素材作りから小売まで
私が遥か昔、紡績会社に入社した当時はまだ日本でモノつくりがしっかり行われていました。紡績工場も縫製工場も結構ありました。
なのでファッションを志して業界に入ったデザイナーも、頻繁に織物工場や縫製工場に行けました。そこで、実際のモノつくりに触れスキルを上げていくことが出来ました。
それぞれの分野(糸、織り、編み、染色加工、縫製)で色々教えてくれる人も、結構たくさんいたものです。
とはいえ、私が紡績工場でエンジニアとして働いていた時でさえ、もう10年もしたら紡績工場は日本からなくなっていくんだろうな〜と漠然と思い出していました。
それで、私は会社に掛け合ってファッションデザインはパターン、縫製技術を知りたいと会社に掛け合い文化服装学院に会社の費用で行かせてもらったのです。
こんなことが可能だったのは、まだ繊維に投資する余裕が会社にあったからです。おかげで私は、それこそ綿花から洋服作りまで知ることができました。
さらに、その後の仕事で今でいう社内ベンチャーのような組織の自社製品の通販事業部で、これも今でいうディレクターの仕事をしました。
この通販事業部では、素材開発(ここがキモ)、デザイン全般、カタログのコピーライティング原案、撮影、モデルの選定、クレーム処理までやりました。
つまり洋服作り以降の小売のお仕事も一通りやったのです。途中今のIFFの創立時のリテールコースの生徒として、太田伸之さんや伊勢丹やバーニーズNYの重役の薫陶も受けることもできました。
では、どうやって勉強するか
もう弱ってしまった日本の繊維業界で私のようなこんな経験をつくことはかなり難しいです。私はラッキーでした。なので私は繊維業界の絶滅危惧種なんて自称しています。
今日の日本では服の商品企画の人は、海外生産を請け負う生産商社にかなりのところ企画を丸投げしてしまします。だって彼らと渡り合う知識が圧倒的にたりないから仕方がない。
ある程度は座学で。並行して取引先の商社等の担当者に教えてもらう。次に出来るだけ工程に沿って工場に出向きモノつくりを体感する。これしかないかと思います。
それをしないと、日本のモノつくりは滅んでしまいます。海外に工場がでていくのは仕方ないけど、モノつくりのわかった企画者が日本で育たないといけないのです。
上記座学の部分、私が新入社員用に作った資料をnoteにまとめました。ファッション業界でまだ私、何にも知らないわという方、ぜひ読んでみてください。
https://note.mu/cocorobase/m/mde2bbb92a611
長文を書いてしまったおっさんのポートレート(プロのカメラマンの手によって実物の5割り増しです)
こころばせ 大窪裕美