ポイント

・地元の人に愛される美味しいパン屋カフェと、友達と一緒に来てほしいコワーキングスペースをつくっています。

・福島の旧避難指示区域の南相馬市小高区で、地域の人もこれから来る人も豊かな気持ちになるまちをつくりたいと思っています。ゼロの状態だからこそできるまちづくりに取り組んでいます。

・こんな面白い地域があることをもっとたくさんの人に知ってもらいたい。クラファンで応援いただくことをきっかけに、地域との接点や訪れる機会にもしてほしいと思っています。

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はじめに - プロジェクトの魅力について

はじめまして。一般社団法人オムスビの森山貴士(もりやま たかし)と申します。

私たちオムスビは、福島県南相馬市の小高区という地域で活動しています。この地域は、2011年の東日本大震災以降、2016年まで避難指示が出され、住民全員が一度避難しなければいけなくなった場所です。今は避難指示が解除されて5年がたち、震災前の約3割となる、3,800名の方が暮らしています。

解除後の活動と「こんなはずじゃなかった」と告げられた経験

2016年末の避難指示解除まもない頃、まだほとんどの店舗や事業が再開されない中で、私たちに何かできることは無いかと思い、小高駅前でコーヒーを販売するキッチンカーのカフェをはじめました。

オープンしてしばらくして、70歳くらいの帰還してきた男性が「何か食べ物はないのか」と訪ねてきました。私たちが無いと答えると、彼は「せっかく小高に帰ってきたけど、食事は毎日コンビニで買うしかない。こんなはずではなかったのになぁ・・・」と肩を落として去っていかれたのです。避難指示が解除されて、ようやく戻れたふるさとのまち。そこで想い描いていた幸せな生活を手に入れられないかもしれない、と感じたときの悲しみはどれほどだったのだろうと今でも思います。

日常の暮らしの「選べる」を自分たちの力で

ここからは私のエゴの話なのですが、あの人に「こんなに良いものがあってそれを選べる。俺もやっぱり小高に帰ってきてよかった」といってもらえるようにしたいと強く感じました。キッチンカーではじめたカフェを店舗にし5年が経ち、少しずつスタッフも増やし、サンドイッチなどの食べ物も出せるようになりました。年間のべ5000名以上の方に来店いただいていますが、それでもあの男性を含めた多くの地域の方には届いていません。「カフェ」という非日常を楽しむ空間ではなく、日常的な暮らしの中で得られる、何気ない買い物をする喜びや、あっちとこっちを選べる、という楽しみをもっと地域に提供していくことに意味があるのではと考えています。

選べる美味しいパン屋をつくりたい

それを実現するために、パン屋をやろうと考えています。日常的に口に運ぶもので、種類もあっていろいろ選べる。コンビニがあった上でそれと違う楽しみも見いだせるもの。そして若い人たちにも「こんな場所があるなら小高で暮らすのも楽しそう」と思ってもらえるもの。そういったパン屋をつくりたいと思っています。

豊かなまちを1から再構築できる可能性がある。参加する人を増やしたい

また、このまちは一度ゼロになったからこそ新しく何かを生み出していこうという機運を感じられるような地域でもあります。ピンチはチャンスではないですが、ゼロになったということはしがらみや既存の制約などもなく、どんどん新しいことを試していけるともいうことだと考えています。

実際に、震災後5年間で、再開した事業者だけではなく、若者を中心に多くの人が移住し、ブックカフェやレストラン、クラフト酒蔵やワイナリーなど、たくさんの新しいお店がオープンし、またここで仕事を作っていこうという取り組みが生まれています。

この場所はもっと面白くなる

この場所はもっと面白くなる。だからこそ、もっとより多くの人に訪れてもらい、その魅力を知ってもらいたいと思っています。その中で地域の人に触れてもらい、より豊かな地域をつくる方法を一緒に考えたり、一緒に事業を企んだりしてみたいと思っています。

今まで「福島」「復興」という文脈に触れてこなかった人たちに

そのために、より気軽に訪れやすくなるリモートワークに適したコワーキングスペースを併設しようと考えています。コロナ禍でリモートワークのハードルも下がりました。今の仕事をリモートで持ち込んでもらい、疲れたときや休日に気ままに地域の人や場所にふれてもらえる場所にしたいと考えています。リモートで作業するために必要なプライベートを保てる空間を複数整備し、作業を効率的に行う大型モニターなどの貸し出しも行います。今まで「福島」という文脈に触れてこなかった人たちにも、もっと気軽にきて、「こんなにおもしろい場所があるんだ」と知ってもらえる場所にしたいと思っています。

