訳ありません。皆様にご協力いただき、多くのご支援やご縁をいただくことができました。本当にありがとうございました!また、開所についてですが、4月...

  • 2022/03/10 23:58

    クラウドファンディングのご支援・ご協力、本当にありがとうございます!残すところ、約24時間!最後の一日になります。終了まで、応援お願いいたします。今日は畦道のお仕事紹介第4弾!「薪割り」です。豊田市の間伐材を薪にする活動をされている「あさひ薪研」さんから薪割りのお仕事をいただき、斧や機械で薪割...

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