ご存じでしたか?
「就労継続支援B型事業所」とは、障害などによって一般企業での就労が難しい方へ向けた、就労能力の維持や向上をサポートする施設のことです。
就労のスキルや経験を、実際の業務を通して習得するための「生産活動」も行われています。

施設(就労継続支援B型事業所)での就労時間中に制作した作品、例えば描いた絵を販売しても、その収益が作者である障がい者アーティストにそのままでは還元されにくい現状があります。

そこで今回企画したのが、「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画です。

「 .poco 」(ドットポコ)は、障がい者アーティストの作品を扱うブランドとして起ち上げる名称です。

施設に所属しているアーティストと個人契約を結び、ブランド「 .poco 」(ドットポコ)でオリジナルTシャツを作成・販売したいと考え、動き出しました。これが、「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画です。

なぜTシャツなのかというと、みなさんの身近なものに商品化することで、障がい者アーティストたちの作品を広く知っていただけるのではないかと考えたからです。

「poco」(ポコ、ポーコ)とは、イタリア語で「少し」という意味で、「少しずつ~」「だんだんと~」という音楽用語でも用いられています。そして、鍵カッコは柵=囚われること、の比喩として用いました。
「 .poco 」(ドットポコ)には、<少しずつ、一歩ずつ進んでいこう>、そして、<色々な「柵」のなかでも、前でも後ろでもいいので少しずつ動いてみよう>という意味を込めました。

①作品を制作する

②商品化する

③販売して、利益を得る

④次の作品制作へつなげる

この継続的なサイクルで、アーティストさんの収入や、作品作りだけでなく生活上のモチベーションもアップさせたい!!
それが私たちの強い思いです。

「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画は、障がい者アーティストの方々の体調などにも配慮しながらプロジェクトを進めてまいります。したがって、アーティストご自身の負荷にならないよう考慮し、限定数を設けたものもございます。
いずれも非常に魅力的な作品たちから制作しますので、楽しみにお待ちくださいね!
綿100%/しっかりとした厚みの6.2オンスを予定

◆募集方式について◆
本クラウドファンディング「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画は、All-in方式で実施します。
目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします!

プロジェクト発起人である、私koguchi_caro個人の話になります。

40代を目前に控えたある時期、心身ともに調子を崩してしまったことから早期の退職を余儀なくされ、地元で療養をしていました。
2023年春頃には、騒音の少ないのどかな田舎町で、ハンドメイドでアクセサリーを制作するなどして日々を送っていました。
基本的に引きこもりがちな生活で、たまの外出は地元スーパーに買い出しに行くこと。そんな生活を心配した家族から私は、度々「うちの職場に顔を出してみないか」と誘われていました。

母の職場は、就労継続支援B型事業所。いわゆる「障がい者」のための施設です。
そのこじんまりとした施設では、年齢は10代から40代、知的障害を持つ人たちが作業をしているとのことでした。

実のところ、私は当初、その誘いをかたくなに断っていました。
幼い頃に外出先で、障がいのある若い男性に追いかけられた経験があり、恐怖を感じた記憶が残っていたからです。
「障がい者」への漠然とした苦手意識を、その頃から持つようになっていたのだと思います。

しかし、
「今日はみんなでお昼ごはんを作ったよ」、
「毎日“大丈夫ですか”と背中をさすってくれる子がいるんだよ」などなど…
母は毎日のように、時に優しく、時に面白いエピソードを私に伝えてくるのでした。

施設での日々の出来事を聞かされていくうちに、私はいつの間にか彼らに興味を抱くようになりました。
私の退職理由の一つである「聴覚過敏」という症状について、「障がい者の方にも見られる症状なんだよ」と担当医から聞いたことで、親近感がわいていたのかも知れません。
時が経つにつれ、「なんて素直で無邪気な人達なんだろう」と、私の凝り固まった苦手意識は緩和されていきました。