そして、地域の人たちと地域外からくる人たちが交わることで、地域内に新しい刺激と変化を生み出しながら、地域外に来てくれた人には地域の温かい人のつながりや、自分がその中に入っていく余地を見出してもらえると考えています。

クラウドファンディングで新しくつながりたい

今回のクラウドファンディングは、そうした場所をつくっていくためと、少しでもこの地域のことを知ってもらい、来てもらうきっかけをつくるための2側面を持っています。

リターンについては、地域の方に利用してもらいやすいカフェやパン屋の利用券タイプと、地域外の人の訪れるきっかけになるようなコワーキングスペースの利用券タイプ、お気持ちとその他の大まかに4プランをご用意しています。

以降、内容少し想いが溢れすぎて長文ではあるのですが、もしよければ一読いただき、ご支援いただければと思います。

ここまで読んで早速リターンを見たくなった方はこちら


What - 何をするのか

今回のプロジェクトの中心でありリノベーション対象としている「青葉寿司」は、小高駅から徒歩3分の場所にあります。まちなかに来るために利用される高架道路や電車から最も目立つ場所にあり、かつてが小高のランドマークとしての役割を担っていました。震災前は地元の消防団の集まりや家族連れなど、様々な人達に利用される場所でしたが、震災後は再開を断念し、約10年間空き店舗のままとなっています。


本プロジェクトでは、地域住民をターゲットにしたベーカリー(パン屋)カフェと、地域外からのリモートワークやワーケーション利用者をターゲットにしたコワーキングスペースを機能の中心に据え、この場所を複合施設としてリノベーションします。

① 地域の人たちに日常的に利用され、「暮らしてよかった」となる豊かな生活につながる場所

② 地域外の人たちが今より気軽に訪れ、快適に過ごせる場所

③ 利用者同士の交流の中からさらなる未来につながる試みや仕事を生み出していく場所

を目指しています。これについては次の章で詳しく説明させていただいているので、先にそちらが知りたい方は順番を読み替えてください。

施設の説明
パン屋カフェ (1F)

1階のエントランスを入るとパン屋カフェになります(2022年9月オープン予定)。

自分たちの強みであるカフェ事業に加えて、より地域に根ざした事業であるパン屋をつくることで、地域内外の人の動きを受け止められる場所にしたいと考えています。

毎日の選択肢を増やし、選べる嬉しさを増やす

人によっては毎日口に入れる「パン」。まちに選択肢が増えることで地域の中の「選べる嬉しさ」が増えることや、特に若い世代の「こういうパン屋がほしかった」というニーズを形にしたいと思っています。

市場としては、現在もっとも近いパン屋は約4km先で、その次は約10km先。若い人からも高齢の方からも美味しいパン屋を待ち望む声は多いです。

2,000名程度の商圏があればパン屋は成立すると考えていることから、今回立ち上げを決意しました。

オープン当初は主に最新の冷凍技術を利用したパンを仕入れて販売することで初期投資と固定費を抑えつつ、ハードなパンから食べやすいパンまで多様なラインアップを揃えたパン屋にしようと考えています。

*パンの写真挿入

コワーキングスペースとオフィス (2F / 1F)

1階はカフェのような環境で仕事がしたい方向けに、カフェスペースと並ぶようにワーキングスペースを用意。2階はより作業に集中したい人向けのワーキングスペースとして開設予定です。

特に2階を、よりリモートワーク・ワ―ケーションという文脈に適した場所として整備を進めています。

友達と一緒に「福島行こうぜ!!」って来て貰える場所

福島県は、やっぱり地域的な注目度もあってたくさんの人に来てもらえる場所でもあります。一方でちょっと敷居が高いのと、東京から電車でも4時間くらいかかるので、割と気合を入れて休みをとって・・・としないと行けない場所でもありました。

一方で、コロナ禍でリモートワークがだいぶ普及したことで「リモートワークしながらだったらこの場所にもっと来てもらえる人増やせるんじゃないか」と考えました。そうすれば、今まで一人で福島に来てくれていた僕の友達や復興に関わる人達も「福島行こうぜ!!向こうでもリモートで快適に仕事できるよ!!」くらいのテンションで誘って来てもらいやすいんじゃないかと思っています。

地方でも快適なワークスペースを

地方に行くと、開放感があり協働性の高いワーキングスペースはそれなりに多いのですが、あまり周りに聞かれたくない重要なミーティングをするための機密性のある空間や、集中して作業したいときに入り込める作業空間が少ないと考えています。

私自身もITエンジニアなので作業環境を大事にしているのですが、「リモートワーク・ワーケーションで気分を変えたいがしっかりと集中して仕事はしたい」という方のニーズを取り込める場所にしたいと考え、以下の機能を取り揃える予定です。

