※このプロジェクトは、2023年2月25日(土)-28日(火) 新宿住友ビル三角広場にて開催のクリエイティブの祭典 「NEW ENERGY」と株式会社パルコが運営する当クラウドファンディングサイト「BOOSTER」がサポートしています!参加プロジェクト一覧は↑こちらhttps://camp-fire.jp/curations/new-energy)よりご覧ください。


はじめまして、西山産業開発株式会社の西山博之と申します。

石川県の白山市白峰地域には、古くから伝わる牛首紬(うしくびつむぎ)という織物があります。 白峰地域は、金沢駅から車で90分ほど南下したところにあり、日本三霊山の一つ白山の麓に位置しています。

かつては牛首村と呼ばれ、養蚕の盛んな地域でした。そこで生まれた牛首紬は独自に糸を紡ぐ技法から、他にはない柔らかさと風合い、それでいて何代にも渡って着続けられる丈夫さを併せ持ちます。800年を超える歴史があり、1988年(昭和63年)には国の伝統的工芸品に指定されました。また、大島紬・結城紬に並ぶ日本三大紬の一つでもあり、多くの人々に時を超えて愛されてきました。

弊社グループでは、この牛首紬を伝統的な手法と技術で今も生産を続けています。

しかし、それらの技法や品質の高さを守りながら持続可能な生産体制を保つことが現在非常に難しい状況にあります。
今回のプロジェクトでは、そんな牛首紬を今後も存続させていくために、これまでにない形で生産・購入できる仕組みを作りたいと思っています。

ぜひこの機会に、牛首紬を知っていただき、ご支援いただきましたら幸いです。


白山市白峰地域の町並み


牛首紬の最大の特徴は、2匹の蚕(かいこ)からつくられる玉繭(たままゆ)を使用していることです。

一般的に絹糸は1匹の蚕が作る繭が使われます。 そして養蚕の過程で2〜3%どうしても生まれてしまう玉繭は「くず繭」とされ、本来は使用されません。

玉繭からは2本の糸が出るため途中で必ず絡まってしまい、いい糸を挽くには熟練を要するからです。しかしそんな玉繭を、せめて自分たちが着るものだけでも使おう、と養蚕を行なっていた村の人たちは技を磨き、糸を紡ぎ、織物を仕立てるようになりました。

そうして世界でも珍しい、玉繭から手挽きの糸で作られた牛首紬は、糸が空気を含み、着た時に肌に馴染む柔らかな織物となりました。またツヤがある絹繊維とマットな紬繊維の両面を秘めた独特の風合いを持ち、それでいて別名釘抜き紬とも言われるほどに強い耐久性を備えています。

そして生産工程も織物産地では非常に珍しく、糸作りから製織までの20近い工程の多くを一貫して手作業で行い、人間の手ならではの丁寧なモノづくりを続けています。

また近年ではその高い品質が評価され、世界のファッション&アパレル業界からも高く評価されています。
パリ・コレクションでの採用や、国際的な繊維と生地の見本市「プルミエール・ビジョン」への選出。
また洋装ブランドのコラボレーションにより、洋服への展開も行っています。

私が経営している西山産業開発(株)の母体である(株)西山産業は、私の父と叔父たちによって、1950年頃に土木の会社としてスタートしました。少しずつ事業を展開し、会社として足場を固めることができた頃、牛首紬は存続の危機を迎えていました。

村の主要産業だったにも関わらず、大正時代をピークとして、生産規模は徐々に小さくなりました。
経済不況の影響も大きく、第二次世界大戦後には、村に残る職人は一人のおばあちゃんだけになってしまったのです。

そのような状況をうけ、祖父が父たちに村に残る伝統産業を守ろう、と呼びかけました。
祖父自身、友人であった牛首紬の職人が廃業をしていくのを側で見ていました。
そして貧しい村をなんとかして支えたいという想いがありました。

そうして西山産業では廃業した工場のノウハウを譲り受け、職人を集め、産業として復興させることに成功したのです。

しかし、時代は変わり牛首紬は再び存続の危機に直面しています。
1980年代の呉服産業は小売ベースで約1.8兆円の市場規模がありましたが、現在はその1/10程度まで縮小しました。そうした着物需要の低下に加え、新型コロナウイルスの影響も加わり、着物を着る機会はさらに減少。いま職人たちの仕事を維持するのはかなり難しい状態です。
かつて復興が叶ったものの、現在の生産量は復興後ピーク時の1/4以下となっています。

