バラエティロードの目玉である「野点」を行うアーティスト、きむらとしろうじんじんさんのインタビュー。最終回の記事をお届けします。
じんじんさんにとっての「バラエティロード」の魅力や可能性、今回の野点への意気込み(?)などについて聞きました!
◆じんじんさんにとっての「バラエティロード」
まず、バラエティロードという題名が、僕は好きですね。これは、おかっての人たちの大発明だと、僕は思ってます。ネーミング自体が、意味をあらわしている気がして。
どこがすごいと思ってるかというと…路上のことを名付けるけど、何も約束してないところ?(笑)「いろいろですわ~」としか言ってないですよね。いろいろなことがある路上に、「いろいろな路上ですねん」としか名前を付けてない。だから、ほぼ意味のないネーミングなんですけど。「なんとか屋台村」でもないし、「なんとか市」でもないし、「なんとかフリーマーケット」でもない。バラエティな路上に、「バラエティーロード」ってつけるっていう。
僕の勝手な解釈なんですけど、簡単に価値を担保してたまるか、担保しなくても魅力はあるのだ、という姿勢が表れてて、そんなネーミングが大好きです。
あと、路上にいることに慣れてる人とか、路上で何かするのが好きな人ばっかり集まってる場って、意外とないんですよ。
今までいろんな現場やってきて、まちに出てみませんかとかいろんな人に呼び掛けるんだけど、ちょっと僕が無理くり引っ張ってってる感じになる。僕以外のスタッフは身構えて出ざるを得ないことが多い。
でも、谷中のおかっての人とか、山友会のおっちゃんたちとかって、そこで何かをやっているのが普通なんですよね。路上にいるということ、あるいはそこで何かが起こっているということ、あるいはそこで何かするということ自体にすごく距離が近い人が多くて、そういう人たちがバラバラっと路上に散らばってる現場っていうのは、ありそうでないものだと思ってます。妙にリラックスしてる人が多いんですよね。
っていうのが、最大の特徴かつ、バラエティロードならではのすごいとこ、魅力だなぁ、と。
それが、稀有な存在だなぁと思います。それが稀有な存在になっちゃっていることが、ある種嘆かわしい。そんなことはもうちょっとたくさんあってもいいはずだと思っている。そういうことがあったほうがまちは魅力的だと思ってるし、そういうことが豊かだと、本当は言いたいです。
◆これからの「バラエティロード」の可能性
バラエティロードはこの先もずーっと続いていったらええなと思います。それは野点がなくても、ですよ。僕はもちろん野点やりたいんですけど、野点があってもなくても、ああいう場みたいなのが増えたらいいと思うし、ずーっと続いてったらえぇなと思う。
(社会的な)意義や意味や効果が担保されなくても、人が大けがするような事故が起こらんかったら、道端で楽しんでる人がいる風景のほうがええやん、そういう場が増えたらええやんっていう。比較的そんなに大仰な話じゃなくて、それくらいの話だと思うんですけど、それが最大の目標ですね。
◆今年の「野点」は?
変わりないです。強いて言うなら僕がさらに歳を取ったというくらいで。お客さんと交わす会話の内容は変わってるかもしれない。歳とった分体の不調を訴えたりするかもしれないですけど、それも含めて見に来てくださると嬉しいかな。どんだけ老けてるかを確認しに来てください。(笑)
◆支援してくださる方々に一言!
何かはっきりとしたお返しができるわけではないんですけれども、「バラエティロードSANYA」の風景自体が魅力的だと僕は思ってるので、その風景が存在するということを応援してもらえると、僕はすごく嬉しい。それが魅力的だと思ってくれるとすごく嬉しいし、クラウドファンディングで支援してくださった方にはぜひ現場に来てもらいたい。だからといって特別なおまけがついてくるわけではないが。
で、つまらんと思ったらちゃんとその場で怒ってほしいですね。つまらんか、魅力的か、ちゃんと見に来てほしいです。そのときつまらんて言われたらどうするか分からないですけどね。すいませんって言って謝るだけなのかもしれない。
これではメッセージにならないか…(笑)でも、もしこれに興味をもって少しでも支援してくれる人がいたら、それに対して僕が言えるのは来てほしい。支援してしかも現場いかなあかんのかみたいな話になるんやけど、他にお返しのしようもなくて。こういう風景がこの世に存在しててもいいなぁ、魅力的だなぁと思ってもらえたら、それが僕にできる唯一のお返し。
ぜひ来て、お茶碗も作ってってください。お代は別でいただきます(笑)お茶碗代。ひどいなあ…(笑)でも、他に言えることがない。(笑)来世でいいことありますよとかそんなこと言えないし。ほんとはいいたいんですけど。とにかく、見に来てほしいですね。