企画展「表現の不自由展・その後」が展示作品に対しての公権力による検閲ともとれる言及やSNSなどでの誹謗中傷、テロ行為の脅迫により僅か3日で中止に追込まれて以降、様々な議論や検証が行われ、昨日、検証委員会から展示再開の方向性が示された「あいちトリエンナーレ2019」ですが、一方で文化庁が内定した補助金を全額交付しない決定をしました。
これまでは政治家による展示内容への言及はありましたが、展示中止の判断はあくまでも脅迫を含む抗議が殺到したことによる主催者側の安全上の配慮による判断でしたが、今回の補助金交付の停止は政治的中立であるべき公権力の恣意的な判断による芸術空間や表現についての介入であり、なりふり構わない表現の自由の阻害あり、あからさまな検閲です。
このままでは公共の美術館や空間では時の権力の意に沿う表現しか行えなくなり、既に日常化しつつある萎縮や忖度、自主規制の空気が更に蔓延することは確実です。
表現の自由は決してアーティストや表現者だけの権利ではなく、資本力や権力によって歪められかねない思想及び良心の自由を守るために国民全員が持つ武器であり、私たち一人一人が自分らしく生きるために欠かすことのできない最低限の権利です。
今まさに私たちは、私たちの大切な権利が阻害され剥奪される状況に直面しています。
今こそが、この国の表現の自由の分岐点です。
小社では、表現の自由が危機に瀕している現状が浮き彫りになったこの機会に、今回の「あいちトリエンナーレ」の件や、過去にアートや音楽、映像などの表現の様々な現場で、検閲や自主規制、あるいは組織や個人による誹謗中傷や脅迫により表現の自由が浸食された事例を通して、今一度、我が国の表現の自由が直面している現状を見つめ直し、様々な議論を通して、そのあり方を考える機運を創り出したく、『表現の不自由時代本』を発刊致します。
この機会に、私たち1人1人が自分らしく暮らしていくために欠かすことのできない表現の自由について、個々人で見つめ直して、そのあり方を考える機会を創出したいと考えております。
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