
皆さまこんにちは、土方歳三つなぐプロジェクト実行委員会です。
先日、土方歳三の鎖帷子の修復および複製制作をお願いしている西岡甲房を訪ねました。
その際、鎖帷子の複製制作において鉢金部分を担当されている鍛金家・相原健作さんと、制作全体を統括されている西岡文夫さんより、当時の技法や構造的特徴について、貴重なお話の数々を伺いました。
お話の中で特に印象的だったのは、鎖帷子の作りが非常に理にかなった、機能性を突き詰めた構造であるという点です。
たとえば鉢金に施された曲面(R)は、受けた打撃の力を一点に集中させず、周囲へと逃がすための工夫であり、また、しのぎ(稜線)を設けることで、素材の厚みを増やさずに強度を高めています。さらに、全体としては極力薄い鉄板に仕上げることで軽量化が図られており、実戦での使用を前提とした合理性が随所に見て取れます。
これらの構造や工夫は、単なる装飾品ではなく、「生き延びるための道具」として鎖帷子が作られていたことを雄弁に物語っており、実を重んじた土方歳三の人間性とも強く重なって感じられました。
今回の鉢金部分複製制作に関しては、相原さんの鍛金家としての視点にて、そのフォルム、錆止めの質感ややすり目の方向などにより、製法や仕上げ方など細かな点も明らかになってきております。
また、今回の複製制作にあたりましては、西岡さん自ら似ている裂(布地)を求めて、京都にまで足を運んでお探しくださいましたが、同様のものは存在しなかったために、原本の布地をもとに一から布地を仕立て、再現しております。

現在、土方歳三つなぐプロジェクトが実施しております歳三遺品の修復・複製制作にあたりましては、そうした専門的知見からの分析や新たな気付きも記録しながら進めており、ゆくゆくは皆さまにもまとめてご報告できますようにと考えております。
今後も折に触れ、活動報告をさせていただきますので、変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
土方歳三つなぐプロジェクト実行委員会






