私たちが支援をしている、とある保育園。
そこは、子ども食堂などの活動も並行して行っています。
私たちの活動に賛同し、フードバンクからの支援物資を得て困窮世帯の支援を始めたのは数年前。
これまでに多くの方の支援を、保育園という立場から保護者向けに行い続け、たくさんの苦労があったと語ります。
今回のお話は、とあるお店から「パン」の寄付の申し出があった事から起こった実例です。
私たち[フードバンクうつのみや]の活動においては、生鮮食品や賞味期限の近い物は取り扱えない場合があります。
しかし、なるべくその申し出を無駄にしたくないという考えのもと、私たちが支援している団体や施設・協力関係にある方等につなげるといったことも行っているのです。
今回申し出があったパン屋さんを、その保育園へつなげたのは9月のこと。
それから2ヶ月ほどが経ってお話を聞きに行ったところ、とても興味深いお話を聞くことができたのです。
その保育園に通う、とある児童がいました。
その子は普段から、食べ物を食べることを嫌っていました。
お腹がいっぱいなのだろうか、イヤイヤ期なのだろうかと保護者さんも保育園のスタッフも悩んでいたのです。
パン屋さんの紹介を受け入れて程ない頃、園で子どもたちにそのパンを振る舞ったとき、ある変化が起こりました。
その児童が、喜んでパンを食べていたのです。
何故だろうと、スタッフさんも園長さんもその様子を見て考えました。
その子は特別パンを好きでもなく、食べない時の方が多かったのです。
しかし、その紹介のあったパンは美味しそうに食べる。
園長さんの頭に、ふとある考えが浮かんだそうです。
「もしかしたら、お米やパンの気泡のつぶつぶが嫌なのではないか?」
その考えは、まさに正しかったのです。
その子はつぶつぶしたものに過敏に反応してしまい。食べ物の選択肢が狭まってしまっていたのです。
園長さんはそれを保護者さんに伝えることにしました。保護者さんも、通っている病院の先生も、その子が何に過敏に反応しているかがわからなかったそうです。
それが、パンをきっかけに判明しました。
今では対応や接し方も変わり、その子の食生活も少しずつ改善していると園長さんは語っていました。
食べ物を渡して支援する。
そう書けば簡単ですが、寄付いただける食べ物は非常に多くのバリエーションに富んでいます。
困窮した家庭においては、食べ物の種類や料理のバリエーションが限られるというパターンが多いのが現実です。
私たちの活動はただ困窮対策をするのではなく、食べ物を通じて気付く事や、色々なものを食べる機会そのものを支援する側面もあるのです。
それを改めて感じさせてくれる、そんなお話でした。
上記の通り、私たちが扱えない食べ物でも
それを他につなげる事でムダを出さず、より広い支援の輪に組み込む。
これらの活動も、大切にしていきたいと思います。
そのためには窓口を増やし、対応の門戸を広げなければなりません。
新しいサテライトはその重要な一歩となるでしょう。
そのために皆様からのご寄付やご協力を、心から、お願い致します。