・プライベートを確保できるPhoneブースと会議室

・作業に集中できる大型モニター & オフィスチェア & 快適なWi-Fi

・疲れたら適度にくつろげる畳スペース・シェアキッチン

・その他、電源やヘッドセットなどを忘れたときにも安心な充実した貸出備品


ミーティングルーム (RF / 1F)

まちなかに向かう陸橋や駅から見える屋上のペントハウスになっている部分は、3面ガラス張りのミーティングルームにします。もともとあった看板とともに、やさしく光を灯す会議室が地域のランドマークとして、活気あふれる姿をみせていけたらと考えています。

その他 - EVバイクで「太陽光パネルを最先端の景観に」

地域に来た方の移動手段として、太陽光で発電した電気をつかったEVバイクをレンタルできるようにする予定です。震災後、農業を諦めてしまった方の田畑には多くの太陽光パネルが設置されています。苦渋の判断をされた方も個人の判断を問うことはしませんが、地域の人からは「まちの景観が壊れる」という懸念の声も聞かれています。

でも逆に、この景観を前提に「小高はみんな、太陽光発電の電気で移動してるよ。最先端のまちだしね」みたいな見せ方ができれば、景観も愛せるように、地域を誇れるようになってもらえるんじゃないかと思っています。そういう意味でも、EVバイク走らせたいので来たらぜひ利用してください。

 空き地の小屋にソーラーパネルを設置

その他 - シェアキッチンとイベントスペース

現在のカフェでもまれに日替わり店長をやっています。こんなに国際色豊かになった日も

カフェスペースは、ゆくゆくは夜に地域内外の人が日替わり店長を出来るシェアキッチンとして、また最大40名程度が出入りできるイベントスペースとして貸し出ししようと思っています。様々な人が行き交うことで新しいコミュニティや新しいプロジェクトが生まれていけばいいなと思っています。

その他 - 地域の窓口としての機能

https://horsevalue.jp/ 

私たちには、県や市の移住定住施策を受託してきた実績があります。これまで200名以上の方を地域に受け入れ、30名以上の移住をお手伝いしてきた経験から、地域の魅力を感じられる巡り方の案内や、こんな人に会って話を聞いてみたい、というマッチングも行っていきたいと考えています。

地域住民と、来訪者がどちらも集まり、空間を共有しながら少しずつ交流がうまれてくるような場所にできたらと思っています。


Why - なぜやるのか

ここからは、改めてなぜこのプロジェクトをやるのかについてお話します。

少しだけ震災復興関連の話に触れますが、このプロジェクトの醍醐味を説明する意味でどうしても必要な内容なのでご説明させてください。

私たちの活動地域である福島県南相馬市小高区は、東日本大震災にともなう原子力災害の影響を受け、2016年までの5年間、避難指示区域として誰も住むことができない地域となっていました。現在は震災前の約3割となる3,800人が住んでいますが高齢化率は約50%と、福島県内でみても高い水準となっています。

まちを一から再設計していける可能性と面白さ

再開・新規開業している店舗・事業者もありますが震災前と比べて利便性が高いとは言えず、元あった地域のコミュニティも作り直しに。帰還した人、帰還しなかった人を含めて「震災で自分が愛着を持ったまちや人とのつながりがいきなり奪われてしまった」と感じる人達も多くいます。

こういうデータや状況を見ると絶望的に見えるかもしれませんが、だからこそ豊かな暮らしができるまちを1から再設計していける可能性と面白さを感じる場所でもあると考えていて誰かにはじめて説明する際には以下の3点をいつも力説しています。

Point.1 しがらみのない、一から豊かなまちづくりができる

一度ゼロになってしまったというのは一からまちやコミュニティなどを作り直していかなければならないということですが、逆にいうと既存の慣習や地域内の人間関係を、現代にフィットしていく形で再構築するチャンスでもあります(ヨソモノである私がいうのは少しだけはばかられるところもあるのですが)。

地縁ばかりだったコミュニティに地域外の人が入り込んだり、地域の町内会的な組織に若い人が抜擢されたり、ということも起きており、どんどん新しい動きが発生しています。
私たちも約半数は移住者。ヨソモノのチャレンジャーです。

Point.2 元の住民も移住者も前向きにチャレンジしている

プログラミングに挑戦するお母さんたち。83歳の方も果敢にチャレンジ。もともと自分たちのまちを自分たちで活性化させようという意識の強い地域ですが、避難指示が解除されたあとは、幸せな暮らしと地域を取り戻すために地域住民の方からも様々な新しい取り組みが生まれています。

また、私のような移住者が何かはじめようと動いていると「地域の人でも3割しか戻ってきていない状況で、地域の外から来た人が取り組んでくれているのはとてもありがたい」と、温かく受け入れてくれる雰囲気があります。

地域の人も移住者も前向きにいろいろことにチャレンジできる文化・雰囲気が作られていると感じています。

Point.3 成功したときに大きなインパクトがある

東日本大震災と原子力災害を受けたこのまちは、良くも悪くも多くの注目を集めるまちです。このまちで復興を遂げ、地域の人達も豊かに暮らしていると言える新しいモデルになれば、日本中・世界中の人たちから成功モデルとして注目され、リードする地域になっていくはずです。


つまり、やりがいがある「興奮するフィールド」。

このプロジェクトは「かわいそうだから支援してくれ」ということではありません。ここ小高から社会全体のムーブメントを起こしていきたい。めちゃくちゃやりがいがあり、「興奮するフィールド」としてこの取り組みに一緒に参加してくれませんか、というお誘いです。

前の章で地域の状況や地域の人たちのことをお伝えしましたが、私たちは、「こんなはずじゃなかった」と社会の外部環境に負けてネガティブにふさぎ込んでしまう状況をなくしたいのです。


誰でもある「こんなはずじゃなかった」経験。

これを読んでくれている皆さん自身も、少なからず外部環境からのプレッシャーで自分のやりたい道が閉ざされてしまったり、思い描いていた暮らしを諦めてしまったような経験はあるのではないでしょうか?

親の方針だったり、他人との比較自分の能力不足を感じたり、会社と見解が食い違う中で、自分が「こうありたい」をうまく叶えられなかった経験があるはず、そして「それを覆す力があれば・・・」と悔しい気持ちになった経験があるのではないでしょうか?


それを覆す事例をここから。そして未来をつくっていく力を当たり前に。

私たちの取り組みは、そうした理不尽とも思える外部環境をはねのけて、自らの力で豊かな生活や幸せなコミュニティを築いていくための挑戦です。外部環境に自分の幸せも不幸も委ねる状態ではなく、自分達で掴み取っていく。それをできるための環境や文化が整った地域。これが「当たり前」になる社会をつくっていきたいのです。


未来に向けたこれまでの歩みと課題

そうした未来を実装していくにあたって、私たちのやってきた取り組みを簡単にご紹介します。


2014年 ポジティブな未来を提示してみた。

私たちが小高にかかわりはじめた2014年はまだ避難指示が解除されておらず、この地域に人が住むことはできませんでした。地域住民からは「もう小高は元に戻らない」「誰も戻ってこない」とネガティブな空気が漂っていたことを覚えています。

まずは、そういう先行きの見えない世界に、逆にチャンスや未来の可能性があることを伝えられるのではないかと思い、この地域のこれからの可能性を描いた冊子を発行したり、ITエンジニアが集まる「ハッカソン」というイベントを開催し、最新のテクノロジーで地域課題を解決出来るアイデアを提示してきました。

2016年 出来ることからはじめてみた。

 避難指示が解除された2016年には、駅前の空き地で、コーヒーを販売するキッチンカーをはじめました。小さくてもできることからはじめて検証しよう(MicroStart)ということで、Odaka Micro Stand Barという名前をつけ、地域の人達の憩いの場や、来年度から始まる学校に通う学生たちが、魅力的だと思える場所をつくりたいという思いでスタートしました。

総額50万円でDIYしたキッチンカー。最初は休日に持ち回りでコーヒーを提供していました。

また、「もっと選ぶ楽しみのある買い物がしたい」という声からあおぞらマルシェを開催したり、「地域が暗くて通学が不安」という声を受けてまちに照明を設置していくキャンペーンを行ったりしました。

野菜が30分で売り切れたり、150本もソーラーライトが集まったり。一方でやることが中途半端だとお叱りを受けたり、うまくいかないことも当然たくさん。

2018年 精度を高め、仲間を集めて出来ることを増やしていく。

2018年には、カフェの実店舗をオープンしました。サービスや経営の精度を高め、事業として成り立っていくように改善していくこと、カフェをやっていく中で地域内外の多種多様な人たちとつながっていくことで地域の中で出来ることを増やそう、という2点を強く意識して取り組んできました。

まだまだ途上ではありますが、メニューなども徐々に増え、近隣地域でもっとも支持されるカフェの一つとして評価していただいています。

何かやろうという気持ちが少しずつ形に

活動をはじめたことで駅前が賑わったり、地域の人達の意見を少しずつでも反映していこうという私たちの取り組みをみて「オムスビがあったことで何かやろうという気持ちになって動き出せた」「ここがあることで小高に来れば良いものがあるという雰囲気になっている」というありがたい言葉をいただいたりもしてきました。周りの人たちの動きも活発になっていくことで、まちの景色が少しずつ変わってきたと感じています。

