LITALICO研究所 OPEN LABクラウドファンディングを応援してくださっているみなさま、ありがとうございます。鈴木悠平です。本日も、応援メッセージのご紹介です。片耳難聴の当事者であり、同じく片耳難聴の方のQOL向上を目指した「片耳難聴サポート きこいろ」という活動をされています、麻野さんからのお便りです。片耳が聞こえているということで、周囲からは困り感が伝わりにくい片耳難聴。「必要な配慮があればいってね」というフラットでオープンな雰囲気があるそれだけでも、参加のハードルはぐっと下がるんです、というメッセージをいただきました。*片耳難聴を持つ人のQOL向上を目的にプロジェクトに取り組んでいます、麻野と申します。「片耳難聴」とは、片方の耳が聞こえない/聞こえにくい状態のことを言います(片方の耳の聴力は正常)。最近だと、NHKの朝ドラや、突発性難聴の芸能人など、少しずつその存在が知られてきたかもしれません。「LITALICO研究所 OPEN LAB」の構想に向けて、「片耳が聞こえにくい」立場からメッセージを書きたいと思います。1. 障害・病気による聴講の困難さへの環境整備「合理的配慮」が言葉としては当たり前に聞かれるようになりましたが、“中途半端な障害”である片耳難聴には、まだ十分に対応があるとは言えないように感じています。「片耳難聴」と伝えても「片耳が聞こえれば問題ない」と聞いて貰えないときがあったり、「障害者手帳がないから(日本の制度では、両耳が難聴である必要があります)サポートに該当しない」と言われてしまったり、そんな中で、当事者自身も言い出しにくかったり。だから、「障害・病気による聴講の困難さへの環境整備」が前提にあるのは、片耳難聴を持つ人にとっても、安心して参加ができるうになります。具体的に片耳難聴の困りごとを学びの場で想定すると(1) 講師が前方にいたとしても、聞こえない側で発せられていたら聞き取りにくいです。(2) 発表者の声やマイク音量が両耳で聞く人より大きくないと聞き取れません。(3) 片耳では聞きたい音と雑音の判別が難しいので、複数の音があると聞き取れなくなります。(4) 機器を通した音やマイク音声が苦手で、言葉としては聞き取れない場合があります。でも、ちょっとした工夫で困り感は減らせます。例えば、・難聴・聴覚障害のある方向けのライブ文字起こしや手話通訳→聞こえにくくても、文字情報があると視覚で補いながら参加しやすくなります。スライドなどの配布資料が手元にあると、さらに分かりやすいです。・座席の配慮→「聞こえやすいベスポジ」というものがあります。事前申し込み時に伝えたら調整を検討して貰えるとか、後から伝えても可能な範囲で対応してもらえると、聞きやすくなります。「片耳が聞こえれば大丈夫」と問題を見過ごされがちで、人の輪を避けるという対処をとるときさえある片耳難聴者にとって、「必要な配慮があればいってね」というフラットでオープンな雰囲気があるそれだけでも、参加のハードルはぐっと下がるんです。2.遠方の方も聴講ができるようオンライン受講制度片耳難聴の人の中には、めまいの病気を併せ持つ人もいます。程度はさまざまですが、外出に制限がかかったり、突発的に発作が起きるのをコントロールできなくなる人もいます。でも、オンライン受講があれば、体調に不安があっても諦めなくてすむかも知れません。私自身、めまいでままならない身体を抱え、だからこそ一層思うこと・考えることがあるのに「勉強会に行きたいのに行けない」「最先端の情報から・人の輪からどんどん遅れる」といつも悔しいです。学びにアクセスできる環境があれば、具合は悪くたって気持ちだけは前を向いていれる気がします。3.経済的に困難な方向けのスカラーシップ制度片耳難聴者の多くが働いていますが、中にはめまいの症状や片耳難聴への社会的な無理解によって就労が難しい・限定的に留まる人もいます。多くの人が所得保障の制度条件からも外れてしまうグレーゾーンにいるため、十分な経済状況にあるとは言えません。現実と “折り合いをつける” のも生きていく術ですが、はなから可能性を諦めなくてはならないのか。