はじめに

絵本『やさしさの木の下で』(2003年 自由国民社刊)は、日本初のファミリーハウス誕生の物語です。この絵本をひとりでも多くの人に手にしてもらうため、全国の図書館や学校に寄贈する"絵本大使"を募るキャンペーンを企画しました。

 まずは、ご自分の子どもや知り合いのお子さんが、地元の病院では治療できない重い病気になってしまったら…と想像してみてください。 

代表者からのメッセージ
認定特定非営利活動法人ファミリーハウス
理事長 江口八千代

元 独立行政法人国立病院機構 相模原病院 看護部長
瑞宝双光章 受章
内閣府休眠預金等活用審議会 専門委員

1991年ファミリーハウスが設立された当時、私は国立がんセンター中央病院(当時)の小児病棟に勤務していました。当時は病気の治癒率も低く、大変な治療を長期にわたってうける、お子さんもご家族も大変な苦労をされていました。そのため、付き添う家族からハウスが欲しいという声が上がった時、当事者も医療従事者も協力くださる市民の皆さんと協力して、調布に日本で最初のハウスとなる「かんがるーの家」を開設しました。1993年の事です。


ファミリーハウス紹介動画はこちら


それから30年がたちました。30年前はハウスの利用は母親がほとんどでしたが、いまでは入院期間が短くなり、重い病気の子どもたちもハウスから通院するようになりました。そのため、私たちは、病院から歩ける場所に、余命宣告された子どもも家族と一緒に安全に過ごせる新しいハウスを作ろうとしています。医療が進んで治療のあり方は変わりましたが、厳しい治療に立ち向かう子どもと家族のご苦労は変わりません。

絵本『やさしさの木の下で』には、30年前のお母さんたちが実際に体験したことが描かれていて、それは昔も今も変わりません。このハウスの原点の物語をぜひ皆様にもう一度読んでいただき、今病気と闘っている子どもと家族のことを理解して一緒に支えていただきたいのです。まずは、病気の子どもの仲間であるこどもたちが手に取れるように、図書館や学校に寄贈していただくキャンペーンに取り組むことにしました。ぜひ"絵本大使"としてご協力をお願いします。


解決したい社会課題

もし愛するわが子が重い病気になってしまったら、親は自身の仕事や生活のことよりも優先し、なんとか治したいと願います。一方で、経済的、精神的負担は重く、当事者だけで抱えきれるものではありません。大変な時間を過ごしているご家族同士が支えあい、きびしい闘病へと向かうための力を蓄えられるような滞在施設がほしい。そんな家族の思いにこたえるために、医療従事者や市民が力を合わせて始まったのが、ファミリーハウスの活動です。

お母さんの笑顔は最良の薬

「できるときに、できることを、できるひとが」をモットーにスタッフが
ボランティアと一緒にハウスを運営しています


現在日本全国に患者と家族のための滞在施設は、篤志家との連携による小規模なものから、大型のものまで、NPOや医療機関の運営により130カ所以上ハウスがあります。1997年よりファミリーハウスが事務局となり、全国のハウスとJHHHネットワーク*を組み、年に一度全国会議を開き、情報交換や研修を行っています。
*http://www.jhhh.jp/

私たちが30年前、日本で初めてハウスを立ち上げた当初は、小児がん等難病の治療は長期入院が一般的で、その間ハウスに滞在するのは付き添い家族が中心でした。安心、安全、安価(一人1泊1,000円)に滞在できること。
そしてなにより、「自分の子どもの命がなくなるかもしれない」という不安。そういった精神的に不安定なとき、ファミリーハウスの共有スペースで会う同じ境遇の仲間や、あたたかく迎えてくれるスタッフの存在が必要でした。それはいまでも変わりません。

手づくりのベッドカバーなど、ひとりでもぬくもりのあるハウス


その後医療の進歩により、入院期間の短縮化や、通院で治療するケースが増えました。今では抗がん剤や放射線も通院で行われ、こどもに補助人工心臓を装着できる時代になりました。全国各地にあった小児医療拠点病院が集約化されたことも影響し、ハウスの役割も変化しています。これまでは病院へ介護に通う付き添い家族の滞在が中心でしたが、終末期を含め、医療的配慮が必要な子どもと家族が一緒に滞在することも増えました。そのため、病院との連携や相談員や看護師、ソーシャルワーカーなどの専門スタッフの対応も必須になっています。
また、入院生活から在宅看護を繋ぐ、社会復帰に向けた「中間施設」としての役割も求められるようになりました。

そしていま、社会の変化に対応し、多様化するいまのニーズに応えていける“第二のわが家”として、「理想の家」の建設をめざしています。ハードとしては、家族全員でだんらんができること、患児の症状により、車いすやストレッチャー、酸素、医療機器などが必要になるケースがあるためそうしたことに対応できる施設であること。入院している病院のすぐ近くにあること。そういったハード面での整備はもちろん、今後は病院、学校や保育と連携したり、病児の安全な遊びや学びの実現、きょうだいのケアをはじめとする家族のケアを見据えた環境づくりをし、日常の再構築のサポートがいま以上にできるようにしていきたいと考えています。 

