いま、「多胎育児のサポートを考える会」が双子・多胎家庭よりアンケートを集めていて、その結果を社会に出してくれています。僕も回答しましたが、自分の感覚として「これはつらい」はいくらでも出てくるものでした。
「バスも電車も乗れない」双子以上の家庭、9割が悩み (産経ニュース)
つらかった経験、あったらよかった制度やサービスは、その時点の記憶はつら過ぎて細かく覚えていなかったりもしますが、それでも「とてもつらい」「過去つらかった」双子・多胎家庭の仲間には、現在のつらさが一刻も早くなくなり、未来の仲間が同じつらさを経験しなくていいように、協力して声をあげていきたいですね。
双子育児の話をすると、どうしても同時に二人の乳幼児がいるときの、心身の疲弊や疲労の話になります。そういうことを聞かれるから答えるということもありますし、話を聞いてもらって心が少し楽になるということもあります。
いま、僕と妻の双子育児、子育て経験を書籍にして残したいとクラウドファンディングで資金を募っています。先日、記者さんから取材を受けたとき、双子を育てていて楽しかったエピソードを尋ねられ、僕はちょっと固まってしまいました。
そういえば、双子って〇〇がいいよね、楽しそうだよね、という言葉をもらうことはあっても、「何が楽しいポイント?」といった質問を受けた記憶がありません(忘れているだけかもしれません)。
思考が固まったもうひとつの理由は、子育てにおける楽しみは双子や多胎であっても、そうでなくても比較的似たようなところであって、双子特有の楽しみってなんだっけ?長男と次男のときと違う喜びってあるんだっけ?と思ったからです。
そこで改めて双子を授かったからこその楽しみについて考えると、もうそのままズバリ「双子を近くで眺められる」に尽きます。
特に双子そのものに関心はなくても、街中で見かけると「おぉ、双子だ」と思うと同時に少し眺めて違いを比べてみたくなったりしますが、当然、他の方の大切なお子さんなので、変な気持ちにさせてしまうのも嫌でできません。
しかし、自分の子どもなので4歳になったいまもまじまじと眺めています。ウチの双子はとても似ていて、背丈や体重もほぼ一緒、妻と次男は見分けてますが、僕と長男は確率50%をやや上回るくらいの識別しかできません。じーっと見ると80%くらいで僕は見分けられます(長男は苦手な模様)。
それでも、名前を呼んで「違う!僕は〇〇、××はあっち!」と怒られたり、ときにそれを逆手に取られて「違いましたー、本当は××でーす」とかやられます。見分けられない僕が悪いんですけど。
同じ遺伝子で、環境要因もいまのところほとんど同じはずなのに、性格が異なり、好きなものも少しずつ違います。ときおり、二つある同じものの片方を取り合って、残ったもう一つが床に放置され寂し気なこともあります。
いつも「謎だなぁ」と思いながら眺めています。
昔は、座席も適当だったのに、いつの間にか「俺の席」ができていて、長男のお下がりを愛すものもいれば、次男のお下がりこそが志向の一品だというものもいます。不思議です。
こんなに個体差があるのに、嫌いな野菜はほぼ同じで、どちらもおしりを出して自宅を駆け回ってます。おそらく、次男の影響が大き過ぎるだけだと思いますが。
ウチはほとんどテレビやamazon fire tvを見せないのですが、特別なとき、仮面ライダーの何を観るかで喧嘩し、戦隊者の好きな色がかぶってどっちが何色かでもめています。
それなのに、好きなポケモンはひとりがミューで、もうひとりがミューツーで、アーマードミューツーには関心をあまり示さない、しっかりすみわけされているのも謎です。
両方がエビぞりしたり、二人同時に機嫌が悪かったり、ご飯を食べなかったりするとゲンナリします。片方がジャングルジムのあり得ない高さに、もうひとりが滑り台の上で柵の外側に、「命を最優先、骨折までは許容範囲」という夫婦の決め事も役に立たない行動をされると焦ります。
ワンオペのときはじっくり観察することができないのですが、ほとんどの場合夫婦が同時に子育て環境にいますので、習い事や興味関心、疲れ具合で長男次男と双子でわかれたとき、僕が双子担当のときは、ぼんやり眺めたり、ちょっとした実験?したりする時間がとても楽しいです。
いまはあまり必要(とされて)ないんですが、寝かせつけをするとき、右の方付近にひとり、左の方付近にもうひとりが寝ていて、どっちを見ても同じような背丈格好なときは「おぉ、やっぱり双子すげー」とか思っています。どちらも起こさないように手を抜く技術も身に付けました。
移動の問題、時間の問題、心身疲労とストレス、そして経済的な問題など悩ましいことは多々あります。また、同時に二人の子どもがいて、双子・多胎なのに子ども一人を二人分という前提で設計された制度やサービスは残念に思うこともあります。ここらへんはいまと未来の双子家庭の仲間が同じようなつらさを味わうことのないよう、微力を尽くしていきたいと思います。
その一方で、日々の子育てから未来に対して、何もかもがつらいわけでもなく、何もかもがつらくても、ほんの少し自分が「双子がいて楽しいな!」と思えることが見つけられると、それはそれで幸せな気分になれるかもしれません。
もし、周囲に双子・多胎家庭の友人や知人がいらっしゃったら、つらいことを和らげるための手助けはもちろんんこと、双子だから楽しいことにも少しだけ耳を傾けてくださったら嬉しいです。
▶いま、双子の子育てについて書籍にまとめて残していくための協力を募っています。こちらのクラウドファンディングサイトに想いを綴っておりますので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです!
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