久能山東照宮 第13代 宮司の姫岡 恭彦(ひめおか やすひこ)と申します。
鎌倉時代に作刀された刀工 三池典太光世(みいけてんたみつよ)の「ソハヤノツルキ」や平安時代末期に作刀された国宝「真恒(さねつね)」をはじめ歴代将軍の名刀など約50振りを久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)は創建以来、400年以上所蔵し、守り続けております。

私たちは人々を魅了し、歴史をつむぐ刀剣を後世につないでいくとともに、実際に見ていただくことで文化財をより身近なものに感じていただきたいと思っています。

しかし、古くは800年を超える刀剣の歴史の中で、老朽化は避けられない問題であり、課題は山積しています。

久能山東照宮は、刀剣のまことの輝きと命脈を永遠のものとするために、未知への挑戦に一緒に参加をしてくださる方々を全国から募集いたします。そして数百年に一度の機会を皆様と手を取りながら、新しい時代をともに作っていければと思っております。



このたび徳川歴代将軍14振りの刀剣の伝承が大変な危機に瀕しております。刀剣を守るために必要不可欠な外装具である拵(こしらえ)と白鞘(しらさや)が数百年もの間、刀剣を守り続けていたものの激しい老朽化により朽ち果ててしまう状況に陥り、一刻も早い修復と新調が急務となっています。重要文化財であっても、国、県、市からの補助金はございますが、いずれにしても自己負担分は重くのりかかってまいります。もし指定外の場合には、全額、所有者負担ということになり、文化財の修復保存費用をはじめ建造物や設備の維持など、その費用は莫大なため、どうしても全国の皆様に頼らざるを得ないという背景がございますため、クラウドファンディングを立ち上げさせていただきました。
今回、修復・新調するのは徳川将軍歴代の本歌である刀剣が対象となります。
具体的には、国宝の刀剣 真恒(さねつね)の拵(こしらえ)の修復と徳川将軍所有・寄進の14口の刀剣白鞘(しらさや)の新調です。(刀剣 真恒の拵の修復では、今回その過程で必要不可欠な復元模造の制作を行います。)歴代将軍の刀剣は唯一無二の文化財として大変貴重であり、一度失われてしまうと二度と元には戻りません。そのため、現代の技術や材料で修復や新調してよいものなのかという実施是非やその方法についてこれまで長い間、議論がされてきましたが老朽化が限界の状態です。このままでは朽ち果ててしまうだけではなく、刀身そのものにも深刻なダメージを与えてしまうため、実施を決意いたしました。

拵とは、刀身を納める鞘(さや)、茎(なかご)を納める柄(つか)、手が刀身の方へ滑らないように施す鍔(つば)などの金具や塗りが施された刀装具であり主に外出用、白鞘は、ホオノキ(朴の木)によって作られた外装であり通常保管用で用いられます。人の服装では、拵は外出用のお召し物、白鞘は普段着と例えられることもあります。

国宝 太刀 真恒の拵は、既に400年以上経過しており、手に取ると拵の生地や糸がすべて崩れてしまう状況です。展示はおろか移動することもままならない深刻な状況です。当初、修理をする予定でしたが、現存していない技術や素材で作られているため、現代で修復可能か確証がもてないため、まずは修復が可能なのかという検証が必要となり、復元模造の制作をいたします。

まさに拵の復元模造は、400年の時を超えて修復に向けた第一歩が踏み出され、現代では修復不可能とされた未知の世界への挑戦が始まります。

白鞘は通常10年~30年が使用期間のところ約160年ほど経過しており、文化財としての価値が非常に高い一方、奇跡と言われるほど長い期間を使用しているため、紐などで縛っておかないとばらばらになってしまう上、刀身を保管する上で、錆や劣化から守る最も重要な役割を果たしているため、刀身そのものに深刻なダメージを与えかねない状況です。白鞘は一度に新調することができないため、今回は5カ年計画で14口の白鞘を新調いたします。その間にも老朽化は進行していくため、一刻も早く着手していく必要があります。


