2019/09/20 18:00

みなさん、こんにちは。このクラウドファンディングを企画・運営しているLiving in Peaceです。

今回は、クラウドファンディングに寄せて、弊団体の代表理事の中里よりメッセージがございます。荘保さんという巨人の、思想のルーツを垣間見ることができる文章になっています。

ぜひご一読くださいませ。


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クラウドファンディングに寄せて


こどもの里のホームページを訪れると、この小規模なNPOがいかに多くの取り組みをしているかを驚きとともに知ることができます。

「包摂的地域子ども支援センター」と呼ばれるごとく、荘保共子さんは釜ヶ崎の地で長年、多様なニーズをかかえる子どもたちを丸ごと支える支援を続けていらっしゃいました。「子どものいのちを真ん中におく」というその言葉の通りに。

私などはまだ数回お会いしただけで、およそ荘保さんを語る言葉など持っていませんが、こどもの里に伺ったおり、子どもであれ親御さんであれ、荘保さんが何の隔たりも置かずその人の傍らに瞬時に入っていかれる様子に感嘆したことを、今でも鮮明に覚えています。

伺ったところによると、荘保さんご自身は大学時代、哲学を勉強されて、卒論も『我と汝』で知られる宗教学者ブーバーについて書かれたとのこと。

対話を通じて「我」が目の前の「汝」と全存在的に出会うことの意味を強調したブーバーの思考が、荘保さんという児童福祉の実践者にひとつの形を得たのだと考えたくなるのは私だけでしょうか。

その荘保さんが今回、過去40年の歩みをさらに前へと進めるべく「ステップハウスとも」の取り組みを始められました。様々な事情で行き場に困った女性や母子を公的な仕組みの外で支えていくための試みです。

私たちはつい普段の生活のなかで「行き場のない」という状況への想像力を失ってしまいがちです。しかし人の手で作っていくしかないこの社会には、まだまだ埋められるべき「穴」が存在します。

「穴」を「自己責任」という言葉で隠してしまうことは簡単でしょう。けれど私たちは、どこに「穴」が空いているのか分からない社会を生き生きと生きて、自分らしい生を追求することは絶対にできません。

「穴」を見つけたら一緒に声を上げましょう。そして一緒に埋めてきましょう。


このたびのクラウドファンディングでは、荘保共子さんというとてもとても大きな力を得て、私たちがそうした一歩が新たに踏み出す機会が得られたことに大きな喜びを感じます。

願わくはこのチャレンジがもっとも良いかたちで終えられますように。

どうぞ皆さまのお力をお貸しください。


中里晋三 / Living in Peace代表理事


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