和紙で革の風合いを表現する伊勢地方の伝統工芸「擬革紙(ぎかくし)」。現代に再興された技術を未来に繋ぎたい。

私たち(一社)明和観光商社は、三重県明和町の観光地域づくりに取り組んでいます。

明和町は、伊勢神宮のある伊勢市と松阪牛で有名な松阪市の間にある町です。

伊勢神宮のための土器・織物等を生産してきた歴史や天皇に代わって伊勢神宮に仕えた皇女「斎王」が暮らしていた国指定史跡「斎宮跡」があり、伊勢街道も通っていて、伊勢神宮と深い関わりのある地域です。

私たちは、かつてこの地域の大きな産業だった「擬革紙」を現代に再興された「参宮ブランド擬革紙の会」のみなさんとともに、その技術を未来に繋ぐべく活動しています。

「擬革紙」とはどういったものなのか、そして、これからどのような取り組みを進めていきたいのか、今回のプロジェクトについてお話しさせてください。


「擬革紙(ぎかくし)」とは?

革に擬(なぞら)えた紙=「擬革紙(ぎかくし)」。

「擬革紙」は、しわを付けたり、染色することで、革の風合いを施した和紙です。


「擬革紙」の誕生と再興

江戸時代、ヨーロッパから輸入された装飾革に影響を受け、明星村(現明和町)の堀木忠次郎「三忠」が1684年(貞享元年)に油紙を加工したことが「擬革紙」の始まりです。特に、「擬革紙」の煙草入れはお伊勢参りのみやげとして大流行したと言われています。

再現された擬革紙の煙草入れ

明治時代には、「擬革紙」は壁紙としてヨーロッパに輸出されます。「三忠」では、国内外の博覧会に出店し、1900年のパリ万博での金賞など多くの賞を受賞しました。

しかし、皮革や新素材が台頭するにつれ徐々に衰退し、昭和の初期には生産されなくなります。現在の「三忠」当主である堀木茂さんの祖父の時代のことでした。また、製法は口伝で文章による資料がほとんど残されていなかったため、「擬革紙」の技術は途絶えてしまいます。

そして、2004年(平成16年)、堀木茂さんが自宅の蔵から「擬革紙」やその製品・道具類を見つけます。「自分の先祖である忠次郎が作った「擬革紙」の素晴らしさに驚いた。それと同時に自分でも作ってみたい。」と思ったそうです。それからは、紙の専門家・古物商など「擬革紙」を知る人からの情報を手繰り寄せ、研究を重ねました。

その5年後、三重県の地域おこしプロジェクトを機に地域の有志が集まり、「参宮ブランド擬革紙の会」を設立し、「擬革紙」の再興を目指すことになりました。

7年の試行錯誤を経て作られた紙を、「参宮ブランド擬革紙の会」は「伊勢擬革紙」と称し、原紙と製品の販売、普及活動を行なっています。


「伊勢擬革紙」は絞り方によって風合いが異なる。こちらは「かのこ絞り」。

こちらは「さざなみ絞り」。


製品開発で新たに見えた「伊勢擬革紙」の魅力

都内在中のプラチナ世代の女性にヒアリングするなかで「軽さ」という機能面での魅力も見えてきました。

このたび製品化したA4サイズが収納可能なトートバッグは、同サイズの一般的な皮革製品の重さが800〜1,000gなのに対して450gと特徴的な軽さを誇ります。

皮革製品と同じように、使い込むほどになじんでいく過程を楽しむことができます。

また、裏には芯地を張っているので十分な強度もあります。


「伊勢擬革紙」のトートバッグ。さらっとした手触りでありながら、温かみのある絞り加工。


「伊勢擬革紙」の可能性

「エシカル」、最近よく耳にするワードですが、「伊勢擬革紙」もそこに通じているように感じます。

江戸時代に「擬革紙」の煙草入れが大流行した理由として、皮革が大変貴重であったこと、そして、伊勢神宮へ動物の皮革を用いた製品を身につけてお参りするのは憚るべきという考えがあったことが挙げられます。