文化財の修復保存費用や建造物や設備の維持費に加え、原材料費の大幅な高騰、さらに拵については、復元模造制作による修復可否検証という計画外の段階を踏むこととなりました。復元模造の制作はすべて自費での負担となる中で、一刻を争う緊急性があるためクラウドファンディングによるご支援をいただき、皆様と一緒に日本の宝である文化財、及び職人技術の次世代への継承の実現を目指すとともに今後数百年続く新しい歴史をともに作ってまいりたいと思います。ご支援のほどお願い申し上げます。

貴重な文化財を後世に残していくためには、保存修理していく必要がございます。そこには、材料や技術などさまざまな課題が山積していますが、中でも一番大きな問題が費用となってまいります。

日本の宝である文化財を修理保存し、次の世代にバトンを渡していくためには、皆様のご支援が不可欠です。クラウドファンディングを通じて、多くの人たちに文化財の大切さや課題を知っていただく機会にもなればと思います。また、ぜひ展示の際には実際に拵や白鞘の他、家康公がお使いになった、鉛筆、眼鏡など、76種類、191点、身近でお使いになったものがございますので、ご覧になっていただけますと幸いです。

拵・白鞘ともに完成品を頭の中でバラし、一から作り方を構築していく過程が何よりむずかしい上、説明書もありません。その上、継承されず途絶えてしまった技術や物が多数あるのが現実で解決すべき課題が山積しています。しかし、物に関しては、見つかるまでとことん探していき、それでもない場合は、自ら作り上げていきます。技術に関しては、何の道具が使われていたかを探求していくことが重要です。拵の修復・白鞘の新調ともに最も困難な仕事になります。しかし、当時の技術や物をしっかり探求し今後、次世代が同じ課題に直面しないようにバトンを渡していく必要があります。

欠損してる部分が非常に多く、当時作られていたであろう材料は現代にはありません。そのため、材料そのものを用意することさえも困難を極めます。柄の復元では、生地が朽ちてしまい部分的にしか残っていません。朽ちている部分をどう繋ぎ合わせていくか、が大きな課題です。実際には、綿密に図面に起こし、当時の織りの技術や染色、材料、色味を一から再現していく必要があります。当時の柄巻きの糸は、手組みならではの風合いがあり素晴らしいものがあります。先人の職人たちが、どういう想いで巻いてきたのかということをしっかりと理解することも重要です。今回の修復は私にとっても挑戦と思っています。

復元模造制作の難しさは、まず素材となる金具を作りだし、揃えること、そして形にすること双方ともに難易度は「最上級」です。金具自体を作り出すことが困難な上、形にする際には、当時は多数の職人が分業して作っていきましたが、現代では日本刀に携わる職人が少ないので、昔のようにはできません。技術面では、とにかく難しいに尽きますが、技術の総力を結集します。全体のバランスや再現をしっかり見据えて、鞘師さんと連携しながら作り上げてまいります。金具の細かな模様だけでも1つ1つ手彫りを行う手の感触や、職人の目、そして金具を打っていくのに相当な精神力が必要なので覚悟しています。

DMM GAMESとニトロプラスがタッグを組み制作したPCブラウザ・スマホアプリゲームです。プレイヤーは、審神者(さにわ)と呼ばれる主(あるじ)となり、歴史に名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”達を集めながら、白刃隊(はくじんたい)を結成・強化し敵と戦っていきます。彼らの人気はさることながら、史実を基にしたストーリーや、実在する刀剣への関心を集めるなど、様々な方面で話題となっています。2015年1月のサービス開始直後より爆発的に人気が高まり、日本刀に関する書籍や刀を展示している資料館等にファンが訪れるなど、ゲームの枠に収まらない反響を呼んでいます。

そして、本プロジェクトは、2017年12月に実施をいたしました久能山東照宮「刀剣修復プロジェクト」に続いて、『刀剣文化の発展及び文化財を後世につないでいく』という主旨に共感する刀剣育成シミュレーション・オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」のご協力をいただいております。


