2016/11/14 00:29

11/2から11/6まで出展していた東京デザインウイーク「デビュー展」の出展記録です。

<展示前面>

 


TDWの展示はとても意味のあるものとなりました。
一般の方と作品を通してコミュニケーションをとることがとても楽しかったし、
他の出展者の方とのコラボも生まれそう。
そして活動の場を広げられるようなお話もぽつりぽつり頂いています。
いろいろあったけれど、出してよかった!

 


足を止めてくれるお客さんの半分ほどは海外の方でした。
 
じっくりお話できただけでも、インドネシア、リトアニア、イタリア、ブラジル、韓国、イスラエル…と、まさにアートに国境なんてないのだなと実感する次第。
 


ここぞとばかりに出来立てホヤホヤの英語で話しかけると、ニカッと笑顔で会話をしてくれました。
グラフィックデザインの学生さん達が棒立ちで見入ってくれていた姿には、私の学生時代を重ねてしまいました。こういうことがすごく嬉しい。
 

私は装丁のデザインをしてみたいと思っているので、想定の装丁をディスプレイしていたところ、本を含めてそれ自体をアート作品として買い取りたいと言ってくださる方も。
海外の方だったので、スケジュールや他のもろもろ事情で商談は不成立でしたが、新たなアプローチのヒントを頂けました!

 

<「想定内装丁」 山本ピカ 脳内出版社>

 

 

 

 

日本の方でいうと、私の絵を「需要」してくれるコアな層がおもしろいほどはっきりと分かりました。
 
「今日の一番」と言ってお友達を連れてきてくれたモードでハイセンスな女子たちは、宝物を見つけたかのようなきらきらした目で、すみからすみまで観て行ってくださいました。
その時その場でリアクションを頂けることがとても楽しく刺激的でした。最終日の日曜日はとくに、ブースを離れられないほど色々な方がいらしてくださいました。


 
特に印象的だったのは、海外の方は絵そのものを観ていかれるけれど、日本の方は絵そのものを観ていかれる方は「アート好き」とか「イラスト好き」と仰るような方々でした。
そういう意味では絵そのものよりグッズの展示に人気がありました。ブローチやTシャツ。そして「想定内装丁」。
 
アートがあまり日常に溶け込んでいない日本では、グッズになっていることでアートをぐっと身近に感じてもらえるようです。

 

<あなたの日常にPICAを取り入れませんか?>

 



たとえばヨーロッパでは、アートは日常の一部となっていて、子どもさんがおこづかいを握りしめて部屋に飾る絵を買いに来るのだとか。
また、一般職をしている方でもプロ並みにアートをたしなんでいたり、自作の家具をミラノサローネに出展したりしちゃうという、文化の違い。アートや表現への敷居が低い。
素敵だと思います。
 
 
私は今やアートによって生かされているので、アートをより身近なものとして楽しんでもらいたいという思いがあります。
決してむずかしいものではない。極論を言えばアートは人と同じで、


すきか すきでないか
こころが動くか 動かないか
 


それだけなのです。たとえばひとつの絵を ”なんとなく” 好きだっていい。その「好き」が、色なのか、形なのか、モチーフなのか、タッチなのか雰囲気なのか、理由を考える必要はないのです。


だって、恋に落ちるときに明確な理由なんてないでしょ?
気の合う友達ができるって時に、いちいち分析したりしないし。
気づいたら惹かれあっていたよね。そんな感じ。


誰かや何かに強制されて好きになるものではなく、内側から湧き出るものによって、ひとつのアートとひとりの人の関係性が生まれます。


 
だからアートとは、作る方にとっても見る方にとっても、
「感じる」ことを喚起すること、そのもの
だと思っています。そして、感じること自体も自己表現です。
だから私は、今日も感じることができて、とても幸せなのです。
 


最後に、今回の展示のコンセプトを。


 
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” Sharp? or Soft? ”
 
私の絵は「やさしい」「柔らかい」という印象をもたれることが多い一方で、
「鋭い」「エッジが効いている」という印象をもたれることもあります。
そのように相反するものが共存するのはなぜなのか?
そしてその切替点はどこに?
つねに揺れ動くその境界線の上をぎりぎりなぞっていくという「不安定」さ、どちらにもシフトできる「振れ幅」が、私の絵の魅力であると考えます。
今回の展示では「やさしい」と「鋭い」両者の切替点を探ることをテーマとしました。
 


My illustrations are often said to be friendly and soft.
On the other hand,they are said to be sharp and they have an edge.
Why are these conflicting images in there?Where is the changeover point?
That border is always wavering. I have barely traced this line.
Maybe my illustrations power is present in there, I think.
This exhibition’s theme is finding the changeover point between “soft” and “sharp”.
 
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モノクロ=骨格
カラー=実体、感情
テキスト=表現されたものの定義づけ、媒介となるもの


ということで、物理的にも3層のレイヤーにしたのですが、馴染んでひとつに見えてしまいました。(反省点)
 
 
私の絵は、観る人によって様々に印象が変わるようですが、観る人が同じ場合にもその時の状況によっていかようにも変化するそうです。


実際この数日間は私も”暗闇”を恐怖に感じていたことがあり、夜がくると気が気でなく、
自分の絵の
” 黒 ”
の部分に怖さを感じたことがありました。引き込まれそうな闇。


 
私の人生のテーマは「感じる」ことなので、光も闇も現れてくるのは必然なのですが。


 
コンセプトにも書いたとおり、常に揺れ動く境界線の波をなぞっていると、
マイナスであった部分がプラスになって現れたり、プラスであったことがいつのまにかマイナスのゾーンに侵入していたりということがあります。すべてはつながっているから。


 
アートとは人間そのものだなと、いつもその結論に行き着きます。
だからもっともっと表現していきたいな。人格をもった、生きる絵を描きたいです。
広い空間でインスタレーションをしたいです。


 
いつも応援してくださってありがとうございます!


 
PICA
 

<展示背面の看板ムスメと、マンダラ原画の展示>