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イタリアのフルインクルーシブ教育の全体像を紹介する書籍を出版したい!!

イタリアは半世紀も前から、障害の有無に関わらず、誰もが地域社会の通常の学校で学ぶ「フルインクルーシブ教育」を実践しています。日本のインクルーシブ教育やインクルーシブな社会の実現に向けて、イタリアの取り組みの歴史と教育現場の実践をぜひ知って頂きたいと思い、翻訳書を出版するプロジェクトを始動させました!

現在の支援総額

859,170

143%

目標金額は600,000円

支援者数

229

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2022/07/01に募集を開始し、 229人の支援により 859,170円の資金を集め、 2022/09/11に募集を終了しました

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イタリアのフルインクルーシブ教育の全体像を紹介する書籍を出版したい!!

現在の支援総額

859,170

143%達成

終了

目標金額600,000

支援者数229

このプロジェクトは、2022/07/01に募集を開始し、 229人の支援により 859,170円の資金を集め、 2022/09/11に募集を終了しました

イタリアは半世紀も前から、障害の有無に関わらず、誰もが地域社会の通常の学校で学ぶ「フルインクルーシブ教育」を実践しています。日本のインクルーシブ教育やインクルーシブな社会の実現に向けて、イタリアの取り組みの歴史と教育現場の実践をぜひ知って頂きたいと思い、翻訳書を出版するプロジェクトを始動させました!

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本邦初!!! イタリアの「フルインクルーシブ教育」の全体像を紹介する書籍を出版したい!!!


はじめに

 イタリアは1970年代から、障がい児のための学校(日本でいう特別支援学校)を廃止し、原則として誰もが通常の学校で学ぶ「フルインクルージョン」の教育を実践しています。イタリアの「フルインクルージョン」教育については、専門家たちの間でも大きく評価が分かれていて、批判的な見方をしている人も少なくありません。私は長年にわたって、イタリアに赴いて現地の学校や障がい者の関連施設を調査してきましたが、そうした批判のなかには、一時期の状態や限られた見聞に基づいていると思えるものも少なくないようです。偏見やバイアスを超えて、イタリアの取り組みを知ってもらうためには、全体像を知ってもらう必要がありますが、体系的でわかりやすく記した書物がこれまでありませんでした。そこで、そのイタリアの取り組みの全体像を一人でも多くの方々に知って頂きたいという強い思いから立ち上げることになったのが、この翻訳書出版のプロジェクトです。


                                        (小学校の美術の授業の様子)


日本とイタリアの障がい児に対する教育の違い

 イタリアでは、半世紀にわたって、誰もが通常の学校で学ぶ「フルインクルージョン」の教育を実践しています。現在、日本を含め、世界中で広い意味での「インクルーシブ教育」の取り組みが進んでいます。しかし、障がいのある子どもたちの99パーセント以上が通常の学校で学んでいるイタリアの取り組みは、多くの国の「インクルーシブ教育」とは根本的に異なっています。

 イタリアが、教育の方向性を大きく転換させたのは1970年代のことでした。それまでの障がい児をめぐる分離を前提とした考え方を改めて、フルインクルージョンの教育に転換したのです。その開始にあたっては、障がい児をめぐる考え方を根本から改め、通常の学校であらゆる教育的ニーズを持った子ども達を受け容れるために、新たな仕組みを構築し、現在に至るまでその改善に努めています。

                           (小学校でのマンツーマンの指導の様子)


たとえば少人数制の学級をつくり、複数の担任を置き、さらに教育、医療、福祉分野の専門家たちがチームを組んで教育活動を行うことで、障がいの有無に関わらず、誰もが同じ教室で学ぶことが可能になっているのです。通常の学校のなかに特別支援学級(障がい児だけの学級)を設置して、言わば部分的なインクルーシブ教育を行っている日本の試みと、特別支援学校も特別支援学級も廃止して完全なインクルーシブ教育、つまり「フルインクルーシブ」な教育を行っているイタリアとでは、根本的な考え方が大きく異なっているのです。

