活動報告の前にまず、私たちが目指したエアーズロックについて自分たちで調べたことを、記事にまとめました。
皆様にも知っていただけたら嬉しいです。
1. エアーズロックはどうやってできたのか
「地球のへそ」「大地のへそ」とも呼ばれるエアーズロックは、オーストラリアのほぼ中心部ノーザンテリトリー州、ウルル=カタ・ジュタ国立公園内にある巨大な一枚岩です。
高さ348m、全周9.4kmにもなる世界で2番目に大きい単一の岩石と言われています。
しかし地表に出ているのは約5%で、地中には深さ数kmに渡って残りの部分が埋まっているとも言われています。
そんなエアーズロックの正式名称は「Uluru(ウルル)」です。
この地の自然と共に先住民族アボリジニの文化の価値が認められ、ユネスコ世界遺産に複合遺産として登録されたことから、アボリジニの伝統を尊重し、彼らが古くから使っていた「ウルル」が正式な呼び名とされています。
では、エアーズロックという名前は何に由来しているのでしょうか。
ウルルは1873年、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスによって発見されました。そのとき、当時の南オーストラリア植民地の首相であったヘンリー・エアーズの名前にちなんで、エアーズロックと名付けられたと言われています。
ウルルが現在の姿になったのは今から7000万年前とのこと。
6億年前、ウルルがある周辺地域には、現在のヒマラヤ山脈に匹敵する8000m級の山脈があったと考えられています。
幾度の地震や大雨の影響で山からふもとへ大量の土砂が運び出され、扇状地が形成されました。
約1億年が経過する間に山脈は侵食を受けて消滅し、侵食によって流された、かつ以前は山脈を形成していた土砂が扇状地の上に何層も覆いかぶさり、その重みで扇状地の土砂を砂岩へ変化させたと考えられています。
さらに1億年が経過した頃に大規模な地殻変動が起こり、砂岩の地層は大きく折れ曲がって一部が地上に張り出しました。
これが今地上に見えている一枚岩の部分というわけです。
その後、長期に渡る雨や風などにより周囲の土砂は侵食を受けましたが、硬い砂岩層は侵食の度合いが少なく、その砂岩の地層のみが残り、現在の形になったと言われています。
(Wikipediaより)
2. 先住民族とウルルの歴史
考古学的考証によると、この土地にはアボリジニの中の一族であるアナグル族という人々が少なくとも3万年前から住んでいたと言われています。
1950年にウルルとその周辺地域は先住民族の保護から分離され、政府が管理する国立公園となりました。
しかしその後、アナグル族は35年間の抗議運動の末にこの公園の所有者として認められ、再び土地の管理権を回復しました。
現在ウルルはアナグル族の所有ですが、彼らはこれを国立公園として共同で管理するため、オーストラリア政府にリースするという形をとっています。
したがって、この国立公園は1983年から現在にかけて先住民族と政府の協力によって維持されています。
3. ウルルをめぐる議論
ウルル・カタジュタ国立公園は、1987年に世界自然遺産に、1994年に世界文化遺産に登録されました。
自然価値・文化価値として二重に登録されている数少ない世界遺産の一つです。
ここで覚えておかなければいけないのが、アナグル族は外から来る人々に対してエアーズロックに登らないよう求めているということです。
理由は2つあり、1つは、アナグル族の神話にある彼らにとって神聖で大切な道が通っているため、もう1つは、彼らは自分たちの土地へ来た人々の安全に対して責任感を持っているからです。
実際に、ウルルでは登山中の転落などによる死者が35人出ていると言われています。
アナグル族にとって一番悲しいのは、自分たちの土地で何らかの被害が出ることです。
そのためどうしても登りたい場合には十分安全に配慮することが必要なのです。
2017年11月1日、ウルル・カタジュタ国立公園の委員会は、アナグル族の思いを尊重するため、ウルルへの登山を公式に禁止することを全会一致で決定しました。
これにより、2019年10月26日から人類はウルルに立ち入ることができなくなります。
この10月26日という日はウルルの歴史において重要な日で、1985年のこの日に、ウルルの所有権はオーストラリア政府からアナグルの人々に返還されました。
4. エアーズロックに登れる確率
中央オーストラリア(エアーズロック周辺)は非常に雨の少ない乾燥した準砂漠気候帯に属します。
年間を通じての気温の差がとても激しく、夏の最高気温は40度以上まで上昇することがある一方、冬の早朝は気温が0度まで下がることもあります。
また、気温が高い夏の季節はブッシュフライと呼ばれるハエが多いことでも知られています。
(H.I.S.オーストラリアより)
エアーズロックへの立ち入りについては、ウルル・カタジュタ国立公園の管理者(レンジャー)が、そのときどきの天候状況(強風や気温等)により立ち入り許可を決めています。
その許可状況は非常に厳しく、2017年4月~2018年3月の1年間で許可されたのは107日でした。
安全上の理由により以下の条件では立ち入りが禁止されます。
◯暑さ 予想最高気温が36度以上と見込まれる日
◯低気圧 50km以内で強い低気圧が観測された時
◯風 2500ft以上の強風が観測された場合
◯雨 3時間以内に20%以上の降水確率が予想される場合
◯雷 3時間以内に5%以上の落雷確率が予想される場合
◯曇天 頂上が雲で隠れている場合
◯日没 日の入りの1時間半後〜日の出の1時間半前
◯緊急 ウルルで何らかの救助活動が行われている間
◯民族 アナグル族から立ち入り禁止の要請があった場合(祝祭などを行うため)
(H.I.S.オーストラリアより)
参照:
・H.I.S.オーストラリア
https://www.his-oceania.com/static/contents/ja/features/ayersrock/index.html
・Uluru travel -http://uluru.com/index.html
・Parks Australia -https://parksaustralia.gov.au/
・Wikipedia「ウルル」 -https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%AB