はじめまして!オンライン上におけるセルフヘルプグループの可能性を探るプロジェクト wreath代表の下村真代です。私自身がセルフヘルプグループを必要としそこから生きやすくなった経験から、セルフヘルプグループをもっと身近な存在にできたらと考え、プロジェクトを始動しました。


そもそも、セルフヘルプグループってなに?

このように思われた方がいらっしゃるかもしれません。セルフヘルプグループは、「共通の悩みをもった当事者の集まり」とされ、自助グループ、ピアサポートグループ、当事者会、家族会、患者会などと表現されていることがあります。

全国で推計3,885団体あると考えられ※1、例えば以下のようなグループがあります。


もしかしたら、プロジェクトをご覧いただいている方のなかにはご自身のこれまでの体験にあてはまるグループがあるかもしれません。なお、ここにあがっていないような、まだ社会的に認知されていない事柄をめぐるグループも存在します。

もしセルフヘルプグループを必要とされる方がおられましたら、すべてではないですがこちらにグループのリストがありますので、ご確認ください※2。
みずほリサーチ&テクノロジーズ「地域における当事者活動等の実態」


ちなみに、北米などではセルフヘルプグループの存在はかなり一般的です。

ドラマや映画、アニメにもでてくることがあり、「セサミストリート」のカーリーというキャラクターは、自分の親が依存症のグループに通っていることや自分自身も依存症の親をもつ子どものグループに通っているという話をしています※3。

またディズニーの映画「シュガー・ラッシュ」にもセルフヘルプグループの場面が登場しています。“悪者”の役割を演じているキャラクターのグループ、というような設定でした。


このように北米などではセルフヘルプグループはとても身近な存在ですが、日本でもセルフヘルプグループを必要とする機会は誰にでも起こり得ることだと思っています。


日常を過ごしているなかで、自分や大切な人が病気や障害をもったり、事件や事故の被害者や加害者になったりすることは、誰しもが体験する可能性をもっているものではないでしょうか。

また、こうした体験はときに傷つき体験として“トラウマ”となり、語られにくいものとして知られています。


語られにくいことから、困難を抱えていたとしても助けを要することはむずかしく、ひとりで抱え込むことが少なくありません。

実際に私がセルフヘルプグループを必要としたときは、“言葉がない”というような感覚をもっていました。周囲に話すに話せない内容だと感じていたうえ、どのように話せばよいのかわからず、ずっと言葉を探していました。

また、話せない内容だと感じていた事柄は、社会的な問題と密接につながっていることがほとんどで、言葉がないというよりは社会的に言葉が奪われていたといえるかもしれません。


セルフヘルプグループの可能性

しかし、同じような体験をした当事者の集まりであるセルフヘルプグループでは、少しずつ言葉がでてくる可能性を秘めています。

同じ当事者の体験を聞くことで、「ひとりじゃなかったんだ」と思えたり、ずっと抱え込んでいたことを「話してもよいかも」と思えたりすることがあります。

もちろん、抱え込んでいたことを誰かに打ち明けないといけない、ということはありません。

何をどこまで話すかどうかは自分自身が決めることですが、体験を話してそれが誰かに受け止められることで罪悪感や自責感といったような負の感情から解放されることがあります。

また、自分の問題かもしれない、と思っていたことが社会的な問題であることに気づき、「ひとりで背負わなくてよかったんだ」と気づくこともあります。


そうしてセルフヘルプグループのなかで体験を話したり聞いたりするなかで、自分の傷つき体験を言語化できるようになることがあります。

話せなかったことが話せるようになると、自分を認められるようになったり、助けを求められるようになったり、同じ体験をした人の力になろうとしたり、社会的な問題を解決しようとしたりするなど、ポジティブな影響が本人や社会に起こっていくことから、セルフヘルプグループには大きな可能性がつまっています。


セルフヘルプグループには大きな可能性がつまっている一方で、ルフヘルプグループへの参加のハードルが高く、セルフヘルプグループを必要としたとしてもつながりづらい、という課題があります。

セルフヘルプグループへの参加・運営経験がある方にインタビューをさせていただいたところ、”グループの実態が見えづらいことから参加時に大きな不安を抱いていた”ことがわかりました。

多くのセルフヘルプグループでは、プライバシーを守り安全にお話できるように「この場で聞いたことはほかのところで話さないようにしましょう」というルールが設けられていることがあります。
こうした事情から、グループの実態が知られづらく、参加へのハードルが高くなっているという状況があります。

また、セルフヘルプグループを探そうにも開催情報がインターネット上に散見していることから、自分にあったセルフヘルプグループを探すことが困難だったというお話もありました。

一方、セルフヘルプグループを開催しようとする人も、広報面に課題を感じていました。
自分と同じ境遇の人がどこにいるのかわからず、とりあえずチラシをつくって行政の相談窓口においてもらったり、ホームページをつくったりと、どのように仲間に情報を届けたらよいのかと困難を感じておられました。