ゲームには刀剣男士 ソハヤノツルキが登場いたします。
無銘であるが、三池典太光世作と伝わる太刀。坂上宝剣の写しを名乗る。徳川家康が所持し、その死後霊刀として葬られることになった。


ゲームやアニメを制作している株式会社ニトロプラスの小坂 崇氣(こさか たかき)と申します。私は刀剣を題材にした「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)ONLINE」というゲームの原作プロデューサーをしております。

刀剣は、日本最古の書物といわれる「古事記」や官撰の史書「日本書記」にも重要なアイテムとして登場し、日本文化において大変意味深いものです。単なる武器というだけではなく、世の安寧を願って社寺仏閣に奉納するなどして、日本古来より人々の精神を支える存在だったのだと思っております。1000年以上の時を経て、今もなお健全な状態の刀剣が数多く残されているのは、大切に守り抜くべきものであるという証であり、それが、先人達の絶え間ない努力の積み重ねによってなし得ていることは言うまでもありません。

「刀剣乱舞ONLINE」は、数々の名刀から刀剣男士という戦士を顕現して、歴史を守るために戦うというゲームですが、 その刀剣男士の1振りとして「ソハヤノツルキ」が登場します。この刀剣男士は、久能山東照宮様が所蔵される重要文化財の「太刀 無銘 光世作(ソハヤノツルキ)」をモチーフとしております。キャラクターとして名前を使わせていただき、コラボレーションなどを通して作品に寄り添っていただいているご恩や、ソハヤノツルキを大切に維持や管理されていることへの敬意の気持ちから、我々にできることで恩返しをさせていただきたいという想いが常々ございます。

この度、大切な徳川歴代将軍の刀剣の白鞘を新調し、「国宝 太刀 真恒」の拵の復元をされるとのこと。現代では素材や技術が失われていることもあって、これらを実施するには、卓越した技術をお持ちの名工の力が必要とお聞きしています。このプロジェクトを通して、失われた素材と技術の再検討や復元が行われ、伝来の拵が在りし日の姿を残したまま後世へと継承されていくことを望んでやみません。また、白鞘が新調されることによって、貴重な歴代徳川将軍ゆかりの刀剣をより安心して保管維持できるようになります。日本が誇る刀剣文化財と刀剣文化を守っていくため、このプロジェクトの実施を皆様とご一緒に応援できればと願っております。

久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)は、創建来400年以上の歴史を持つ徳川家康公をお祀りしている神社になります。 東照宮と名前が付く神社は現在全国に100以上あり、その起源となっています。
その成り立ちは家康公が75歳まで天下太平の世を目指して御生涯を捧げられ、その遺言によって元和3年に静岡県静岡市の久能山に創建されました。家康公の遺墓所である「神廟(しんびょう)」が近年話題になる他、建造物としては県内唯一の国宝に指定されました。また、13棟の建造物についても、国の重要文化財に指定されています。さらに、久能山の山全体が国の史跡になっているなど、まさしく久能山東照宮を取り巻くすべてが国の宝とも言うことができます。

私たちは古来から伝来する神宝類として歴代将軍の刀剣や甲冑などの武器や武具、調度・装身具、日常品(手沢品)、絵画、書蹟・古文書などあらゆる遺品類を所蔵し、その数は約2,000点を超えております。



リターン(返礼品)は本企画だから実現できる、久能山東照宮の重宝 太刀「ソハヤノツルキ」白鞘の写しや実際に国宝 太刀「真恒(さねつね)」拵の復元模造に使用する拵(こしらえ)の生地、そして職人・アーティストがチームとして集う株式会社studio仕組やプロダクトレーベル「Floyd(フロイド)」がプロデュースした「久能山東照宮」返礼品の他、イラストレーター三輪士郎さんによる「刀剣乱舞ONLINE」の刀剣男士「ソハヤノツルキ」プロジェクト記念描き下ろしイラストを使用した特別返礼品など全21コースをご用意いたしました。
※お申込みの際は、下記返礼品内容及びご注意事項をご確認の上、ご支援をお願い申し上げます。



<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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