生花教室をひらいてみたい、商品をつくって売ってみたいという声を形に。

「自分でまちをつくる」効力感や役割が幸せにつながる

こうした経験から、「自分たちの身の回りのことは自分たちで変えられる」という感覚やその役割を有していること、また「日々の生活の選択の中で選択肢があると感じられること」=つまり地域の中で当事者性を有していることが、幸せに暮らす中ではとても大事なのではないかと感じるようになりました。

「ウェルビーイング」の分野から地域が研究されるようになってきたことで、「自己決定」や「社会とのつながり」が幸福度に影響するという研究結果も多く見られるようになってきていて、この感覚はそれほど間違っていないのではと思います。

その意味でも「自分の信念に従って未来をつくっていく力」を身につけていくことに大きな意味があると考えています。

所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査 - 神戸大学

満足度・生活の質に関する調査 - 内閣府
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/index.html

振り返っての課題は2つ

ここまでを振り返って、現在は、大きく2つの課題を感じています。1つは私たちや他の移住者の取り組みが多くの地域住民にとって恩恵を受けられるものになっていないこと、もう1つは私たちの活動自体が事業としてまだまだ脆弱であり、もっと強くしていかないといけないことです。


「地域に住み続けてよかったな」とより多くの人に思ってもらうために

カフェという業態はどちらかというと一部の人が利用するビジネスです。地域にたくさんの方が住んでいる中で、うちに定期的に通ってくださる方はどうしても限られます。まちの雰囲気が明るくなったという意味では貢献できているかもしれませんが、やはり多くの人にとっては「生活に関係ない」事業でもあります。「小高も良くなったな。地域に暮らしててよかったな。」と多くの人に思ってもらえるためにも、もう少し広く利用してもらえる形態を取りたいなと思っています。

非日常のカフェから、日常で使えるパン屋へ

そういう性質も相まって、3,000人規模のまちでやるカフェ事業は赤字こそでないものの、利益をしっかりあげていくにはかなりの積み重ねを必要としそうだと感じています(一般的には5,000人くらいの規模が必要と言われています)。

ビジネス的な意味でも、もっと地元の方に多く利用してもらえる事業モデルを目指す必要があります。そうした2つの意味で、多くの人が主食として取り入れ、日常的に消費する「パン」という商材を選択しました。

面白いと感じてくれる人を増やし、仕事をつくる

また、今後縮小していくことが明らかな人口動態の中では地域内の需要で事業をすると同時に、地域外の市場や消費能力、経営資源を地域内に呼び込みながらつくっていけるビジネスの割合を増やしていかないといけないと考えています。

そのために、この地域のことを面白がって関わってくれる人をもっと増やしたいなと思っています。今までよりたくさんの人、いろいろな属性の人が地域にかかわってくれるようになることで、より具体的なビジネスモデルを動かしたり、地域の人たちとも協働できるようなプロジェクトを増やせるのではないかと考えています。

そのために、まずは友達や同僚と一緒に、ワーケーション気分で仕事をしに来てもらえるような場所があればいいのではないかと思っています。そこに合わせたコワーキングスペースを作ろうというのが今回のプロジェクトです。ここにきて、地域を面白いと思ってくれる人がいたら入ってきてくれるといいなというのが今の思いです。


地域内で新しい仕事を生み出していくために未来の人材を育てる活動も行っています。得意分野であるプログラミングを地域の学生に教えたり、地域課題への取り組みの姿勢を伝えたりしています。
リターンについて

大きく分けて

・お気持ち支援

・パン屋カフェを利用したい方向け

・これをきっかけに現地に訪れたい方向け

・その他


の4タイプのリターンをご用意いたしましたので、ぜひ皆様の支援意向にあった形でのご支援をいただけますと幸いです。


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応援コメント
地元の方からの応援コメント

瀬下智美さん  小高の地域住民

2011年3月11日に起きた東日本大震災の数日後小高区は警戒区域となり、一旦は居住人口ゼロのまちとなりました。約5年後、2016年7月12日、南相馬市の居住制限区域および避難指示解除準備区域が解除されることに合わせるように、わたしは生まれ育った小高に戻ってきました。解除されたからといって、一斉に人が戻ってきたわけではなく、生活必需品は原町区へ車で買い出し、ごみ捨て場は町の生涯学習センターに1か所あるくらいの、ひっそりしたものでした。

わたしが森山貴士くんと知り合ったのは小高住民の中では割と早くて、彼(ら)が、小高駅前の空き地で小さなワンボックスカーのスタンドカフェを立ち上げたばかりの頃です。貴士くんはその頃は鹿島区に住んでいて、土日は小高のまちで営業をしていたようです。

2017年の秋には小高区の現在の場所に引越しされたので、同じ行政区のご近所さんとなりました。貴士くんは店舗部分をDIYで改装し、翌2018年6月に「Odaka Micro Stand Bar」をオープンさせています。

