2017/05/02 15:33
「ハリウッドアクション俳優になるために、武術と英語を磨いています。」

出演・アクションシーンの振り付けを担当する慶應義塾大学在学中の金野光秀さんにインタビューしました。(質問・編集者:岩田 カメラマン:小沼)

●経歴
2014年 慶應義塾体育会 少林寺拳法部入部
2014年 関東学生新人大会 男子有段の部 第1位 東京都知事賞
2015年 少林寺拳法神奈川県大会大学生男子の部 優秀賞
2016年 第53回少林寺拳法関東学生大会 立会評価法個人 優勝 
2016年 2016年度全日本学生大会 男子二段以上 4位 他多数
2017年 第54回少林寺拳法関東学生大会 立会評価法個人 優勝(5/6/2017 更新)

●インタビュー


1.アクション俳優、ジェット・リーを目指して

岩田「それでは、今日はよろしくお願いします。少林寺拳法をはじめたきっかけを教えてください。」

金野「ジェット・リーのようなアクション俳優になることを志し、はじめは器械体操にしようか武道にしようか悩みました。結果として少林寺拳法部の技術に惹かれ、始めることにしました

岩田「高校から始めたということは7年目になりますね」

金野「本当は高校卒業時にさっさとやめて、大学ではアクション俳優になるために役者の養成所に通いながら、ちょっとずつ映画に出演していく予定だったんですけどね…」

岩田「それでも大学では敢えて少林寺拳法を選んだと」

 金野「というのは、競技(少林寺拳法)ってやってみるととても奥が深くて、とても高校3年で収まるようなものではなかったんですね。」


金野「日本って武術経験のあるアクション俳優はいると思うんですが、”武術家出身”の俳優ってなかなかいないと思うんですよね。アクション俳優になりたいというよりは、武術家としてのルーツをもったアクター(俳優)になりたいと思ったのです。それで、大学でも4年間、少林寺拳法を続けることを決めました。それで今に至ります。」

岩田「ジェット・リーも、もともと少林拳の素晴らしさを伝えるために映画に出る事を志していたようです。」

金野「そうなんだ(笑)」


2.少林寺拳法ひとすじの7年間

岩田「はい(笑)。」「金野さんがそうして決断をされてから4年目になり、そろそろ引退試合も控えていますよね?

金野「そうそう。11月末に引退なので、まああと半年以上はありますけど。」

岩田「高校卒業前も含めて合計7年近くこの競技を続けてきて、どうですか?」

金野「あの、、、簡単に言うと、最深部が見えてきたなという気はします。」

金野「もちろん自分より強いひとはたくさんいるし、偉そうなことは言えませんが、やっぱり部活で一つの競技をやるという経験は(どの競技でもそうですが)すごく密度が濃いんですね。高校の時は、夏休みと年末年始の一週間以外ほとんど休み期間はなかったんです。夏とかめっちゃミット蹴ったり走ったり乱取りしたりして、っていう状態を3年間やってきて、大学の体育会少林寺拳法部でも週5で同じくらいの密度でやっています。そうやって少林寺拳法と7年間過ごしてきたので、「動き」とかはすごく精錬されたと思いますね。少林寺拳法のなかでの技術でいえば、得るものがたくさんありました。」

 
3.新しい挑戦。エクストリームマーシャルアーツ

岩田「最近では少林寺拳法以外の武術も研究しているとか?」

金野「はい。というのは、これだけ少林寺拳法に取り組んできて、ジェット・リーになるためには少林寺拳法だけではスキルが足りない、ということも同時に見えてきました。少林寺ばっかりやってくると、少林寺じゃ足りない部分も見えてくるんです。そこでいま板橋でエクストリームマーシャルアーツ(XMA)というのを週に1回習っているんです。

器械体操のようなアクロバットな動きと、少林寺拳法のような武術(マーシャルアーツ)の動きを織り交ぜた技を練習して、それをつなげてひとつのトリッキングというものに仕上げていくのがXMA、エクストリームマーシャルアーツというやつです。

岩田「エクストリームマーシャルアーツ(XMA)についてもう少し詳しくお願いします。」

金野「XMAっていうのは実はこれといった明確なルールはなくて、僕のやっている少林寺拳法も武術の動きがふくまれるので、XMAの技に含まれるものもあります。他にもダンスとか、テコンドーの技とかと名前がかぶっていたり。」

金野「XMAはこういった様々な武術の動き、器械体操の技をベースに作られていくもので、インターネット上でいろんな技が公開されています。そういうのをYouTubeで見ていくうちに少林寺だけでは身につけられない技や動きをXMAから学べるということがわかっきたんです。」


4.これまでの実績とこれから

岩田「少林寺拳法の「最深部」が見えてきたとのことですが、実績も着実につけてきていますよね。

金野「そうっすね、関東、全日本の規模で最近ようやく実績が出てきました。もともと高校の時に大きな大会で実績が残せなくて、(憧れのジェット・リーが全国大会で五連覇しているということもあり、)もう少しやろうと思って大学でも続けてきた側面もありました。

金野「大学1年の時新人大会で1位、2年で関東で4位とって、さらに翌年同大会で1位。ここでようやく関東1位になった。

(カメラマン「すげえ・・・」)

金野「そして去年全日本学生大会の男子2段以上でついに4位にまで行きました。結果で言えばなんとか上がってきたなという感じです。(笑)」

岩田「これだけ結果を出し続けていても、途中で嫌になってきたりしませんか?疲れたりとか。」

金野「もちろん結果を出すことは大事なんですが、その結果を出す為に技術を磨く過程で、精神的な成長があるのが理想です。人生の目標(ジェット・リー)の為に頑張る今があるっていう、生きる意味を見失わず自分が持てる、みたいな。それは自分の場合なんですけど、人によって色んな形で自分を持てるというのが、武道の魅力だと思います。それを語れる程自分は結果も出してないので、日本一を目指してあと半年全力で頑張っていきたいと思います。

岩田「とても興味深いです。まさに少林寺拳法一筋の金野さんですが、このプロジェクトを通じて、どんなことを達成したいですか?」

金野「僕自身、演技というものには関わったことがないので、今回のプロジェクトを通じて役者として『演じる』ことを知っていきたいですね。」

岩田「役者の基礎として武術を磨いてきたわけですから、満を持して、という感がありますね」

金野「それから、作品を映画祭にも出していくということで、いろんな方に作品を見ていただいて、僕のことを知ってもらうきっかけにしたいです。」

武術家出身のアクション俳優を目指す金野さんは、5月4日に4度目の関東学生大会を控えています。そのようなお忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございました!

 今後ともご支援をよろしくお願いいたします!
慶應生が中心となったアクション映画製作、関心のある方は是非こちらをごらんください!今後共何卒ご支援をお願い致します。では、次回をお楽しみに!

インタビュー:岩田直之
カメラマン :小沼喜紀

〈プロジェクト詳細〉