「勉強したい」に応える選択肢として、希望となる取り組みだと思います。4.最後に「困っている」ことって、誰にでも大なり小なりあるはず。端から見たらささやかにみえることでも「困ってる」と言いたいときに言え合える、「どうしたらいいか」とアジャストする落とし所を探せる関係性、安心を築いていける未来を願っています。それはきっと「LITALICO研究所 OPEN LAB」という場の学びが目指すものであり、場を持っての体現をするのが「LITALICO研究所 OPEN LAB」なのだ、と期待しています。そして、そこから生まれる知と想いが深く広がっていくことを、心から応援しています。Twitter: http://twitter.com/kikoiro *麻野さん、ありがとうございました!具体的なOPEN LABの取り組みにも触れていただきながら、片耳難聴のある方をはじめ、誰もが参加しやすい学びの場への期待を語っていただきました。引き続き、OPEN LABクラウドファンディングへのご支援をお願いします!https://camp-fire.jp/projects/view/162982
難聴 の付いた活動報告
LITALICO研究所OPEN LAB主宰の鈴木悠平です。毎日、応援ありがとうございます!本日も、障害のある当事者からの応援メッセージをご紹介します。聴覚障害・ADHDがあり、企業で働きながらブログ・note・書籍での情報発信やイベント企画をされている、友人のくらげさんより。これは「社会」のための投資だ、と力強いメッセージをいただきました。--------こんばんは。聴覚障害者のくらげと申します。この度、友人の鈴木さんがクラウドファンディングを立ち上げましたが、ぶっちゃけ「このクラファン、何をやりたいのか」がよくわからない人がいると聞きまして、聴覚障害者の私が「誰もがオープンにアクセスできる学びの場」ってどういうことなのか自分の経験から説明できればと思います。■「障害がある」とは学べないということ現在、大学への進学率は50%を超え、全入学時代、と言われます。で、大学に入る人が多いということは学習塾や家庭教師の需要もうなぎのぼりですよね。大人になっても、雑誌や新聞を開けばIT講座だの経理講義だのの広告が山ほど入っていて、テレビをつけても「学びませんか!?」というお誘いがバンバン流れてきます。また、勉強じゃなくても、ネットでつながっている人から「こういうイベントあるけど来ない?」とか誘われた経験がある方も多いでしょう。世の中は今、「セミナーブーム」とも言える状態です。でもですね、こういう「ブーム」って私には無縁なんですよ。だって、聞こえないから。講師の話が聞こえないし、聞こえたとしてもすごく必死に聞いてるからすぐ疲れる。面白そうな講義があっても、「手話通訳や要約筆記はありますか?」と質問しても「なんですか、それ?」と言われます。例えば、私はうちでは料理を作るんですけど、そろそろレパートリー増やしたいな、と料理教室を探しますよね、男向けの。あることにはあるんですけど、「聴覚障害あるんですけど…」と連絡すると「危険じゃないですか?」とか「聴覚障害なのに料理するんですか?」みたいなこと言われるんですよ。それに、以前、ある政治的な勉強会に参加したくて「情報保障ありますか?」と聞いたら「予算がないです、無理です」と断られたことがあります。お前、その口で言っている障害者に優しい社会ってお題目はどこに行ったんだ。お前には絶対投票しねぇ!となりました。じゃ、聴覚障害者が何を学べるか、というと、私の住む江戸川区では聴覚障害者向けのセミナーってのがあるんですけど、毎回毎回文章講座なんですよね。他にネタはないのか。で、他に手話通訳がついているというと、福祉関係ばっかりなんですよね。ぶっちゃけ「つまらない」ものばかりですよ。んじゃ、手話通訳とかを自費でつければ、となりますけど、1時間1万円以上かかりますし、こういう「自己研鑽」のための情報保障って公的な補助つかないことが多いんですね。給料アップのために学びたくてもそのための金が出せねぇよ!