『アジア最貧国のひとつ』と言われるバングラデシュの強みと、抱える課題をご存じでしょうか?

バングラデシュでは、皮革産業の輸出額が国内で2番目に大きい産業です。皮革産業の可能性は世界からも注目されており、国内では、多くの雇用を生み出すとても重要産業です。可能性を多く秘めた皮革製品事業に、現地で3年程、計6年携わるなかで貧困の連鎖から抜け出せない方々をたくさん目の当たりにしてきました


●バングラデシュ及び皮革産業界の現状

① 働きたくても働けないとは?

貧困や生まれた境遇によって教育機会に恵まれなかった識字が困難な方、身体にハンディキャップを抱える方、家庭の経済状況から大学に進学できない若年層、夫の暴力から逃れたシングルマザーなど、国民の約5人に1人が働きたいのに安定して働ける職につけず、貧困から抜け出せない状況があります。

② 適正な評価制度の欠如

いまだに根強く残る男性優位の社会常識や、大学に進学できないことでのキャリアにおけるハンディキャップ、本来の能力や適性ではなく、受けてきた教育や置かれている環境によって将来が決まってしまう、そんな慣習が現在も色濃く残っています。

こういった現状は、指揮をとる経営者やマネジメント層などのリーダーとなる人材の主観や偏った判断基準によっても、さらに深刻化します。偏った評価制度や、敢えて挑戦をさせない価値観が皮革産業全体に蔓延していることを体感しました。


●プロジェクトを通じて、実現したいこと



●バングラデシュとのご縁は社会人から

皆さま、初めまして!仲渡春菜(なかとはるな)と申します。

小学4年生の時、「世界で最もはやく沈む島」と言われていた「ツバル」に関するドキュメンタリー映画から、自分が知らないどこかで誰かが困っているということを知って、国際協力や貧困というテーマに関心が芽生えました。大学進学後は、国際協力学生団体で活動をし、『必死でみんなで頑張っても、継続する仕組みや資金が循環しなければ、困っている方々の将来は変えられない』ことを痛感し、より大きなソーシャルインパクトをもたらす実業家になるために、ソーシャルビジネスを展開するベンチャー企業で新卒入社を決意しました。

2015年・新卒入社後、バングラデシュを拠点とする本革製品ブランドの立ち上げに参画しました。翌年3月に初めて現地へ渡航しましたが、わずか数ヶ月足らずでテロが発生し強制帰国することに。当時の自分の存在を知る方々からは、安否確認の連絡が止まなかったことを昨日のように思い出します。


●「マダム、元気!?ご飯は食べた??」- 現地法人創業から駆け抜けた半年間 -

2017年に再び渡航し、本革ブランドの品質を支えるため、また現地の人々の雇用機会や生活基準をあげることを目的とし、検品会社を現地にて創業する運びとなりました。

法人設立後、家庭状況や生い立ちによって、教育を受ける機会に恵まれず識字がままならない方をはじめ、(働きたくても働けない)方々を中心に採用をしました。

誰もが再現可能なマニュアル作成や環境づくりを実践し続けることで、業界全体で出荷製品の約40%が検品不良(店頭で販売できない商品)になる常識を覆し、自社検品不良率はわずか0.3%未満に引き下げる仕組みを、日々の改善の末に構築できたときは、まさに奇跡をみんなで起こせた!と歓喜しました。

* 検品会社にて、朝礼で成果を報告し合う様子

この仕組みを構築するため、採用した職人さんたちに厳しくクオリティや組織文化に応じた行動を要求することも多々ありました。しかし、どんな時も職人さんたちは、「マダム、元気!?ご飯は食べた??」と、私を気遣ってくれたのです。能力や教育の有無に関わらず、バングラデシュならではの人柄や素養があったからこそ、法人を軌道に乗せることができたのだと、改めてみんなの頑張りやサポートの有難さを実感します。


● 言葉では表せない充足感とやり残したこと

その後、検品会社は黒字経営で、雇用人数は45名、製造会社などのグループ会社を含めると1,000名を超える規模まで飛躍的な成長を遂げました。より働きやすい環境づくりを実現するために、シングルマザーの雇用は、小さな子供がいても安心して働けるよう、職人同士が工場で見守れる体制や託児所も整備しました。因みにわたしの唯一の息抜きは、職人さんたちの子どもと遊んだり、メンバーと合間にお茶をすするひと時でした。

* 2019年の退任時、コアメンバーと笑顔と涙の思い出の写真

2019年には組織文化も仕事の質も安定して担保できるようになり、黒字化もしておりましたが、会社はさらに大きくなっていくタイミングでした。工場で働かせて欲しいと志願する人々が、ほぼ毎日のように朝早くから工場のドアを叩くようになっていたのです。会社に出社する道中でも、毎日のように物乞いや、働かせてほしいという声は絶えませんでした。

