あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の展示中止以来、表現の自由を巡って様々な議論が巻き起こってますが、現在の状況はイデオロギーによる対立と芸術や文化への無理解による深い分断が顕在化している様相です。しかし、対立や分断からは何も生まれません。表現の自由は、先人が歴史の反省や限りなき逡巡の末に、後世の私たちに残してくれたかけがえのない権利です。「生まれた国や、立場によって互いを分断する言葉が飛び交う現代。 でも、絶望するだけでなく、私たちにもできることがある」「知ろうとすること、想像すること、相手と立場を置き換えること。 分断を超える共感が、そこから生まれる」 (美術家の奈良美智さん「災害と死と分断の時代に、絶望する以外に私たちにできること」 〈BUZZ FEED NEWS〉8.31 掲載インタビューより)奈良美智さん「災害と死と分断の時代に、絶望する以外に私たちにできること」相手や隣人と立場を置き換えて、理解しようとする。まさにそういう想像力を培うことが芸術や文化の持つ力です。2015年、東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所? 」展にて、市民からの抗議を受けて、美術館側から撤去の要請があった、会田誠さんの家族3人による会田家《檄》2015 展示風景 2015 撮影:宮島径 (c) AIDA Family Courtesy Mizuma Art Gallery2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博さんの作品《落米のおそれあり》私どもでは、表現の自由を巡って、対立と分断が深まっているこの機会に改めて、アートを中心に、音楽や映像など、わが国の様々な表現の現場で起きた事例を通して、今一度、私たちのかけがえのない権利である表現の自由の現状と向き合い、そのあり方を見つめ直す、『表現の不自由時代本』を今秋に刊行致します。私たち一人一人のかけがえのない権利である表現の自由について、1冊の本を通して、ご支援ご賛同頂ける皆様と共に、見つめ直し考える機会を作り出せれば幸いです。現在、クラウドファンディング実施中。皆様のご支援をお願い申し上げます(拝)