「エレファントの叫び〜声なきものたち」英語タイトルは「Unspoken Souls」の奥野です。2021年10月のクラウドファンディング第1弾では、多くの方々からご支援頂きありがとうございました。今回は後半の制作作業に向けて、新たにみなさんのご支援をお願いできればと思います!

※上の一番大きな写真をクリックすると予告編が見れます。

私たちの映画はドキュメンタリー映画の登竜門「Tokyo Docs」に選ばれました。

Tokyo Docsとは日本、アジアから応募された多数のドキュメンタリー企画から各10組が選ばれ、
映像業界のプロの協力を得てそれらを国際的に通用すべく磨き上げ、欧米メディア市場につなげるプログラムです。
国際的な映像制作者を育成するために2011年から始まり、日本発の支援プログラムとして世界で注目されています。
私たちも2022年11月に世界の映像関係者、プロデューサーを前にピッチ(プレゼンテーション)を行います。
そのピッチを成功させ、世界に向けて「エレファントの叫び〜声なきものたち」を発信できるチャンスをつかみたい。そんな思いで、今、ピッチの準備にも取り組んでいます。

映画「エレファントの叫び〜声なきものたち」で観光の背後にある象たちの搾取の現状を伝えたい!

<虐待>

映画で伝えたい現実のひとつは、観光客におなじみの象乗りや象のショーの背後にある虐待の問題です。子象は3歳前後で母象から引き離されて強制調教「パジャーン」を受けます。母象とのつながりは断ち切られ、人間への絶対服従を叩き込まれます。2004年、タイに移住した当初、この現実をまったく知らずに象に乗った自分を思い出して悲しくなりました。「知ること」が「何かを変えること」の第一歩なのだと私自身、実感しています。

下記のビデオは映画本編用の動画の一部を編集したものです。

日本でも近年、動物福祉の意識が広がり始め、ペットの犬や猫の保護、動物園や水族館のあり方がメディアでも取り上げられるようになってきました。ただ観光立国タイの象観光の舞台裏を知る日本人はまだ少ないのが現状です。2019年、日本からタイに180万人ほどの観光客が訪れています(日本政府観光局データより)。例えばそのうち3人に1人が象乗りをしたとすれば、年間60万人の日本人が無意識的に象の虐待に加担してしまったともいえます。

象観光の背後にある虐待問題は国際社会で強く非難され、タイでは現在、象乗りや象のショーのないエシカル(道徳的)な象観光の施設が増え始めています。コロナがおさまり今後、旅をするときに日本の人々にもそうしたエシカルな象観光施設をぜひ選んでほしいと思います。


<虐待からの救出>

国際的な動物保護活動家でこの映画の主人公サンドゥアン・レック・チャイラートさんは、2021年8月にある象観光施設から生後3ヶ月の雌象チャバと17歳の若い母象ブンマを救出保護しました。私たちは保護前の母子、救出のようす、保護後の母子を1年にわたって追いました。観光客のための搾取からとき放されて、自由に暮らすと象はどう変わるのか...。撮影をしながら動物園の動物たちのことを思わず、考えてしまいました。

なお保護移送の際、車道での危険回避や近隣住民への迷惑回避、象の安全を考えてマフート(飼育員)が鍵状のフックを持って母象に乗り、万が一に備えてロープも使って誘導しました。レックさんが創設した保護施設「エレファント・ネーチャーパーク」に到着後は、同パークの方針ですべてが外され象たちは自由になります。


<象の故郷にはもう森がない>

観光業で働いていた象の多くがコロナ禍の間、象の所有者の村に戻っていました。タイの象観光施設は地方の村に住む象所有者からリースしている象たちが多いのです。観光収入が途絶え、象の餌や飼育師(所有者が出稼ぎで兼任することが多い)の給料も満足に受け取れない中、象と飼育師たちは故郷の村に戻ったのです。

