2016/12/31 03:36

今回のプロジェクトに付随することとして、
商標速報botにおける大量出願者の扱いの変更について説明します。

大量の商標登録出願を行う者がいる問題についてご存じない方は、
下記の記事などを参照してください。

商標乱発、国全体の1割出願 男性「あくまでビジネス」:朝日新聞デジタル

結論から言うと、
今回のプロジェクトで製作するwebサイトが一旦完成した際には、
大量出願者により出願されている商標を、商標速報botにおいて投稿しないようにします。

大量出願者を看過してきた理由

これまで、商標速報botでは、大量出願者による出願に対して特別な対応を取ってきませんでした。
これは、特に価値判断は行わずすべての出願を投稿する、という私の意向によるものです。
商標速報botは、情報配信サービス的な側面とネタbot的な側面を持ち合わせていると思いますが、
情報配信サービスとして見た場合、中立性は維持した方がいいと考えていました。

一方、大量出願の問題は何らかの形で可視化しておいた方がいいのではないかという考えもありました。
ありがたいことに商標速報botには多くのフォロワーがいます。
大量出願などの行為があれば、それが多くの人の目につき、問題として認識する人が少しずつ増えていく。
広く問題として知られるようになれば、対処法など問題に対する知見を蓄積・共有しやすくなるのでは…と。
(一個人がそこまで考える必要は無いのかもしれませんが…。)

現在の状況

結局、大量出願を法的に規制するのは難しいらしく、
現在に至るまで問題は解決されていないわけですが、いくつかの動きはありました。
特許庁が注意喚起を出したり、朝日新聞がこの問題を取り上げたりしています。

自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意) | 経済産業省 特許庁

商標乱発、国全体の1割出願 男性「あくまでビジネス」:朝日新聞デジタル

問題の解決にこそ至っていないものの、
然るべき機関が動く状況になっていると見なすことはできます。
そのため、もはや商標速報bot上でこの問題を可視化し続ける必要は無いのでは…と考えています。

フィルタリングの方法

ただ、情報配信サービスとしての中立性を考えると、
特定の情報を恣意的にフィルタリングするのは好ましくなく、
基準を明示した上でフィルタリングを行うべきだと思います。

例えば、ある年において同一の出願人による商標登録出願が1000件を超えた場合、
その出願人を大量出願者と見なし、1000件を超えた時点からその年の終わりまで、
その出願人による出願を投稿しない…といった運用を考えています。

このような運用をするためには、
各出願人がある年において何件の商標登録出願を行っているかを把握しておく必要があります。
実は、現在の商標速報botのバックエンドでは、各出願のデータをツイートの投稿が済み次第削除しています。
二度と使わないデータを残しておいても意味が無いためです。
つまり、出願データを蓄積しておらず、各出願人の商標登録出願件数を把握する手段は持っていないということです。

今回のプロジェクトで製作するwebサイトでは、
当然、出願データを蓄積していくことになります。
これにより、各出願人の商標登録出願件数を把握することができるようになり、
商標速報botにおいて出願件数に基づいたフィルタリングが可能になります。

まとめ

以上をまとめると、
今回のプロジェクトで製作するwebサイトが一旦完成した際には、
大量の商標登録出願を行っている出願人により出願されている商標について、
明確な基準に基づくフィルタリングを行い、商標速報botにおいて投稿しないようにします。

なお、大量出願者により出願されている商標を確認したいという方には、
今回製作するサイトを使っていただくことになります。
情報配信サービスとしての中立性は、botではなくサイトの方で確保することになります。