北野天満宮所蔵《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納プロジェクトご支援のお願い

北野天満宮では令和9年(2027)に「菅公御神忌千百二十五年半萬燈祭」を迎えます。これは主祭神である菅原道真公(菅公)が薨去されてから25年ごとに行われる天満宮最大のお祭です。

このお祭りには文化財の「再調査・研究・修繕・保存」を行って、貴重な文化や伝統を繋いできたという歴史があります。そこでこの度は、実行委員会を立ち上げ、北野天満宮が所蔵する最古の刀であり、武神としても崇敬される菅公の象徴ともいえる奉納刀、太刀 銘 安綱《鬼切丸 髭切》(重要文化財)の失われた「拵え」(こしらえ)を制作し、奉納するプロジェクト進めて参ります。


失われた《鬼切丸 髭切》の太刀拵えを新たに制作

「拵え」(こしらえ)とは、刀身を納める鞘(さや)、手で握る柄(つか)、柄を握った時に手が刀身の方へ滑らないように施す鍔(つば)などの刀身の外装のことです。太刀《鬼切丸 髭切》には、残念ながらこの「拵え」が伝わっていないのです。本プロジェクトの目的は、現代最高の技術を使って、令和の時代にしか作ることのできない唯一無二の「拵え」を制作し北野天満宮に奉納することです。

武道の神・技芸の神としての菅原道真公を顕彰し、できるだけ多くの方にこのプロジェクトを知っていただく方法を検討した結果、今回はクラウドファンディングにより賛同していただける方々を募り、ご支援をお願いさせていただくことにいたしました。

ひとりでも多くの方と共に、現代の《鬼切丸 髭切》太刀拵えの姿を考える。そうすることで、文化を尊重する皆様の想いと技術を未来に伝え、このプロジェクトを成功させたいのです。

皆さまのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。


刀剣専門家 原田一敏先生コメント

原田一敏先生より太刀《鬼切丸 髭切》、そして本プロジェクトへのメッセージをいただきましたので、公開させていただきます。


太刀拵え制作に際しましては、刀剣の専門家である原田一敏先生(ふくやま美術館館長・元東京藝術大学教授・元東京国立博物館金工室長)の監修のもと、文化財を守るためのルールを遵守し、必要な専門家各位の手をお借りしながら、過去と未来が融合するような太刀拵えを制作して参ります。


返礼品について

奉納箱・奉納目録へのお名前記載

本プロジェクトにご支援下さったすべての方のお名前は《鬼切丸 髭切》拵え奉納箱、もしくは奉納目録に記載させていただきます。

上の写真は明治13年(1880)に太刀《鬼切丸 髭切》が北野天満宮に奉納された際の奉納箱と、その蓋裏に記載された奉納に関わられた有志の方々のお名前です。今回の《鬼切丸 髭切》の拵えにも奉納箱を新たに制作し、「奉納箱へのお名前記載」が含まれたリターンにご支援いただいた方のお名前を奉納箱に記載させていただきます。

《鬼切丸 髭切》奉納箱(上)と蓋の裏に記載された明治13年(1880)の奉納者の御芳名

「奉納目録へのお名前記載」が含まれたリターンにご支援いただいた皆さまのお名前は、奉納目録に記載させていただきます。奉納目録は《鬼切丸 髭切》太刀拵えと共に、北野天満宮で大切に保管させていただきます。こうして、本プロジェクトにご支援いただいたすべての方のお名前は《鬼切丸 髭切》と共に歴史に遺ることになります。


《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納プロジェクト オリジナル記念品

今回のクラウドファンディングでしか手に入らない《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納プロジェクト オリジナル記念品を制作しお礼の品にさせていただきます。

まず北野天満宮初の試みとして等身大押形を作成します。そして、今回限りのオリジナルデザインのポストカード/クリアファイル/梅茶/刀剣しおりなどをご用意しました。

今回のプロジェクトに合わせて『北野刀剣図録』(2024年末完成予定)と『鬼切丸 髭切 太刀拵え奉納プロジェクト記念図録』(ドキュメンタリー図録;太刀拵えの制作過程から奉納式までを収録して2026年末完成予定)を制作いたします。お礼の品にいずれかの図録を選んでくださった方のお名前を、ご支援いただいた図録に掲載させていただきます。

《鬼切丸 髭切》太刀拵えの制作に関わっていただく漆芸職人集団・彦十蒔絵からは、北野天満宮から出た古材を使用した特製の梅皿、仙型椀、漆塗ぐいのみを数量限定で提供いただきます。


各種行事へのご招待

お礼の品には《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納プロジェクトに関連した各種行事へのご招待もございます。

2026年春に予定している《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納式には、ぜひご参加いただきたいです。

奉納式の他にも、神職による北野天満宮ご案内、《鬼切丸 髭切》手入れ見学会、アドバイザーの刀剣専門家 原田一敏先生による《鬼切丸 髭切》鑑賞会など、貴重な体験をできる機会をたくさん提供しておりますのでご検討下さい。


萬燈祭と刀剣・拵え奉納の伝統

菅原道真公は武芸の神として足利家や豊臣家など武家からの尊敬を集め、多くの刀剣が奉納されてきました。北野天満宮には過去の萬燈祭で加賀前田家から奉納された太刀拵えが5振りあります。それらは奉納の際に当代最高峰の職人が新たに制作したものです。

豊臣家から奉納された《太刀國広》の拵えには、北野天満宮を象徴する松と梅の意匠が散りばめられており、これも奉納の際に制作されたものであると推測されます。このように、萬燈祭には名刀や新調した「拵え」を奉納するという伝統があるのです。