            

                              (ボローニャにある小学校の教室の様子) 

 

 それから学校を卒業した後も、イタリアと日本の状況は大きく違います。特別支援学校(養護学校)を維持し続けている日本では、障がい児だけの学校で学んだ子どもたちの多くは、卒業後も障がい者だけの職場で仕事をしていくことになります。イタリアでも、障がい者に対する就労支援、そして様々なニーズに対応する支援の仕組みは用意されていますが、障がいを持った方々だけの職場という発想はそもそもありません。つまり、イタリアでは、真の意味でのインクルーシブ教育を実践することが、そのままインクルーシブな社会を実現するための第一歩になっているのです。


このプロジェクトで実現したいこと

 日本が、インクルーシブ教育をさらに推進し、そして、よりいっそうインクルーシブな社会を築いていくためにも、半世紀にもわたって、実際にフルインクルーシブ教育を実践してきたイタリアの「知恵」を参考にすることは、大きな意義があるのではないでしょうか。本書の出版を通じて、イタリアの取り組みを知り、それを参照することで、日本の将来のインクルーシブ教育の可能性をもう一度問い直してみるきっかけになることを期待しています。


プロジェクトの目的

 このプロジェクトの目的は、イタリアのフルインクルーシブ教育を紹介するために、イタリアで出版された書籍を翻訳出版することです。

 イタリアのフルインクルーシブ教育は、専門家たちの間では、論文や書籍といった形で少しずつ紹介されてきました。しかしながら、日本でイタリアのインクルーシブ教育を研究している研究者の数は非常に限られているため、半世紀も前からフルインクルージョンの教育を実践してきているイタリアの稀有な取り組みの神髄は、残念なことに、一般的にはあまり知られていないと思います。

 本書の原著に当たる書籍は、イタリアで2012年に出版されたアントネッロ・ムーラ著『Pedagogia speciale. Riferimenti storici, temi e idee(『ぺダゴジア・スぺチャーレ その歴史・主題・理念』)です。ちなみに、「ぺダゴジア・スぺチャーレ」は直訳すると「特別教育」となりますが、現在の日本の「特別支援教育」とは、ベクトルの方向が異なっており、本書にはそのことが丁寧に記されています。著者のムーラ氏は、イタリアのカリアリ大学で教鞭をとっておられ、本書はイタリアの大学で教科書的に活用されています。そして、この1冊でイタリアのフルインクルーシブ教育の歴史、主題、理念といったものが、体系的に学べるようになっています。

 さらに今回、翻訳して出版する日本語版では、あらゆる教育的ニーズを抱えている子どもを通常の学校で受け容れるにあたって、イタリアの学校の現場には、どのような具体的な仕組みが用意されていて、どのような実践が行われているのかを、原著出版後の動向も含めて網羅的に紹介する詳しい解説を掲載しました。つまり、この一冊を読めば、イタリアのインクルーシブ教育の歴史的な変遷と、現在、実際に行われている教育現場での実践という両面から、イタリアの教育の全体像が理解できるようになっています。この翻訳書の出版を通じて、イタリアで行われているフルインクルージョンの教育の全体像を知り、興味を持って頂けることを願っています。

                              (ボローニャにある小学校に設けられた個別学習スペース) 


こんな方に読んでほしい! 