タイとミャンマーの国境近くの村に戻った象を撮影したとき、私たちが目にしたのは壮絶な森林破壊の現実でした。故郷の村周辺の森は換金作物の家畜飼料用トウモロコシ畑に一変し、住処のない里帰りした象たちは村から20キロ離れた森にとどまるしかないのです。徒歩の旅全行程を撮影しましたが、その途中に出現する禿山の光景に私たちは言葉失いました。象〜人〜観光産業〜自然破壊のつながりが制作チームの中で見え始めています。

今年5月にタイの観光が再開し、多くの象と飼育師は象観光施設(エレファントキャンプ)に戻りました。一方、まだ森の残っている地域では、低賃金と重労働のエレファントキャンプでの仕事を拒み、少数派ですが故郷の村でエシカルな象観光を模索する人々の動きも出始めています。


まるで砂漠を歩くラクダのように丸裸になった山間を歩く親子の象たち。映画本編ではさらにショッキングな現実が...。

100年前のタイの国土は森林で覆われていました。19世紀の終わりからイギリスの材木会社がタイやミャンマーで、主にチーク材を伐採して当時イギリス領だったインドでの鉄道の枕木や船舶の甲板に使用したのです。木材の切り出しは1989年の商用材木の伐採禁止まで続けられ、象と象所有者である少数民族の人々が材木の運搬現場で酷使されてきました。


一方、1960年前後から耕作地の開発とともにタイの森林はさらに失われていきます。耕作地では遺伝子組み換えした1世代のみの飼料用とうもろこしが植えられ、その生育用に大量の化学肥料が使われます。土は痩せ衰え、さらに化学肥料を使わないと「とうもろこし」が育たない負のスパイラルに村人たちは陥っていきます。土が痩せ衰えて他の作物への転換ができず、結局、飼料作物の「とうもろこし」を作るしかないというのが現状なのです。

森を失った地域は水も失います。毎年、乾季になると禿山の地域は水不足にも悩まされるのです。タイの国土を覆っていた森林の75%以上が消失したといわれています。

象と象を守ろうとする人々の撮影で見えてきたのは私たちの未来を思わせる姿です。グローバルなテーマである自然破壊の現状とその背後にある矛盾が、タイの国境付近で目にした象と禿山の風景に凝縮されていました。


長期の撮影で希望も目にしました。象と人と自然の共存を模索する人々です。地域に根差してその自然を守りながら、象とともに生きていける環境をつくろうと奮闘するある象所有者の生き方も映画で描いていきます。以下は昨年の稲刈りの映像からです。


こうした人々はおもに山岳少数民族の出身です。先祖の教えや知恵に立ち返り、森を守ってこそ生きていける。経済発展の中で切り捨てられてきたこと、都会に暮らす私たちが忘れてしまったことを守ろうとする人々の暮らしを描くことで、象と象を守ろうとする人々の物語を「他人ごと」ではなく、「自分ごと」として感じていただけたらと思っています。


映画完成後は日本で上映会を予定しています。その時に映画の主人公であるサンドゥアン・レック・チャイラートさん(通称レック)に講演会もお願いしたいと考えています。

命をかけて象を守ってきた人です。コロナ禍で1800頭の象たちに食量を配りおよそ1700人飼育員の生活を支えました。また、エシカルな観光をタイに広げたその長年の功績を讃えて2022年フランスのレジオンドヌール勲章を受賞(10月に授賞式)。また、アメリカのスミソニアン国立自然史博物館にレックさんと象の彫像を置かれた部屋ができます。レックさんに象や動物たちとの共存や自然を守ることの大切さを話してもらいたいと思っています。


レックさんが生まれ育った故郷のエレファント・ハイランド。雨が降ってきたら葉っぱを拾って雨よけの帽子をさっと作りました。子供の頃、これが傘の代わりだと言っていました。


資金の使い道

映画の進捗状況ですが、撮影はおおよそ60%くらい終わったところです。2023年2月にはクランクアップの予定。
当初の予定より遅れています。
その後、編集に入ります。そこで、ポストプロダクションの費用を捻出したいと思っています。

映画制作費の内訳で。今回のクラウドファンディングでは撮影が終わってからのポストプロダクションに
つかわわせて頂きます!

