2014/06/06 17:47
よっしゃにゃんこー!

「いずこねこの映画を作りたいので、西島さんプロットお願いできますか?」と、最初に声をかけてくれたのはプロデューサーの直井さんでした。「いずこねこ」の名前はどこかで聞いたことはあったけど、実際の活動に触れたこともなく、Youtubeのライブ映像を観たものの混沌として正直理解できず、「 よっしゃにゃんこー?」と戸惑いました。直井Pのご依頼も正式なものか冗談なのかどうか判断がつかずなんとなく放置・・・。

しばらくして「じゃ、とにかく音源聴いてください」と直井P。送られてきたのは『最後の猫工場』。改めて音楽だけに耳を澄ますと、廃工場、木星、雨、偽物の街、捨てられた猫、音楽から『ブレードランナー』のような退廃的なSF風景が見えてきました。サクライケンタさんの楽曲は悲痛で未来がない印象があって、でもそのぶん深く刺さるもの。そしてそんな絶望の中に「にゃんにゃん」とか言いながら一筋の光を放つのが茉里さん。楽曲を聴き込んで初めてあの「よっしゃにゃんこー!」の必然に気づきました。

一方の竹内道宏監督。処女作『新しい戦争を始めよう』は、器材も予算も何もかもがチープなのにふと『クローバーフィールド』級の壮大な終末を感じてしまう大傑作。ネット的な自閉性と現実世界への不安しかないはずなのに、映画全体に漂う「よっしゃにゃんこー!」的なヤケクソな生命力。この時はまだ誰が監督か決まっていませんでしたが、いずこねこ×たけうちんぐ、この組み合わせはいいだろうなと心のどこかで確信していました。

いずこねこの音楽が描き出す風景を、たけうちんぐ監督が撮るなら? そんなイメージができてからプロット執筆は快調、意外なことにすんなりと企画会議を通過、直井Pが各方面の協力を取り付け、ちんぐ監督と往復書簡で脚本作業を開始、配役も徐々に決定、タイトルは直井Pが冗談めかして言った『世界の終わりのいずこねこ』に正式決定。ちんぐ監督の別の作品のタイトルになぞらえるなら映画が「始めようといってもすでに始まってた」という感じ。もう、やるしかない。よっしゃにゃんこー!(今ここです)

ところで、先ほどから何度も「よっしゃにゃんこー!」と書いていますが、実は僕、今日までいずこねこのライブを観たことも、サクライさん&茉里さんにお会いしたこともありません。iPodを経由して頭の中に流れる音楽と物語だけで繋がっている関係。映画が完成したらライブ観れたりするのかな。その時は叫んでみよう。よっしゃにゃんこー!