スマホアプリで個性を表現するLEDバッジ

Hicarix®バッジはスマートフォンの専用アプリケーションHicarix® Appで絵柄を作成し、表示する電光掲示板のようなLEDバッジです。


このHicarix BadgeはWi-FiやBluetoothなどの無線通信を持っていません。バッジの表示を変えるには、バッジをスマートフォンの上に置き、画面の白と黒の点滅を使ってモールス信号のように通信します。

 

デバイスの背面にある3つの明るさセンサーがスマートフォンの画面の白と黒、つまり明るいか暗いかをを読み取ります。

この書き換え方法は小さく、よりリーズナブルで、そして簡単にできる方法を模索した結果です。Wi-FiやBluetoothのように高速ではありませんし、書き換えエラーが発生することもあります。もしかすると古臭く感じるかもしれません。しかし、実際に使用された人たちからは、この書き換えの体験がとても好評でした。

 

しかし半導体不足の影響から永らく製造や販売ができていません。

そこで、皆様のご支援によりHicarix Badgeを新しく生まれ変わらせます。設計を見直し、背面を機能的なカバーで覆い、より洗練された製品にしたいと思っています。そして海外へも販売したいと思っています。

 

早朝のデザインフェスタ2016の会場、東京ビッグサイト

この商品の開発のきっかけは2016年のことです。デザインフェスタというイベントに参加しました。デザインフェスタは、東京で開催されるアジア最大級のアート&ハンドメイド雑貨の販売会です。

 

出店者は机一つ分のスペースを与えられ、商品を販売したりパフォーマンスをしたりします。

他の多くの参加者と同様にハンドメイド品を売ったのですが、私のものはあまり売れませんでした。

そこでどういうものが売れているのか観察してみました。デザインが優れているものが売れていましたが、必ずしもそれだけではありません。売り手が個性を表現するのは当然ですが、買い手も少量生産のハンドメイド品を身に着けることで個性を表現しているのではないか。

改めて考えてみるとインターネット上には自己表現の場が溢れているのに対し、現実世界には個性を表現する機会は限られています。簡単で直観的に個性を表現するアイテムを作りたいと考えました。

 

そこで考えたのがスマートフォン画面の白と黒を明るさセンサーで読み取り、電光掲示板に表示するLEDバッジです。WifiやBluetoothを使わなかったのは安くて、直感的で、コンパクトにするためです。

スマートフォンアプリのテストバージョン

私はスマートフォンアプリの開発者でもあるので、スマートフォンアプリのテスト版も自分で作りました。 

 

最初のプロトタイプ

これは実験用の回路で、赤いワイヤーの先についているのは明るさセンサーです。

 

読み取ることができたのは約1ヶ月後のことでした。まだ3、4回に一度成功する程度で実用に耐えるレベルではありませんが、明るさセンサーで画面を読み取るのも不可能ではないことが分かりました。そして、この実験用の回路はあまりにも大きすぎました。

 

基板の改良(古→新)

樹脂の板の上に電子回路をプリントした基板を作りコンパクトにしていきます。プリント基板も改良を繰り返します。センサーを3つに増やすなど度重なる実験の末、読み取り精度も十分に実用的になりました。

 

そして専用のスマートフォンアプリも改良しAndroidとiPhoneの2種類を用意しました。


ある程度の形になった所で、地元の岡山で「こういう物を3,000円台で売ろうと考えているんだけどどうかな?」と聞いてリサーチをすることにしました。

岡山市のシンボルでもある岡山城

ここまでの努力が全くの無駄かもしれないという不安は常につきまとっていました。本当はもっと早く聞いてみたかったですが、動く実物を目の前に見せないと反応を得るのは難しかったのです。しかしその結果は散々なものでした。

 

「たぶん何かには使えると思う」

「500円でもいらない」

「売れないと思う」

「高い」

 

誰が何と言おうと自分のアイデアは良いものだと思っていた反面、あまりに評判が悪かったのでだんだんと不安になってしまいます。否定的な意見を言われると腹も立ってくるので、途中からあまり人の意見を聞かない様にしました。


デザインフェスタ2018の会場である東京ビッグサイト

最初のアイデアから約2年後、同じ東京のデザインフェスタに完成したHicarix Badgeを持ち込みます。誰からも見向きもされないかもしれない不安と、もしかするとたくさん売れるかもしれない期待とでとても複雑な感情でした。自分の心臓の音が聞こえるほどに緊張していました。


デザインフェスタ2018

結果的には、最初にカップルが買ってくれた後、ずーっと売れ続けました。

 

BluetoothやWi-Fiではないことに多くの人が驚き、この方式は簡単に理解できていました。彼らはデジタルなのにアナログ感がある、この書き換え体験にこそ価値があるというのです。正直なところこのお客さんの反応は予想外でした。


一般的にテクノロジー系の話題はバズりにくいとされています。しかしこのHicarix Badgeの成功の話題は2018年10月にTwitterで日本の全国9位のトレンドを記録しました。

 

売上も順調に伸び、多くの人が自分なりの表現を楽しみました。


エンジニア達が通信プロトコルを解析し、便利なツールを作ってくれました。また、埼玉工業大学ではプロダクトデザインの教材としても活用されています。

 

当初は赤と青のみでしたがお客さんの要望を受け、黄色と緑を追加し、続いてアンバーとホワイトを追加して全6種類に発展しました。


しかし、その後のCOVID-19の拡大や世界的な半導体不足により、多くの材料が入手困難となり、追加製造や改良ができなくなりました。


半導体不足の影響も状況が改善しつつあり、入手しやすい部品も見つけることができました。

Hicarix Badge バージョン1の裏面

Hicarix Badgeは製品としてはまだまだ発展途上です。裏側のカバーは不完全で、ごちゃごちゃしています。ユーザーの表現の場であるために、より洗練された製品にするために、こうしたごちゃごちゃした部分を隠して、きちんとした製品にしたいのです。