これらの状況の中、ひとりで、またわたしたちの会社だけで雇用をさらに増やしていくこと、そして組織を見守り、教育・リードしていくことは、業界全体でやっていかなければ、きりがないと痛感しました。そしてその後、体調やその時の状況を踏まえて本望ではなかったですが、いずれたすきリレーは必ずするからこそ、ベストなタイミングで退任という選択をとり、みんなへバトンパスをしました。

勿論本音としては、わたしも、みんなも毎朝のように泣いて身体がちぎれるんじゃないかって思うくらい悲しく寂しいお別れでしたが、私のビジョンや考えに歩み寄ってくれる職人さんやマネジメント層に支えられたことや、彼らがわたしが居なくなっても文化や哲学を引き継いでくれ、体現できると信じていたからこそ、不安は残りつつも勇気をもって退任を決意しました。

創業時からマネジメントの役割を担う我々の度量やマインドによって、組織文化や規模は決まると信じて止まなかったので、一定の成果を示せたことは私の自信に繋がり、取り組む方向性に希望の兆しが見えましたが、同時にやり残したことも多く生まれたのです。


● このプロジェクトのキッカケを与えてくれた2人のエピソード

*当時現地の生活に馴染むまで親身に支えてくれたシェトウ氏(右)

彼女は、本革製品の専門学校を卒業後、元々は生産会社に在籍していましたが、女性だから仕事ができないという誤った先入観を同僚から持たれてしまい私のもとへ。コミュニケーション能力が高い彼女の能力を活かすため、マネジメント側に回ることを打診し、苦手だったパソコン業務やデータ管理なども克服するなど、最終的には海外のカスタマー対応の責任者へ抜擢しました。

これまで自分が出来ることしか取り組まなかった彼女ですが、自分自身が考えたアイデアが、お客様から喜びや御礼の手紙の反応として現れることに喜びを噛み締め、現在は、新たなチャレンジとしてブランドやマーケティングを更に学ぶためフィンランドに留学中です。

*サイフル氏(右から2人目)とチームメンバーとそのご家族。

彼は、複数の検品会社での勤務経験があり、職人としての実力は彼の右に出る者はいないと誰もが認めていました。しかし、家庭の経済的な状況で大学進学が叶わなかった一人でもあります。

そんな彼を識字弱者の職人チームのリーダーに抜擢すると、その方々に寄り添った振る舞いやマネジメントの極意を素早く吸収し、人間的にもチームを任せられるまでに成長しました。

その後、経済的な理由で大学進学が叶わず、一方的に縁を断ち切っていたご両親に対して、今まで育ててくれた感謝を示すために仕送りを始めたと報告をもらった時は、マネジメントとして活躍する以上に感動しました。

今、ご紹介した2人だけでなく、働く意味や意義、そしてマネジメントの極意を伝え続けることが、安心して輝ける環境を創出することに繋がり、自分自身の仕事に誇りを持ち、成長し自立していく姿を見届けてきました。

当時を振り返ると(働きたくても働けない)方々を雇用し教育することは、ある一定以上出来たかもしれませんが、皮革産業界全体で捉えると一つの工場という限定的な改善であり、限界があったと言わざるを得ません。

職人さん達はじめ、マネジメント人材(リーダーを担う)に、適性検査などのデータを基にした適切なフィードバックを施すことができ、経営者・マネジメント層の主観に左右されない体系的な研修を開発することができれば、皮革産業に携わるマネジメント層の現場サポート力(リーダーシップ)もぐんとあがり、より多くの働きたくても働けない方々を雇用し、活躍の場を広げることが可能になると考えています。

具体的な適性検査の内容や研修内容については、現地のパートナー企業の経営層と協議しながら開発を進めていきますので、プロジェクトページ等でクラファン終了後も報告をしていきたいと考えています。


●最後に

*2017年法人設立時の現地バングラデシュで、主要な職人のファミリー達と。

今回、新たなスタートを切る決意をしたのは、健全なビジネスの環境を整えることで、誰もが成長や学びの機会を平等に得ながら、永続的に働ける環境と安定した暮らしを、バングラディシュの方々に提供したいと本気で思ったからです。

バングラデシュは、わたしにとってとても大切な故郷であり、守りたい家族がいる国のひとつです。まだまだ課題が山積みで、実際に現地で暮らすと途方にくれることも多かったですが、小さくても続けること、そして共感してくれる方々と手をとりあい、実践し続けることが、大きな変化を生み、みんなの笑顔に繋がると信じております。