昨今、皮革に代わるアニマルフリーな「ヴィーガンレザー」が話題ですが、「擬革紙」はその先駆けと言えるのではないでしょうか。

とは言え、現在「伊勢擬革紙」を作ることの出来るメンバーは平均年齢70代。

技術の継承が課題です。


これまでの活動

「擬革紙」の認知度は、ここ三重県明和町内でも決して高いとは言えません。

そこで、私たち(一社)明和観光商社が主催するイベントでのPR活動や「伊勢擬革紙」を用いた御朱印帳の販売等を実施しています。


神社で販売している「伊勢擬革紙」の御朱印帳

また、町内だけでなく、東京でのPRや販売にも力を入れてきました。

これからも、「参宮ブランド擬革紙の会」のみなさんのサポートをしつつ、若い世代である私たちに出来ることを模索していきます。

特に取り組んでいきたいことは『「伊勢擬革紙」作り体験』です。

現在、「伊勢擬革紙」は販路が限られています。

広く販売していきたい、けれども、たくさん作ることは出来ない。

その状況から考えたのが、『「伊勢擬革紙」作り体験』です。

技術を学びながら、直接「伊勢擬革紙」の魅力を体感していただきたいと考えています。 万力で絞り、「擬革紙」を作る体験は、先人の知恵を実感することができます。

これまで多くの方が体験された、絞った紙を型紙から外すときの感動を、みなさんにもぜひ体験していただきたいです。

万力で絞る様子

私たち(一社)明和観光商社は三重県明和町を観光で盛り上げる役割も担っていますが、明和町へお越しくださった方に「伊勢擬革紙」を知っていただくための機会を提供できていないのが現状です。

今後、この活動を発展させ、「伊勢擬革紙」を直接お伝えする場を作っていきたいです。


自分で絞った「伊勢擬革紙」で御朱印帳作り



このプロジェクトで実現したいこと

・より多くの方に「伊勢擬革紙」を知ってもらいたい

・「参宮ブランド擬革紙の会」のみなさんとの活動を発展させたい


リターンについて

ご支援くださった方へのリターンとして「伊勢擬革紙」のサンプル・各種製品・『「伊勢擬革紙」作り体験』をご用意しました。


《「伊勢擬革紙」のサンプル》

ハガキサイズのサンプルです。

まずは「伊勢擬革紙」がどのようなものなのかを実際に手にとってみてください。

ピアス等の小物作りにぴったりのサイズなので、クラフトが得意な方にもおすすめです。

「伊勢擬革紙」のサンプル(「かのこ絞り」)


《「伊勢擬革紙」を用いた製品(コードバンド・名刺入れ・カードケース・トートバッグ)》

「参宮ブランド擬革紙の会」のみなさん製作の、普段から使っていただきやすいラインナップです。

使い込むほどになじんでいく過程をお楽しみください。


「伊勢擬革紙」のトートバッグ


《『「伊勢擬革紙」作り体験』》

実際に工房にお越しいただき、堀木さんらと「伊勢擬革紙」の製造から、その原紙使った御朱印帳の製本までを体験していただけるプランです。


『「伊勢擬革紙」作り体験』で製作した御朱印帳


資金の使い道とスケジュール

いただいた支援金は以下の通り大切に使わせていただきます。

・リターン製作費

・リターン送料

・『「伊勢擬革紙」作り体験』を続けていくための費用(宣伝費・備品代)

・クラウドファンディング手数料等


「伊勢擬革紙」は原紙の製造から製品化まで、多くの工程が手作業です。

特にトートバッグは製作に時間を要しますので、支援が集中した場合は予定よりお時間をいただく場合があります。


2022年4月〜 リターン発送順次開始/『「伊勢擬革紙」作り体験』の日程調整開始

〜2022年7月 リターン発送/『「伊勢擬革紙」作り体験』実施


募集方式について

本プロジェクトはAll-in 方式で実施します。

目標金額に満たない場合も計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2022/04/12 16:08

    こんにちは!今週より、リターンの発送を開始しましたのでお知らせいたします。お手元に届くまで、もうしばらくお待ちください。こんなに多くの方にご支援いただいたのかと、嬉しい気持ちになりながらの梱包。新しく加わったメンバーも一緒になって行いました。本当に、ありがとうございます。そして、「伊勢擬革紙」...

  • 2022/03/30 00:13

    ご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございました!おかげさまで、本プロジェクトは、目標金額を大きく上回る形で終了することができました。また、これを機に、全国の方に擬革紙を知っていただけたり、擬革紙について考えていただけたことが大変嬉しいです。ご支援いただいた方へのリターン商品の製作も、参宮...

  • 2022/03/27 17:53

    ご支援いただきありがとうございます。たくさんの方にご協力いただいた本プロジェクトですが、本日が最終日となります!おかげさまで、目標金額を大きく上回るご支援をいただきました。想像を上回る結果に、一同大変嬉しく思うと同時に、驚いています。リターン商品用の擬革紙も追加で作成しなければと嬉しい悲鳴。本...

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