参加したい人と開催したい人が、十分につながれていない

こうした課題にたいして、セルフヘルプグループに参加したい人とセルフヘルプグループを開催したい人をつなぐ セルフヘルプグループのプラットフォームをつくることで、“ここにきたら仲間がきっとみつかる”という変化を生み出したい と考えています。


このプロジェクトを通じて、実現したいことが2つあります。

1、セルフヘルプグループのプラットフォームづくり

現在、セルフヘルプグループのプラットフォームとなるシステムを仮で構築しているところです。イメージは下記の動画をご覧ください。


開催者は共通のフォームでミーティング情報をご登録いただき※、参加者は検索条件から抱えている困難にあったセルフヘルプグループを見つけられる仕様にしたいと考えています。
※安全な場づくりのため登録基準を設ける予定です。

そこで、実際にシステムを構築していくうえで資金が必要となるため、この度のプロジェクトへの支援金を開発費用にあてさせていただきたいと思っています。

また、“ここにきたら仲間がきっとみつかる”ようにしていくためには、この場にセルフヘルプグループを開催したい人とセルフヘルプグループに参加したい人が集っている必要があります。
そうした場にしていくためにも、支援金をリーフレットなど広報物の制作・印刷費にもあてさせていただきたいと思っています。

ちなみに海外では、セルフヘルプ・クリアリングハウスというセルフヘルプグループの情報を提供する機関があり、アメリカのセルフヘルプ・クリアリングハウスでは、800をこえるグループの情報が提供されています※4。

この度の取り組みを通じて、セルフヘルプ・クリアリングハウスのようにセルフヘルプグループを必要とする方に情報を届けていきたいと思っています。
セルフヘルプグループという居場所の選択肢が増えることは、傷つき体験を抱えた際のセーフティネットになり得ると考えています。どうか、お力を貸してください。


セルフヘルプグループの開催団体・個人様で、ご関心がある方は事前登録フォームにご入力いただけますと幸いです。
★事前登録フォームはこちら


2、セルフヘルプグループに特化したオンライン通話ツールの開発の検討

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、オンライン上におけるセルフヘルプグループの活動が活発になりました。
アンケートによると、対面でのセルフヘルプグループと同じくらいにオンラインでのセルフヘルプグループが行われています。

一方で、インタビューを通じて現状のオンラインツールではミーティングのファシリテーションに困難を感じておられる話を聞かせていただきました。そこで、開催者のファシリテーションをサポートする機能を実装したセルフヘルプグループに特化したオンライン通話ツールの開発の検討を行いたいと思っています。現状のイメージは下記の通りです。


どのようなものであればお役に立てそうかより理解を深めたく、セルフヘルプグループへの参加・運営経験のある方へのインタビュー費用(謝金や交通費)にあてさせていただきたいと思っています。

必要とするグループが近くになくそこに行くまでの経済的なハードルからセルフヘルプグループに行けない人、また病気や障害、育児や介護など様々な事情から移動が困難であるためにセルフヘルプグループに行けない人などにとって、オンライン上におけるセルフヘルプグループはとても大切なものになると考えています。

以上2つの取り組みから、セルフヘルプグループにつながりやすくすることで回復の機会を増やしていきたいと思っています。



ここまでお読みいただいて、本当にありがとうございます。
これらの取り組みは、私自身がセルフヘルプグル―プを必要とした経験がきっかけとなっています。その経験のひとつに、ヤングケアラー経験があります。

内容はこちらのnoteに記載しています。https://note.com/mayo2

これ以上のことを書くつもりはなかったのですが、クラウドファンディングをはじめるに際し、勇気をもってつづってみようと思います。よろしければこの先もお読みいただけますとうれしく思います。


私が子どもの当時、ヤングケアラーという言葉はなく、子どもの私がみえている世界ではケアが日常的でもこれが自分を傷つけ、子どもの人権侵害にあたることに気づけることはありませんでした。

そうした生活の中で、いつの間にか深く傷ついていたようで、大人になってひどいフラッシュバックに悩まされました。私自身が自由に生きることが苦しくて仕方ない時期もありました。

そんなときに、セルフヘルプグループの存在を知りました。
病院に入院していた母の面会に行き、エントランスで休んでいたときのこと。病院の紹介などがおいてあるラックに地元の家族会が出している広報誌がありました。「同じ境遇の人たちが同じ町にいるのか」ととても驚きました。

こんな体験をしているのは自分だけなのでは、と思ってしまうほど孤独感が強く思いつめていたためです。


それから、家族会やヤングケアラーのセルフヘルプグループなどにつながりました。
そこで語られる一つひとつの言葉から「ひとりではなかったのだなあ」と感じることができました。