ファミリーハウスがめざす「理想の家」の共有リビング


【参考】国立がんセンターがん対策情報センター「小児患者体験調査報告書」
→ https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/health_s/project/pediatric/ped1.html


このプロジェクトで実現したいこと

まずは、いまこの時にも、子どもが重い病気になり、不安な日々を送っている家族がいることを、ひとりでも多くの方に理解していただいた上で、一緒に支えてほしいと考えています。
絵本『やさしさの木の下で』 は、日本で最初のハウスを作り、実際にハウスを利用したお母さんの実話を描いており、ファミリーハウスの原点ともいえる物語です。皆さんが“絵本大使”となって、理解と支援の輪を広げてくださることを願っています。

ファミリーハウスで母親と過ごす久しぶりの“ふつうの”時間
(『やさしさの木の下で』より)


応援を是非よろしくお願いします。


応援メッセージ
豊岡陽子さん:絵本作者

この絵本は、20年前に、ファミリーハウスがなぜ日本に生まれたかという原点の絵本を作ろうということになった時、私が自分の体験を書いたものです。

絵をかいてくださったイラストレーターの方と一緒にハウスを回り、当時のお話もさせてもらい、丁寧につくっていただきました。その後絶版となり、書店におかれることがなくなりましたが、今、絵本大使という形で、またみなさまに手にとっていただき、今闘病中の、そしてこれからの患者さんとその家族の助けになるのであれば、大変ありがたく思います。

子どもが病気になっていきなり非日常になり、どん底の中でも同じ病気の子どもたちの親同士のさり気ない言葉かけや心づかいが大きな支えでした。そして毎日帰る家がある事、それは地方から都会に出てきている親や患児の兄弟にとっても安らげる場所でした。毎日病室に届ける子どもの好きなハンバーグやカレーを作る台所がある場所、患児が治療の合間に寛げる大事な場所でした。
そんなファミリーハウスは母親たちの会「COSMOS会」の要望から生まれたハウスでした。今ではたくさんのお家ができ、『やさしさの木の下で』 の絵本の中の我が家の患児だった次男も今や、立派なおじさんです。税理士になり生まれた土地で小さな事務所を持ちながら、社会のために少しでも恩返し出来る様、一生懸命働いています。
この絵本は小学1年生だった息子が20歳になった時の実際のお話です。それからも、たくさんの年月が経ち、絵本の状況と現在の社会状況はずいぶん変わりました。ファミリーハウスの役割は今や、家の提供以外に、終末期の子どものケアも必要な時代に様変わりしています。ウィルスや怖い社会ニュースが流れる度、人の内なるやさしさを思い出します。
どうか一人でも多くの方がこの本を手に取ってこんな子どもたちがいる事、そしてそれを支えてくださる方が大勢おられる事を知って頂ければ幸いです。


  • 小島奈津子さん:フリーアナウンサー

  • 絵本『やさしさの木の下で』と出会ったのは、舞台でこの本を朗読したことがきっかけでした。当時私は、血液の病で闘っていた父の看病をしていました。長期に渡る治療は、患者本人はもとより、家族の心の疲弊感や、無菌室での治療はなかなか家族との面会ができず、双方の不安感が増すという実体験がありましたので、共感する部分が多く、自然と感情が乗った朗読となりました。
  • そして、ファミリーハウスの存在がどれだけ子どもたち、そのご家族の「温かい力」になっているかということを、改めて知ることになります。ファミリーハウスのことをもっと他の子どもたちにも知ってもらいたい、と思い、朗読後、手元にあるこの一冊を児童福祉の仕事に携わる友人に託しました。今でも皆が閲覧できる場所に置いてくださっているそうです。
  • この度『今、絵本『やさしさの木の下で』をもう一度皆さまに読んでいただきたい!』というプロジェクトが立ち上がったとうかがい、まさに私の想いが実現するかのようで、深く賛同いたしました。
  • 今闘病している子どもとその家族のことを、まず知っていただくことが、次への一歩につながることだと確信しております。


大鵬薬品工業株式会社様

2019年 かんがるーのおうちでの清掃活動    

ファミリーハウスさんとは、2017年に弊社の55周年記念イベントで出会い、それからさまざまな形で携わらせていただいています。コロナ禍前には、何度か清掃活動に参加させていただき、おうちの中の、四季を感じる素敵な装飾にとても温かい気持ちになりました。また、いただいたウィッシュリスト(不足している備品の一覧)を社員に呼びかけ、フライパンなど集まった品をお持ちするととても喜んでいただいたこともありました。

私たちは、がん領域には薬だけでは解決出来ない課題がたくさんあることを認識しています。クラウドファンディングに挑戦するファミリーハウスさん、そして支援する皆さまとのパートナーシップのもと、患者さんとご家族の大切ないつもの生活がいつまでも続く世界、みんなで手を取り合って未来に向かうような、誰かが誰かの背中を押して手を引くような、そんな世界を大鵬薬品は目指したいと思っています。

