企画展「表現の不自由展・その後」が展示作品に対しての公権力による検閲ともとれる言及やSNSなどでの誹謗中傷、テロ行為の脅迫により僅か3日で中止に追込まれて以降、様々な議論や検証が行われ、昨日、検証委員会から展示再開の方向性が示された「あいちトリエンナーレ2019」ですが、一方で文化庁が内定した補助金を全額交付しない決定をしました。 これまでは政治家による展示内容への言及はありましたが、展示中止の判断はあくまでも脅迫を含む抗議が殺到したことによる主催者側の安全上の配慮による判断でしたが、今回の補助金交付の停止は政治的中立であるべき公権力の恣意的な判断による芸術空間や表現についての介入であり、なりふり構わない表現の自由の阻害あり、あからさまな検閲です。 このままでは公共の美術館や空間では時の権力の意に沿う表現しか行えなくなり、既に日常化しつつある萎縮や忖度、自主規制の空気が更に蔓延することは確実です。2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博の作品《落米のおそれあり》 表現の自由は決してアーティストや表現者だけの権利ではなく、資本力や権力によって歪められかねない思想及び良心の自由を守るために国民全員が持つ武器であり、私たち一人一人が自分らしく生きるために欠かすことのできない最低限の権利です。 今まさに私たちは、私たちの大切な権利が阻害され剥奪される状況に直面しています。 今こそが、この国の表現の自由の分岐点です。 小社では、表現の自由が危機に瀕している現状が浮き彫りになったこの機会に、今回の「あいちトリエンナーレ」の件や、過去にアートや音楽、映像などの表現の様々な現場で、検閲や自主規制、あるいは組織や個人による誹謗中傷や脅迫により表現の自由が浸食された事例を通して、今一度、我が国の表現の自由が直面している現状を見つめ直し、様々な議論を通して、そのあり方を考える機運を創り出したく、『表現の不自由時代本』を発刊致します。 この機会に、私たち1人1人が自分らしく暮らしていくために欠かすことのできない表現の自由について、個々人で見つめ直して、そのあり方を考える機会を創出したいと考えております。 ご支援の募集期間も残すところ4日となりました。皆様のご支援をお願い申し上げます(拝)
鷹野隆大 の付いた活動報告
現在開催中の「あいちトリエンナーレ2019」では、企画展「表現の不自由時代展・その後」に対する誹謗中傷やテロの予告により僅か3日で展示中止に追込まれ、それに抗議して多数のアーティストが展示を取りやめ、参加アーティストによる全ての展示の再開を求める「ReFreedom_Aichi 」のアクションなど、今も様々な動きや議論が続いており、改めてわが国において表現の自由が危機的な状況に置かれていることが浮き彫りになっています。今日の表現の自由の危機的な状況は、決してアーティストだけの問題ではありません。私たちが自分らしく生きていくためにも、表現の自由は私たち1人1人のかけがえのない権利です。そして、表現の自由を次世代に繋げる責任が私たちにはあります。2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博の作品《落米のおそれあり》イデオロギーや立場の違いによる対立と分断の言葉ばかりが行き交う現在、今こそ、相手のことを想像してみる、相手と立場を入れ替えてみる、そんな想像力を培う、アートや文化の力が必要不可欠です。この機会に、我が国の表現の自由が直面している状況を見つめ直し、様々な事例や意見を通して、そのあり方を考える、『表現の不自由時代本』の刊行に皆さまのご支援をお願い致します。2015年、東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所? 」展にて、市民からの抗議を受けて、美術館側から撤去の要請があった、会田誠の家族3人による会田家《檄》2015 展示風景 2015 撮影:宮島径 (c) AIDA Family Courtesy Mizuma Art Gallery
あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の展示中止以来、表現の自由を巡って様々な議論が巻き起こってますが、現在の状況はイデオロギーによる対立と芸術や文化への無理解による深い分断が顕在化している様相です。しかし、対立や分断からは何も生まれません。表現の自由は、先人が歴史の反省や限りなき逡巡の末に、後世の私たちに残してくれたかけがえのない権利です。「生まれた国や、立場によって互いを分断する言葉が飛び交う現代。 でも、絶望するだけでなく、私たちにもできることがある」「知ろうとすること、想像すること、相手と立場を置き換えること。 分断を超える共感が、そこから生まれる」 (美術家の奈良美智さん「災害と死と分断の時代に、絶望する以外に私たちにできること」 〈BUZZ FEED NEWS〉8.31 掲載インタビューより)奈良美智さん「災害と死と分断の時代に、絶望する以外に私たちにできること」相手や隣人と立場を置き換えて、理解しようとする。まさにそういう想像力を培うことが芸術や文化の持つ力です。2015年、東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所? 」展にて、市民からの抗議を受けて、美術館側から撤去の要請があった、会田誠さんの家族3人による会田家《檄》2015 展示風景 2015 撮影:宮島径 (c) AIDA Family Courtesy Mizuma Art Gallery2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博さんの作品《落米のおそれあり》私どもでは、表現の自由を巡って、対立と分断が深まっているこの機会に改めて、アートを中心に、音楽や映像など、わが国の様々な表現の現場で起きた事例を通して、今一度、私たちのかけがえのない権利である表現の自由の現状と向き合い、そのあり方を見つめ直す、『表現の不自由時代本』を今秋に刊行致します。私たち一人一人のかけがえのない権利である表現の自由について、1冊の本を通して、ご支援ご賛同頂ける皆様と共に、見つめ直し考える機会を作り出せれば幸いです。現在、クラウドファンディング実施中。皆様のご支援をお願い申し上げます(拝)