アートも経済も最先端の技術なども、どうしても大都市に集中しがちですよね。ダンサーとしていろんな国を旅する中でも、都会に芸術家が集まるからたくさんの芸術が生まれ、それがさらに芸術家を集めるという街をたくさん見てきました。それと同時に地方に芸術の施設や芸術祭などがあることで地方の活性化に繋げようとしている例も多く見受けられます。
日本でも実は芸術祭を開催していない自治体の方が珍しい、と言っても過言ではないほどたくさんの地域で芸術祭が開催されているそうです。さらに日本には地方にも必ずと言って良いほど文化会館や劇場のような施設もあります。舞台芸術の分野でも、大都市に一極集中するのでなく地方から新しい舞台作品を創作して発信する機会が増えたらその地域の活性化に少しでも繋がっていくと思います。
私の故郷、兵庫・神戸にはそのような地域に根ざした活動を長く続けている芸術団体が複数存在します。そのひとつが今回「チェリーを三つ入れてください。」にゲスト出演する松尾珠里さんの所属する貞松・浜田バレエ団。来年55周年を迎え、バレエを中心に兵庫・神戸で舞台芸術を発信し続けておられます。私も渡米前にバレエダンサーとして所属していました。
今回の作品を上演させていただく神戸アートビレッジセンターでは、若手芸術家育成と新開地の街の再生を主たる目的として、1996年から演劇、美術、映像、音楽等の制作・練習・発表・鑑賞・交流の場を広く一般に提供していらっしゃいます。
そんな先人達の姿を見習いながら、私が地元に還元できることは何だろうと模索した時に、自分が日本ではダンスカンパニーなどに所属しない自由な状態であり、尚且つコンテンポラリーダンスを中心に、バレエ、ミュージカル、映像、芝居など様々な分野に携わった経験があるので、いろんなジャンルのアーティストやダンスパフォーマーを集めて舞台作品を作ることで幅広くアートを紹介できるのではないかと考えました。
ひとつの公演でいろんなジャンルのアーティストがそれぞれの作品を発表するという、ガラコンサートやダンスフェスティバルのような形の公演にしたら、それぞれがどのような作品を作るのかをよく観れると思います。それもとても素敵なことで、私もそういう形の公演に出演することも鑑賞することも多いのですが、その場合はアーティストは各々の作品のことで忙しく、なかなか本当の意味でお互いに交流することができません。
今回はそれとは逆に、いろんなアーティストが協働でひとつの作品に参加します。分野を越えて制作のプロセスを共有して交流することで、観客の皆さまによりユニークな舞台をお届けできると考えています。また、兵庫出身の参加アーティストにとっても異なる分野のアーティストと関わる機会・経験のひとつにしてもらえるはずです。
ENTERARTの新作舞台作品「チェリーを三つ入れてください。」を応援して頂けたら幸いです。クラウドファンディングの募集終了まであと7日、ご支援をどうぞよろしくお願い致します。