本日、多胎育児のサポートを考える会と認定NPO法人フローレンスによる、 #助けて多胎育児 記者発表がありました。全国の多胎家庭1,591世帯からのアンケートで、僕も回答しました。
こちらすでにNHKが取り上げています。
→多胎児の親 9割超が「ネガティブ感情持ったことある」 | NHKニュース
それぞれの家庭には、その家庭固有の事情や環境があります。ただ、アンケートでまとめたとき、やはり多くがうなずくことばかりです。
そのなかで、僕が経験したことをそれぞれの項目で書いてみたいと思います。あくまでも僕個人のもので、妻の意見は入ってません。ので、感じ方が夫婦で異なることもありますので留意ください。
▶ 外出・移動が困難である
これはそのままで、いくつかの観点があります。ひとつは、「どうせスムーズにいかない」というものです。子どもと出かけようとすると荷物の準備も入念にします。おしりふきやおむつ、タオルや着替え、飲み物も必要です。
それを双子分で結構な時間がかかります。そしていざ外出しようとすると、おむつを替えなければならない、機嫌が悪い、入眠しかけている、そんなことが多々あります。そして、おむつを替えて出かけようとすると、もうひとりが・・・はよくあります。
また、友人や知人との待ち合わせ、イベント会場に行くなどは、だいたい間に合いません。迷惑をかけることもありました。途中で「やっぱり無理、ごめん」とか。そうなると段々、外出や移動することそのものにストレスを感じるようになります。
ここでポイントなのは、実際に双子を育て始めてから「これは・・・」と気が付くところです。十分や想像や予想ができていないと、その反動も大きく、毎日のことになると自分自身の双子へのかかわりがよくないのではないか、と思うに至ります。
▶ 自身の睡眠不足・体調不良
これはこれでもちろんつらいのですが、もっともつらいのは妻の体調不良です(逆もまたしかり)。二人でなんとかやりくりしているところに、どちらかがダウンをすると必然的にワンオペ+パートナーのケアになります。僕らは、体調不良になった方が自力でなんとかするということで、とにかく双子(と長男次男)のケアをするという話をしていました。
それでも自分が体調不良になってしまうと、妻に負担がいくのがわかっているだけに、そうなったときのショックと申し訳なさはかなり大きいですし、どんなに言葉で「大丈夫」と言ってくれてもやはり申し訳ない気持ちにしかなりません。
▶ 自分の時間が取れない
これは自分の仕事や趣味の時間というよりも、食事やトイレといった日常生活において十分な時間すら確保できないということが大きかったです。特にワンオペのときは、双子がともにスムーズな入眠+ぐっすり休む、という奇跡でも起こらない限りは、ずっとどちらかまたは両方とかかわっています。乳幼児だと一瞬目を離して何かあったらと思うだけで、トイレすら我慢になるというのはよくあることでした。
その意味で、自分のための時間が取れないということ以上に、通常の生活に必要な時間すら取れない時期がしばらく続きます。
▶ 大変さが周囲に理解されない
僕自身は周囲に恵まれていたのか、妻が引き受けてくれていたのか、理解されている感じがありました。自分で業務調整しやすい仕事ということもあったと思います。会議でも双子とともに来客対応したりもしてましたし。
ただ、行政サービスはその通りで、何かのサービスを使うのに直接提出かFAXしかないみたいなことがあり、直接いくこともつらいし、FAXなんてないし、郵送できるといっても、その時間と気力、そもそも郵便ポストに行くのだって、ということも。
心ない言葉を直接僕が浴びせられるということもほとんどなかった気がしますが、少なくとも双子とともに移動するとき、スペースを取ったり、あっちにいってこっちにいってしまう双子と僕に不快な気持ちだろうな、ということは少なからずありました。
幸いにして妻がとても子育てや環境設定が上手なのと、僕でも役に立てるようなおぜん立てというか段取りをしてくれたので、気持ちがふさぎ込んだりというのは性格的にもまりなかった気がします。
しかし、どうしても二人同時に寝ないとか、寝かせつけが永遠に続くような気がするとか。こっちに食べさせ(食べない)、あっちに食べさせ(拒否される)で終わらない食事のときは、イライラしたり、ゲンナリしたことはたくさんあります。
そして長男と次男が双子が生まれたときは4歳と2歳で、それでもすごくいい子たちだとは思いますが、なんでも後回しにせざるを得ず、本人たちがどう思っていたかはわかりませんが、ものすごく申し訳ないと、しっかり向き合ってあげられなかった夜などには人知れず自己嫌悪してました。
保育園児が4人のときは、必ず誰かが発熱や病気、その横展開からの家庭内パンデミックなどもあり、自宅と病院の往復、終わらない仕事(というよりできない仕事)、予定は未定状態が続くので、「いつかは終わる」という事実も受け止められないほど、シンドイなぁと思ったことはあります。
▶家事育児の人手
これはそうだなと思うと同時に、外出・移動と同じなのですが、人手を獲得するための労力や、そのときにうまく助けてもらいづらい環境など、人手があったらいいけれど、そのためにパワーを割くのがもうシンドイ。だったら自分でやってしまった方が、というのはかなりあります。
▶金銭的援助
これはそのまま、いまでもほしいです。むしろ、子どもたちが大きくなってくれば、移動コスト、参加コスト(入館料とか)、普通に映画とか遊びに連れて行ってあげたいけれど、双子も4歳になり、ちょっとしたことの総額が大きくなって躊躇します。
食費はあがっていく一方ですし、これから将来どうしようかな。いまのところ手立てがないため、目の前のお金、将来のお金、とそんなことばっかり考えてしまうときがとてもつらいです。
▶ 子を預ける場所
保育園に入園できたため、それだけで十分だと思ってしまうほど、日常がしんどかったのだと思います。病気になれば働けないし、ケアも必要で、双子のひとりが入院したときは、ひとりが夜担当で、もうひとりがワンオペで三名。
預けられる場所は重要ですが、全員が健康という前提ではなく、さまざまな環境において「あそこがあるから大丈夫」と思えるとありがたいです。ただ、お金を払えば預けられるところはあるので、公的サービスよりは、現金給付とかバウチャーがいいように思います。バウチャーなら使わなければいいわけですし。
▶ 同じ立場の人との交流
双子の会などが自治体で運営していることもあるので、必要なひとはそういうところを活用するというのは情報交換や友達、先輩ができていいんじゃないかと思います。ただ、僕の場合は同じ立場の人との交流必要性をあまり感じてなく、ただ、実際に5人しかいませんが、双子パパの知人・友人の存在は、ちょっとしたとき「あるある話」などができていいですね。
このように振り返ってみますと、社会サービスとして、一般理解として双子・多胎家庭が子育てしやすい環境になっていかないと、双子を授かった家庭は、周囲から観られるギャップ(かわいい、一回で二人、幸せそう)に苦しまなければならず、苦しみが終わっても、また同じ苦しみをしなければならないひとが出てしまう。そういうことはやめにしたいと思ってます。
また、上記の大半において想像し得なかった、考えていた以上にやばかった、みたいなことが結構あります。しかも、それは大きなイベントから、日常のほんとうに些細なところまで双子ってこうなのか・・・が積み重なっていきます。
そんなことをちょっとで和らげる、緩衝していくことに、僕ができることは何かと考えたとき、本を作ることじゃないかと思ったんです。
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