このままではいけない、なんとかして職人たちを守り、後世に牛首紬を残していきたい。
長く続く伝統だからこそ、絶えず時代の変化に対応していこう。
そんな想いから、これまでは違った方法で牛首紬を支える仕組みを考えました。


これまでは呉服店や百貨店の催事場で購入いただいていた牛首紬を、Webサイトでも共同購入できる仕組みを作ります。

生産の最小ロットが4反(約50m/着物4着分)であるため、1つのデザインに対して、4人の方で共同購入いただけるシステムの開発を進めています。

システムにおける生産・購入の流れ

シェア型購入システムのイメージ

今までにない新しいシェア型購入システムをつくることにより、購入者の方々には通常時よりもお得に、さらにオーダーメイドの商品を作成することが可能になります。
また生産者側は大きな課題でもある在庫リスクの回避や、安定した注文の確保をすることができます。

作り手も買い手も、どちらにとっても良いものであることで、持続可能な体制作りを行いたいと思っています。

また着物はまだまだ親しみづらいという方々にも、現代にあわせた洋服へのアップデートを行うことで、より日常に取り入れやすい形でお届けできればと思います。


ご支援をいただいた方には以下のリターンをご用意しております。



2023年2月25日〜28日に、東京新宿で行われるクリエイションの祭典「NEW ENERGY TOKYO」に参加します。
牛首紬の柔らかさや、独自の風合いを、実際にお手にとって実感いただければと思います。

●会期:2/25(土)~2/28(火) 

●場所:新宿住友ビル三角広場
〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目6−1 ブースNo.211

●ブース:WEST  ブースNo.211(※イシカワルクラフトのブース内にて出店)

※要来場予約
※展覧会詳細・ご予約はNEW ENERGY TOKYOのHPをご覧ください


ご支援いただいた金額については、商品のご準備にかかる費用とBOOSTER手数料を除き、「Weave Market」のシステム開発、デザイン等の費用に使用させていただきます。

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

2023年4月30日  クラウドファンディング終了
2023年5月〜9月頃 リターン郵送(※お仕立てプランは採寸時期により納品日が異なります)
2023年5月〜8月中旬  システムの構築、デザイン作業等
2023年8月下旬  「Weave Market」ローンチ

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

伝統というと、一本の糸がずっと続いてきたイメージがあるかもしれませんが、それは鎖のようなものだと感じています。
その時代、時代に合わせて、一つずつやるべきことを成していく。
それが一つ輪となり、繋がっていくことで、長い鎖となり続いていく。
変わらないことではなく、絶えずその時代に合わせてアップデートしていくこと。
それが私たちの考える伝統です。

今回の挑戦では、心から自信をもってお届けする品質はそのままに、これまでにない生産体制を確立することで、この危機を脱したいと思います。
同時に、牛首紬をはじめとした日本の伝統織物の持つクオリティの高さを世界にも発信していきたいと考えています。
着物はもちろんのこと、様々なファッションの素材として活用いただけるポテンシャルがこの織物たちにはあります。

そうしていつの日か
「Japanese traditional textiles as No.1 !!」
と言われ、各産地が輝きを取り戻す日を夢見ています。

そのためにも、どうか最初の一歩に皆様のお力添えをいただきたく、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

  • 2023/05/01 09:17

    プロジェクト完了のご報告させていただきます。この度は、ご支援、ご協力いただきありがとうございました。残念ながらプロジェクトの目標金額が未達成となりましたが、皆様のそのお気持ちは大変うれしく励みになりました。目標金額達成には至りませんでしたが、共同購入システム「Weave Market」の開発プ...

  • 2023/04/28 10:09

    長いようで短かった今回のチャレンジ。のこり2日となりました。目標金額までの道のりはまだまだ長いですが、ご支援いただいた皆様の気持ちのありがたみをひしひしと感じております。最後まで頑張りますので引き続き応援よろしくお願いします!

  • 2023/04/21 15:42

    牛首紬の里、白山市白峰地区は標高約500mに位置しています。日本でも有数の豪雪地帯と言われる地域なので里に比べると春は遅めですが、今年は例年よりも2週間ほど早い春が訪れました。近くの山では水芭蕉が見頃です。このあたりは昨年8月の記録的な集中豪雨で林道がズタズタになった場所ですが、林道が不通にな...

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