ってことになりますよね。つまり、私のような障害者は「学ぶ意欲」があっても「学べる機会」なんて本当に無いんです。学べても「障害がどうの」とか「福祉は云々」とか、そういう限られた範囲になります。そうじゃなくて、障害があろうとなかろうと「学びたいときに学びたいことにアクセスるする権利」ってのがあるはずなんですよ。今の障害者福祉はこの「学ぶ機会」ってのが全く抜け落ちてるわけです。■「誰もがオープンにアクセスできる学びの場」にするためにそういうわけで、「LITALICO研究所 OPEN LAB」の取り組みは本来「あるべき学びの姿」を体現してる、と言えると思うんです。しかし、「誰もが学べる環境」っていうのは、現実問題として金がかかります。たかだか数回の講座に350万円もの資金を集めなければいけないってなると、他の講義だと絶望的じゃないですか。でも、今の世の中、以前に比べたら「学べる環境」は広がっていますよね。日本にいてもリアルタイムで海外の一流大学の講座を受講できたり、ライブチャットアプリを使ってオンラインミーティングをしたり。これはちょっと前なら膨大な手間も金もかかりました。それをテクノロジーが超越したわけです。それなら、障害者の学びも、テクノロジーや様々な工夫で乗り越えられるはずです。それこそライブチャットを活用したり、そのライブチャットに自動文字起こしアプリを組み込んだり…。すでに出来ることはたくさんあります。では、何が足りないかと言えば、ノウハウの蓄積です。「LITALICO研究所 OPEN LAB」でどんどん「障害者を含むマイノリティー」が学びやすい環境を低コストで構築するためのノウハウを研究して社会に広めていけば、間違いなく障害者でも学べるチャンスは増えていくはずです。この350万円って、「LITALICO研究所 OPEN LAB」の講義だけじゃなくて、そういう「社会」のための投資だと思うんですよ。というわけで、伏して投資のほどよろしくお願いいただければと存じます。■何よりも大事なこと最後に。「LITALICO研究所 OPEN LAB」に投資出来ない人もたくさんいると思うんです。でも、一つだけ、お願いしたいことがあります。それは、「障害者だから勉強できないだろう」とか「別に学ぶ必要がないのでは?」と思わないでいただきたいのです。私達、障害者でも「学びたい」という気持ちはみなさんと一緒です。好奇心もあれば様々なことを経験したい。でも、障害があるから、聞こえないから、頭が悪いから、そういう理由で押さえつけられて、学ぶことを諦めていく。私は今、35歳ですが、私が高校生の頃、障害者は大学に行くことはとても難しかったのです。「聴覚障害があるのになぜ大学に来ようと思うのか」と大学当局から実際に言われた経験がある方も少なくありませんし、実質的な門前払いをくらった同級生もいます。私も本当は大学で歴史を学びたかったのですが、障害があることが大きな理由で大学への進学を諦め、このことは今でも大きな心の傷になっています。だから、もし、まわりに「学びたい」人がいたら、応援してほしいのです。無理や無駄、ではなく、「学ぶこと自体が大切なのだ」と考えていただきたいのです。ただ、邪魔をしない。それだけでいいのです。そのためにはお金はいりません。どうぞ、よろしくお願いいたします。------寄稿してくださった方: くらげさん Twitter: https://twitter.com/kurage313book note: https://note.mu/kura_tera Blog: https://kurage-official.com/ くらげさん、ありがとうございました!昔と比べると、情報保障のためのテクノロジーや方法論はずいぶんと増えてきました。でも、質の高い講義に、誰もがアクセスできる状態にはまだまだなっていない、というご指摘。OPEN LABを通してノウハウを蓄積し、みなさんに共有していきたいと思います。実現のためにも、ぜひクラウドファンディングへのご支援をお願いします!https://camp-fire.jp/projects/view/162982