天然の有機(オーガニック)アクセサリーの温もりに魅せられて、気が付けば三十年。

はじめまして、天然素材アクセサリー(べっ甲や真珠、珊瑚、琥珀など)のデザイナーをしている和久田和之と申します。わたしは若いころより天然素材の持つ魅力に惚れ込み、天然素材アクセサリーをつくって三十数年になります。

天然素材(べっ甲、天然素材の魅力をひとりでも多くの方に伝えたいとの思いで2017年に天然素材アクセサリーを開発・販売する会社NEWオーガニックを創業しました。小さな会社ですが素材のもつ魅力を新しい表現で発信していくことを思い、仲間とともに新たな伝統美の世界を広げていきたいと考えております。

職人たちの高齢化とともに、廃れていくべっ甲工芸。

べっ甲細工は海亀の-種である玳瑁の甲羅お水と熱と加圧によって加工される工芸手法です。
一枚の甲羅は極めて薄いため同模様の甲羅お重ね合わせてボリュームを出していきます。接着済などは使わないため、職人の高い技術が必要とされます。

ところが近年は職人の後継者が育たず、現在の職人たちは高齢化の一途をたどっています。
また、天然素材であるべっ甲は近年輸入することが出来ず、国内にある材料を大切に使うのみです。
知り合いの職人がひとり、またひとりと引退していくなか、このままでは長い伝統を持つべっ甲工芸が、廃れていくのではないかという危機感を持ち始めました。

奈良螺鈿の若き工芸家との出会い。

そんな時、製作の参考にと訪れた奈良のギャラリーで、ひとりの若い工芸家、日下部裕介さんに出会ったのです。
螺鈿と言えば伝統的な意匠が多い中、日下部さんの作品には伝統的な技法を学んだ丁寧な技術とともに、若い人らしいモダンな感性を感じました。
わたしは、この若い感性と技術をべっ甲に乗せてみたら・・・と思い描きました。


日下部さんは、大学で民俗学を学ぶなかで漆の技法に触れる機会があり、卒業後に心機一転輪島に移り、漆の伝統工芸の技法を学んだという変わり種です。
その後、奈良の重要無形文化財保持者である北村昭斎氏のもとで螺鈿を学び、普段は寺社の修復などに携わりながらご自身の作品をつくっておられると聞きました。


奈良時代から愛される、螺鈿工芸とべっ甲の相性

螺鈿工芸は夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝、アワビ、などの内側、虹色光沢お持つ真珠層のの部分お切り出した板状の素材に漆塗りお施した表面に彫刻し、その模様に合わせて切り出した貝片をはめ込み、さらに上から漆塗りから炭で研ぎ出して艶が出るまで磨き仕上げていきます。
奈良時代に唐から伝わり日本人の繊細な感性と共に親しまれてきた工芸手法で、正倉院の宝物のなかにも残されています。

貝の螺鈿工とべっ甲は同じ海から生まれたという共通する部分もあり、相性はとても良いのです。
遥か千年を超える昔に、海を越えて伝わったべっ甲・螺鈿の伝統技法が今もなお若い工芸家の手の中で生まれていく。
それは天然素材のアクセサリーをつくってきた自分にとってやりがいのある仕事です。


温もりのある天然素材に奈良螺鈿を生かしたアクセサリーブランド、Rococoが誕生しました。

そしてわたしたちの思いに共感してくれる仲間が、もうひとりいました。奈良で墨アーティストとして活動している、イマタニタカコさんです。
イマタニさんもまた、奈良の地で伝統的な墨を画材として新しい表現を模索しなながら活動しているアーティスト、Rococoのブランドロゴを力強い筆運びで描いてくれました。
ブランド名の「Rococo」(ロココ)は18世紀初頭にヨーロッパに広がった様式にことで豪華絢爛な装飾から離れ、自然の温もりややさしさに目を向けたスタイルのことで、日本美術にいにしえより流れる美の価値観と共通するものを感じます。
伝統的な技法、温もりを感じる素材、そして新しい美意識をイメージしたとき、Rococoという名前がしっくり来たのです。



高騰する天然素材の調達には、資金がかかります。


苦しいことですが、希少性からべっ甲も蝶貝も材料費が高騰し続けています。
天然素材であるために人工的に大量生産できないこともあり、いまあるものを大切にしながら、新しい伝統美の宿るアクセサリーをつくり、また大切に感じてくださる方のお手元に届けることが出来たらと考えています。
皆様からいただいたご支援は、すべて材料費と製作費に使わせていただきます。
中間の卸業者を介さず、直接作り手の思いを少しでも安く届くクラウドファンディングでの販売に踏み切りました。
目標金額の20万円の内訳は、高騰する材料の仕入れと、加工に15万円、パッケージや送料などのリターン経費に3万円、他手数料などに2万円強かかります。

ご注文いただいてからひとつひとつ、伝統的な技法を守って時間をかけてつくります。

製作は、まずべっ甲を重ねてつくるところからはじまります。べっ甲はタイマイ(海亀の一種)の甲羅からできており、甲羅を重ねて、なかに含まれる膠の成分によって張り合わせてつくります。一枚の使える甲羅は極薄く、何枚も重ねることで出来上がったべっ甲の土台に、螺鈿の職人さんが小さく切った蝶貝を本漆でひとつひとつ貼りこんでいきます。
本漆で貼りこむために、ひとつひとつ乾かす時間は化学接着剤のようにスピーディには進みません。気候によっては数日をかけることもあります。貼っては乾かすことに数日、を繰り返し、最後に丁寧に磨く。この作業でさらにひと月以上かかるのです。
べっ甲の土台をつくるところから、螺鈿を配して仕上げるまでにゆうに二カ月半はかかることになります。
ご支援いただいた皆様へのリターンのお届けは、12月より開始したクラウドファンディングが2月末で終了後、すぐに制作を開始し、5月下旬より、順次発送させていただきます。


やさしい感触のオーガニック(天然)アクセサリーの魅力をお伝えしたい!

こうして手間と時間をかけてつくられた天然素材アクセサリーは、手仕事ならではの温もりがあり、べっ甲の斑の模様や蝶貝の色はひとつひとつ同じものはありません。
お手元にお届けする作品との出会いは世界でひとつのものです。
天然の命から生まれた素材、いわば命をカタチにすること、日本に昔から伝わる技を守ることを大切に考えて心を込めてひとつひとつおつくりしています。
日本人が古来より愛してきた天然素材のやさしい美しさをぜひ、身に着けてみてください。

アクセサリーを長く使っていただくために、お伝えしたいこと

最後に、お手もとに届いた作品のお取り扱い方法について、お伝えしたいと思います。
べっ甲は亀の甲羅が材料です。金属などとは違い、軽くて柔らかい素材ですので貴金属に接触、摩擦すると傷がつく恐れがあります。また、高温には弱いので強いライトの直射は避けてください(太陽光は問題ありません)
お使いになった後は柔らかい布で汗、よごれをぬぐい、保管してください。
天然素材は長年ご使用になると艶が落ちてくることがあります。
艶だしなどの修理の場合は専門の業者にご依頼ください。
※弊社もご相談をお受けしております。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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