その繋がりが、きばり過ぎず、垣根を超えて共有できるものが増えるほど、これからの未来は変わり、チャンスが増えます。だからこそ、わたしが精一杯できること、まずは根を張った土地で縁のある皆様と共に視界が良好な時も不良な時も、エフォートレスでエンドレスに歩んで参りたいと思います。


P.S.最後の最後に。

ここまで読んでくださったこと、そしてこれまでの活動やこれからの活動に対して共感し応援してくださることを、心より感謝申し上げます。

また、わたしを近くで、また遠くからも見守り、支えてくださる家族や友人、仲間、関係者の皆様にも、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。わたしには、まだまだできることは少ないですが、こうしてみなさんと手を取り合うことで、伝わり広がるものは間違いなく大きいと信じています。

だからこそ、わたしたちの想いや信念を絶やすことなく、体現していく旗揚げ人として頑張って参りますので、引き続きどうぞ暖かく見守っていただきつつ、ご指導そしてご声援をいただけますと幸いです。

どうか、楽しみにしていてください!!


▼ブランドに込めた想い

 2021年末に創業した「nu.(ニュー)」という牛本革製品ブランドでは、「effortless & endless(エフォートレス & エンドレス)」をコンセプトに掲げています。

今の時代に生きる私たち一人ひとりが、自らの生き方や生き様に対する無理をしない判断基準を持つキッカケをお届けすること。

そして、あなた自身がこれまでの人生を通じて磨かれてきたセンスや能力を更に引き出し、これからの人生を共に歩んでいくことができる牛本革製品をお届けすること。

さらには、最短で化学薬品を一切使用しない植物性染料に切り替え、生態系を維持する労働環境を整えることも実現していきたいという想いが込められています。

そして、私と同様にこれまでに貧困国や発展途上国の支援を経験し、持続することの難しさを感じられた方々にブランドを通じて柔軟に最適な方法でお力添えいただきながら、皮革産業界の底上げから社会課題の解決の一助を担っていただける受け皿となりたいと考えています。

 

▼ プロフィール

仲渡春菜(なかとはるな)1991年、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。

人生のミッションは、社会や未来の子どもたちに必要な機会や事業の共創活動をすること。

 

▼経歴

学生時代からネパールで教育支援や国内地方創成、スタートアップの開発に従事。

2015年、新卒入社したソーシャルビジネスを展開する企業で本革ブランド立ち上げに参画。

2017年、バングラデシュで本革製品に特化した検品会社を創業。

早期黒字化に伴い、障がい者やシングルマザーを含む雇用創出と労働環境の整備を実現。

2019年、事業基盤を創り現地メンバーに託すと、代表を引退。

同グループも卒業に伴い帰国後は、事業創出と経営伴走を国内外で実践。

2020年、都内で「フルーツサンド & ティー」の店舗を展開する、haluuu株式会社を創業。

2021年、フルオーダーメイド、OEM &ODMを事業として手掛けるnu.株式会社を設立。

2022年、現在に至る。

 

▼メディア実績

「支援」から「ビジネス」へ 最貧国で奮闘する25歳

https://s.alterna.co.jp/challengers/66129

【王様のブランチ】巨大みかんがIN!ボリューム満点なフルーツサンド

https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=12629

 

▼ 資金の使い道

設備費:約150万円(適性検査、マネジメント研修の開発)

製造費:約200万円

発送費:約50万円

広報費:約50万円

手数料:約50万円 (10%+税)

 

▼ 実施スケジュール

2022年3月下旬:ブランドWEBサイト開設(予定)

2022年4月上旬:フルオーダーメイド製品のリターン選択者打ち合わせ(希望日程を事前にご連絡させて頂きます)

2022年5月下旬:リターンを随時発送

2022年6月上旬:マネジメント研修プログラム開発


▼ 募集方式について

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2022/04/03 12:00

    約30日間という短い期間でしたが、みなさまに見守られながら、無事に目標金額を達成することができました!いまだに実感が湧いていないのですが、それはやっとスタートラインに立てたという感覚が強いからだと思っています。今回、無事に目標を達成できたのは、一緒に走り抜けてくれたチームのメンバーやずっと応援...

  • 2022/03/31 23:00

    皆様のご支援によって、目標金額500万円を達成できました。本当にありがとうございました。ここからがスタートラインだと思っております。改めて感謝の気持ちは、丁寧にお伝えさせて頂きます。取り急ぎ、ご報告と御礼まで申し上げます。

  • 2022/03/31 18:00

    残り6時間となり、ゴールが目前に迫ってきました。。リターンも続々と品切れになってきましたが、フルオーダーメイド製品はまだ残っております。実際、どこまでフルオーダーメイドが可能かについて、約1分半の動画でまとめてみました。ぜひ、こちらの動画と合わせてご検討ください!https://drive.g...

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