太田選手は現在とよはしボクシングジムで唯一の日本ランカーで、ジムのトップです。
他の後輩選手達はまだC級の四回戦ボクサーかデビュー前ばかりですし、10代〜20代前半の彼らに比べると1人だけ3〜4歳くらい年の離れた兄貴分です。
ですから望むとか望まないに関わらず、必然的にリーダーの役割を背負うことになります。
トップの大きな権限としては、ジムの練習メニューを自分中心で決められることかも知れません。
バチバチ殴り合いのスパーリング中心の選手も居れば、マスボクシング(ウチでは寸止めです)やキツいサンドバッグをひたすら打ちまくることを好む選手も居ますが、いずれもトップの練習に後輩たちが組み込まれていく形になります。
ジムの雰囲気や方向性のカラーはトップで決まります。
太田選手は、見てる限りスパーリング至上主義です。
寸止めだと当てる感覚が掴めないし、当てて来ないと思うと危機感がなくなるという話をしてるのを聞いたことがあります。
実力差がある場合は、相手には全力で殴らせて自分はそんなに当てないという練習もよくやってますが、実はコレが難しいんです。
単純に加減が難しくて当たってしまう場合もあれば、ついイラっとしてガチで殴りに行って収集がつかなくなるなんてことも初心者にはよくあるからです。
ウチのジムはルールを守れない場合は、会長の鉄拳が飛んできますが、ベテランになるとそんな心配もなくなります。
試合でイラっとしたら負けるから、感情コントロールも練習の一部であることを理解しているからです。
でも10歳も年下の選手だと「いくら全力で来い」と言われても年少者は遠慮してしまうこともあります。
そりゃプレッシャーと眼光ヤバいんでw
でもそういう時も太田選手は「練習にならない」と言って怒ったり、ちゃんと出来たら褒めてあげてる姿をよく見かけます。
日々そんな調子なので、私からするとダメージが心配になりますが、強さを追求する姿勢はあくまでもストイックです。
練習後は必ず後輩達に「ありがとう」とお礼を言って、自分が買ったけどあまり履いてないリングシューズをあげたり、誕生日プレゼントしたりして、いつも後輩にもジム全体にも気を配ってくれています。
後輩も太田選手に気にかけて貰えるのは嬉しそうです。
太田選手は気配りの男です。
自分さえ良ければいいという態度は決してしません。
トップとしてジムの大看板だから。
後輩達が大好きだから。
ジムの為に頑張ってくれるのは後輩達の為でもあり、自分が集中出来る環境を守る為でもあり、そこで良い結果が出せたらお客さん全員が喜んでくれるという本当に良い循環が生まれるからです。
独り善がりのトップでは「バチが当たって」全てが上手く回らなくなります。
だから誰より結果出さないといけないし、辛い顔も見せられない。
他の選手が負けることがあっても、自分は勝たねば、格好よくあらねば!という重圧といつも戦っています。
他の誰よりもトップは毎日が戦いです。
またボクシングは若いうちしか出来ないことを知ってるからこそ、毎日真剣です。
戦う男の背中は格好いいでしょ?
今日はそんな姿をお見せしたくてこの写真を選びました。
太田選手の日々の戦いぶりを見て頂くことで誰かが励まされたり、少しでも勇気のお裾分けが出来たらいいなと思います。
今日は少し長い文章になってしまいましたが、楽しんで頂けましたら幸いです。