純子記
3月12日 スペイン→フランス
『フランスに向かう機内で大パニック!』
マドリード空港のパエリアとコーヒー、それを食べている写真を見ると今でもぞっとする。
この旅で一番過酷な離陸を経験したからだ。この時はまだ私たちは知る由もなかった。
機内に入ったくらいからか息子は一人で席に座るのは嫌だと言う。以前経験した大人のベルトに付ける子供用ベルトがあって膝に座らせることが出来る。「お母さんの膝がいい!」とぐずり出す。でも息子は年齢を超えていてちゃんと席に座らなければならない。言っても言ってもダメ、息子は泣き出し、その声はだんだん大きくなり泣き叫び出す。席に座らせて強引にベルトを締めても抜け出す。iPadの動画も、お菓子もジュースも何の役にも立たない。当然周りの乗客の視線が見れないほど怖い。怖さから更に息子のベルトを力ずくで、怒りで締めようとする。それでもダメ。乗務員に相談する。年齢が超えていることは承知だがどうしてもどうしても駄目だから、頼むから膝に座れるベルトでの離陸を許してくれないか、と。懇願した。
最初はダメだと断られたが機内中に響きまくるあまりに凄まじい息子の悲鳴に機長に掛け合いに行ってくれた。しかし答えはNO。それは当然だろう。決まりを守った安全の責任は機長にあるのだからどんなことがあってもOKとは言えない。でも、大人2人が全力で抑えこんでも3歳の子供が逃げ出すほどの力が出たのだ、あの時は。今思うと火事場のバカ力だったのだろう。強制的に縛られるほど辛いものはないだろう。でもあの時はそんな気持ちに共感なんて出来なかった。「ダメなもんはダメなんだああああ!! 座れえええーーーー!」
で、結局息子を座らせてベルトを締めることが出来ず、抱きしめたままベルトなしで離陸。
“安全性のルールを守る為に一番危ない状態になってしまった”
どのくらいその状態だったか覚えていないけど、三人とも汗ぐっしょり、息子は寝てしまい、夫と私はゾンビ状態。顔が死んでいた。
子供が機内で泣き叫んで親が大変な思いをする、という話は耳にするがまさか自分も経験することになるとは思っていなかった。
そして想像以上に過酷だった、、、。
私はこの旅中のトラブルに対しブちぎれまくり、しかし夫は切れずに現実を受け止め「今」何が出来るかを淡々とやる。
この旅行記をこの後も読み進めていくと、こういったパターンが何度も出てくる。
『が』、夫はこの離陸のことだけは機長に対してめちゃくちゃ怒っていた!
冷静になって気持ちを整理してみて、あの時どうすれば良かったか。
〇他の乗客の気持ちをちょっとでも静めるために、わかるように謝る
〇子供にどんなことが起きても責任は両親が取る、とのサインをしてルール外の子供ベルトを渡してもらう
そして何より、息子の気持ちに寄り添うこと。
あの時息子は怖くて怖くて仕方なかった。どうしても自分の席ではなくお母さんの膝に座りたかった。大人にとっては席に座ってベルトを締めるだけ、のことが息子にとっては恐怖で仕方なかったのだ。それを力づくで抑え込まれた。
結果は取り合えず横に置いて、まずは息子を抱きしめて「怖いよねーーーめっちゃ怖いよねーー、一人で座るの嫌だよねーー、絶対イヤだよねーー、怖いよねーーーーーーーーー」と言い続けてあげていたら、自分の席に座らないかもしれないけど、ベルトは締める気持ちにはならないかもしれないけど、あれほどまでに酷いことにはならなかっただろうなあと思う。
でもこんなこと微塵も考えられないほど超ーーーーーパニック状態だった!!
あの時乗った飛行機の名前は 【easyJet】
でもこの時は超ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【HARD Jet】 だった!!!!
ただ
この話は 『HARD Jet』 で終わらない。
このおぞましい経験を覆す素晴らしい離陸がこの旅の最後で経験出来たのだ。
それは4月15日辺りの投稿で搭乗予定ですのでお楽しみに!