2019/09/27 20:00

展示作品に対する政治家の批判というカタチでの表現への介入から、
有名・無名の組織や個人によるSNSやメディアでの誹謗中傷、
そして電凸でのテロ行為の脅迫により、
企画展「表現の不自由展・その後」が僅か3日で展示中止に追込まれて以来、
展示中止に抗議する国内外の参加アーティスの相次ぐ展示ボイコットと
開催中の「あいちトリエンナーレ2019」は
図らずもわが国の表現の自由の危うい現状を浮き彫りに致しました。

2015年、東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所? 」展にて、市民からの抗議を受けて、美術館側から撤去の要請があった、会田誠さんの家族3人による会田家《檄》2015 展示風景 2015 撮影:宮島径 (c) AIDA Family Courtesy Mizuma Art Gallery

一昨日の示された検証委員会の
「表現の不自由展・その後」の展示再開に向けた方向性により、
ようやく当初の展示に戻るのかと思いきや、
一夜明けた昨日、文化庁が採択済みの補助金交付の全額停止を決定
事態は公権力による検閲にも繋がる芸術空間への介入や表現の自由への侵害に及び、
戦後、現在の憲法の施行により
この国で初めて表現の自由が認められてから72年を経て、
わが国の表現の自由はまさに今、分水嶺にあるとも言えます。


《広島の空をピカッとさせる》 2009 ビデオ(5分35秒)時の公権力がその意やイデオロギーに沿うままに芸術への助成の有無を判断する、
こんな馬鹿げた、かつ狡猾、愚鈍な事態になれば、
まずは芸術への助成という政策自体のが形骸化し、
それは今回の判断を決定した文化庁の存在意義を自ら無形化するものです。

加えて、公共の美術館や空間では時の権力の意に沿う表現しか行えなくなり、
既に日常化しつつある萎縮や忖度、自主規制の空気が更に蔓延することは確実です。

2014年、愛知県美術館で開催された「これからの写真」展で、愛知県警からの指摘を受けて布で覆った、鷹野隆大の作品《“with KJ#2(2007)” 》(シリーズ『おれと』より)
 Ryudai Takano Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon
表現の自由は決してアーティストや表現者だけの権利ではなく、
時の権力や資本力によって私たち一人一人が自分らしく生きるために
欠かすことのできない思想及び良心の自由を守るために
私たちが持つかけがえのない武器であり、最低限の権利です。


今まさに私たちは、

いとも簡単に大切な権利が阻害され剥奪される状況に直面しています。
このままでは表現の自由も芸術も文化もないがしろにされてしまいます!
まさに今が、
私たちが自分らしく暮らしていける権利を守り続けられるかの分水嶺です!!
2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博の作品《落米のおそれあり》

小社では、表現の自由が危機に瀕している現状が浮き彫りになったこの機会に、
アートを通じて人を思いやる想像力と難問を突破する創造力の構築を志す
ソーシャルアートメディア「ARTLOGUE(アートローグ)https://www.artlogue.org/」と伴に、今回の「あいちトリエンナーレ」の件や、
過去にアートや音楽、映像などの表現の様々な現場で、検閲や自主規制、
あるいは組織や個人による誹謗中傷や脅迫により
表現の自由が浸食された事例を通して、
今一度、我が国の表現の自由が直面している現状を見つめ直し、
様々な議論を通して、そのあり方を考える機運を創り出したく、
表現の不自由時代本』を発刊致します。

http://www.artlogue.org/node/4126
http://www.artlogue.org/node/4170
http://www.artlogue.org/node/4174


私たち1人1人が自分らしく暮らしていくために欠かすことのできない
表現の自由や芸術・文化が貶められつつある現在、
個々人で見つめ直して、表現の自由や芸術、文化のあり方を考える機会を創出したい
と考えております。

ご支援の募集期間も残すところ3日となりました。
皆様のご支援を改めてお願い申し上げます(拝)