 本書は、福祉や教育の関係者、研究者、そして障がいのある子どもたちのご家族など、様々な方々に手に取って頂きたいと思っています。障がいがある無しに関わらず、共に学ぶことを目指す「インクルーシブ教育」は、理念であって、明確なゴールが定められているものではありません。したがって、世界で行われている教育実践は実に多岐にわたっています。「インクルーシブ教育」には、どのような形態があるのだろう? 「インクルーシブ教育」はどのような可能性を持っているのだろう? そして本当の意味でのインクルーシブな社会とはどのようなものだろう? こうしたことに関心を抱いている方に、ぜひ本書を手に取って欲しいと思っています。


プロジェクトを始めた理由

 本書の監修者である私は、およそ20年前からイタリアのインクルーシブ教育の研究を続けてきました。様々な学校や障がい者に関連する施設を訪問するなかで、教育分野のみならず、医療や福祉の分野とも共通した理念、理念先行でスタートしながら時を経て整備が進む具体的な仕組み、そして多職種との連携による教育現場の実践などが、イタリアの「フルインクルーシブ」な教育を可能なものにしていると受け止めています。

 私は以前、障がいのある子どもたちが通う日本の公立の養護学校で教員をしていましたが、障がいの有無に関わらず、あらゆる子どもたちが地域の学校で一緒に学んでいるイタリアの取り組みから、「障がいがある子どもたちにとって、(日本の特別支援学校のような)特別な場で学ぶことが最も幸せ」というとらえ方は一面的なものであることを学びました。

 また、本書の訳者は、イタリアで過去に長い留学生活を送った経験を持っていて、誰もが同じ地域の学校に通学し、学校を卒業した後も、地域で仕事をして暮らし続けている様子を目の当たりにしています。障がいがあっても、地域の誰もが「あなた」を知っていて、共に散歩を楽しみ、おしゃべりに花を咲かせ、買い物をし、バールでコーヒーを飲んだりテレビで贔屓にしているサッカーチームの応援をしたりする、こうしたことが日々当たり前に行われているのがイタリアの社会です。

 イタリアのインクルーシブ教育の実践にも課題が無いわけではありませんが、「インクルーシブ教育」の理念の追究が、教育実践の根本になくてはならないことを教えてくれています。こうしたイタリアの実践を、ぜひとも多くの人々に知らせたい。この思いが、このプロジェクトを始めたそもそもの動機になっています。


                                     (ミラノ市内の中学校の授業の様子)

 

これまでの活動

 イタリアのフルインクルーシブ教育の全体像を紹介する書籍を出版したいという思いは、以前から抱いていました。そして、同じ思いを抱いていた訳者との出会いにより、このプロジェクトは具体的に始動することになりました。

 まず、2019年にイタリアの関係者にも意見を求めて、翻訳する書籍選びをはじめました。2020年には具体的な翻訳活動を開始し、2021年には出版社が決まりました。そして、何度も何度も、訳文の推敲作業を続け、ようやく2022年9月の出版予定までたどり着くことができました。非常に骨の折れる作業を続けてきましたが、なんとか出版の目途が立ってほっとしています。ぜひとも、一人でも多くの方々に本書を手に取って頂きたいと、心から願っています。


資金の使用について

 翻訳書の出版費用に当てたいと思っています。


リターンについて

 出来上がった書籍をお送りします。ご支援頂く金額(2,970円)には、書籍本体と

送料が含まれています。


本書の内容

タイトル:『(仮)イタリアのフルインクルーシブ教育―障害児の学校を無くした教育の歴史・主題・理念―』

出版社 明石書店

著者・訳者:大内進監修・大内紀彦訳

販売予定価格:2,700円(税込み2,970円)

ページ数:約280ページ(予定)

本の目次:

日本語版まえがき………………アントネッロ・ムーラ

序文

イタリアにおけるフルインクルーシブ教育に学ぶ………………大内進


1章 教育的な意図の彼岸―遠い過去へのまなざし

(1)「足跡」を再構築する難しさと障がいの拒絶

(2)「複数のまなざし」の必要性

(3)「例外」から最初の興味の芽生えへ

2章 ジャン・マルク・イタール―「独善的な診断」から教育的な関係へ

(1)侮蔑と科学的な関心―18世紀末のフランスにおける「異質さ」

(2)違いの存在が「アイデンティティ」を育てる―ジャン・マルク・イタールと「アヴェロンの野生児」

(3)教育的な介入と方法―ほのかな兆し

3章 エドゥアール・セガンと「白痴」の教育

はじめに

(1)エドゥアール・セガン―人柄と略伝

(2)「白痴」の教育―思想と方法

4章 フランスからイタリアへ―マリア・モンテッソーリ

(1)「精神障がい(知的障がい)」―国外への関心からイタリアの文化的な文脈へ

(2)マリア・モンテッソーリ―最初の人間形成期における医学、文化、社会参加

(3)知的障がいへの関心とモンテッソーリ自身のコミットメント

(4)自由としての教育

5章 知育と人間形成の教育―長く複雑な文化的・社会的進展

(1)公立学校における教育の道のり―初めての措置

(2)世界的な変化―解放運動の広がりと政治的・社会的な変化

(3)万人を受け容れる学校―30年の道のりの光と影

6章 インクルージョンを実現するための新たな概念・文化モデル

(1)障がいを見つめる新たな視点―国際障がい分類(ICDH)から国際生活機能分類(ICF)へ

(2)「精神遅滞者(知的障がい者)の権利宣言」から「サラマンカ宣言」へ

(3)2006年の国連条約 

7章「ぺダゴジア・スぺチャーレ」と特別な教育方法論の貢献

(1)「ぺダゴジア・スぺチャーレ」の目的と課題

(2)インクルージョンのための教育法

8章 インクルージョンのプロセスに現れる側面―いくらかの自覚と多くの挑戦

(1)専門化されたスキルからスキルの共有へ―取り組みを包摂するシステム

(2)世界を生きる―個別教育計画から生涯計画(ライフ・プロジェクト)へ

(3)世界を構築する―主人公としての市民

訳者あとがき………………大内紀彦

原著参考文献

日本語主要参考文献



実施スケジュール

7月初旬   クラウドファンディング開始

7月~    出版社との校正作業

9月初旬   クラウドファンディング終了

9月中旬   書籍が完成

9月末頃   随時、書籍を発送予定


最後に

 将来、日本がよりインクルーシブな教育、そして、よりインクルーシブな社会を築いていくために、世界に先駆けてフルインクルーシブ教育を実践してきたイタリアの取り組みを知ることは、きっと役に立つはずです。まずは一人でも多くの方々に、「フルインクルーシブな教育」を実現している国がある!そして、その教育はどのように実現されたのか!ということを知って頂くことが、はじめの一歩になると思っています。イタリアのフルインクルージョンの教育を知ることは、日本のインクルーシブ教育の新たな可能性を知ることにもなるはずです。そして、その先には、よりインクルーシブな社会が開けてくるはずです!私たちのこうした願いに共感して頂けたら、ぜひともご支援をよろしくお願いします!!!


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

最新の活動報告

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  • ついに完成!

    2022/09/07 19:59

    長らくお待たせしておりましたが、ついに拙訳書が完成しました!今週末から順次発送させて頂きます。今しばらくお待ちください。 もっと見る

  • いよいよ拙訳書が刊行間近となり、カバーが決定しました!挿画には、KAMIJO MIKAという作家さんの「人ひとヒトだらけだよ」という作品を使わせて頂くことにしました。(2014年 1058×754㎜ コンピューターグラフィックス)00059_00113「人ひとヒトだらけだよ」 | Able Art Company もっと見る

  • 特別支援学校(養護学校)を無くして、障害があっても「みんな」が地域の学校で学んでいるイタリアのフルインクルーシブ教育。教師から生徒に一方向的に授業が行われるいわゆる講義形式の授業ではなく(知識の詰込み型ではない)、グループ学習形式の授業も多用されています。また複数の科目にまたがる合科的な内容を扱う授業が多く行われているのも特徴です。(写真は、ミラノ市内の中学校の授業風景) もっと見る

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