豊臣家奉納 太刀《国広》太刀拵え(重要文化財)

令和9年(2027)の半萬燈祭では、拵えの失われた《鬼切丸 髭切》の太刀拵えを制作し奉納することで、この伝統を継続したいと考えています。


環境に配慮した素材を使用した史上初の太刀拵え

北野天満宮は、1587年に豊臣秀吉が催した大茶会である北野大茶湯の会場となり、1603年には出雲の阿国が初めて歌舞伎踊りを上演するなど、新しい文化や芸術をいち早く取り入れ庇護する土壌があります。

今回の《鬼切丸 髭切》拵え制作は、高い技術をもった工芸家グループ KOGEI Next が担当します。参加作家の持つ技術は時に「超絶技巧」と称され、注目を集めています。

KOGEI Next が進めている活動のひとつに「都市鉱山」由来の金属の使用などの、アート・工芸素材の循環への取り組みがあります。今回のプロジェクトでは携帯電話やPCで情報伝達のために使われていた金や銀をリサイクルして使用します。

塩見亮介《白銀角鴟面附白絲縅兜袖》(KOGEI Next展2022 出品作)
使用している銀は全て「都市鉱山」由来 / 北野天満宮宝物殿で展示中


鈴木祥太《都市の養分》2021(KOGEI Next展 2021 出品作)
1台のPCに使われているのと同じ量のリサイクル金を使用したカタバミの花

また、北野天満宮では半萬燈祭のための境内整備を進めていますが、その過程で出た木材や金属などの古材も制作に使用する予定です。こうして、過去と現在がひとつとなる「拵え」の誕生を目指します。


《鬼切丸 髭切》太刀拵え奉納プロジェクト実行委員会

北野天満宮・KOGEI Next・京都女子大学の3者が実行委員会を結成し進めます。また、太刀拵えの制作については、日本刀剣史がご専門の原田一敏氏(東京藝術大学名誉教授・ふくやま美術館館長・元東京国立博物館学芸部金工室長)に刀剣専門家として参画いただきます。

【北野天満宮】
北野天満宮は菅原道真公(菅公)を御祭神としておまつりする全国約1万2000社の天満宮・天神社の総本社です。古来「北野の天神さま」と親しまれ、入試合格・学業成就・文化芸能・災難厄除祈願のお社として幅広く信仰されてきました。千年以上の歴史の中で数多くの宝物が奉納されて今に伝えられています。刀剣は約100振りあり、『鬼切丸 髭切』を含めた5振りが重要文化財に指定されています。

【KOGEI Next】
超絶技巧を持つ日本の工芸作家20名からなる非営利のアーティスト集団です(主催:古美術鐘ヶ江、株式会社クロステック・マネジメント)。「工芸を未来へ」をスローガンに、手仕事とデジタル技術の融合や、環境に配慮した素材を使用したアートの創作を進めています。特にPCや携帯電話のような小型家電からリサイクルされた金や銀、廃棄真珠を活用するなど、SDGsに配慮した作品はアート界で注目を集めています。今回の制作に中心的に関わる予定の漆芸家 若宮隆志をはじめとするKOGEI Next作家5名の作品は、2022年に全国を巡回した特別展「超絶技巧、未来へ!」で展示されました。


【京都女子大学】

京都女子大学生活造形学科では多彩なデザイン活動を行っています。本プロジェクトでは、KOGEI Nextのアドバイザーであり、工芸文化史が専門の京都女子大学生活造形学科教授 前﨑信也と、前﨑ゼミでデザインとアートマネジメントを学ぶ大学生がクラウドファンディングの運営、リターン品のデザインや発送、SNSでの広報等をサポートします。


菅公御神忌千百二十五年半萬燈祭記念事業

北極星を頂く北野天満宮の三光門

本プロジェクトは「菅公御神忌千百二十五年半萬燈祭記念事業」の一環として行うものです。

菅原道真公(菅公)を御祭神としてお祀りしている北野天満宮では、最も重要な祭典として、菅公がお亡くなりになって後50年ごとに「大萬燈祭」を、その間の25年ごとに「半萬燈祭」を斎行してきました。それによって「菅公の慰霊」と「菅公精神の継承」を行ってきたのです。

この大祭にあわせて、平成26年(2014)から、平安時代より受け継がれてきた御社殿をはじめとする境内神域の大規模な修造や維持整備を進めています。また、北野天満宮が所蔵する御神宝についても、調査研究を進め、新しい文化を育みながら未来へ伝えてゆく事業を行っております。

クラウドファンディングへの参加の有無に関わらず、令和9年(2027)の半萬燈祭の際には新しい拵えをまとった《鬼切丸 髭切》の見学と共に、整備の整った北野天満宮にぜひご参拝ください。


スケジュール

2023年11月29日 クラウドファンディング開始
2024年1月25日 クラウドファンディング終了
2024年2月 《鬼切丸 髭切》太刀拵えの制作開始
2024年3月末まで 一部を除くリターン品の発送
2026年春 《鬼切丸 髭切》太刀拵えの完成・奉納・展示
2026年末 全てのリターン品の発送完了予定


資金の使い道

《鬼切丸 髭切》太刀拵え制作費:約1000万円
人件費:約150万円
リターン品制作費・配送費:約140万円

*CAMPFIREの手数料にも使用いたします。


最後に

いつの時代も多くの方々に支えられ文化の継承が行われてきた北野天満宮の半萬燈祭。宝物殿も百周年を迎えます。絶えず変化しながらも伝統を受け継いできた先人たちの思いと奉納された御神宝を未来へ繋いでいくため、皆さまのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください