はじめまして、土方歳三つなぐプロジェクト実行委員会と申します。
当委員会は、土方歳三兄の子孫が運営する「土方歳三資料館」と、「株式会社大塚巧藝社」を中心に構成されており、このたび、歳三の志を永く後世に繋いでいくことを目的として「土方歳三つなぐプロジェクト」を立ち上げさせていただきました。

新選組の歴史は、親族がひっそりと遺品を守り語り継ぐだけではなく、さまざまな創作物に取り上げられ、多くの人に語られることで伝えられてまいりました。
今回クラウドファンディングに挑戦し、皆さまのご支援をいただきながら、遺品公開を続けるために必要な修復・複製製作などの施策を行うことで、皆さまとともに手を取り合って新選組・土方歳三の歴史を未来へつなげていきたいと考えています。

土方歳三資料館は、全国から土方家に寄せられた「遺品や史料の公開を」の要望に応え、1994年(平成6年)に東京都日野市の歳三生家跡に開設されました。愛刀・和泉守兼定をはじめとする武具や直筆書簡など、歳三の一生を伝える生家ならではのゆかりの品が60点あまり公開されています。土方歳三兄の子孫が自ら新選組や歳三の歴史を伝えるべく個人で運営を続け、昨年2024年には30周年を迎えました。

(生家古写真)
資料館は個人で運営をしているため、ご来館者の対応から所蔵品の維持管理まですべて賄う必要があります。特に所蔵品の修復や管理については、今まで土方家が個人で負担してまいりましたが、その費用は莫大です。
さらに2023年の資料調査によって、複数の歳三遺品類は、幕末から時を経て劣化も進んでおり、修復が急務であることが明らかになりました。

(資料館外観)

生家に伝わった歳三の遺品・新選組史料が後世へと受け継がれるよう、2022年〜2024年まで一度長期休館をして、未来へ向けて体制を整えました。
具体的には、
①大規模な資料整理を行い、目録作成や各史料の状態を確認
②新選組と土方歳三の歴史を後世に伝えるために、最善の方法を模索すべく、全国にある大小様々な形態の展示館を訪ねて、公的博物館への寄贈を含めて、あらためて個人運営以外のあらゆる可能性を検討しました。
そして「やはりこの地で伝えることに意義がある」という結論に至りました。
土方家の土方歳三史料はあくまでも私家資料。生活用品や家の歴史などと一括りになっていることで、より歴史を語り継ぐ力を持っています。
歳三が生まれ育った場所で、血脈をつなぐ者が家に伝わる逸話とともに公開していくことで、新選組・土方歳三の歴史が多くの人に愛され、研究され、創作物に取り上げられることにもつながると信じています。

「歴史は語られなければ忘れられてしまいます」
新選組は、敗者側の歴史です。通常であれば歪められ、忘れられていく運命でした。
しかし、講談・小説・漫画・ゲームといったさまざまな創作物に取り上げられたり、近年では歴史研究者によって学術的に研究されるなど、新選組の歴史は多くの人に語られることで、奇跡的に現代まで伝えられてまいりました。


《土方歳三 鎖帷子(池田屋事件使用)の修復》
(鎖帷子)
元治元年(1964年)6月5日の池田屋事件、翌7月の禁門の変の際に歳三が着用し、鉄で編まれた鎖地右後ろ部分に、刀槍で突かれた時の跡とみられる穴があいており、実戦での緊迫感を伝えています。裏地には、汗染みが残り、何度も異なる糸で補修がなされており、日々酷使されていたことがわかります。
歳三の遺品であるとともに、池田屋事件で実際に使用された武具として、歴史を伝える貴重史料でもあります。

(鎖帷子の劣化部分)
しかしながら、池田屋事件より160年が経過し、裏地布のほつれ・鎖地の金具はずれ・サビの進行など、全体的に劣化が進んでおります。現在資料館では、原本は公開できない状態のため、複製が展示されています。
このまま修繕が行われなければ、鎖帷子は朽ちて形を失っていくため、早急に補修、手当が必要となっています。
《土方歳三 鎖帷子(京時代使用)の修復 及び 複製》

(鎖帷子)
京時代、歳三が着装した鎖帷子で、籠手裏には「圡」と墨書きされ、これが歳三のものであると一目でわかるようにしているなどの特徴があります。かなり使い込まれた痕跡が随所に見受けられ、京で命を賭して市中取締りを務めた歳三の奮闘ぶりが偲ばれる遺品でもあります。


(鎖帷子の劣化部分)
こちらの鎖帷子も裏地布部分の劣化が進み、籠手の鎖地と裏地とをつなぐ部分はほつれ、ところどころ分離しています。頭に当たる鉢裏部分は劣化により剥がれてしまっている状態で、現在資料館では公開をとりやめている状況です。
この資料を再び公開するためには、現段階で原本の修復と複製の製作を行う必要があります。
現在、文化財の保存公開の方法として、複製を活用しながら原本の劣化を防ぎ、公開を続けることが主流となっています。歳三が手にした史料、その息遣いまで伝えるため、職人の技で使用痕まで忠実に再現した複製を製作します。複製は単なる原本の代替ではなく、歴史を未来へつなぐ大切な存在。今後は原本と複製を交互に入れ替えながら公開することで、原本が健全な状態を維持するよう目指します。
《和泉守兼定 拵・刀身の写しの製作》

(刀身・拵)
会津藩のお抱え刀工であった会津十一代和泉守兼定が鍛えたこの一振りは、新選組の仕えた会津藩主・松平容保公より土方歳三が賜ったもの。箱館で戦死する最後まで歳三を護った愛刀です。
刀身は昭和初期に一度研ぎ直されていますが、当時は刀身には数箇所の刃こぼれがあり、「歳三の実戦での様子が見てとれた」と土方家には伝わります。

(柄糸の摩耗部分)
拵は、鞘には実戦でのあたりによるとみられる疵(きず)が何ヶ所も残ります。また柄糸は、歳三が強く握っていた部分は摩耗が激しく、その使用痕から歳三が手にした頃を伝える貴重な資料となっています。
土方家では、歳三が使用した状態のまま、現在まで伝えてまいりました。しかし拵は160年近くの年月を経て、附属する下緒の紐の劣化が進んでおり動かすと繊維が解けてしまうため、移動は難しい状態です。
そのため現在、他館への展示貸出は刀身のみに制限されています。
今回、写しを製作する理由は二つあります。
一つ目は、今後進んでいくであろう劣化を鑑みると、現段階の歳三が使用した状態を残している原本を忠実に写しておくことに意義があること、そして二つ目は、原本の劣化を最小限に防ぐために、原本史料を休ませながら公開するために写しの一腰の存在が必要であることです。
古来より、書物・刀剣などにおいて写しは多くの人に情報を伝え、原本を守る役割を果たしてきました。この写しの一腰が、原本がより健全に後世へとつながれていくことを助け、また日本刀技術伝承の一助となることを願っております。
《古文書(天然理心流中極位目録)の複製》

(天然理心流中極位目録)
近藤勇が土方歳三に授けた剣のお免状であるこの「中極位目録」は、多摩時代の2人の関係性を象徴する大切な歴史史料です。明治期は新選組は賊軍とされ、土方家は一族郎党根絶やしにされると噂が立ち、歳三遺品を持っていることも憚られるような時代でした。その時代背景もあって、宛名は「土方歳蔵」とあるべきところ、土方家により名前部分が削り取られ、「義昌」と改められています。
歳三の諱・義豊と近藤の諱・昌宜から一文字ずつ取って、縁者にだけこの資料の由緒がわかるよう宛名が改ざんされました。
「歳三さんの剣士としての腕前を示すこの資料はどうしても遺したい」という当時の遺族の思いが伝わります。その後も代々、土方家ではこの中極位目録を大切に伝えてまいりました。

(改ざん部分)
そのような経緯を踏まえ、歳三直筆の書状など複製作成が望まれている史料は多数ございますが、中極位目録の複製の製作を最優先にすることといたしました。

「今後も多くの方々に公開を続け、新選組・土方歳三の歴史を伝えながら、史料を未来へと遺したい」
複製を活用しながら史料を広く公開し、新選組研究の発展にも協力しつつ、歴史を未来につなぎます。



私どもお寺でも、建物の維持や資料の保存には膨大な費用がかかり、個人の力だけではとてもやりきれない部分が多くあります。例えば、お寺の宝物や掛け軸、巻物など、昔の貴重な品々を修理しようとすると、信じられないほどの金額がかかります。大きな修理では何千万円もの費用が必要になることもあります。そのため、私たちは広く支援を募りながら、信者や支援者の皆様とともに大切な文化財を未来へと受け継いでいます。
歴史的な建物や資料が今も残っている場所には、信仰心や、それを支えようという人々の強い思いがあります。お寺も、土方歳三資料館も、それを守り、未来に繋げたいという人々の気持ちがあるからこそ残ってきたのです。支援の形はさまざまですが、一人ひとりの思いが合わさることで、確かな未来が築かれていきます。
土方歳三資料館もまた、歴史を語り継ぐ大切な場所です。その価値を理解し、守り続けようと思う方々の力が集まれば、きっと未来の世代へも受け継がれていくことでしょう。どうかこの資料館を未来へ紡ぐ力を貸していただきたいと思います。それが、歴史と文化を次世代に残す一歩になると信じています。


壬生寺は新選組結成の地として深い縁を持ち、当時は境内で訓練が行われ、隊士たちの活動を支えた歴史があります。新選組にゆかりのある品々が少ない中でも、その歴史は創作や人々の思いによって脈々と語り継がれてきました。
壬生狂言もまた、700年以上の伝統を持ちながら、紙の台本を一切持たず、すべて口伝で受け継がれてきました。壬生寺は幾度もの火災に見舞われましたが、人から人へと伝えられてきたことで、この伝統が途絶えることはありませんでした。文化や歴史は、単に記録として残すだけではなく、人の心とつながり、伝えられることで生き続けるのだと実感します。
土方歳三資料館のクラウドファンディングは、そうした歴史や文化を未来に繋ぐ大切な取り組みです。歴史的な品々を守ることは、私たち現代に生きる者の務めでもあります。人々の支援とつながりが、この取り組みを可能にするのです。
どうか皆様も、土方歳三資料館が次世代へ歴史を繋ぐ力となれるよう、温かいご支援をお願いいたします。


角屋は、江戸時代から続く京都・島原の揚屋(宴会場)として、当時の文化や歴史を今に伝える貴重な建物です。ここには、幕末の志士たちも訪れ、酒を酌み交わし、交流を深めていました。新選組も例外ではなく、土方歳三や近藤勇、芹澤鴨といった隊士たちも、この地に足を運んだ歴史があります。今でも館内には、彼らが過ごした痕跡が残り、当時の空気を感じることができます。
しかし、このような歴史的な場所を守り続けることは決して簡単ではありません。文化財を維持するためには、適切な管理と保存が必要ですが、それには莫大な費用と労力がかかります。角屋でも、蔵に眠る膨大な資料や美術品を整理し、展示するためには人手も資金も足りません。文化は、ただ残しておくだけでは意味がなく、伝え続けることこそが重要なのです。
土方歳三資料館もまた、個人の努力によって維持されている貴重な歴史の拠点です。土方歳三が遺した品々を守り、後世へと伝えていくためには、多くの方々の支えが必要です。
歴史を未来へ紡ぐため、このクラウドファンディングを通じて、ぜひとも力を貸していただきたいと思います。
文化を守ることは、次の世代に歴史を伝えること。
ぜひ皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
DMM GAMESとニトロプラスがタッグを組み制作したPCブラウザ・スマホアプリゲームです。プレイヤーは、審神者(さにわ)と呼ばれる主(あるじ)となり、歴史に名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”達を集めながら、白刃隊(はくじんたい)を結成・強化し敵と戦っていきます。彼らの人気はさることながら、史実を基にしたストーリーや、実在する刀剣への関心を集めるなど、様々な方面で話題となっています。2015年1月のサービス開始直後より爆発的に人気が高まり、日本刀に関する書籍や刀を展示している資料館等にファンが訪れるなど、ゲームの枠に収まらない反響を呼んでいます。
そして、本プロジェクトは、『刀剣文化の発展及び文化財を後世につないでいく』という主旨に共感する刀剣育成シミュレーション・オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」のご協力をいただいております。



ゲームには刀剣男士 和泉守兼定が登場いたします。
幕末から活躍した兼定の作であり、新選組副長 土方歳三が愛用したと言われる大振りの刀。美と実力の両方をテーマとして生きている。


ゲームやアニメを制作している株式会社ニトロプラスの小坂 崇氣(こさか たかき)と申します。私は刀剣を題材にした「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)ONLINE」というゲームの原作・プロデューサーをしております。
私が土方歳三資料館を初めて訪れたのは2016年のことでした。「刀剣乱舞ONLINE」の制作を通じて、和泉守兼定をはじめとする日本刀に深く関わるようになり、その実物を土方歳三さんの生家である地にて拝見したいという思いから足を運びました。実際に拝見させていただき、土方歳三が使った刀や遺品が持つ歴史の重みを改めて感じました。
刀剣や文化財を守り、後世に伝えていくことは決して簡単なことではありません。私自身も刀を所持していますが、その手入れや保存には想像以上の手間がかかります。資料館が個人運営でありながら、遺品の修復・管理を行い、訪れた方々にその歴史を伝え続けていることには、心から敬意を抱きます。しかし、保存環境の維持や修復の費用は膨大であり、個人の力だけでは限界があります。
文化財を未来へ残すためには、多くの人々の支援が必要です。「刀剣乱舞ONLINE」を通じて刀剣に興味を持った方々にも、ぜひこのクラウドファンディングに参加し、文化財を守る活動に関わっていただけたらと思います。
皆さんの力を合わせて、このクラウドファンディングを成功させ、ぜひまた資料館を訪れてみてください。自分が少しでも支えた資料館や刀たちを目にすると、きっとこれまでとは違った思いが湧いてくるはずです。その特別な感覚を、皆さんにもぜひ味わっていただき共有しあえたらと思います。
この機会に、土方歳三資料館を支え、未来の世代にもこの貴重な史料を残すための力を貸していただければ幸いです。

リターン(返礼品)は本企画だから実現できる、土方歳三の愛刀「和泉守兼定」の拵・刀身の写し製作時の資材を使用したバッグチャーム、歳三自らが手植えした矢竹を使用した生家ならではのバッグチャーム、そしてクラウドファンディング限定「土方歳三資料館」返礼品の他、「刀剣乱舞ONLINE」の刀剣男士「和泉守兼定」プロジェクト記念描き下ろしイラストを使用した特別返礼品など全13コースをご用意いたしました。
※お申込みの際は、下記返礼品内容及びご注意事項をご確認の上、ご支援をお願い申し上げます。
※不良品以外の返品・返金は承っておりません。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
<土方歳三資料館返礼品>







<刀剣乱舞ONLINE・土方歳三資料館返礼品>






集まったご支援金は、文化財修復・複製製作事業、プラットフォーム手数料、返礼品、送料に使用させていただきます。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
<修復スケジュール>
鎖帷子(池田屋事件使用)の修復
2025年6月〜2027年1月予定
鎖帷子(京時代使用)の修復
2025年6月〜2027年1月予定
鎖帷子(京時代使用)の複製
2025年6月〜2027年1月予定
和泉守兼定 拵・刀身の写しの製作
2025年6月〜2027年1月予定
古文書(天然理心流中極位目録)の複製
2025年6月〜2027年1月予定
<修復・複製お披露目会/刀剣授与&報告会/製作職人と土方館長座談会 日程>
いずれも2027年3月を予定しております。
事業の完了ご報告等を土方歳三資料館にて実施いたします。
ご参加いただけない方には、対象コースお申し込みの方限定の活動報告にてお伝えさせていただきます。
・場所:土方歳三資料館
・支援者様の交通費や滞在費:各自でご負担ください。
・支援者様との連絡方法:詳細は「メール」でご連絡します。
・お申し込み後のキャンセルは不可となりますのでご了承ください。
*修復・複製お披露目会/刀剣授与&報告会/製作職人と土方館長座談会は現時点での予定であり、文化財修復・複製製作事業の進捗状況により変更となる可能性がございます。

紫雲山・くろ谷 金戒光明寺
律宗大本山 壬生寺
公益財団法人 角屋保存会
株式会社ニトロプラス
株式会社WORLD FESTIVAL(WORLD FESTIVAL Inc.)
最新の活動報告
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【ご報告】矢竹バッグチャームコース 返礼品の発送について
2025/11/27 17:00皆さまこんにちは、土方歳三つなぐプロジェクト実行委員会です。大変長らくお待たせいたしました。対象の皆様にメールでご案内しておりました、20000円の返礼品:限定1,000口【土方歳三資料館】矢竹バッグチャームコースにつきまして、本日、対象となる支援者の皆さまへの一斉発送が完了いたしました。このたびは発送の遅延により、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。楽しみにお待ちいただいたにもかかわらず、お届けが遅れ、支援者の皆さまのご期待に沿えなかったことを重ねてお詫び申し上げます。こちらのチャームには、武道を始めた歳三が、立派な武人となる願いを込めて生家の庭先に植えた矢竹が入っています。歳三さんの前向きな志を、お手元に置いて感じていただければ嬉しく存じます。今後とも本プロジェクトへの変わらぬご支援とご厚情を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。 もっと見る
【ご報告】土方歳三つなぐプロジェクト公式サイトの開設
2025/11/25 17:00皆さまこんにちは、土方歳三つなぐプロジェクト実行委員会です。このたび、「土方歳三つなぐプロジェクト 公式サイト」が開設いたしました。tsunagu-lp-toshizo.com現在、文化財保全(歳三の鎖帷子・和泉守兼定・書状)や展覧会協力事業を推進中です。土方歳三の志と歴史を未来へつなぐため、文化事業やコラボレーション等、お気軽にご相談をいただける窓口となれば幸いです。今後もプロジェクト活動の様子を随時ご報告致しますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 もっと見る
和泉守兼定拵え 下緒復元模造 〜有職組紐 道明 工房訪問〜
2025/11/13 17:00【和泉守兼定 拵え 下緒 復元模造制作】11月11日(火)、東京・上野にあります「有職組紐 道明」を訪ね、歳三愛刀・和泉守兼定の拵えに附属する下緒の復元模造について、制作の様子など拝見してまいりました。有職組紐 道明は、1652年創業の歴史を誇る組紐の老舗。飛鳥奈良時代より続く組紐の伝統技術を現在に伝えるべく、正倉院の組紐復元模型などの文化財復元事業に携われてもいらっしゃいます。技法の研究活動とともに、現在でも組紐への裾野を広げるための組紐教室事業にも積極的に取り組んでおられます。まさに、宮中装束から武具、現代では帯締めなど和装小物に至るまでの、日本の伝統的な組紐技法を過去から未来へとつなぐフラッグシップ的存在といえましょう。今回、道明さんは、土方歳三の佩刀「和泉守兼定」に結ばれていた下緒を、当時の素材・技法に忠実に再現する復元模造を手掛けてくださっています。以前の原本調査の結果、下緒は「丸八つ組(まるやつぐみ)」という組み方にて組まれていることが判明。さらに、素材には絹糸の中でも最高級の「極天糸(ごくてんいと)」が用いられています。これは、現代の絹糸は機械化により、より多数の「撚り(より)」がかけられているが、幕末期は手で捻ることから撚りはあまりかかっていなかったことなどを理由としています。また色味に関しても、150年以上を経て脱色が進んでいる状態や、草木染めが主流であった当時の技法から、染めに関しても「藍染め」を採用。原本の色の残っている奥部分の色味などより推測される歳三が手にした当時の色味を手染めにより再現。より当時の再現に近づけるために素材や色なども吟味されています。組紐は、一見すると細やかな工芸ですが、一本の下緒を完成させるまでには、熟練の手仕事と繊細な感覚の積み重ねが欠かせません。糸を交差させる「組台」の上では、規則正しい動きの中に職人の呼吸と集中が宿り、徐々に美しい丸組の姿が現れていきます。かつて、道明さんのあった上野のいとう呉服店に奉公した経験もある歳三さん。少年時代にはお使いなどで道明さんのご近所をあちこち走り回っていたのではないでしょうか。そのように考えますと、今回の「土方歳三つなぐプロジェクト」での組紐復元事業は、歳三さんがつないでくれた温かなご縁に導かれているようにも思えます。今後も引き続き、各職人様の制作の様子などをご報告いたします。引き続き、皆さまに見守っていただけますと幸いです。 もっと見る






新選組や土方歳三のファンとして修復ありがとうございます。 このプロジェクト応援してます。頑張ってください。
"This project looks incredibly innovative! The updates and community engagement are inspiring. Can’t wait to see how it progresses. Great work to the team behind it—keep pushing forward!"