2019/06/24 11:42

デフフットサル日本代表の応援をしてくださっている皆さま、初めまして、デフフットサル女子日本代表監督の山本と申します。


まず、ここまでクラウドファンディングでのデフフットサル日本代表への多くのご支援、ご声援、本当にありがとうございます。

現在、支援頂いている方々は460人を超え、支援額ももうすぐで250万というところ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。



さて、クラウドファンディングがスタートしてから男女代表選手達がリレー形式のブログでそれぞれの想いを綴っていますが、選手達が大体一回りしたところで私も今思うことを少し綴らせて頂きたいと思います。

少し長めですが、ぜひ目を通して頂けたらと思います。



自分がデフフットサル代表に関わって早7年近く経とうとしています。




監督としてスタートした当初、当然手話もできるわけなく(今も大してできませんが・・・)

すべてが手探りでのスタートでした。






その中で一番にまず感じたこと。




それは選手はもちろん、この場所に関わる人達がどれだけこの場所に誇りをもち、責任を感じ、この場所にいるのか。




日本人として日の丸を背負える場所は憧れだと思うし、大きな誇り、そして責任がある場所だと思います。




しかし当初ここに集まってくる選手達からはそういったことを感じることができませんでした。

自分が監督になる前からもちろんデフフットサルという歴史があり多くの方々のご尽力があって今があります。




それでも自分が当初感じたことは、




合宿参加費を払えて、参加したい気持ちがあれば参加できる場所。

そこがただデフフットサル日本代表という名のつく場所なだけ。




中身は・・・




まさに名だけの日本代表だったと思います。




そういった状況の中、競技スポーツとして技術的なレベルアップを求めることは当然のこと、

それ以上に、この場所にいる意味を自分なりに選手達に伝え続けてきました。




意識が変わり、取り組み方が変われば、大きな変化が生まれる。




少しづつ選手、そしてチームは成長していき、むかえた前回W杯。




女子代表は予選リーグでスペインに歴史的勝利をあげ、初の決勝Tへ。






準々決勝でイタリアにPKで敗れたもののその後の順位決定戦でもそれまで積み上げてきた日本のフットサルを大いにピッチで体現してくれました。




この大会でもチームは成長し、選手それぞれが大きな経験をし、メダル獲得という最大の目標は果たせませんでしたが次に繋がる大きな成果と日本の可能性を感じた大会でした。




しかしながら、、そのW杯で見た決勝の舞台。

障がいあるなし関係なく国と国が大きなものを背負って戦う姿、そしてそれを応援する多くの人。






その光景を見て、まだまだ自分の感覚すら甘かったと実感しました。

自分自身、どこか障がい者スポーツという枠組みの中でしか様々なことを考えていれなかったのではないかと強く思いました。




どんなカテゴリーであっても国を背負うアスリートとして、そこに障がいあるとかないとか関係ないんです。




日の丸を背負い、世界の舞台で戦うために本気で取り組む。

その先に子供達にとっての憧れの場所、多くの方々から応援してもらえるチーム、そして自分達が誇れる場所に繋がっていくんだと。




そして次のW杯に向けて新たにスタートしたチームの目標を「世界一」に設定しここまで積み重ねてきました。






環境を、障がいを言い訳にするのではなく、ただただ世界一を獲る!その目標に本気で向かう。




その為に必要なスタッフを加え、合宿の頻度も増やし、そしてそれぞれの選手達には厳しい環境に身を置くように言い続けてきました。




今では日本リーグ、関東リーグ、各都道府県リーグの健常者のフットサルの世界に多くの選手が身を置いています。




チャレンジしろ!口で言うのは簡単なことです。

正直、選手達にとってはこれまでいろんな苦しく辛い経験、そして健常者の輪の中に飛び込む怖さ、それはきっと自分なんかにはわからない不安なことがあるんだと思います。




それでもそれを乗り越えた先に自分達の大きな目標に近づくことに繋がると思います。




もう一つ大きなこと。



スポーツを通して障がいがあるとかないとか関係なく、その枠を超える。




先日、選手達が所属するチームの試合を一日かけてみる日がありました。




観戦していた人達から、、

「あの選手もデフの選手だよね?」

「代表の選手だよね?やっぱ上手いよね!早いよね!」




そんな声が多く自分の耳に入ってきました。




それはすごく誇らしかったし、嬉しかった。




デフ代表キャプテンの岩渕は今季所属チームでもキャプテンを任されています。

GKのイクもチームで副キャプテンをつとめています。






健常チームの中で周りの仲間とのコミュニケーションが難しいデフの選手達が、チームをまとめる為にコミュニケーションを取ることがすごく重要な役割を任せられている。




それを任せるチームもいち選手としてその選手を必要とし認めているからこそできることだと。




障がいあるなし関係なく、お互いを認め合い尊重しあえる、スポーツを通して共生社会を目指す、そこに間違いなく繋がっていってるのではないかと思います。





選手達には様々な葛藤があるかもしれない・・・




そんな時は思い出してほしい。




アジア大会で獲ったメダルをキラキラした目で見ていた顔、交流した沢山の子ども達の笑顔を、

みんなはデフキッズにとって、憧れの存在。

デフキッズだけでなくすべての子ども達にとって日の丸を背負うみんなは憧れの存在になれるってことを。






家族や周りの仲間にとってみんながどんな存在なのか。

家族にとって本気で世界一を目指すみんなは誇りだと思う。

きっとみんなの周りの人達はみんなの頑張りに刺激をもらって、パワーをもらってる。




競技スポーツは勝敗がある世界なので結果を求めることが必要不可欠です。

ましてや代表チームは結果がすべてかもしれません。




それでもみんながチャレンジしていることはその結果以上に大きな意味のあることだと自分は思っています。




だからこそ、今いる場所でチャレンジしていること、目標に向かって積み重ねていることに誇りを持って、胸を張ってほしい。

そして同じだけ責任と重みを感じてほしい。




選手の意識が変わったことはもちろんのこと、

沢山のスタッフや多くの方々のサポートのおかげでデフフットサル代表という場所も変わってきました。




しかしながら金銭的な選手の負担の部分はあまり変わっていません。

目標を高く設定し、その為に活動してきてることで選手達の負担はさらに大きくなってきています。




数年前までは選手達にとっては金銭的な負担さえ我慢すれば代表という場所に入れるぐらいの感覚だったと思います。




しかし今は多くの競争があり、金銭的な負担を覚悟してでもこの場所にいる選手として選ばれ世界一を目指したい、

その為に多くの覚悟を持って選手達は取り組んでいます。




その選手達を一人でも多くの方に応援して頂けたら幸いです。




自分は今頑張っている選手達を誇りに思っています。

そしてデフフットサル日本代表という場所に誇りを持っています。




今いる選手達は必ずみなさんの想いも背負って、W杯という舞台で日の丸を背負って戦います。




どうか皆さま、引き続き宜しくお願い致します!




デフフットサル女子日本代表 


監督   山本 典城