鋸山美術館(千葉県富津市金谷)
はじめに

(11/3追記)この度は多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございます。期間内に目標を達成でき、スタッフの励みになっております。

(11/17追記)ネクストゴールも達成することができました!皆様には厚く御礼を申し上げます。なお、今後のご支援は展覧会記録集の作成のために充てさせていただきます。展覧会の一層の充実化のために、引き続き皆様からのご支援をお願い申し上げます。

鋸山美術館は、2010年3月に開館した若い美術館です。オープン当時は「金谷美術館」の名前で、「石と芸術」をテーマに、千葉県富津市金谷の「芸術」のシンボルとして皆さまに親しまれてきました。10周年を機に千葉県の名山、鋸山の名を冠した「鋸山美術館」に名称変更し、今に至ります。

【 鉈彫(なたぼり)による木彫の仕上げをする長谷川昻 】

【 実現したいこと 】
長谷川昻芸術再発見のための展覧会

突然のことですが、2023年1月から、千葉県出身の木彫家・長谷川昻の展覧会を鋸山で開催できるチャンスが巡ってきました。あまりに時間が短く、予算立てもできていない現状ですが、皆さまからのご協力をいただきながら何とかこの素晴らしい彫刻家の展示を実現したいと考えています。展覧会では、一般的な回顧展では無く、長谷川昻の遺した道具や材料、エスキースたちを展示しながら「アトリエの記憶」を再現したいと考えています。

【 観音像の粘土原型をつくる長谷川昻 】

展覧会の背景

長谷川昻は明治・大正・昭和・平成を生きた彫刻家で、東京湾観音の原型を制作した作家です。「鉈彫(なたぼり)」と呼ばれる独自の木彫表現を確立し、その作品は千葉県立美術館にも収蔵されています。

木彫家・長谷川昻は2012年に逝去しましたが、アトリエはしばらくそのままの形で遺されました。2019年11月に、有志がその整理にあたり、多くのものが廃棄される運命にありましたが、この芸術の記録をもう一度展示し、皆さんの記憶に残したいという思いが今回の展示に結びつきます。

下の写真は制作のためにつくられたエスキースたち(石膏原型・木彫習作)です。一般的にこうした制作の構想は作品として世に出るものではありませんが、その芸術を成す思想や信念が込められており、長谷川昻芸術の全体像の理解を深めてくれるものです。現状、これらを永続的に保存する環境は無く、支援が得られなければ破棄をせざるを得ない状況です。しかし、独自の木彫表現に至ったその証を展覧会で表し、日本近代木彫の一つの結実を皆さんにもみていただきたいのです。

【 木彫作品のための習作・石膏原型 】

資金の使い道・実施スケジュール

鋸山美術館は、地域文化力向上に寄与するため様々な企画展を行っています。しかし、各展覧会は色々な方の協力によるコンパクトな予算で開催しており、急な企画に対応する予算は十分にありません。今回のクラウドファンディングでご支援いただけた資金は、下記の内訳での使用を予定しています。なお、目標額を超えてご支援をいただいた際には、展覧会記録集の作成費に充てさせていただきます。

・作品搬入費(運搬費・人件費):8万円
・フライヤー・ポスターの制作・発送費:17万円
・展覧会Webページ準備費:5万円
・陳列台準備費:3.5万円
・展示関連費(展覧会パネル等):3万円
・手数料:約 8.5万円 (17%+税) 計45万円
(・展覧会記録集:目標額を超えてご支援いただいた分)

・2022年
 10月 展示作品選定・作品貸借手続き
 11月 展示資料準備・広報物制作
     Webページの準備
 12月 広報物発送・作品搬入陳列作業(下旬)
・2023年
  1月 展覧会オープン(1月2日)
    展示解説会(日程未定)
  5月 展覧会クローズ(5月初旬)

【 木彫・釈迦十大弟子の完成記念写真 】

リターンと寄付型プロジェクトについて

* 画像の作品はリターンではありません。

本プロジェクトは寄付型のクラウドファンディングで行うこととしており、対価性のあるリターンをお届けすることができません。リターンとしては、お礼状と展覧会報告を送らせていただきます。本活動にご賛同いただき、ご支援いただいた皆様のお名前は、美術館ホームページ上にてご紹介させていただきます(ご希望の方のみ)。

本プロジェクトへのご支援は、 「公益財団法人 鋸山美術館」への寄付金となり、弊館が寄付金の受付及び領収証発行を行います。このプロジェクトの寄付は寄付金控除の対象になり、一定の条件のもと、所得税控除の適用を受けることができます。「寄附金控除」をお受けいただくためには、確定申告の際に、公益財団法人 鋸山美術館が発行した領収証をもって確定申告をしていただく必要がございます。領収証はCAMPFIREではなく当館が発行し、2023年1月の郵送を予定しています。

【 鑿(のみ)を振るう長谷川昻 】

最後に

今現在、木彫家・長谷川昻の名を知る人はそれほど多くないのかもしれません。発信力の求められるこの現代で、必要以上に多くを語らない長谷川昻の作品は、寡黙すぎると言われるのかもしれません。しかしながら、その芸術は日本近代木彫史上に位置付けられるべきものであり、何より、誠実で、温かく、「映え」を超えた説得力があります。

一つの作品には何万回もの鑿が振るわれます。一人の作家が、ただ実直に彫刻と向き合った時間がそこにはあります。3D技術の革新によってより即席で形が生み出される今だからこそ、是非実展示にて長谷川昻の芸術に触れていただきたいです。


長谷川昻略歴

1909年 千葉県鴨川市粟斗に生まれる
      県立長狭中学校(現高校)卒業
1931年 高村光雲に認められ上京、日本木彫会入会
      佐々木大樹、内藤伸の指導を受ける
1936年 文部省美術展入選
      文展特選、無鑑査を経て日展審査委員
1961年 東京湾観音完成(開眼供養)
1962年 サイゴン国際美術展彫刻最高賞受賞
1970年 釜石大観音完成(落慶)
1976年 釈尊と十大弟子完成
1977年 千葉県教育功労者
1986年 千葉県文化功労者
1988年 千葉県美術会会長
1989年 文部大臣表彰受賞(地域文化功労)
1991年 鴨川市名誉市民となる
1997年 米寿記念展を鴨川市民ギャラリーにて開催
2001年 市制30年記念に木彫62点を鴨川市に寄贈
2012年 逝去

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