そんなある日。母から、
「施設の利用者さんが作っているアクセサリーを道の駅で販売させてもらってるんだけど、実は今回の納品数が不足してて…」
そう相談されたものですから、「じゃあ手伝いに行くよ」と、とうとう自分から作業所に行くことを提案したのでした。

そして、緊張しながら出向いた作業所(B型就労支援施設)で、私の生活を大きく変える作品たちに出会ったのです。



「水族館のおもいで」


思い付く限りすべての色がつぎ込まれた、海の世界が果てしなく広がっている――

気が付けば、作品を見つめたままかなりの時間が経っていました。
この作品を生み出したのは、一体どんな人なんだろう?感動があふれると同時に、強く興味がわきました。

これらを描いたのは、愛称「みっちゃん」こと二宮光彦さん。
大きなくまさんのような体格で、とても丁寧に話す青年でした。

一本一本マーカーを持ち替えて塗り進めていく二宮さんですが、実はこの施設に来るまでは、これほど色鮮やかな絵を描いたことはなかったそうです。

彼らのように「知的発達障害」を持つ方が生活していくには、一定の年齢にいたるまで家族らの付き添いが必須となります。そのため、家族自身も長時間の勤務が難しいなどのハンディキャップを抱えることが多々あるのです。貧困に陥る家庭も少なくありません。

施設の棚に並ぶ、カラフルな画材

保護者が仕事で家にいない時間、二宮さんはおばあさんの傍でじっと絵を描いていたそうです。そしておそらく二宮さんにとって絵を描くこととは、鉛筆の黒一色で表現することだったのでしょう。実際、この施設に通い始めた頃(2、3年前)の二宮さんは、作業場の棚に並ぶカラフルなマーカーペンの中でも、片手で数えられるほどの色数しか使えなかったそうです。

この施設では一般的な他の施設に比べ、利用者さん(=通っている障がい者さん)に作品を制作してもらう時間を大切にして、環境を整えています。
この施設の作業場で描き続けることで、少しずつ少しずつ使える色が増え、現在では色を選べるところまできたそうです。



・障がい者のいる家庭の多くが置かれている難しい問題、課題(:家庭環境、差別など)
・「障害」そのものが一体どのような特性のものなのか(:個人差の大きいものであること、進行性のものもあることなど)

これらの厳しい実情は、この施設に来るまでの私には知る由もないことでした。

こんなに素敵な絵が描けるのに、誰にも真似できないエネルギッシュな芸術作品があるのに、それらのほとんどが誰の目にも触れることなく、棚にただ仕舞われているだけ。
どれだけ時間をかけて、丁寧に丁寧に顔が画用紙にくっつくほどの距離で描いても、生活の糧になることもなく、作品たちは消えていく。

このままではいけない。
彼ら「障がい者アーティスト」が、生まれ持ったハンディキャップと闘いながら、魂を込めて生み出されたこの上なく魅力的な「作品」たちなのです。
大切にしたい。もっと世の中の人に知ってもらいたい、もっと多くの人に認めてもらいたい!
そんな思いがこの時私の中に芽生えました。

なにより、私は彼らのいちファンになっていたのです。

「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画に賛同し、この度のリターン品Tシャツの図柄を提供してくださったお二人をご紹介します。
お二人とも、同じくこの施設の「利用者」さんであり、「障がい者アーティスト」さんです。
「みっちゃん」こと、二宮さん


まずお一人目は、「みっちゃん」こと二宮光彦さん。
サインは「みつ」です。

・年齢:22歳

・2023年度受賞歴:

第23回全国障害者芸術・文化祭 能美市長賞 「クロデメニギス」

ほっと・ハート・アート コンテスト2023 バリィさん賞 「水族館の思い出」

2023年度第9回 ART TO YOU!東北障がい者芸術全国公募展 企業賞 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ賞 「ヒレナガチョウチンアンコウ」