いろんな方の語りを聞かせていただいたことで、私自身も苦しかったことを少しずつ言葉にすることができるようになり、自分が何に困っていたのかがわかるようになっていき、だいぶ生きやすくなりました。
セルフヘルプグループには言葉を取り戻すという価値があり、そこからよりよく生きていける可能性があることを知りました。


ヤングケアラーに関して、いまでこそ課題が顕在化しはじめていますが、課題が潜在しているうちは私が経験してきたように公的なサポートは何もありません。課題が明確でないなかで、支援を求めることも支援が提供されることも困難だと思っています。

課題が課題として本人にも社会にも認識されていないうちは、知らず知らずのうちに脆弱な状態におかれている個人が無抵抗に傷つけられていると思います。

そして傷ついたままだと、トラウマに振り回され日常生活に支障をきたしたり、傷つけられた暴力を再生産したり、本人ばかりではなく周囲や次世代にまで負の影響が及ぶことがあると思います。


だからこそ、もし傷つき体験をしたとしてもせめてセルフヘルプグル―プという回復の機会につながり、傷つき体験を回復できる社会にしていきたいと思っています。

もちろん、セルフヘルプグループが傷つきの回復につながるかは人それぞれだと考えています。ただ、セルフヘルプグループという回復に向けた選択肢が広がることはとても大切なことだと思っています。

この度の取り組みにおいて、セルフヘルプグループに参加したい人とセルフヘルプグループを開催したい人をつなぎ、“ここにきたら仲間がきっとみつかる”という変化を生み出したいと思っています。

私の力だけではとても実現できません。どうか、皆様のご協力をお願いできますと大変ありがたく思います。

かつて、私が仲間とともに新たなセルフヘルプグループ(SHG)を立ち上げたとき、すでにSHGを立ち上げて活動をしていた人から次のような言葉をいただきました。

「よく、活動する場所がないとかいうけど、場所が借りれなかったら、外でやればいいんだよ。公園でもできるし、浜辺で星空ミーティングなんていいんじゃない? 大切なのは、場所じゃなくて、人だよ」

SHGは人と人とのつながりを通して成り立つものですが、現在では、オンラインで人と人とが体験や気持ちをわかちあうSHGも展開されるようになってきました。そうなると、SHGを必要としている人たちがSHGにつながりやすくするためのオンライン上の仕組みや、安全で参加しやすいミーティング(集まり)をオンラインで開くためのツールが必要になってきます。本プロジェクトは、そういった仕組みやツールの開発に意欲的にチャレンジするものだと思います。応援しています。



■資金の使い道

プラットフォーム開発費用:100万円
広報物 制作・印刷費用:25万円
インタビュー費用:11万円
クラウドファンディング手数料:14万円
※助成金の採択状況やクラウドファンディングの状況によって、変動する可能性があります。


■今後のスケジュール

2023年10月末:クラウドファンディング終了
2023年11月~12月:開発期間
2024年1月~3月:検証・仕様調整
2024年4月:リリース予定


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


<参考>
※1:ひょうごセルフヘルプ支援センター著『ひょうごのセルフヘルプグループ2021』によると、兵庫県下のセルフヘルプグループの数は245団体あります。この数値を参考に以下のように算出しています。
東京:1,000団体
兵庫、大阪、愛知、神奈川、宮城、福岡、埼玉:245団体×7=1,715団体
ほか都道府県:30団体×39=1,170団体
合計3,885団体

※2:みずほリサーチ&テクノロジーズ 2023「地域における当事者活動等の実態調査」

※3:田中紀子 2019 「とにかくすごい!米国「セサミストリート」新キャラのお母さんは依存症!」
https://agora-web.jp/archives/2042041.html

※4:エドワード J. マダラ(Edward J. Madara)1999=2001「セルフヘルプ・グループ:サポート、教育、そして権利擁護のためのオプション」『精神科看護:理論と実践の統合化』第8章 松田博幸(訳).


  • 2024/04/26 12:35

    「参加したい人と開催したい人をつなぐ セルフヘルプグループのプラットフォームづくり」のクラウドファンディングを応援いただきました皆様、誠にありがとうございました!おかげさまで本日β版をリリースすることができました!心より感謝申し上げます。https://prtimes.jp/main/html...

  • 2023/11/01 10:21

    10/31をもちまして「参加したい人と開催したい人をつなぐ セルフヘルプグループのプラットフォームづくり」のクラウドファンディングが終了しました。たくさんの応援をいただき本当にありがとうございました。大変ありがたいことに目標額に達してからもご支援をいただき、最終的には下記の結果となりましたので...

  • 2023/10/27 16:05

    いつも応援いただき本当にありがとうございます。9月18日からスタートしました本プロジェクトですが、目標額の150万円を達成することができました!ご支援やSNSの投稿のシェアやいいねにて応援していただいたみなさまのおかげです。多大なお力添えをいただき、本当にありがとうございます。心からお礼申し上...

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