700年以上続く松之山村山家の旧主屋・表門(十日町市指定文化財)を大棟山美術博物館として平成元年に一般公開しました。これまでに、中越地震や中越沖地震、長野県北部地震など、何度も大きな地震に見舞われても修復を重ねて公開を続けてきましたが、この度の能登半島地震ではかつてない打撃を受けて、館内すべての漆喰壁にひび割れ、崩れが生じ大規模な修復なしには公開できない状況となりました。地域の歴史をさらに見続け、後世に伝えていくために皆様のお力をお貸しください。
●ご挨拶
はじめまして。新潟県十日町市で700年以上続く村山家の32代当主 村山芽久美と申します。
この度の能登半島地震では当館でも大きな被害が発生し、多くの皆様からご心配をいただき心から感謝申し上げます。ようやく復旧工事が完了し、大地の芸術祭の開幕に合わせ7月13日(土)に開館します。しかしながら、復旧にはこれまでにない大きな費用が必要でした。一部はなんとか事業再建の補助金で賄える見込みができたものの、皆様のお力添えが必要な状況に変わりはありません。どうかご支援をよろしくお願い申し上げます。
●大棟山美術博物館とは
村山家家譜によれば、初代村山万五郎正実が歿したのは鎌倉時代後半の延慶2年(1309)4月。700年以上続く当家は、代々この地域の名主職を勤めた庄屋であり、造り酒屋も営んでおりました。玄関わきに湧き出る名水「柳清水」と高い煙突がその名残を今に残しております。
旧主屋は、宝暦5年(1755)の火災後に建てられ、その後明治、大正、昭和23年に改築されています。欅の一枚板の廊下、天井が高い客用の書院座敷、部屋ごとに違う格天井、襖絵をもつ和室、箱階段、造り酒屋の跡を偲ばせる茶の間から広い三和土(たたき)などが見所です。
表門は高麗門形式で、本来城門として建てられたいわれ、民家の表門としては希少であるといわれます。建てられたのは大正九年で銅板葺きの屋根の一枚には、建築に携わった当時の柏崎町の銅工たちの名前が刻まれています。
村山家の歴史をさかのぼりますと、1673年に善右衛門正信は弟庄左エ門正高に村山家を譲り、岡野町(貞観園)に移住します。
「北越雪譜」の著者として有名な鈴木牧之の妹たかは寛政8年(1796)松之山村山家に嫁いでいます。また、牧之の妻うたは、岡野町村山家から嫁いでいます。
松之山村山家29代政栄は明治15年(1882)岡野町村山家から婿入りし、実家の姪真砂とやり取りした手紙が現存しています。真砂は現在の北方文化博物館(伊藤家)に嫁いでいます。
新潟の作家坂口安吾の叔母と姉が松之山村山家に嫁いでおり、安吾も幾度となく訪れており、松之山を舞台にした作品も多く残しています。当時安吾が使用していた部屋は“安吾の部屋”として公開しております。毎年5月の第3土曜日には当館を会場にして坂口安吾まつりが開催されています。
●被災の状況
これまで、中越地震(2004)、中越沖地震(2007)、長野県北部地震(2011)に加え、豪雪など度重なる災害に見舞われてきましたが、その度に修復を続けなんとか公開を続けてきました。しかし今回の地震では、本館の内壁(漆喰壁)のすべての区画でひび割れ、崩れが生じ、屋根瓦がずれたり、表門の鬼板がずれるなど、これまでの大きな地震では経験したことがないほどの打撃を受け、大規模な修復工事なしには開館できない状況となり、総額1,300万円にのぼる修復費用がかかりました。
●現在の状況
本来であれば冬季閉鎖が開けた春から公開するところ、修復工事が終わるまでの間は休館を余儀なくされていました。開館をお待ちいただく皆さまや地域のために少しでも早い復活を目指し、まずは本館1階の修復を終え、恒例の坂口安吾まつりだけは5月18日(土)に無事開催することができました。その後、7月13日(土)から十日町市と津南町を舞台に開催される「大地の芸術祭」までには何とかオープンさせようと工事作業をすすめ、無事修復工事を終えることができました。
修復費用の資金を募るため被災直後のクラウドファンディング実施も検討しましたが、少ないスタッフ体制で、被害状況の確認や関係各所への報告相談、対象となる補助金の確認や申請手続きを行いながら、クラウドファンディングまで実施することは困難でした。
補助金の交付対象とならなかった場合、当館の宝である大切に保管されてきた古美術品などを売り払うことまで考えており、相当に差し迫った状況でありました。6月下旬にようやく補助金交付決定の通知が届き、一同安堵したところです。しかしそれでも、多くの自己資金が必要な状況に変わりはありません。
そして、修復費総額約1,300万円のうち、事業再建の対象となった補助金等を差し引いても300万円以上の自己資金が必要と明確になったこの段階で、今回クラウドファンディングをさせていただく決断をしました。
●このプロジェクトで実現したいこと
私たちの力だけでは全ての修繕と、その後の安定的な運営が困難な状況です。長い歴史をもつ当館をこの先も松之山に残し続けていくために、地震に負けず修復し、これからも地域の歴史を見守り続けて行きたいと思っています。
●リターンの紹介
ご支援いただいた方には、当館ゆかりの品々や地元産品などをご用意しております。今回をきっかけとして、多くの方に松之山を知り、できればお越しいただき、自然に癒やされエネルギーを充電していただけるとうれしいです。
◯オリジナルクリアファイル、バッジ
十日町市が日本遺産に認定された「究極の雪国とおかまち ー真説!豪雪地ものがたりー」。当館はスノウリッチ(雪国の豊かさ)を伝えるスノウリッチスポットでありスマートガイドが在籍します。当館を通して雪国の豊かさを伝える商品として、オリジナルクリアファイルや缶バッジを制作しました。これがあれば、いつでもどこでも松之山を感じられます。
◯松之山の地酒 「越の露」、「松風」
越の露は当館で、松風は松之山地域で以前つくられていた酒を復活させたものです。米や水に松之山産を使った、まさに松之山の地酒で、お土産や贈り物としても好評です。これを飲めば、体の中から松之山を感じられるでしょう。
<酒類販売管理者標識>
1.販売場の名称及び所在地
一般財団法人大棟山美術博物館
2.酒類販売管理者の氏名
村山芽久美
3.酒類販売管理研修受講年月日
令和6年5月14日
4.次回研修の受講期限
令和9年5月13日
5.研修実施団体名
高田税務署管内小売酒販組合
◯松之山の野鳥こけし
松之山は野鳥がたくさん見られる大変自然豊かなところです。雪深い当地では農閑期の冬の仕事として野鳥こけし作りがおこなわれていました。つくり手は少なくなっても、地域のお母さんたちがひとつひとつ丁寧に作り上げた作品はクオリティが高く、日本を代表するセレクトショップBEAMSの目にとまり、お店に置かれたほどの一品です。玄関や部屋に置けば、そこはもう松之山です。
【サイズ】
A:アカショウビン 高さ15cm 台座直径8cm
B:トキ 高さ13cm 台座直径7cm
箱(商品を梱包する箱):縦8cm 横18cm 奥行12cm
※手作りですので若干の前後はございます。あらかじめご了承ください。
◯松之山温泉コスメセット
山あいにある日本三大薬湯松之山温泉は湯治場として昔から多くの人を癒やしてきました。そんな松之山温泉の効能を十分に体感でき、お土産品としても大変人気なのが、松之山温泉コスメセットです。今回はその中でも人気を誇るミスト、フェイスマスク、リップクリームをセットにしました。どこでもおウチで松之山温泉を楽しめます。※商品について(松之山温泉合同会社まんま)
◯凌雲閣・ふくずみ
凌雲閣は登録有形文化財指定の木造三階建ての宿。今流行の昭和レトロ漂う雰囲気はもちろん、歴史ある木造建築が旅の満足度を上げてくれます。自ら取ってくる山菜やきのこが並ぶ料理の数々は圧巻です。
ふくずみは温泉街の入口にあり、外には足湯もあって湯治客を迎え入れてくれる存在です。中でも屋根のない屋上の露天風呂は絶景。季節ごとの味わいを大胆に見せてくれます。
●資金の使い道
ご支援いただいた資金は、被災した建物の修復工事費の財源として使わせていただきます。
修復費総額約1,300万円のうち、事業再建の対象となった補助金等を差し引いても、300万円以上の自己資金が必要な状況です。全てを自費で賄うことは到底難しく、多くの皆様からのご支援を必要としています。重ねて皆さまからのご支援をお願い申し上げます。
●スケジュール
野鳥こけしは生産量に限りがあり冬に作られるため、お届けまでお待ちいただく可能性がございます。準備ができるものについては、10~11月頃を目処に、準備が整い次第順次発送の予定です。
●応援メッセージ
・坂口綱男さん