内訳

映像制作費’(3年間)(人件費、翻訳、機材代、移動宿泊費)      14,000,000円

整音、音楽効果、楽曲使用料 (2ヶ月)           2,000,000円

編集費+映像データ仕上げ  4ヶ月            2,000,000円  

宣伝広報費(海外の映画祭参加費用含む)         1,000,000円 
                        合計  19,000,000円 

                            

リターンについて

2021年に行った1回目のクラウドファンディングで協力していただいたアーティストももねこさんの絵葉書やノート、そして新作のカレンダーもこの度、リターンで使わせて頂きます。ももねこさんの素晴らしい世界をリターンに選んでください。

戸田ももこさんの夫、アーティスト ルカーさんの鉄で作る象のオルゴールもあります!
曲も5、6曲から選べます。

前回のクラウドファンディングでもとても好評だった『象の支援ケーキ』もあります。

家族、友人の記念日にサプライズの贈り物になると思います。
ビデオを撮影して送ります!以下が実際に送ったビデオになります。サンプルとしてご覧下さい。


もう一つは現在、象に深く関わっているカレン族の方がオーガニックで作ったコーヒーを選びました。このコーヒーは現在、映画に通訳としても関わっていただいているスエさんという方が作っています。そのブランド名はレージーマンコーヒーと言います。日本語にすればナマケモノコーヒーです。でもスエさんはナマケモノなんかじゃなくよく働く人です。ナマケモノには「自然に即した生き方をする」という意味が込められています。スエさんはカレン族の教えを守って自然を大事にしながら暮らしている人です。奥野も毎朝、このレージーマンコーヒを飲んでます。美味しいです!

以下がスエさんの暮らしです。


 スエさんと長女 標高1100mの森の中でコーヒーの実はなります。

収穫は毎年12月から2月上旬まで。

 

 

北タイでオーガニックのカカオから作っているガートココア(Kad Kokoa)の手作りチョコレートです。工業製品ではなく、農家の方と協力しながら一つ一つ丁寧に作っています。僕たちの取材を通して知ったパニッティーさんヌッタヤーさんが作っています。国際的な賞を取っています。こちらが日本のサイトです

※日本のサイトから抜粋
2018年にタイ・バンコクにオープンしたビーントゥーバー*チョコレートメーカーです。 タイの様々な地域で収穫される厳選したカカオ豆のみを使用し、素材の味を大切にしたチョコレートをお作りしています。 Kad Kokoaは今後も、タイだからこそ生み出せる美味しいチョコレートを作り続けることで、 更なるタイのカカオマーケットを創り出します。

奥野もネットで取り寄せて買っていますが、このチョコは絶品です!ぜひ食べて頂きたいです。


最後はお茶です。北タイの野生の茶葉のみで作っているお茶です。モンスーンティーと言います。
オーナーのケネスさんはスウェーデン人でタイの野生の茶葉に魅せられてタイに移住してモンスーンティーを始めた方です。ケネスさんは生物多様性を大事にしています。それが以下の写真です。鬱蒼とした森で育まれた野生の茶葉はとても味わい深いです。午後の紅茶はこのモンスーンティーでどうぞ。奥野も自信を持っておすすめできる紅茶です。

食べるお茶「ミアン」の葉っぱ。


<映画制作予定>

2023年2月、撮影終了

2023年7月、編集終了

2023年9月、整音、音効、映像データ完成

2024 年から映画祭への出品

2024年、日本での上映、講演会 後半、世界各地での上映スタート。

映画完成までまだまだです。壁もたくさんあります。しかし、日々、象や象たちを懸命に守ろうと
活動している現場にいると、なんとしても、やり抜きたいという気持ちが湧き上がってきます。

この映画をみなさんに届けたい。日本だけではなく世界に届けたいと思っています。
是非、みなさんのご支援を頂きたい。よろしくお願いします!


 奥野安彦、佐保美恵子 
(プロデューサー&ディレクター) 

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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