このお店の立地は、小高駅から300m、県道120号(旧国道)岡田通りの始点にあり、歩行者にも車の人にも目に入る場所です。解除後、冬の名物である小高イルミネーションが復活して、現在冬シーズンには目に鮮やかな光の演出が蘇りました。オムスビさんもイルミネーションの時期には店舗に光を灯して、まちの雰囲気を暖めてくれています。

オムスビさんがオープンする前の町の様子が記憶にある人にとっては、胸が熱くなる光景です。

貴士くんはずいぶん早くから、南相馬に来てくれています。近年、南相馬市を訪れて「地域おこし」や、「町のにぎわいを作る」ことに取り組んでくれる若い人は割といるみたいです。

地域の側から、来訪者に対して「受け皿」が整ってきていると感じています。その辺りから来ている人達は、外部から見て割と分かりやすいかたちで実績を出し、わかりやすい故に、報道などで紹介されやすい印象があります。

それら近頃のニュースを見聞きした後に貴士くんを見た人は「彼はカフェをやりたくてこの地に来た」と勝手に思い込むかも知れませんが、それは誤りです。

貴士くんが「自分がカフェの運営をするとは思ってなかった。」と言っているのを聞いたことがあります。カフェ運営は、貴士くんの経験やスキルが詰まった彼の引出しの中には無かったものでしょう。しかし、その後南相馬に来て、インプットされた事から導き出された選択肢なのだと思います。

つまり、貴士くんには「ここで僕のやりたい〇〇を実現させるぞー」という野望はなくて、ここの風土や歴史、季節、住民の暮らしを見たり、聞いたり、共にしたり、感じたりしている中から、このわたしたちのまちの中に、「こういうのがあったほうが良くない?…、無いし、やる人がいないならぼくが作るしかないか…。」みたいな、南相馬の、小高のこと考えて、具体的に動いてたら結果的にこうなってた…。ということばかりなのではないでしょうか。または、具象として可視化できてるもの以外のほうに、実は重要なことが包括されている。という感じ。

貴士くんは自身のことを「ヨソモノ」と名乗ることがあります。その言葉を口にする貴士くんの気持ちはわたしには量れませんが、震災の後、1度は人口ゼロになったことのある小高のまち(わたしの知らない、見ていない小高)を体感している人として、「ヨソモノ」だから、このまちの良いところも悪いところも、現実を理性的に捉えて、記憶にアーカイブしてくれている人だとわたしは認識しています。「ヨソモノ」でも、小高のまちを好ましく思って色々している人だと感じています。わたしと貴士くんは言ってみたら「小高同好会」のお仲間かなと思っています。

そんな、わたしの信頼を集めている貴士くんの次の目標は、「青葉寿司で何かする」とのこと。

お寿司屋さんだった建物。鉄筋の大きな2階建てで、3階の屋上はビヤガーデンにもなっていた場所です。

ここは6号線からまちに入るために渡る大井陸橋から、「江戸前 青葉寿司」の大きな看板が必ず入ります。

「この看板が今、活用されていたら、町の雰囲気はまた活気づいた印象になるだろうな」

と思っていたら、貴士くんはなんと所有者を探してお話をつけて、何かするというではありませんか。2020年の3月頃でしたか?

今度の建物はだいぶ大きいので、オムスビ店舗の時より広範囲で、大掛かりなリノベーションが必要になります。

それでも、プロの業者さんに全面的にお任せするのではなく、自分でできることはスタッフさんや周囲の人たち(近隣住人や、こういったプロジェクトが好きそうな人、若者)と協力しながら、DIY&ハンドメイドでやってるみたいです。オムスビ店舗さんにひき続き、魅力的な場所になっていくのを期待しています。

今回応援メッセージのために制作中のクラファンのサイトを見せてもらいました。お金を出した分以上とも思えるお楽しみリターンがついててすごいと思いました。「リノベーションのための資金集め」のクラファンでも賛同者は現れるかと思いますが、これは、新年初売りの福袋みたいじゃないですか。出資者さんに、将来的に継続するワクワク感を共有できる仕組みだと思います。小高にいる人も、遠くにいて小高を思ってくれる人も、貴士くんを応援する人も、みんなでこのワクワク感を共有しましょう。新春福袋、売り切れる前にゲットしましょう。

わたしは貴士くんが小高を選んでここに住み、20代から30代にかかる人生の貴重な時間を、ここのために色々してくれて有難く、楽しく見ています。そのうえ、みんなのワクワクを作り出してくれる、こんな仕掛けを作る人になったんですね(どこから目線か。スミマセン)。でもきっと、貴士くんは「最適解を考えてたらこうなってた。」みたいなことを言いそうな気がします。