写真家。群馬県桐生市で坂口安吾の長男として生まれる。フリーのカメラマンとして広告や雑誌の写真撮影のほか、文筆、講演等の仕事も行う。現在は、父である作家「坂口安吾」についての講演なども行う。2006年には坂口安吾の遺品を新潟市に寄贈しデジタルミュージアムを立ち上げる。
(メッセージ)
父、坂口安吾と深い繋がりのある村山家の建物(現:大棟山美術博物館)が令和6年の能登半島地震で大きな被害を受けた事を知った時のショックは、言葉になりませんでした。
父が青春時代に度々訪れた近しい親戚の家であり、安吾が過ごした時を連想させる唯一現存する建物です。安吾の甥、村山政光氏が大棟山美術博物館として整備、運営してきましたが、このたびの地震で受けたダメージを修復しなければ立ちゆかない状況です。
館内には安吾のゆかりの品々を展示したスペースもあります。
皆様からの応援を、心よりお願いします。
・手塚眞さん
ヴィジュアリスト。1961年、漫画家・手塚治虫の長男として東京都に生まれる。高校在学中に脚本・監督・主演した「FANTASTIC★PARTY」で注目を集める。1999年「白痴」でヴェネツィア国際映画祭デジタル・アワード受賞。2005年テレビアニメ「ブラック・ジャック」で東京アニメアワード優秀作品賞に選出。主な監督作品に「星くず兄弟の伝説」「妖怪天国」など。イベントやマルチ・メディアのプロデュースをする他、文筆業でも活躍。著書に「ブラックモーメント」「ファントム・パーティ」「ヴィジュアル時代の発想法―直感をいかす技術―」「手塚治虫―知られざる天才の苦悩―」などがある。一般財団法人手塚治虫文化財団理事長。株式会社手塚プロダクション取締役。有限会社ネオンテトラ代表取締役。
(メッセージ)
坂口安吾ゆかりの大棟山美術博物館は、建物の佇まい自体が芸術。ここで浅野忠信さんや草刈正雄さんと安吾原作の映画『白痴』を撮らせていただいたのが懐かしい。松之山の素晴らしい文化遺産を後世に残したいと思います。
・蓑﨑昭子さん
㈱桐生タイムス記者。桐生の「安吾を語る会」は初回(1990年)から関わる。坂口綱男さんのフォトエッセー「安吾のいる風景」担当。『安吾と桐生』『安吾の上州・桐生』『安吾の桐生さんぽ』など共著・編集。
大棟山美術博物館、つまり旧村山邸は、豪雪の僻地にあって31代も続いた稀有な一族の住まい。参道のような杉木立を登っていくと現れる外堀、門構えは時代を巻き戻し、堂々たる主屋そして庭園に入ればいつも、心がしいんとなるのです。
坂口安吾が晩年、といっても四十代後半でしたが、妻子と犬たちとともに暮らした桐生の借家、織物買継豪商の書上邸もおおいに時代がかっていますけれど、松之山に居たのは若き安吾です。
安吾の孤独、生きて存ることの不安、透きとほった詩魂と深き懊悩、天然野性への憧憬と彷徨……、若き安吾の息遣いを感じられる唯一無二の場である建物の復旧を、切に望んでいます。
・岩田多佳子さん
「安吾 風の館」事業室・一般社団法人安吾顕彰会。
(メッセージ)
安吾の初期作品の舞台であり、心のふるさとである松之山・大棟山美術博物館(旧村山家)が、能登半島地震で大きな損傷を受けました。
安吾が息づく建物を、時を超えて伝え遺すため、みなさまのご支援をお願いいたします。
・齋藤正行さん
安吾の会世話人代表/シネ・ウインド代表。
(メッセージ)
坂口安吾のゆかりの地の一ツに松之山がある。安吾は戦前大棟山美術博物館(当時村山家)に数度逗留している。そして、松之山を舞台に「黒谷村」「逃げたい心」「木々の精、谷の精」等を作品化した。
昭和六十年十月二十日、新潟にて「安吾の会」発足。同日、松之山にて「安吾碑」が建立された。その発起人の村山政光さんも亡くなり、淋しくなりましたが、「松之山安吾の会」は継続し、大棟山美術博物館を拠点に毎年、興味深い催し「安吾まつり」が行われています。
以前「安吾の会」では、安吾が通った路を、安田駅から徒歩で、朝六時~夕方四時迄かかって大棟山迄歩きました。いつも交流させてもらっています。今後共、発展するために安吾が、まさに、居住した村山家(大棟山美術博物館)とその松之山の自然は、安吾ファンにとっては、かけがえのない物です。安吾由縁の建物は、大棟山美術博物館唯一ツです。是非ご協力を‼
・富井冨士子さん
地域開発コンサルタント。十日町市在住。一級建築士・歴史的建造物専門家として、大棟山美術博物館(村山邸)を調査し、十日町市指定文化財に導く。大棟山美術博物館友の会会員として整備活動にも参加し、この家の素晴らしさを語り伝えると共に、保存にも関与している。
(メッセージ)
大棟山美術博物館(村山邸)は、高い教養と統治力を持つ歴代の当主が、特に明治から近年まで、日本の國體を守った多くの日本人が居た証を、豪雪地の山奥に在るこの主屋に残していました。明治になってからのにわか豪農の館とは異なる落ち着いたそして秘められた趣が、主屋と表門から感じられます。
終戦の年に、主屋をマイナー改修を行っていましたが、以前の姿に戻すことの出来るように様々に残されていました。この大棟山美術博物館は、私達日本人が、日本人としての誇りを取り戻す為に、必用な教材です。ご支援の程よろしくお願いいたします。
・飯島晶子さん
童話から古典までジャンルを問わない朗読舞台を展開。坂口安吾作品等で文化庁芸術祭参加。NPO日本朗読文化協会理事。映画「おかあさんの被爆ピアノ」・NHKEテレ国語番組など出演。「朗読して幸せになる7日間声トレ」みらいパブリッシング刊、「声にして楽しむ源氏物語」キングレコード刊など出版。NPO日本朗読文化協会理事、(有)ヴォイスケ代表取締役。
(メッセージ)
大棟山美術博物館で開催の安吾まつりで、安吾作品「紫大納言」を朗読させていただいた日のこと、懐かしく思い出します。山の中に突然現れた門を潜り、丁寧に作られた木造の館へ。太い梁が見える高い天井は音の響きを広げ、小さな息遣いもみんな聴こえる空間は、とても心地よく、中野智香子さんのグランドハープの音と共に、安吾の世界に浸ったひとときでした。
大棟山美術博物館で皆さんが憩える時間が、再び戻ってきますよう、たいへん貴重な文化財の修復を心から祈ります。
※ほか、メッセージが届き次第随時更新します
●結びのメッセージ
先代村山政光が村山家の旧宅を博物館として一般に公開して35年、財団法人を設立して博物館法に基づく登録博物館となって30年、多くの皆様のご支援により現在に至っていることに感謝しております。
これからもこの地域を見守りながら、地域の歴史を後世に伝えていく博物館として歩んでいきたいと考えております。皆様のご支援を心からお願い申し上げます。
一般財団法人 大棟山美術博物館代表理事
村山家32代当主 村山芽久美
最新の活動報告
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2024/09/17 19:57リターン品と梱包資材の準備が整い、本日(17日)より梱包・発送作業を開始しました。 ご支援いただいたすべての皆様に感謝の気持ちと、お選びいただいたリターン品をお届けいたします。 20日までには発送作業を完了する見込みですので、遅くとも来週中には皆様のお手元にお届けできるものと考えております。 この度のご支援、誠にありがとうございました。そして今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 もっと見る
<御礼>総額427万円のご支援をいただきました!
2024/08/31 14:068月30日をもって、クラウドファンディングの挑戦が終了しました。結果のご報告をさせていただきます。CAMPFIEでのクラウドファンディングは、支援者数218人、支援額3,346,000円。直接寄付では、支援者数50人、支援額924,500円。合計268人の支援者様から、総額4,270,500円のご支援をいただきました!当初目標の300万円を大幅に超える達成額に、驚きと感動でいっぱいです。いただいたご支援は、施設修繕費の自己負担額の充当分や、本プロジェクトにおける追加の広告費や運営費、そして今後の施設運営などに充てさせていただきます。これからリターン品の準備発送を行ってまいりますので、お手元にお届けできるまで今しばらくお待ち下さい。また、多くの皆様からいただく応援や、当館を訪れてみたいという声が励みになりました。皆様とお会いできることを心からお待ちしています。本当にありがとうございました! もっと見る
<本日最終日!>ご支援をお願い申し上げます
2024/08/30 00:00プロジェクトはいよいよ最終日となりました!これまでご支援ありがとうございました。最後の最後までご支援、ご協力、拡散をお願い申し上げます! もっと見る
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