 

バージョン2の設計図

新しい部品をぴったりと収めるプラスチックのカバーを作り、全体のデザインも1から作り直したいと考えています。カバーにより安全性や耐久性が向上し、外光の遮断するので読み取り精度も向上することが期待できます。

新しいカバーには金型が必要ですが、ご存知の通り金型の作成は高額な初期費用がかかります。ある程度の販売が見込めないと取り組むことができません。そのために私はこのHicarix Badge ver.2を作るプロジェクトを立ち上げました。 

またこのプロジェクトでは海外の人たちにも商品を届けるべく、KICKSTARTERというクラウドファンディングサイトでも同時にプロジェクトを実施しています。

 

これまでとこれからのスケジュールをご紹介します。


Hicarix Badgeの操作について説明します。

右上のスイッチを右に動かすと表示モード(DISP)、左に動かすと書き込みモード(WRITE)、真ん中に動かすとOFFです。

Hicarix Badgeで表現できるのはイラストだけではありません。文字も表現できます。多くのHicarixユーザーがツイッターアカウント名や彼らの推しの名前を身につけて大きなイベントへ向かいます。

 


文字が右から左に流れるスクロールモードと、1文字づつ点滅するフラッシュモードがあります。

スクロールモードでは「i」の様な横幅が狭い文字ならより多く入力でき、「m」のような横幅が広い文字では入力できる文字数は少なくなくなります。横幅が広い2バイト文字でも少なくとも12文字は入力でき、フラッシュモードでは文字幅に関係なく60文字まで入力できます。

 

申し訳ありませんが、輸出の安全上の問題から日本以外ではバッテリーをお付けすることができません。CR2032 3V Lithium Coin Cell Batteryを別途ご用意いただく必要があります。

電池が少なくなると少しづつ暗くなります。暗くなってきたと思ったら電池を交換すると元の明るさが甦ります。交換時は電池の向きに注意してください。バッジの書き込みモード(WRITE)は、表示モード(DISP)よりほんの少し消費電力が多くなります。

 

光のパターンをURLの形式に出力することも可能で、世界中の人と点滅パターンをシェアすることができます。

 

新しいHicarix Badge ver.2でも6色以上のカラーバリエーションを用意します。どの色が必要かは申し込みフォームで選んでください。

 

・BluetoothやWi-Fiのような無線通信はついていません。

・ほぼハンドメイドのため、品質に若干のばらつきがあります。出荷時に入念にチェックしていますが、見落としがある場合もあります。万が一、正常に動作しないバッジを見つけた場合は、ご連絡ください。

・防水ではありませんので濡らさないでください。

・裏面に安全ピンがついているので洋服やカバンにつけられます。安全ピンは先が尖っているので注意してください。

・光の刺激に敏感な人は点滅する画面を注視しないように注意してください。

・アニメーションの再生速度は16段階に変更可能ですが、再生スピードはバッジごとにわずかな個体差があります。搭載しているコンピュータチップの個体差によるものですのでご了承ください。

・アニメーションのフレーム数は最大で120フレームです。

・バッジの大きさは約4cm×4cmです。

・書き込みは1フレームあたり1~3秒かかります。最大120フレームで3分13秒かかります。

・真っ白なキャンバスをイメージしたシンプルなデザインは、表現の邪魔をしません。

・アプリはiOSとAndroidで利用できます。 

・電池の種類はCR2032 3Vリチウムコイン電池です。

・バージョン1と2は互換性があります

 

OKAMOTO Tomohiro

私は岡山県出身のエンジニアで、ローカルな暮らしを楽しんでいました。その中で自分の考えを形にすることに次第に興味を持つようになりました。


これは以前デザインした鼻の形をしたソース皿で、これも全国の雑貨屋さんで販売しました。 

Hicarix Badgeは企画から製造や販売、宣伝までをほとんど私一人で作り、最も情熱を込めたプロダクトです。デジタルでありながらアナログな書き換えをぜひ体験してください。


Q. バージョン1は正常に動作しないなどの問題はありませんでしたか?
A. 致命的な問題はうかがっていません。

Q. 基板は自分で設計したのですか?
A. はい、そうです。

Q. 単色しか作れないのですか?また8×8より細かいドットは作れますか?
A. データの転送方法の関係で、単色と8×8が限界だと思います。それ以上は書き直しに時間がかかり、実用的ではありません。その制限の中で、ユーザーはより多くの表現を楽しむことができると思います。


現在のところVer.1は順調に動作しており、多くの購入者の方々にはご満足いただけていますが、今回のプロジェクトには以下のリスクが考えられます。

金型はこれまで私がデザインしてきたものに比べると複雑で、金型トラブルにより納期が遅れる可能性が考えられます。その場合、問題がある部分のデザインは変わる可能性があります。もちろん基本的デザインは変えるつもりはありません。

半導体の供給状況はまだ安定しているとは言い難く、手に入りやすい部品が数日後には手に入らなくなるなど供給状況はいまだに予測が難しい状況です。選定した部品の代替を検討することも考えられその場合、回路設計やファームウェアの作り直しが必要になり、納期が遅れる可能性があります。ただHicarixに使用している部品は極めてメジャーな部品ばかりですので、時間と共に状況は改善されるものと考えています。

もちろん生産状況については支援者の皆さんに定期的にお知らせします。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

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