ファミリーハウスさんの活動、クラウドファンディングを心から応援しています。


資金の使い道

寄贈する分の絵本の購入費用:約52万円
 全国256の図書館、図書室に各1冊を寄贈。
 寄贈先一覧は当会ホームページをご覧ください。
https://www.familyhouse.or.jp/archives/8569
発送費:約12万円(梱包材料含む)
人件費:約3万円(作業者交通費)
ハウス運営費および「理想の家」実現のための積立金:約45万円
手数料:約13万円(9%+税)

実施スケジュール

2022年 4月下旬~5月: 絵本の発注と購入
2022年5月-6月:サンクスカード発送
2022年8月予定 :絵本の寄贈
 全国の図書館、図書室(256 か所)に各1冊の絵本を寄贈。
 寄贈先一覧は当会ホームページをご覧ください。
https://www.familyhouse.or.jp/archives/8569
2023年1月下旬予定 :寄付金領収書の発行
2023年5月予定:寄付者名簿の発送

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


リターン

5つのコースで応援をお願いします。

ひろめる絵本大使コース:¥3,000(絵本1冊を学校か図書館に寄贈)
【リターン】ファミリーハウスのサンクスカード、寄付者名をファミリーハウスの2022年度寄付者名簿に掲載(2023年5月発送予定)、寄付金領収書(寄付は寄付金控除の対象です。 寄付金領収書の発行は2023年1月下旬の予定です。)

ひろめる絵本大使コース:¥15,000(絵本5冊を学校か図書館に寄贈)
【リターン】ファミリーハウスのサンクスカード、寄付者名をファミリーハウスの2022年度寄付者名簿に掲載(2023年5月発送予定)、寄付金領収書(寄付は寄付金控除の対象です。 寄付金領収書の発行は2023年1月下旬の予定です。)

ひろめる絵本大使コース:¥30,000(絵本10冊を学校か図書館に寄贈)
【リターン】ファミリーハウスのサンクスカード、寄付者名をファミリーハウスの2022年度寄付者名簿に掲載(2023年5月発送予定)、寄付金領収書(寄付は寄付金控除の対象です。 寄付金領収書の発行は2023年1月下旬の予定です。)

絵本大使+みらいのファミリーハウス応援コース:¥10,000
(絵本1冊を学校か図書館に寄贈、理想の家の実現と運営のための寄付金 )
【リターン】ファミリーハウスのサンクスカード、寄付者名をファミリーハウスの2022年度寄付者名簿に掲載(2023年5月発送予定)、寄付金領収書(寄付は寄付金控除の対象です。 寄付金領収書の発行は2023年1月下旬の予定です。)

みらいのファミリーハウス応援コース:¥2,000 
(理想の家の実現と運営のための寄付金)
【リターン】ファミリーハウスのサンクスカード、寄付者名をファミリーハウスの2022年度寄付者名簿に掲載(2023年5月発送予定)、寄付金領収書(寄付は寄付金控除の対象です。 寄付金領収書の発行は2023年1月下旬の予定です。)


最後に

今、もう一度ハウスの原点を一人でも多くの人に知ってもらいたい。

ハウスの支援は利用者を支えることです。新しいハウスは、今現在、一番重篤な患者さんとその家族を支えることです。今、改めて、この絵本により、なぜファミリーハウスが必要だったかをご理解いただき、ひとりでも多くの皆様に理解が広がるよう、この絵本大使にご協力をいただきたく、心よりお願い申し上げます。

チーム/団体/自己紹介・活動実績など

ファミリーハウスについて 
https://www.familyhouse.or.jp/

国立がんセンター中央病院(当時)に子どもが入院する母親からの滞在施設を求める強い要望があり、当時の大平睦郎小児科医長や江口看護婦長(現理事長)ら医療関係者、患者家族、会社員、学生など様々な立場の人々が集まり、難病の子どもとその家族の支援を目的として1991年に設立された団体です。その後、1993年には日本初の専用滞在施設「かんがるーの家」を開設し、1999年にNPO法人格を取得(2010年に認定NPO取得)し現在に至っています。難病の子どもたちおよび家族の滞在施設(東京都内)を運営。

難病の子どもたちとその家族の現状について広く国民に理解を求める広報活動や、ファミリーハウス・フォーラムを開催し、医療関係者や一般市民への啓発活動を行っております。

1997年より全国の滞在施設運営団体で組織する「JHHHネットワーク会議」の事務局として年に一度ネットワーク会議を開催し、情報交換や研修を行っています。

●活動実績
受け入れ家族数:1991年~2021年3月 19,215家族 
立ち上げたハウスの数:1991年より21か所
啓発活動:2012年よりファミリーハウスフォーラムを10回開催
受賞:2018年第70回保健文化賞受賞

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