BiG-i×Bunkamura アートプロジェクト 第1回作品募集 入選 「大きな街」

二宮さんの作品たち

二宮さんは、鉛筆で下書きをした上から、マーカーペンで感性のまま自由に模様を刻んでいく手法で作品を仕上げています。
とても緻密な色づかいで、見るたびに新たな発見がある点が魅力です。

上記の受賞歴のように、二宮さんの快進撃には目を見張るものがあります。
入賞が発表されるたび、他の利用者さんや職員からは「すごい!!」と拍手の嵐が起きます。そしてみんなが笑顔になれるのです。
キラキラした目で二宮さんを見て、「よし、わたしも頑張ろう!」と手をきゅっと握りしめる利用者さんもいました。
なんて素敵なんだろう!そう思わせてくれるには充分な光景でした。

「麟」(りん)こと、森岡さん
そしてもう一人のアーティストは、いつも「拍手の嵐」の先陣を切って場を盛り上げてくれる彼。
愛称「麟さん」(りんさん)こと、森岡麟太郎さんです。

・年齢:21歳

・2023年度受賞歴:

SDGs障がい者貝絵アート展示会・コンテスト2023 市長賞
「パラシュートとバス」


森岡さんは愛犬と自動車が大好きで、作品にもそれらへの深い愛情が強く反映されています。


こちらの絵は、おじいちゃんになるまでずっと一緒にいた、今は亡き愛犬のハクちゃんです。森岡さんの描いたハクちゃんの絵は、「九谷焼の絵の具で作られたシールを貼って、自分だけのオリジナルな九谷焼をつくる」という、ディスカバリーアートワークショップの図柄にも採用されました。

また、車も大好きな森岡さんは、まるでハッピーな呪文のように、さまざまな自動車の名前を羅列して教えてくれることもしばしば。
そんな森岡さんオリジナルの「アートカー」たちは、元気になれるポップなマーカーペンの色づかいが魅力です。

森岡さんの作品たち


左上「牛カー」のかわいらしい眼差しと、それとは対照的に、鋭い猛禽類の目つきの右下「鳥カー」。
ストーリー性がある点も大きな魅力で、天敵に気付いたミミズたちそれぞれの表情が読み取れた瞬間、思わず「ぷ!」っと吹き出してしまい、笑顔にさせられることうけあいです。

このように、愛嬌たっぷりな作品を生み出す森岡さんなのですが、驚くことに最初はとても切っ先の鋭い日本刀の絵などを描いていたそうです。
そして、「今はもう、そんな絵は描けない」と笑っていました。
この施設の環境で絵を描いて過ごすうちに、トゲトゲした作風から、表情豊かな作風へ変化していったようです。


この施設では、障害の症状にも程度にも大きく差がある利用者さんたち10人前後が、一つの場所に集まって「生産活動」、つまり仕事をしています。作品の制作はその「生産活動」の一環として行われているのですが、実際のところこれらは簡単なことではありません。

ふだん彼らが行っているのは、「美容院で使うタオルを洗って、干して、用途に分けて折り畳んで、納品する」という仕事です。この仕事の合間に絵を描く、という毎日の繰り返しの中で、彼ら障がい者アーティストの生み出す作品は何年もかけてここまで完成しました。

しかし、昨年2023年の12月、この施設は最大の危機に直面しました。
当時の代表が、経済的な理由から「施設を倒産させる」と表明したのです。

実際、社会問題として、施設(就労継続支援B型事業所)の活動は収益(=儲け)にうまく繋げられないというケースも多く、最悪の場合、倒産に追い込まれることがあります。その問題が身近に迫った瞬間でした。

ここまで彼らが何年もかけて、一歩一歩努力して、作品は全国公募でも入選するほどに成長したのに?!
あまりの衝撃で、私の12月中の記憶は曖昧になったほどです。それほどショックな出来事でした。

結果的に当時の代表は退職し、必要となった人員は募集をかけることでなんとか施設は存続となりました。
しかし、大きな負債は変わらず存在しています。加えて、職員の高齢化も進んでおり、この施設の存続が危機的状況であることに変わりはありません。

