姉崎です。
アブサンの進捗に関してご報告いたします。
写真は税務署に提出する書類です。今回のアブサンに関わる書類が5種類。10月発売の新商品が2種類。10月に仕込みをする商品が2種類の計9種類。各3枚構成なので合計で27枚です。
アブサンの試作は3回は行う予定で、アブサンだけで計60枚くらいは書くことになりそうです。酒造メーカーの経営は書類との戦いです。酒造は許認可産業で、製造の各段階で法律にのっとった処理が必要でそれぞれに書類があるというわけです。これは作る前に提出する書類。
内容は1枚目が製造者の名前や住所、製造プロセスのフローチャート。2枚目が原料とその使用量、出来上がる製品のアルコール度数、密度、エキス分などの記載。3枚目が2枚目に記載したアルコール度数やエキス分などの根拠となる計算の詳細というもの。
法律上重要なのは「フローチャート」と「エキス分」です。
当社が取得している認可はリキュール類なので「発酵」や「蒸留」はできません。これらを行った場合は隣接するスピリッツ類になります。
「あくまでもリキュール類の許可の中で作ってますよー」
というのを書いてるのが1枚目です。
エキス分というのがややこしいんですが、簡単に言うと「酒の中にある水とエタノール以外の成分」のことです。
これもスピリッツとの兼ね合いの問題で、日本の酒税法ではリキュールを「エキス分を3%以上含むもの」と決めています。
ハーブをアルコールに漬けて香りをつけただけのものの場合(ズブロッカとか)は漬け込んでいるので学術的にはリキュールのはずなんですが、
「香りやハーブの成分だけではエキス分が3%を下まわる」
という理由で法的にはスピリッツ(フレーバードスピリッツ)になります。消費者には分類なんてどうでもいいこと(酒税も同じなので)なんですが、メーカーにとっては問題で、スピリッツの無免許製造になりせっかく作った商品が全部、廃棄処分になります。
ということで「3%以上エキス分はいってますよー」という書類を書くわけですが、なんせ許可なしに作るわけにいかないので、酒を作る前に書類がいる。
「作ってから測るならともかく、どうやったら作る前に溶け出す量なんてわかるんだバカー」
と毎度毎度毒づきながら、あーだこーだ屁理屈を書いているのが3枚目です。
色々と仮設を立て、都合のいい仮定を用意し、エクセルと電卓を叩きながら作った「それっぽい数字」をエキス分として2枚目に書いています。
この作業が本当に苦痛で、全作業の中で「この製造許可申請書を書く」という仕事が僕は一番嫌いです。
あー、今月あと60枚も書くのか。