西田卓司です。今日は、ツルハシブックスのコミュニケーションデザインについて、特に「寄付サムライ」について考えたいと思います。
「ツルハシブックス」の特徴としては、サムライ制度が挙げられます。
もともとは、「みんなで本屋を運営する」という意図で、
名作映画「七人の侍」にならって、
店員サムライ(店員をやる)、贈本サムライ(ハックツに本を寄贈)、掃除サムライ(街中のごみ拾い)など七種類のサムライがありました。
「店員ボランティア」ではなくて、「店員サムライ」と呼ぶことで、何か劇団のようになる気がしました。
その中でもネーミング的に一番イノベーションだったのは、2013年の改装と2014年のツルハシ号の費用を集めるための「寄付サムライ」だったのではないかと思います。
寄付されると、「寄付サムライ認定バッチ」を授与して、木刀と一緒に写真を撮る。
この「寄付サムライ」は、「寄付」文化に大きなイノベーションを起こしたのです。(と僕はめちゃめちゃ思ってます。「ファンドレイジングジャパン」に呼ばれないのが不思議でした。笑)
通常、寄付する人と寄付される人は、
寄付したい人のほうが強い立場にあります。
寄付したい人「寄付します」
寄付される人「あ、ほんとですか?うれしいです。ありがとうございます。」
とこのような会話になるのが普通です。
ところが、寄付サムライ募集では、次のような会話が発生したのです。
寄付したい人「あの、すみません。寄付サムライになりたいんですけど。」
寄付される人「えっと・・・。まだ君には早いんじゃないですかね。ほんとに覚悟あるんですか?
寄付したい人「あります!ぼく、寄付サムライになりたいんです!お願いします!」
(実際にツルハシブックスで起こった会話より)
(イロハニ堂サカノさんも寄付サムライに。)
このとき、寄付の総額を金額で表すのではなくて、寄付者の人数で表現しています。
結果、200名を超える寄付サムライが発生したのです。
(女子高生寄付サムライも誕生)
東京でも、今回参画する仙台の一馬さんと能登の奈美さんが寄付サムライに。
最近、とある応募書類のペーパーを書いていて、「得意なことは何か?」と唐突に聞かれて、あ、僕の得意なことってなんだろう?
って考えて、出てきたワードが、
「フラットな関係性をつくるコミュニケーション・デザイン」が得意
って出てきたんです。
悩みを聞いて本を処方する「本の処方箋」も
寄贈本を持ち寄ってやる「10代に手紙を届ける読書会」も
フラットな関係性をつくるコミュニケーションのデザインなのではないかと思います。
その中でも、「寄付サムライ」は、もっともインパクトの大きなコミュニケーションデザインなのではないかと思います。「寄付」ではなく、「寄付するあなた」がほしい。
だから、金額ではなく、人数が大事なんです。
今回の「かえるライブラリー」クラウドファンディングも、人数を大切にしたいと思います。
「本屋やろうぜ」に共感した人が寄付をする。
あるいは、寄付しなくても、「本屋がやりたくなってきた」と思う人が増える。
そんなことがこのクラウドファンディングが生み出す価値なのではないかと思います。
なので、1か月のあいだに更新する活動報告では「なぜ本屋なのか?」という問いに対する自分なりの仮説と「本屋をやってみた」人による本屋やってみたら?というメッセージになっています。
あなたも、「本屋元年」という名の船に乗りませんか?