もともと「 .poco-T 」(ドットポコティー)計画は、3年をかけて着実な製品化を目指していました。
しかし、このような理由から、急遽計画を起ち上げ実行する必要性が生まれたのです。

上記のように、2023年は施設の経営陣にとっては非常に大きな事件があった年でしたが、実は利用者さんたちにとっては、作品の入賞が続いた嬉しい年でした。
誰かが展覧会で入賞することは大きな成果であり、「次は自分が!」とみんなが次の作品に取り掛かる大きな原動力になります。

しかし、障害を持つ方の中には、常に誰かが傍にいる必要があるなど、様々な理由から十分な収入を得ることが難しい状況に置かれている方が少なくありません。
障害というハンディキャップを乗り越え、作品を完成させて、どれだけ立派な賞をいただいても、彼らの生活環境の著しい好転にはなかなか繋がらないのです。

二宮さんと自己紹介を交わした際、彼は無邪気な表情で「好きな食べ物はステーキです」と口にしました。
ただし、彼の家庭の経済状況では、大好きなステーキを食べることがそう簡単ではないことを、私はのちに知ることとなります。

「数々の作品でいくつも賞を頂いている二宮さんでさえ、生活はちっとも好転していないだなんて―」
そう衝撃を受けると同時に、
「みっちゃん(二宮さん)に、月に一度でいいから、大好きなステーキを食べてほしい!」
と、私はぎゅっと胸が締め付けられるような思いがしました。

また、こうして生活をしている間にも、少しずつ症状が進行している方もいます。
彼らがアーティストでいられる時間は、健常者たちのそれとイコールではないのです。

障がい者アーティストが、自らの限られた時間を使って生み出した作品を、私は絶対に無駄にしたくないのです。

本来ならもっとじっくりと時間をかけ、ブランドとしてより成熟した状態でお披露目をしたかったという思いはあります。
しかし、彼らがいまのアットホームな施設で、家族でさえ見たことがないような笑顔で作り出した作品が、彼らの生活を少しでも潤わせることができるなら、それは少しでも早い方が良いと私は考えます。

彼らがアーティストでいられるうちに、そしてこの施設での幸運な環境が続けられる限り、ひとつでも多くの輝かしい作品たちがきらきらと生まれることを願ってやみません。

作品を日用品へと商品化したい理由や動機は、至ってシンプルなものです。
日常でふれる機会の少ない「障がい者アーティストの作品」と出会ったときの私の感動を、より多くの方々と共有したかったのです。

「彼らは、こんなにも魂のこもった作品を作ることができるんだ!」

「彼らの素晴らしい作品をもっと世間に知ってほしい!」

「それなら、もっと身近なところに彼らの作品を持ち出してみよう!」

そんな思いからスタートしました。

「障がい者」という言葉でくくられてしまう彼らですが、その作品には、かわいらしく、奥深い「自由」があります。
そして、何より、作者が「障がい者」であろうとなかろうと、この作品そのものに魅力があることに違いがないと、胸を張って私は言えます。

ただひとつの芸術作品として見たとき、そこにはあなたも気に入る作品があるはず!!

お好きな「推し」の絵柄を身に着けて、お出かけをしてみませんか。
きっと楽しい一日が待っています。

◇資金の使い道◇
●「 .poco-T 」販売ECサイトの制作費、維持管理費・・・約10万円
●「 .poco-T 」Tシャツ作成費・・・約63万円(目標在庫数100枚+リターン品を含む)
●リターン品発送までにかかる運営費(人件費+発送費)・・・約42万円
●クラウドファンディングにかかる手数料(17%+税)・・・約27万円

◇スケジュール◇
●2024年2月中旬        クラウドファンディング開始

●2024年3月31日(日)        クラウドファンディング終了

●2024年3月 下旬        ECサイト作成開始予定

●5月以降(予定)        ECサイトオープン、リターン発送予定

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