遠くにいても南相馬市小高区と・森山貴士くんと繋がれるこの機会。ぜひご参入ください。近隣住民からのメッセージでした。


前職の同期からの応援コメント

前田雄太さん 株式会社まんがたり 代表取締役

森山くんは、変な人です。誰に言われたわけでもなく、「今、福島に行くことが自分の人生にとって面白そうだと思う」という想いで動くことができる人です。 そして、その思いつきで行動したあとに、継続できる不屈の人です。

この記事に書いている通り、うまくいかないことや大変なことがたくさんあったと思います。けど、行動をやめてません。前を向いております。 

彼は、地に足をつけて、人と向き合い、過去を無視せずに、未来に踏み出す人です。 そんな彼を、僕はいつも刺激的に思っています。 だから、僕は彼を応援します。ぜひ、彼の想いに協力して、関わってみてください。きっとあなたの人生のプラスになると思います!


資金の使い道とスケジュール

主にリノベーションにかかる費用にあてさせていただきます。

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支出の部

コワーキングスペースオープンまでのリノベーション費用     約700万

オープン前の什器や備品整備                                           約150万

+ パン屋オープンまでの第二次工事費用                      約200万(予定)

収入の部

県補助金                                500万

自己資金                                350万

クラウドファンディング           200万(手数料やリターンの費用を抜いた額)

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2022年3月までのクラウドファンディングで得た資金は、工事および当初の運転資金に利用させていただこうと考えています。


スケジュール

2021年11月現在:     リノベーションを開始し、解体工事をすすめています

2022年1月:        クラウドファンディング終了

2022年3月:         コワーキングスペース機能の完成&第1期オープン予定

2022年5月:      パン屋カフェ工事開始

2022年9月:        パン屋カフェオープン予定



おわりに

これまでの文章ではポジティブに息巻いてきましたが、実際にこれまでの7年間は、自分たちのできることの小ささに悔しい想いをしてきた7年間でもありました。経営もまちづくりも素人同然の若者が少々集まったところで、地域の状況を大きく変えられるインパクトを与えられるわけもなく。メディアに華々しく取り上げてもらう一方で、一向に採算の改善しない状況をみて、カフェの1つすら満足に経営できないのか・・・あれだけ東京でITエンジニアとして何でも出来るぞと言わんばかりに息巻いていた自分が、たったこれだけしかできないのか、と落ち込んだり、この場所の取り組みをはじめたことを後悔しそうになったこともあります。

それでも続けていくうちに、少しずつ仲間や応援してくれる人たちが増え、私たちのできることも広がっていき、地域の中でも自信をもって良いサービスを提供できる場所ができました。ローカルな場所での経営感覚も少しずつ掴んでいき、今回のクラウドファンディングでは、しっかりとした経営計画の見通しを立てて臨むことが出来るまでに成長してきました。

2014年 避難指示解除準備区域だったとき

2014年に私が初めて小高を訪れたときは、まだ避難指示が解除されていませんでした。まちの人達は皆険しい顔をして、未来への不安を感じているように見えました。この地域に対して前向きな意見を聞くことはまれでした。


2016年 避難指示が解除されたとき

2016年 避難指示が解除されました。このまちで再開する店舗はわずかでしたが、少しずつでも前向きに頑張ろうというエネルギーが生まれていました。私も仲間と一緒に本格的に活動をはじめることができました。「とにかく何かやってみないとわからない」という気持ちでみんなの気持ちが形になったのかなと思います。

設立当時からのメンバー(花岡、蒔田、福島)。みな行政職員ですが今でもボランティアで関わりを続けてくれています。

2018年 続けたけど結果が見えなくなったとき

キッチンカーで続けて来た活動ですが、一緒にはじめたメンバーが忙しくなって参加が難しくなっていったり、だんたん地域の関心も薄れていったりしていく中で、ボランティアで続けていくには限界を感じていました。とはいえまだ収益性を確保するほどの力はまだ当時ありませんでした。

当初から一緒に手伝ってくれている私の妻と当時の看板。当時はほとんど車通りもなかったので・・

すぐに利益を出そうとすることは諦め、目の前の一つ一つを積み重ねて、昨日よりも今日出来ることを、少しずつで良いから増やして行こうと考えました。店舗をつくり、空き時間はもともとのITの仕事が出来る場所として自分の作業場にしました。コーヒーのクオリティを高め、メニューを少しずつ増やし、外の景観を整えたりちょっとずつやっていきました。

