本日はSHIDOご紹介第2弾として、イヤーカップ編をお送りいたします。
昨日のイヤークッション編では、ただイヤークッションを外しただけでしたが、本日は割ります。綺麗に割れば、元に戻ることができますので、慎重にやっていきたいと思います。
割ってしまう前にスピーカープレートをご紹介します。スピーカユニットががっちりと固定されている板で、スピーカーユニット上部に8個の穴が開いています。これはサウンドチューニングするための穴です。金型という熱で溶かした樹脂を流し込んでパーツを成形する型があります。タイヤキ機みたいなものですね。金型作成後に樹脂パーツの形状変更をすると金型を削ったり、金属を盛ったりしなければなりません。つまり、金型を作った後に穴を開けようとすると無限にお金が掛かってしまいます。そのため、予めサウンドチューニングの幅を持たせられるように複数個の穴を用意しておきます。この辺がノウハウですね。会社や製品の大きさ、機能にによってアプローチが異なります。SHIDOの場合は写真のようになりました。8個の穴の何個ふさぐか、どのような素材でふさぐかによってサウンドチューニングの一部を行います。1924というのは工場で作られた時期、つまり19年24週を意味します。マサムネ君は、19年24週に作られ、そこから音質担当者がサウンドチューニングをして完成しました。
割りました。SHIDOは2部屋構造になります。1枚目の外側のケースで1部屋、2枚目の中の小部屋で2部屋目になります。これらの部屋はスピーカーユニットが振幅で動かした空気を調整する空間です。この空間をチャンバーと言います。この後方の空間を調整することで、スピーカーユニットの振幅で作られた空気をコントロールして低域を調整したりします。SHIDOはチャンバーが2つあります。スピーカーユニット単体でチャンバー2つ設けてデュアルチャンバーを実現することもあれば、SHIDOのようにイヤーカップ側に2部屋設けるアプローチもあるので、どれが正しいというわけではなく、理想のデザインを維持しながら、目的の音を出すために手段を選択していきます。また、イヤーカップ内の空気の振動で内部のケーブルが暴れだしたり、イヤーカップ自体が鳴きはじめ、それら余計な振動がスピーカーユニットが生み出す音の邪魔をしだします。音は空気の振動ですので、スピーカーユニット以外が必要以上に振動しだすと、ノイズを発生させたり、解像度が悪くなったりします。それを抑えるためにスポンジで振動を吸収したり、ボンドでケーブルを固定したりします。これもサウンドチューニングの一つです。
スピーカーは写真のように取付面がスピーカープレートとぴっちりと接着剤でシーリング(隙間を埋めて固定する)されています。ここをしっかり固定することでスピーカー本来の力を発揮してくれます。このシールをきれいにハズし、ケーブルを断線させなければ、原状復帰可能です。
はい、やりました。無理やりいきましたところ、マサムネ君もいきました。隙間にマイナスドライバーすべり込ませてテコの原理で取り外そうとしたら、スピーカープレートが歪みます。配線はハンダで再結線すればよいですが、こうなるとこのスピーカープレートは終わりです。これぞ醍醐味。
スピーカーユニットの大きさは50㎜です。このサイズもオーディオでは滅多に使用されないサイズです。他社様では53㎜や60㎜という超大口径を使用するところもあります。オーディオでは40㎜くらいが主流なので、このあたりもゲーミングはオーディオとは全く違う系譜で進化しているところだと思います。ただ口径を大きくするとその分重量は上がっていくのでスピーカーを動かすアンプのパワーも必要になっていきます。スピーカー口径は大きければ良いわけではなく、口径の大きなスピーカーを鳴らすならふさわしい力の持ったアンプがあるのが理想的です。今回アンプまで自社で用意したのは、普段よりも大きなスピーカーユニットを使用するので、充分に鳴らせるアンプを自分たちで用意しておきたかったからということもあります。
ただ、PCのマザーボードに直に接続をして、大きな不具合を感じることはないので、50㎜くらいの大きさならそこまでシビアになる必要もないとは思います。ちなみに紫色のゴミは削り取ったシール材です。
バラして見ると非常にシンプルです。シンプルな構造なので、ノウハウが活きてくるとも言えます。
本日の教訓は、製品バラしは専門家指導の下で行うことです。
そうだ、もう片方も壊そ。