リレー・エッセイ第4弾に登場するのは、VOICE SPACEの歌姫、ソプラノ歌手の小林沙羅です。VOICE SPACEのこれまでを振り返りながら、今回のCDにかける意気込みを綴ってくれました。
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いよいよクラウドファンディングの締め切りまであと2日となりました!クラウドファンディングなんてやったことない、どうやったらいいのかな、不安、と思っている方も多いと思います。私もそうでした。今日、こっそり自分でもトライしてみました。案ずるより生むが易し。やってみると意外と簡単でした!そしてリターンがかなり大きいので、ぜひクラウドファンディング初心者の方もトライしてみて下さい(^^)
VOICE SPACEはもともと詩人の佐々木幹郎氏による東京芸術大学での「詩のリズム」という授業から生まれ、その後「現代詩研究会」というサークルとして活動していました。メンバーみんなが卒業したので、サークルも卒業。VOICE SPACEというグループとして活動を始めました。
▲VOICE SPACEがまだ「現代詩研究会」だった頃(2007年9月山口での朗読劇「子守唄よ―中原中也をめぐる声と音楽のファンタジー」終演後)
私はもともと詩が大好きで、小学生の頃から自分で詩を書いたり、朗読したりしていた事もあり、迷わず「詩のリズム」を履修。そして谷川俊太郎さんが特別授業の先生として芸大にいらっしゃった時には大興奮しました!その際、谷川俊太郎さんの詩を使った新作を作り、俊太郎さんの前で演奏して下さい、というオーディションがあり、作曲家の同級生、中村裕美さんを誘って一緒に詩を選び、オーディションを受けました。その際にできた作品が「りんごへの固執」です。(一昨年東京オペラシティのリサイタルシリーズB→Cで演奏し、話題になった作品です。)この作品は晴れてオーディションで選ばれ、谷川俊太郎さん特別授業で発表し、その後、なんと倉敷での俊太郎さんの朗読会に呼んで頂き、そこでも演奏する事になりました。そして、それだけでなく、俊太郎さんと一緒に朗読もする事ができたのです!小さい頃から谷川俊太郎さんの作品が大好きだった私にとって、夢のような出来事でした。
それをきっかけに今のVOICE SPACEの仲間たちと知り合い、芸祭で演奏をしたり、谷川俊太郎さんや息子さんの賢作さんと演奏や朗読をしたり、小室等さんや六文銭の皆さんとコラボしたり、覚和歌子さんと歌ったり、たくさんの貴重な経験を積ませて頂いて来ました。そして佐々木幹郎先生が顧問として、常に私達の活動を見守り、時には後押しもして下さいました。
また、同世代の素晴らしい詩人の方々と実際お会いしてお話する機会や、コラボレーションさせて頂ける機会ができたのも、とても大きい事でした。例えば芥川賞作家としても活躍中の川上未映子さん、「リビング」という素晴らしい作品を書かれた暁方ミセイさん、個人的にもファンの三角みずきさん…など。
私個人の演奏活動は、普段クラシックの声楽家としてヨーロッパの作品を演奏する機会も多いですが、それだけではなく、日本の作品をとても大切に、日本語を大切に歌って来ています。そして、オペラも歌曲も、新作を歌う事は、私の演奏活動の中でとても大きな位置を占めています。それは全てVOICE SPACEとの出会いがあったから、一緒に舞台に乗った皆さん、佐々木幹郎先生、VOICE SPACEを通じて知り合った皆さんからの刺激があったからこそだと思っています。
VOICE SPACEのメンバーは、皆普段それぞれに個々の音楽活動をして、それぞれにそれぞれの分野で活躍しています。きっと、私だけでなく、その多くのメンバーにとって、VOICE SPACEを通しての活動や出会いは、自分の個人の音楽活動にも、きっと大きな影響を与えているのではないかなと思っています。
結成から10年以上経ち、この間いろいろありました。メンバーの留学や、移住、自分の仕事への専念、考え方のぶつかり合い…様々な理由で、最近はなかなか大きな活動ができていませんでした。でも、今回、これまでのそれぞれの経験を持ち寄って活かして、新しいアルバムを作ろう!そしてツアーや東京公演もしよう!という事になりました。今も留学中だったり、さまざまな事情で参加できていないメンバーもいますが、今回のサードアルバム『アラベスクの飾り文字』の制作をバネに、今後の演奏活動を盛り上げて行きたい!という気持ちでいます。
VOICE SPACEサードアルバム『アラベスクの飾り文字』は、聴いていてワクワクするような、とても素敵なアルバムに仕上がっています。レコーディングを終え、編集作業も終え、私たち自身も出来上がりをとても楽しみにしています。ぜひ今回、このクラウドファンディングを通して、サードアルバム『アラベスクの飾り文字』制作とVOICE SPACEの演奏会、今後の活動を応援し、後押しして頂けたら!そして何よりアルバムを聴いて一緒にワクワクして頂けたら嬉しいです!
【小林 沙羅 Sara Kobayashi プロフィール】
東京藝術大学及び同大学院修了。2017年第27回出光音楽賞受賞。2019年第20回ホテルオークラ音楽賞受賞。
2010~15年にはウィーンとローマを拠点に演奏活動を行う。2006年に国内デビュー後、東京芸術劇場『トゥーランドット』リュー、兵庫県立芸術文化センター『こうもり』アデーレ、『魔弾の射手』エンヒェン、新国立劇場『パルジファル』花の乙女等に出演。2015年野田秀樹演出『フィガロの結婚』スザンナ役で全国10都市14公演全てに出演。2017年『カルメン』ミカエラで藤原歌劇団デビュー。2019年には全国共同制作オペラ『ドン・ジョバンニ』にも出演。
2012年ブルガリア国立歌劇場『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタで欧州デビュー、海外へも活動の幅を広げる。2019年3月にはロンドン、ウィグモアホールにてソロリサイタルを開催した。
2014年、2016年には日本コロムビアよりソロアルバムをリリース。
日本声楽アカデミー会員。藤原歌劇団団員。大阪芸術大学准教授。
小林沙羅オフィシャル・ホームページ:http://sarakobayashi.com/