店舗外にテラスを造作。写真に写っている西川さんはうちの最年長スタッフです。

そうしていくうちにだんだんと地域の人達からも受け入れられ、「地域の今の顔になっている」という声までいただけたときにはとても嬉しい気持ちになりました。

2021年にビジネスを見据えて

一番最初に有給スタッフとしてジョインしてくれた志保ちゃん。

こうやって積み重ねてきたものがあって私たち自身も出来ること、得意なことがハッキリとしてきました。これまでは、人様からお金を募ってプロジェクトをすすめるクラウドファンディングをするのにも、それをちゃんと扱う自信がなく躊躇していたのですが、今回ようやくやってみれるぞ、という気持ちになっています。それはカフェに集まってくれたスタッフや、曲がりなりにも続けてきた事業感覚、そして今回こういうものが必要だ!!と思った自分の直感を総動員すれば、きちんと結果が出せるのではないかと感じています。

コーヒーワークショップの講師をやらせてもらったりもしています。右側はカフェスタッフさん

そして、地域を振り返ると、地域の方々や他に魅力を感じて移住してきた方たちが、それぞれに新しい製品やサービスを作り出し、それが形になってきています。それでもまだ持続可能な地域というには早計で、だからこそ今のタイミングでしっかりと地域に根ざした事業をつくりあげていきたいと考えています。

学生アルバイトのスタッフさん。若い人が未来の技術の実証実験を手伝っている風景

前職時代の社長は「誰も解決したことのない難しい問題にチャレンジしろ。その先には誰も追いつけない圧倒的な成長がある。それが課題を解決する人材の興奮するフィールドだ」というようなことを何度も話していました。私はこの場所こそが誰も解決したことのない前人未到の問題を抱えている「興奮するフィールド」だと思っています。

小高は未来の可能性を実装していける場所です

ネガティブな負の遺産としての「FUKUSHIMA」ではなく、未来の可能性を実装していける場所として、地域内外の方に魅力を感じて頂ける場所にしていきたいと考えています。

そのためには、地域に住んでいる人のエネルギーと、これからこの地域に関わってくれる人のエネルギーの両方を大きくしていかなければならないと思っています。

小高は挑戦しがいのある地域です

この地域はとても魅力的な地域です。自分たちの意思決定が町並みに反映されていく、挑戦しがいのある課題があり、それを応援してくれる地域の人達の声があり、苦しい思いをしたからこそ自分たちの幸せをよくわかっている温かい人達がいます。そうしたチャレンジとコミュニティの中に身をおくことは、非常に豊かな営みなのではないかと考えています。自分の不甲斐なさに涙を流したときも含めて、やっぱりこの地域で何かをやっていくことは楽しい。だから、他のみなさんにももっとこの地域に関わってもらいたいし、地域の中の方たちもにもそういう場所なのだなと誇りに思ってもらえるようにしたいと思っています。

ここまでの文章を読んでいただき、ありがとうございました。


どうかこの思いが伝わり、皆様とご支援や応援の声という形でまた新しくつながっていけることを楽しみにしております!!伝わってるといいなー!!


応援したくなったらこちらからリターンを見てくださいね


実行者紹介


森山貴士 (もりやま たかし)

一般社団法人オムスビ 代表理事 / ソフトウェアエンジニア。

1986年大阪府生まれ。立命館大学政策科学部卒業。2009年より東京のIT企業(株式会社ワークスアプリケーションズ)でソフトウェア開発、先端技術研究などに携わる。

2014年に退職し、福島県南相馬市に移住。当時まだ避難区域だった小高区の可能性に惹かれ、同区内で活動を開始。2016年末、仲間とともにキッチンカーでOdaka Micro Stand Bar(OMSB)を開業。2017 年3月に一般社団法人オムスビを設立。

一般社団法人オムスビ


2017年3月設立。東日本大震災以降、2016年まで避難指示が出されていた小高区をフィールドに、地域での豊かな暮らしと、持続可能な事業をつくっていくことをミッションに活動。

小高区の中心にある小高駅前でのカフェの運営を軸に、地域の人材育成や移住定住関連の事業などを行っている。

理事:  3名  / 有給職員: 4名(パートタイム含む)


<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。




  • 2023/09/01 07:30

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2023/05/08 17:21

    森山です。GWも終わりましたね。みなさまいかがお過ごしでしょうか?私はなんだかんだでほぼ仕事しておりました。。。さて、今回はタイトルのとおりではあるのですが、本日無事飲食店営業の許可を取得しました。理論上今日からお店としては営業できることになります。これから細かい内装や什器類を整えていきますの...

  • 2023/01/06 12:17

    みなさま、あけましておめでとうございます。オムスビ森山です。昨年は多くのみなさまにご支援賜りまして、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。年始のご挨拶を兼ねて現在の状況をこの活動を応援してくださっているみなさまにご報告させていただきたく、この活動報告を記載しています...

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