今年の梅雨は異常に長く、撮影初日の7月21日も、ロケ地となる中之条町では梅雨真っ盛りでした。といっても、シトシト降ったりやんだり、時々太陽が顔を覗かせてくれたりと。私は生粋の雨男なので「まぁそんなものか」と半ば諦観していました。三月末のロケハンでは雪が降り、10センチほど積もりました。低気圧が服を着て歩いているようです。
そんな様子ですから、本来ならいなくなる時期なのに、山道や川原にはヒルがワンサカ居ました。ジメジメしたところを好む吸血ヒルたちです。
濡れた地面をよく見るとツマヨウジくらいの細長いなめくじみたいなのがピョコピョコ動いてるのが見えました。そして時々上から降って来ます。
(この写真はネットで拾いました)
撮影前から多くのスタッフがヒルに噛まれました。ヒルに噛まれると血を吸われます。それだけでなく、血液内の血を凝固させる成分を一時的に壊されるらしく、血がダラダラと止まりません。1時間は流れ続けます。
しかも、ヒルの歯は皮膚に食い込むらしく、吸い終わるまでは引っ張っても取れません。
あるロケハンの帰りは悲惨でした。東京へ帰る際、大概は夜に関越道を走ることになります。いつも通り運転していました。横には上野さんが居ます。談笑のさなか上野さんが叫びました。「うわ!噛まれてる!ヒルだよ!!」携帯のライトで照らされた上野さんの足は血だらけでした。私が「ヒルは居るんですか?」と聞くと「ヒルは。。。居ない」と言われました。夜の車の中にヒルが生息してるのです。しかも私は運転中です。もう、どうしようもありません。
もちろん、夜中に家に帰ったら時、私の足は血まみれでした。本当に、靴下が真っ赤になるんです。
そんな恐ろしいヒルにも弱点があります。
昼下がりのジョニー。要は、濃度の高い食塩水です。吸血中のヒルも、コレをかければくるっと縮んで落下します。撮影中、やはりヒルに悩まされた我々。ヒルを見たら誰かが「ジョニー持ってきて!」と叫び、なんとか命を繋いで来ました。
私も「よーい!スタート!」より「ジョニー!!」と叫んだ数の方が多いかもしれません。
ちなみに、スタッフは全員噛まれたと聞いています。文字通り心血注いだ映画でした。